「HPのコンピュータは人種差別主義者」――こんなタイトルでYouTubeに投稿されたビデオが話題になっている。ビデオ冒頭にある黒人男性が登場し、HPのコンピュータのWebカメラに搭載された顔追跡(Face Tracking)システムが自分の動きを把握できないことを説明。ところがカメラ内に白人女性が出現すると、突然システムが作動し出して、同一画面内にいる黒人男性は背景としてしか認識されていないことがわかる。

話題のビデオ「HP computers are racist」は12月10日(米国時間)に投稿、HP MediaSmartという名称のコンピュータによって撮影されたことになっている。画面にはまず黒人男性のDesiが登場し、本来動作すべき顔追跡システムがどうやっても働かないことを説明。次いで登場した同僚の白人女性のWandaが登場すると、本来の機能通りに追跡システムが動作し、同じフレーム内にDesiがいても画面はつねにWandaを中心に追跡するように移動する。最後はDesiが「なんでHPのWebカメラは黒人を認識しないのか教えてくれ」のメッセージで締められている。


YouTubeのコメントは、「人種差別ネタは面白くない」と真面目なコメントもある一方で、コントのようなネタ振りに爆笑したり、「これ見てHPが気に入った」といった書き込みなどもある。「光の加減では?」という意見もあり、原因を分析するコメントも散見される。だが、この2人の組み合わせで製品のセールスポイントの1つである顔追跡システムが動作していないことは確かだ。

HPはこのビデオの投稿を受け、同社のコンシューマ向け公式ブログTheNextBench.comに20日(現地時間)、今回の件に関する正式コメントを発表した。同社は声明の中で「顧客のフィードバックは重要」と記し、日本からインド、南米から欧州まで世界中の地域でHP従業員が互いに協調して作業を進めており、世界中すべての人が高い品質のユーザー体験を得られるよう努力している点を強調。ビデオに登場したDesiに感謝するとともに、今回のケースでは正面からの光量が足りなかったため、Webカメラによる顔の認識が難しかった可能性があると付け加えた。またユーザーへのアドバイスとして、同機能の利用にあたっては十分な光量を与え、問題となった「HP TouchSmart Webcam」で動作の最適化を行うための設定方法を紹介している。