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住宅ローン特集

【第4回】知らないと損をする マイホーム購入に関連する優遇税制をチェック

親が資金援助してくれるけれど、贈与税がかからないか心配

連載一覧

第5回 目先のお得に囚われてはダメ 繰り上げ返済はライフプランを考慮して慎重に
第4回 知らないと損をする マイホーム購入に関連する優遇税制をチェック
第3回 共働き世帯ならではのリスクに注意 ライフステージの変化を予測して借り入れを
第2回 家賃並みの返済額ならOK!は大間違い。無理のない住宅ローンを組むには?
第1回 住宅ローンの金利タイプ選びは慎重に。人気(?)の「変動金利型」には要注意!

会社員のDさんは妻と2歳になる長男の3人家族。現在、東京都内の2LDK(57㎡)の賃貸マンションに住んでいますが、最近、自身が40歳になったのを機にマンションの購入を決意したところです。新築ではないものの築7年で3LDK(80㎡)、5000万円の物件は広さも価格もDさん夫婦の要望を満たしています。

とある日曜日に、たまには両親に孫の顔を見せようと家族3人揃って実家に出向いたDさん。孫を膝の上に乗せてあやしている父親に「そろそろ家でも買おうと思っているんだ」と切り出したところ、両親とも「それはいい」と喜び、父親が「少しだが援助しよう」と500万円出してくれる運びに。そんなつもりで実家を訪ねたわけではなかったDさんだったので、援助は嬉しいサプライズになりました。

それに刺激を受けたのか、その日の帰宅後、今後は妻が自分の実家に電話をかけて夫の両親からの援助の話をしました。するとDさんの妻の父親も同額の500万円を援助してくれるとのこと。夫婦で総額1000万円の援助が受けられることになり、資金計画にゆとりができました。ですがDさん夫婦には少しだけ不安が。それは1000万円も援助をしてもらったら贈与税がかかるのではないかということ。調べてみると住宅購入資金の贈与には特例があり、一定額までは非課税になるよう。自分たちの場合はその対象になるのか、ファイナンシャル・プランナー(FP)の前田晃介さんのもとに相談に訪れました。

相談者Dさんのプロフィール
家族構成 年齢 職業 世帯年収
Dさん 40歳 会社員 800万円(A)
31歳 会社員 350万円(B)(A)+(B)=1150万円
長男 2歳 - -
家族構成 Dさん
年齢 40歳
職業 会社員
世帯年収 800万円(A)
家族構成
年齢 31歳
職業 会社員
世帯年収 350万円(B)
家族構成 長男
年齢 2歳
職業 -
世帯年収 -
現状の住まい 購入予定の物件
東京都内の2LDK(55㎡)賃貸マンション
家賃17万円
東京都内の3LDK(80㎡)中古マンション(築7年)
5000万円 売主は不動産業者

特例により父母や祖父母からの贈与は一定額まで非課税

相談者のDさん夫婦がいう贈与の特例とは、正確には「住宅取得等資金の贈与税の非課税」というもの。通常、贈与を受けると贈与税という税金が課されます。ですが直系尊属、つまり自身の父母や祖父母から、住宅の新築・購入・増改築等の資金に充てるために贈与を受けた場合、所定の限度額まで非課税で贈与が受けられます。夫が妻の父母などから贈与を受けた場合は、直系尊属からの贈与にならないので注意しましょう。Dさん夫妻の場合、それぞれの父親からの贈与なのでクリアしています。

受贈者(贈与を受ける人)1人当たりの非課税限度額は、2018年に住宅購入等の契約をした場合、通常の住宅なら700万円まで、省エネ等の要件を満たした住宅なら1200万円までです。Dさん夫妻はそれぞれ500万円ずつの贈与を受ける予定なので、非課税限度額の範囲内に収まっています。ちなみに親や祖父母など直系尊属から500万円の贈与を受けた場合、通常は70万円の贈与税が課されます。

上記の非課税限度額に、年間110万円の贈与税の非課税枠を加えることもできます。そうすると通常の住宅なら700万円+110万円=810万円まで、省エネ等の要件を満たした住宅なら1200万円+110万円=1310万円まで非課税で贈与が受けられることになります。

マンションはパンフレット上の床面積と登記簿上の床面積が異なることに注意

特例を受けるには、受贈者についても物件についても所定の要件を満たす必要があります。中でも注意したいのが物件の要件のうち床面積と築年数です。床面積の要件は登記簿上50㎡以上240㎡以下であること。マンションの場合、パンフレット上の床面積は壁芯面積といって部屋の壁の中心を起点にした面積が表示されています。一方、登記簿上の床面積は壁の内法の面積です。そのため同じ部屋でも登記簿上の床面積は壁芯面積より小さくなります。パンフレット上で50㎡台の部屋は、登記簿上だと50㎡未満のおそれがあるので、登記簿上の面積を不動産業者などに確認することをお勧めします。Dさん夫妻が購入予定の物件は50㎡を大きく上回る80㎡なので、登記簿上の面積についても心配はありません。

築年数については築20年以下、マンションなど耐火建築物の場合は築25年以下となります。要件を超える築年数の場合は特例が受けられないので、中古物件を購入するときには注意しましょう。Dさん夫妻が購入予定の物件は築7年なので要件をクリアしています。

贈与のタイミングに注意。非課税でも贈与税の申告が必要

贈与のタイミングにも注意が必要です。特例を受けるには、贈与を受けた年の翌年3月15日までに該当の住宅に居住しているか、居住の見込みがあることが要件になっているからです。2018年中に贈与を受けたら、2019年3月15日までに居住しているか、居住の見込みがないといけません。

Dさん夫妻のように中古物件ならこの要件を満たしやすいのですが、新築マンションなどで引き渡しが1〜2年先という場合、そこから逆算して贈与の時期を決めるのがポイントとなります。例えばマンションの引き渡しが2020年5月で、引き渡しと同時に引っ越しをする場合、贈与を受けるタイミングは2020年になってからとなります。2018年〜2019年に贈与を受けると、図表1に示したとおり要件を外れてしまうので注意しましょう。

■図1 2020年5月に引き渡し・引っ越しの場合

円グラフ

そして最重要なのは、非課税とはいえ特例の適用を受けるには贈与税の申告が必要であること。申告の期間は贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日まで。この間に贈与税の申告書と所定の添付書類を提出します。2018年中に贈与を受けたなら、2019年の2月1日から3月15日までの間に申告をすることになります。

なお、現状の特例の適用期限は2021年3月31日までですが、2019年10月に消費税率が10%に引き上げられるのに伴い、適用期限の延長や非課税枠の拡大が検討される見通しです。特例の利用を検討している人はニュース等で情報をチェックするように心がけておきましょう。

最大で年40万円の減税効果がある、「住宅ローン控除」もチェック

もう一つ知っておきたい住宅購入関連の優遇税制は「住宅借入金等特別控除」。よく「住宅ローン減税」とか「住宅ローン控除」と言われるものです。住宅ローンを組んで住宅を購入し一定の要件を満たしていると、所得税の減税措置が受けられます。

控除額(減税額)は、年末の住宅ローン残高の1%で40万円が上限(2018年4月〜2021年12月までに居住した場合)。これが最長10年間受けられます。控除額を所得税で引き切れない場合には、年13万6500円を上限に住民税からも差し引くことができます。

控除を受けるための主な要件は、その住宅に居住していること、住宅の登記簿の上の床面積が50㎡以上であること、住宅ローンの返済期間が10年以上であることなどです。マンションの場合の床面積の注意点は贈与の特例の場合と同様です。

中古住宅でも受けられるが、個人間売買だと控除額は最大20万円

住宅ローン控除は中古住宅でも受けられます。マンションなど耐火建築物の場合は築25年以内、それ以外の木造などの場合は築20年以内ならOKです。築年数の要件を満たしていなくても、現行の耐震基準に適合している物件なら対象になります。Dさん夫妻が購入予定の物件は築7年なので、住宅ローン控除の対象になります。

ただし控除額の上限は、売主が個人か不動産業者かにより異なります。売主が個人で手続きのサポートを不動産仲介業者がする場合、個人間売買となり控除額の上限は年20万円です。一方、不動産業者が直接個人に売る場合は新築と同様、控除額の上限は年40万円です。Dさん夫妻の場合、売主が不動産業者なので最大で年40万円まで住宅ローン控除が受けられます。

では、Dさん夫妻が住宅ローンを組んだ場合、いくら住宅ローン控除が受けられるのでしょう。ミライズのサイトの「住宅ローン控除額計算機」を利用してシミュレーションをしてみたのが図表2です。物件価格の5000万円のうち1000万円は親からの贈与で賄い、残りの4000万円についてローンを借り入れました。金利は全期間固定金利で1.3%、返済期間は35年です。

シミュレーションの結果を見ると、1年目のローン控除額は39万914円。住宅ローン控除合計は348万186円なので、10年間で約350万円の減税効果があることがわかります。ミライズの住宅ローン控除額計算機は誰でも利用できるので、住宅購入予定の人や最近購入した人はシミュレーションしてみましょう。

■図表2 Dさん夫妻の住宅ローン控除額は?

図表2

ミライズ「住宅ローン控除額計算機」

https://simulizer.com/analysis/home_loan_deduction

最初の年は確定申告が必要。2年目以降は年末調整でOK

住宅ローン控除を受けるには、住み始めた年の翌年に確定申告をする必要があります。2年目以降は会社員など給与所得者の場合、年末調整で手続きが済みます。減税効果が大きく、要件も満たしやすいので是非受けましょう。

ただし一つ注意しておきたいのが転勤の場合です。前述のとおり住宅ローン控除の要件の一つに「そこに居住していること」というのがありますが、転勤するとどうなるのでしょう。単身赴任で家族がマイホームに残る場合は住宅ローン控除を受けられます。一方、家族揃って転勤先に引っ越す場合は、マイホームに戻る年まで住宅ローン控除は受けられなくなります。戻ってきたときに最初に住み始めてから10年が経過していなければ、残りの期間について住宅ローン控除が受けられます。2018年に住み始めた場合、住宅ローン控除が受けられるのは2027年分まで。2019年から2023年まで家族で転勤先で暮らし、2024年に戻ってきた場合、残りの2024年から2027年分まで住宅ローン控除が受けられることになります。

連載一覧

第5回 目先のお得に囚われてはダメ 繰り上げ返済はライフプランを考慮して慎重に
第4回 知らないと損をする マイホーム購入に関連する優遇税制をチェック
第3回 共働き世帯ならではのリスクに注意 ライフステージの変化を予測して借り入れを
第2回 家賃並みの返済額ならOK!は大間違い。無理のない住宅ローンを組むには?
第1回 住宅ローンの金利タイプ選びは慎重に。人気(?)の「変動金利型」には要注意!
前田晃介

前田晃介(監修)

株式会社マネープランナーズ代表取締役。FPのキャリア支援サイト「FPのなかま」運営。不動産賃貸管理業を経て、ファイナンシャルプランナーに転身。独立系FP会社でライフプランニング、資産運用、不動産購入等のコンサルティング業務に従事したのちマネープランナーズを設立。年間100件以上の個別相談を受ける。CFP、1級FP技能士、宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者。

MILIZE

MILIZE(協力)

金融機関向けのソフトウエア開発やコンサルティング業務を手掛けるほか、個人向けの人生シミュレーションプラットフォーム「MILIZE」(https://milize.com/)を提供。給与や生活費のデータを入力すれば、現時点の生活費などの診断に加えて、将来の収支予測なども提示する。

掲載日:2018年12月14日データ出典:株式会社MILIZE取材・文/マネーライター萬真知子