コンテンツマーケティングの運用はペルソナ設定や目標設定を行なった上で、設定したターゲットにリーチできる最適なキーワードを選定することが重要です。
また、コンテンツマーケティングは顧客にとって価値の高いコンテンツを作成することで検索上位に表示されやすくなり集客効果が高まります。ここでは、コンテンツマーケティングの運用方法や成功させるポイントについて詳しく解説します。
コンテンツマーケティングとは
コンテンツマーケティングとは、潜在顧客が求めているニーズに対して価値のあるコンテンツを提供することで顧客育成を行い、最終的に自社の商品やサービス購入を目的としたマーケティング手法です。
また、コンテンツマーケティングでは関連性の高いキーワードの検索結果上位にコンテンツが表示されるためのSEOが重要な施策の一つです。
コンテンツマーケティングの運用で発生する作業
ここではコンテンツマーケティングの運用について、具体的にどのような作業が必要かを詳しく解説します。
コンテンツマーケティングの運用の流れ |
ペルソナ設定 |
カスタマージャーニーの作成 |
目標(KPI)の設定 |
SEOのキーワード、コンテンツ構成案の作成 |
コンテンツ作成 |
コンテンツの公開・配信 |
モニタリング・効果検証 |
ペルソナ設定
ペルソナ設定とは、ターゲットの設定をより詳細な「理想の人物像」に落とし込む作業です。例えば、「男性、30代、IT企業勤務」だけではなく、仮の名前なども設定しターゲットとなる人物がどのような生活を送っているかを具体的にキャラクターとして設定することを言います。では、「男性、30代、IT企業勤務」を仮にペルソナ設定する場合の例を考えてみましょう。
ターゲット設定
男性、30代、IT企業勤務
ペルソナ設定
- 田中太郎 31歳 男性
- 100名程度のIT企業で自社アプリの販促を行なっているマーケター
- マーケティング経験は転職後2年目、前職はアプリの開発エンジニア
- 普段の情報収集は夜のビジネスニュースとニュースアプリ
- 週末は彼女とキャンプすることが趣味、キャンピングカーの購入を検討している
このようにペルソナ設定を行うことで、これから作成するコンテンツを届ける人物像が明確になり、作成する記事の方向性や内容にブレが起きにくくなります。
カスタマージャーニーの作成
コンテンツマーケティングでは最初の接点から購買に至るまでの顧客の態度変容期間が長いことから、顧客の心理状態や行動をモデル化し顧客のステータスに合わせたアプローチをあらかじめ想定して施策を実施することが重要とされています。この顧客の行動をモデル化するものが「カスタマージャーニー」と呼ばれます。
実際にカスタマージャーニーを作成する場合の手順は以下の通りです。
- 購買プロセスのフレームを設定する
- 各プロセスの接点(チャネル)を設定する
- 各プロセスの顧客の思考を想定する
- 各プロセスにおけるアクションを設定する
- アクションごとに提供すべきコンテンツを設定する
カスタマージャーニーの作成で重要なのが、実際の顧客行動に近しいものを作成することです。そのためには、実際に購買した顧客にアンケートなどで購買プロセスをヒアリングするなどの事前準備が重要になってくるでしょう。
また、顧客行動は時間が経つと変化するものです。半年や1年程度を目安にカスタマージャーニーの内容と実際の顧客行動に差異が生まれていないかを見直し、アップデートを行うことも大切です。
目標(KPI)の設定
目標(KPI)の設定はコンテンツマーケティングの施策が成果を上げているかどうかを客観的に判断するために必要な要素です。目標設定が曖昧なまま運用を開始してしまうと、実施した結果が明確に判断できず課題がある場合も課題点がわからないままとなってしまいます。
目標設定の項目は運用するメディアにより異なりますが、主な設定項目としては以下が代表的です。
認知
- 広告やSNS投稿のリーチ/インプレッション数
- SNSアカウントのフォロワー数
- 狙っているキーワードでの検索順位
興味関心
- 広告やメルマガのクリック率
- SNS投稿のエンゲージメント率
- オウンドメディアのセッション/PV数
- オウンドメディアの新規訪問率
比較検討
- サービス資料やホワイトペーパーのダウンロード数
- 事例ページのセッション/PV数
購入
- コンバージョン数
- 問い合わせ数
関係構築
- FAQページのセッション/PV数
- 口コミ数
参考記事:ホワイトペーパーとは?用途や活用事例、作成の流れを解説
SEOのキーワード、コンテンツ構成案の作成
目標設定まで完了したら、コンテンツ制作のために必要となるテーマ選定を行います。自社の商品やサービスに関連性が高く、ユーザーのニーズを満たす検索キーワードを洗い出し、選定していきます。キーワードの洗い出しから、テーマ選定の基準は以下です。
- 自社商品やサービスに関連性の高い単一キーワードを洗い出す
- 単一キーワードに連動する複合キーワードを洗い出す
- 各キーワードの月間検索回数を確認する
- キーワードを取捨選択する
- 重要視するキーワードごとにテーマのグルーピングを行う
キーワードの選定はコンテンツマーケティングにおいて非常に重要なポイントです。選択するキーワードは「自社の強みをアピールできるもの」「競合性が低いもの」「ユーザーの需要が高いもの」を優先的に選びましょう。
また、ユーザーの需要を測る指標としては月間検索ボリュームが1,000以上のものは需要が高いキーワードであると一般的に言われています。
コンテンツ作成
いよいよ選定したキーワードをもとにコンテンツを作成していく段階です。コンテンツ作成で意識したい点は、「Needs Met」と「E-A-T」の2つの概念です。
Needs Met
「Needs Met」とは、コンテンツが「ユーザーの需要に対して適切な質・量の情報を、ユーザーに手間をかけずに提供できるか」という要件を満たしているか否かという指標。
ここには「ユーザー=モバイルユーザー」としている前提があります。つまり、ただ適切な情報を掲載するだけでなく、入力しづらく画面も小さなモバイルユーザーを考慮した体験づくりが必要となるのです。
E-A-T
「専門性」「権威性」「信頼性」の3つを指し、それぞれの英語の頭文字を取って「E-A-T」と呼ばれます。GoogleやYahoo!での検索結果の上位にコンテンツを表示させるためには、Googleのアルゴリズム上で品質の高いコンテンツページだと認識させることが重要です。
この際の評価基準として重要視されているのが先述した「E-A-T」です。よって品質の高いコンテンツと評価されるためには、コンテンツ内に専門家の監修であることを記載したり、信頼性の高い公的機関のデータを引用するなどの工夫が有効とされています。また、記事の構成も評価に影響します。記事を執筆する際は「結論→根拠→詳細」の順にわかりやすい文章を意識しましょう。
コンテンツの公開・配信
コンテンツを作成したら記事を公開もしくはSNSなどに配信していきます。オウンドメディアに記事を公開する場合、以下の要素は必ず取り入れて公開設定を行いましょう。
- タイトルタグ(<title>)に記事のタイトルを設定する
- メタタグでディスクリプション属性(meta name=”description” content=”〇〇 “)を記載する
- 見出しタグ(<h2>など)にキーワードを盛り込む
- 画像タグの属性(<img alt=”〇〇”>)にキーワードを入れる
上記のタグ、タグの属性情報を設定することで検索エンジンが選定したキーワードに関連するコンテンツであることを認識しやすくし、検索の上位表示に寄与する場合があります。
モニタリング・効果検証
公開したコンテンツは定期的にアクセス解析ツールを用いて効果測定をすることが重要です。効果測定を行う際は、あらかじめ設定した目標に対しての達成度や前後のコンテンツとの成果を比較します。
前後の記事との比較では掲載順位や流入数を主軸に、ソーシャルメディアであればフォロー完了数なども指標になるでしょう。
これらの効果測定をもとに、良質なコンテンツはどれかを把握することが大切です。
また、掲載順位が伸び悩んでいるコンテンツは必要な項目や要素が漏れてないかを確認し、リライトを行うことも検討しましょう。
コンテンツマーケティングの効果測定には「Google Analytics(グーグルアナリティクス)」や「Google Search Console(サーチコンソール)」など無料で利用できるツールをあらかじめサイトに導入しておくことをおすすめします。
コンテンツづくりで留意すべきこと
冒頭に述べたように、コンテンツマーケティングでは検索結果上位にコンテンツが表示されるためのSEOが重要な施策の一つとなります。では、何に留意すれば検索結果で上位に上げることができるか。
たとえばGoogleのアルゴリズムの場合、良質なWebコンテンツを検索結果の上位に上げるという、「質重視」の評価が行われます。検索上位を狙う場合には、顧客のニーズを満たす質の高いコンテンツを作成することが近道です。
質の高いコンテンツとはどのようなものか、押さえるべきは、
- 読者が求める内容であること
- 信頼性が高い内容であること
- 専門性と権威性を持つこと
- 適切な分量を持つこと
この4点となります。
以下のリンクではコンテンツの種類について整理しながら、今挙げた4点を解説していますので、参考にしてみてください。
コンテンツの種類とは? コンテンツマーケティングの実例を交えて解説
成功に導く5つのポイント
コンテンツマーケティングでは、継続的な運用と中長期的な目線で効果を測る必要があります。ここでは、コンテンツマーケティングを成功させるために必要な5つのポイントについて解説します。
中長期的な視点で成果を測る
コンテンツマーケティングは顧客がコンテンツに接した時点から購入に至るまでに半年から1年程度の時間がかかるとされているマーケティング手法です。
なぜなら、カスタマージャーニーの作成でもわかるとおり、顧客がコンテンツに接してから自社の商品やサービスを理解し態度変容が起こるまでにはさまざまなステップを経由する必要があるからです。
そのため、コンテンツマーケティングを運用する際は広告などのように短期的な成果ではなく、中長期に及ぶ長い視点を意識して成果を測る根気強さが必要です。
運用体制を社内外に確立する
継続的かつ長期的に運用するために、社内でコンテンツマーケティングを運用する体制を確立することも重要なポイントです。
なぜならコンテンツマーケティングは継続的および長期的に運用することで成果が現れるためです。
作成したコンテンツが増えるほど顧客との接点が増えるため、上位表示や集客に相乗効果をもたらします。また、サイトの方向性を変えずに長い期間運用をすることでドメインの強化にもつながります。
また、獲得したリードをナーチャリングしていくインサイドセールス、クロージングしていくフィールドセールスとの連携も重要です。
十分な予算を確保する
コンテンツマーケティングは細かく分けると非常に多くの作業が発生するため、一部を外部企業に委託するなどの選択肢を取る可能性が高い施策です。
具体的に想定される作業としては、キーワードの選定や記事の作成に加え、コンテンツの内容によっては図表での解説や公的機関や外部資料の事前調査が作業として発生する場合があります。
そのため、外部に委託することも視野に入れた予算の確保は長期的に運用するために必要経費と言えるでしょう。
ロングテールキーワードを意識する
コンテンツSEOの施策において、キーワード選定の際にロングテールキーワードを狙うこともポイントのひとつです。ロングテールキーワードとは、2〜3個の複合キーワードのうち、検索回数が比較的少ないものが該当します。需要が明確化している複合キーワードと考えるといいでしょう。
ロングテールキーワードは検索回数が少ない一方で、ニーズが顕在化している顧客が多い傾向があります。そのため、検索時にこれらの顧客に表示されるよう見出しなどにキーワードを盛り込むことは有効な手段でしょう。
経験者やプロをアサインする
コンテンツマーケティングを初めて実施する場合、キーワードの選定やコンテンツ作成の方向性が効果的なものになっているか判断できる材料がなく難しい場合が多いでしょう。
そのため施策のはじめは経験者や専門知識を持った企業をアサインし、ノウハウを教えてもらうことから始めるのも選択肢のひとつでしょう。
コンテンツマーケティング運用でよくある疑問
Q. 月の公開記事数はどれくらいが適正?
A 運用はじめの半年間はサイトの品質向上も意識し、月に15〜20記事を目安に公開するといいでしょう。
Q. 記事の文字数はどれくらいが一般的?
A 記事ごとに適正文字数は異なります。参考となるのは同様のキーワードで上位に上がっている競合サイトの文字数を確認するといいでしょう。
上位に表示されているサイトはユーザーにとって価値の高い記事であるとGoogleに判断されているため、それらのサイトに近しい文字数であればニーズに応えられる可能性が高まります。
Q. 過去に公開した記事の書き直しや削除は問題ないか?
A 記事を公開してから半年間ほどは記事の品質を評価されている期間であるため、書き直しや削除は避けましょう。
半年が経過しても上位表示されない記事は、内容を見直して不足している項目などを追記したり言い回しの書き直しを行いましょう。また削除も同様に半年間は避け、検索結果が低いものに関しては削除しても問題ないでしょう。
まとめ
コンテンツマーケティングは中長期的な視野で成果を見つつ、継続的かつ長期的にコンテンツを増やしていくことで効果が高まるマーケティング手法です。
本稿を参考にしていただき、質の高いコンテンツを作成することで潜在顧客の集客効果を高めましょう。