SQLとは「Sales Qualified Lead」の略称で、BtoBにおけるマーケティングプロセスのうち、営業担当者によるアプローチが行われる見込み客(リード)を意味します。ここではSQLの概要や定義から、営業ではなくマーケティングプロセスで発生した見込み客であるMQL(Marketing Qualified Lead)との違い、リード獲得の具体的な方法まで詳しく解説します。
目次
クオリファイドリードとは?意味と定義
クオリファイドリードとは、ある定められた条件や基準によって限定された見込み客(リード)を指します。リードのうち特に商品購買意欲が高いものや、企業側からのマーケティングアプローチに対して興味を示していることから、サービスや商品購入のアクションを起こす可能性を最も見込める存在であるといえます。
マーケティングプロセスにおいて、的確なクオリファイドリードの絞り込みは重要です。
このようなクオリファイドリードの選別を、リードクオリフィケーションといいます。リードクオリフィケーションの精度が高いほど、営業コストの削減や成約率の向上が期待できます。
クオリファイドリードには、大きく分けてMQLとSQLの2種類があり、MQLとSQLでは獲得方法や基準が異なります。詳しくは次の項目で説明します。
参考記事:リードクオリフィケーションとは?重要性とリード獲得手法、導入のポイントをわかりやすく解説
参考記事:リードデータベースの品質(リード情報)を上げてリード獲得の精度を高めるには?
MQLとSQLの違いとリードの種類
MQLとSQLの主な違いは、リードの購買意欲の大きさと、管理する部門にあります。ここからは、MQLとSQLの具体的な違いについて、ファネルの考え方にも触れながら詳しく解説します。
ファネルとは
マーケティングでは、商品やサービスの認知から購買までのプロセスを段階ごとに分類したものを、ファネルと呼びます。基本的な構造となるファネルは「認知」「興味・関心」「比較・検討」「商談」の4段階からなり、以下の図のように表されます。
基本的にファネルでは商材の購買の段階に近づくほど、リードの数が減っていきます。MQLは、このうちの興味・関心~比較・検討に分類され、SQLは比較・検討~商談に分類されるリードです。
このことから、クオリファイドリードの中でもSQLは購買意欲が高く、購入に結び付きやすいリードであることがわかります。成約率を上げるためにはSQLの獲得が重要で、さらにはその前段階であるMQLの獲得をはじめとしたプロセスが不可欠となります。SQLまでたどり着くリードが少ない場合には、ファネルのどの段階でリードが減っていて、どのような問題があるのかを分析することが成約率の向上につながります。
リードを見込み度合い別に分類しファネルの中に落とし込むことによって、リードがどの程度製品やサービスに興味があるのか、そして対応方法も正確に把握できます。
MQL:Marketing Qualified Leadとは
MQLとは、クオリファイドリードのうち、マーケティング部門が活動の中で創出したリードを指します。MQLは、商材に興味を持っており少しの営業努力で購買につながる可能性の高いリードです。マーケティングの段階で多くのMQLを獲得できれば、その後の営業活動の効率化や売上の向上につながります。
MQLの創出には、オウンドメディアやホワイトペーパーなどによってリードを獲得した後、メールやセミナーの開催によってリードの購買意欲を高める必要があります。
獲得したリードに対して継続的なアプローチを行い、成約率の高いホットリードに育てる工程はリードナーチャリングと呼ばれます。
マーケティングによるMQLの獲得後、実際の商談につなげるためには適切なタイミングで営業部門にMQLを引き継がなければなりません。
MQLの基準は、企業規模や商材によっても様々です。自社サイトを訪れた段階でMQLと見なす場合もあれば、セミナーへの参加をMQLの条件とする場合もあります。そのため、MQLの基準に関しては、事前に社内で認識をそろえておく必要があるでしょう。
また、最近では営業に引き継ぐ前のリードナーチャリングやリードクオリフィケーションは、マーケティング部門だけでなく、インサイドセールスが担当するケースもあります。
参考記事:ホワイトペーパーとは?書き方や活用事例、作成の流れを解説
参考記事:リードナーチャリングとは?基礎知識、リード獲得手法から営業プロセスまで図解でわかりやすく解説
参考記事:インサイドセールスとは?役割やメリット、効率的な体制・目標設計・向いている人材から事例までわかりやすく解説
SQL:Sales Qualified Leadとは
SQLとは、クオリファイドリードのうち、営業部門がその活動において獲得したリードです。
SQLの前段階として、さらにSGL(Sales Generated Lead:営業が生み出したリード)とSAL(Sales Accepted Lead:営業が承認したリード)があります。
SGLとSALの違いは獲得方法で、SGLは交流会・セミナーでの名刺交換やコンペティションへの参加などによって、営業担当が自ら相手先と関係を構築して獲得したリードを指します。SALは、一定の基準を満たし購買意欲が高いリードとしてマーケティング部門から営業部門に引き継がれたリードです。そのうちの商談に発展したリード、または比較検討段階に入ったリードがSQLとなるのです。
SQLは求めているものや要望が明確で購買につながりやすく、MQLよりも受注発生までの期間が短い傾向があります。各種リードの違いは、以下の記事にまとめられていますので参考にしてください。
参考記事:リード管理とは?基礎知識とやりかた、管理ツールに必要な機能や導入ポイントを徹底解説
MQLとSQL、どちらが重要?
MQLとSQLを比較すると、SQLの方がより購買意欲が高い傾向にあるため、少ない労力で購買につながる可能性があります。営業活動に活用するのであれば、SQLの方が重要に思える方も多くいるでしょう。
しかし、SQLは顧客の目的が明確なことから提案営業がしにくく、顧客単価の向上があまり見込めないというデメリットもあります。
また、これまでBtoBにおいては営業担当によるアプローチにより顧客が商材への理解を深めた上で購買に至るのが一般的でした。しかし、インターネットの普及によりユーザーが自分自身で情報収集できる手段が増えました。例えば、WebサイトやLPなどのネットワーク上の情報を頼りに、営業を通さずに顧客側がいきなり問い合わせや見積もりの連絡をしてくることもあります。この場合、SQLのフォローのみに注力していると自社の商品やサービスに興味を示しているリードを逃してしまいます。
このリスクを回避するために、SQLだけでなくMQLのフォローと育成を平行して行う必要があります。マーケティング部門でMQLを多く獲得し、購買意欲が高まったタイミングを見計らって営業担当が提案営業を行うという流れが、より多くの顧客獲得と売上の向上につながります。
効果的な営業活動を行うためにも、マーケティング部門と営業部門が連携しなければなりません。双方が効率的に運営するためにはいくつかの課題があります。
まず、マーケティング部門における課題として「自社の売上に寄与するリードの特徴がつかめていない」「営業部門への引き渡し方がわからない」などが挙げられます。これらの課題を抱えていると、購買意欲の高いリードを厳選できず、営業コストがかさんでしまいます。
また、営業側がどのような情報を求めているのかがわからない状態では、MQLの情報を適切に引き継ぐことができません。とはいえ、営業部門側でも「MQLをマーケティング部門から引き継いで育成するノウハウがない」「マーケティング活動で得たリードの情報が入っていない」といった点が懸念として挙げられます。前述のように、MQLはSQLと比較して実際の購入や成約までのリードタイムが長く、営業部門ではMQLよりもすぐに結果の出やすいSQLに注力してしまう傾向にあります。しかし、SQLに注力しすぎるとMQLを引き継がれても顧客のニーズに沿ったアプローチが行えずに交渉が長引いてしまい、成約に至らないという悪循環が生まれやすくなるのです。
これらの課題を解決するためには、マーケティングと営業の部門間における、リードの情報共有と認識統一がカギとなります。具体的な運用方法を、次の項目にて解説します。
MQLとSQLの連携・運用方法
ここからは、マーケティングと営業の双方の部門間における連携方法と、MQLとSQLそれぞれの運用方法を詳しく解説します。
ターゲットの策定
まずは、マーケティング部門と営業部門でのリード獲得に向けたターゲットを定義づけて、情報共有を行います。双方でリードナーチャリングの方向性を定めていない状態だとMQLをゴールの段階までスムーズに進められません。獲得したいターゲットを明確にすることで、次に解説するスコアリングを含めたSQLへの基準設定もスムーズに行えます。
スコアリングの設計
マーケティング部門から営業部門へリードを引き渡す際に重要となるのが、SQLの基準を明確にすることです。基準を決める際には、客観的に判断できるようリードの行動ごとにあらかじめ点数を定めておくと良いでしょう。
たとえば、リンクのクリックやセミナーへの参加などリードの行動一つひとつをスコア化すれば、各リードの立ち位置が明確となり顧客へのアプローチや部署間での引き継ぎを行う際の指標が可視化されます。このようにリードの行動をスコアリングすることで社内での基準が統一されれば、マーケティング部門と営業部門のすれ違いによる売り逃しを防げます。
PDCAを回して改善
リードの設定値を明確にする以外に、部門間のスムーズな連携も忘れてはいけません。各部門が日常の活動から得たインサイトを活かし、協力しながらお互いにPDCAサイクルを円滑に回せるような環境を整えることも重要です。
たとえば、営業部門がマーケティング部門に営業結果や顧客分析結果を共有すれば、マーケティング部門はターゲティングの精度の向上や効率的リードナーチャリングが実施できます。そうすれば良質なMQLが増え、営業の効率化にもつながるでしょう。
MA/SFA/CRMの導入
リードを効率的に獲得するためには、以下に代表されるツールやソフトウェアを活用しましょう。これらのツールを導入することで、部門間の連携や情報共有がスムーズにできます。
MA(マーケティング活動自動化ツール)
MAは新規顧客の獲得や、リードナーチャリングをサポートするためのツールやソフトウェアを指します。見込み客リストの一元管理や顧客抽出、顧客への継続的なアプローチ支援などに活用できます。
具体的には、スコアリング機能や顧客分析機能、メール自動送信機能などが搭載されています。MAを活用すれば、リード情報の収集と分析、そして作業の自動化による業務の効率化が狙えます。
参考記事:マーケティングオートメーション(MA)ツールでリード獲得とリードナーチャリングを実現する方法
SFA(営業活動支援ツール)
SFAは、営業が商談を開始してから受注に至るまでの進捗状況を可視化し、その活動の管理ができるツールです。営業の業務範囲は多岐にわたりますが、定型業務に値する内容も少なくありません。SFAは顧客管理やプロセス管理、定型業務などの効率化をサポートし、よりコア業務に集中できる環境を整えるのに役立ちます。
また、従来の営業活動は個人で行うことが一般的でしたが、SFAを活用すれば営業活動を一元管理できるため、情報の共有がスムーズになり、チームでの営業活動が容易になる点もメリットです。さらに、売上の良い営業のノウハウを共有・蓄積できるため、属人化を防ぎ営業担当が変わってもスムーズな営業活動が可能となります。
CRM(顧客情報におけるデータベース管理用ツール)
企業の規模が大きくなるほど、手動での顧客管理は労力が必要です。CRMは、膨大な顧客のデータベースや問い合わせ管理、メール配信業務などを含めた顧客管理業務をサポートするツールです。
CRMの主な機能は、顧客管理機能やメール配信などの営業支援機能、分析・レポート機能などです。これらの機能を上手く活用すれば、部門を超えて顧客情報を管理できます。
参考記事:MA(マーケティングオートメーション)ツールとSFA・CRMの連携をどう進めるか?
クオリファイドリードの創出はリード獲得から始まる
今回は、クオリファイドリードとはなにか、SQLやMQLなど細分化されたリードの具体的な内容やその指標、運用方法について解説しました。
購買につながる可能性の高いSQLやMQLを増やすためには、セミナーやメルマガを活用し、効果のあるリードナーチャリングを実施することが重要です。また、最近ではインターネットなどを活用し顧客自らが能動的に情報収集を行うケースも増えています。商材に高い興味を持ったリードを獲得するためには、オウンドメディアやホワイトペーパーの活用も効果的です。さらに、MAツールをはじめとしたツールと連携させればより効率的にリードを獲得できます。
また、デジタルマーケティングを成功させるために様々なノウハウや細かな分析が必要です。しかし、デジタルマーケティングの成果が出るまでには手間や時間がかかるケースも多く、コストをかけて導入しても運用につまずいてしまう企業もあります。デジタルマーケティングの導入や運用、効果的なリード獲得を狙うなら、代行委託を利用するという方法もあります。
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