ホワイトペーパーは読者にとって有益な情報を提供するWeb上の資料を指し、ターゲット層のリード情報や顧客育成、満足度の向上などさまざまな効果を発揮します。
今回はホワイトペーパーを実際に制作し、利用している企業の事例を紹介します。 ホワイトペーパー制作時に押さえておきたいポイントである課題やターゲット設定、文章構成なども解説しているため、ぜひ最後まで見てみてください。
目次
ホワイトペーパーとは
ホワイトペーパーとは、読者が抱えている課題解決のために有益な情報を提供する資料です。 元々は政府が議会に提出する文書や白書を指していましたが、現在では顧客の悩みや問題に対しソリューションを伝える資料としての意味で使われ、「お役立ち資料」や「eBook」と呼ばれることもあります。
多くのホワイトペーパーは紙媒体ではなく、PDFなどの電子形式で配布され、企業の担当者が資料を入手する場合、会社情報や担当者氏名、メールアドレスなどの情報の入力と引き換えにWebからダウンロードを行います。
問い合わせて回答をもらう段階ではない顧客の潜在的な悩みに対し、解決策を提示できる効果的なツールと言えるでしょう。
ホワイトペーパーの効果3つ
ホワイトペーパーの効果として以下の3つがあります。
- ターゲット層のリード情報が得られる
- リードの育成が図れる
- 顧客満足度が高まる
前述の通り多くの場合、ホワイトペーパーをダウンロードする際に会社名や氏名、メールアドレスの入力が必要です。 これによりどんなターゲット層が課題の解決を求めているのか分析できます。
また、ホワイトペーパーは細かいコンテンツに分けて制作するため、潜在顧客や見込み顧客が抱える課題やニーズを解決するような有益な情報を提供できます。さらに、これらの情報は、リードジェネレーションからインサイドセールスが行うリードナーチャリングにも役立つでしょう。
営業資料との違い
ホワイトペーパーが顧客の課題を解決するための情報の一環として自社のサービスを紹介しているのに対し、営業資料は自社ソリューションの導入メリットやサービスの概要、機能、料金などの直接的な情報を取り上げた資料です。 そのため具体的な商談の場に用いたり、すでに問題解決のために比較検討を始めている段階で役立ちます。
ただし、営業資料は課題解決のための情報や顧客満足度の向上、潜在ニーズの発掘に応えることはできないため、ホワイトペーパーを補完資料とするなどうまく使い分ける必要があるでしょう。
ホワイトペーパーのテーマや種類と一言に言っても、取り扱うテーマや文章の構成にはいくつかのバリエーションが存在します。
続けて、ホワイトペーパーの内容としてよく取り上げられるテーマや文章の構成種類にはどんなものがあるかを紹介します。
ホワイトペーパーでよく取り扱われるテーマ
リードを獲得するために有効なホワイトペーパーを制作する際、よく取り上げられるコンテンツのテーマをいくつか紹介します。取り上げるテーマに制限はなく、基本的にはどんなコンテンツでも問題ありませんがターゲットとなるユーザーや見込み顧客にとって価値のある情報にしなければなりません。
業界の動向に関するレポート
自社製品やサービスに関わる業界の動向やトレンド、さらには官公庁が発行する白書などを分かりやすく解説し、まとめたものです。中には自社独自に行なったアンケートの調査結果などを記載する場合もあります。
法律の規制などによって業界動向が左右され、業績に影響が出るような業界にとって、このような情報は他社にとっても非常に有効なものとなり、経営判断の指標となります。
手順リストやアイディアリスト
手順リストは、自社製品などを利用する場合の手続きや手順、ノウハウなどを段階的に分かりやすくリスト化したものです。
マニュアルを別途用意している企業もありますが、製品を使用したことがない人にとっては情報が断片的である場合や過不足がありわかりにくいこともあります。そのような情報を分かりやすくリスト化してホワイトペーパーとして提供することで、価値ある情報となります。
アイディアリストは、商品やサービスの導入・成功事例をもとに、活用アイディアをまとめたもので。自社商品をまだよく知らない潜在顧客や見込み顧客にとって、活用や応用事例があれば実際に商品を利用するイメージもつかみやすく、価値のある情報となるでしょう。
成功事例集
ホワイトペーパー制作でこの成功事例を取り扱うのは、ターゲットであるユーザーや見込み顧客が、自社商品の価値をある程度理している状態であるケースに有効です。購入に迷っている見込み顧客に、購入を後押しする効果があります。
実際に自社商品を利用した企業の成功事例や、他社の類似商品の活用事例などを紹介し、自社商品であればさらに良い結果が望めることをイメージできるような内容にまとめます。
ホワイトペーパーの構成は4つの型から考える
ホワイトペーパーの構成の種類としては、以下の4つがあります。
- 課題解決型
- 解決事例紹介型
- レポート紹介型
- その他
ホワイトペーパーの種類として一番多いのは、課題解決型です。 課題解決型は顧客の課題を取り上げたうえで解決策を提示し、自社のソリューションを提示するもので、多くの企業がこの種類のホワイトペーパーを作成しています。
また、課題解決型と併せてダウンロードされやすいのが、解決事例紹介型です。 解決事例紹介型は実際に自社のソリューションを活用した課題解決事例が紹介されたもので、課題解決の手段を検討する際の参考となります。
レポート紹介型は政府などの関連団体や業界団体が公式に発行している調査レポートや業界動向を要約し紹介したものです。 独自のアンケートや調査結果などが利用される場合もあり、顧客にとって有益な情報をわかりやすく伝えられます。
さらにその他の種類として挙げられるのは、セミナーや展示報告、業界の解説や用語集などです。 近年はコロナ禍でセミナーや展示が難しい状況に陥っていますが、自社の企業理念を伝えたり、企業活動の状況を載せたりすることによって企業のPRにも繋がります。
多くの企業が変革を迫られる中、業界解説や用語集は情報のインプットに役立つ資料となるでしょう。
BtoB向け営業資料とホワイトペーパーのサンプル
当サイトでも営業資料とホワイトペーパーをお配りしています。ホワイトペーパーはノウハウをまとめた資料と、調査データをまとめた資料の2種類を配信しています。以下リンクより、ダウンロードいただけます。
営業資料
ノウハウ型ホワイトペーパー
調査レポート型ホワイトペーパー
ホワイトペーパーの事例を4つ紹介
実際にホワイトペーパーの事例として、以下の4つを紹介します。
- 日本ナショナルインスツルメンツ株式会社
- 株式会社マックスプロデュース
- ダイセル・エボニック株式会社
- 神東塗料株式会社
順番に見ていきましょう。
事例1 日本ナショナルインスツルメンツ株式会社
日本ナショナルインスツルメンツ株式会社は、コンピューター関連事業やソフトウェア・ハードウェア販売を行う企業です。 ホワイトペーパーとして製品のマニュアルや認定資格のトレーニング資料・業界動向をまとめた資料を配付しています。
注目すべき点は一般公開されていないユーザー事例集があることです。自社の状況に近い事例を見た読者は課題解決の流れを自社のケースに置き換えやすく、解決手段の検討がしやすくなるでしょう。
参考:クラウドサーカス株式会社「ホワイトペーパーの事例まとめてみました<BtoB企業ver.>
事例2 株式会社マックスプロデュース
株式会社マックスプロデュースは、社員総会や株主総会、運動会、その他イベントの企画から実施・運用などプロデュースを行っている企業です。
特定の製品ではなくサービスを提供するため、具体的なイメージがしづらい課題に対し、総会などのレイアウトサンプルや展示会のレイアウト、費用例などの解決策をホワイトペーパーに落とし込んで配布しています。 具体例を見ることで、読者は自社の課題や解決策の具体的なイメージを持つことができるでしょう。
参考:株式会社マックスプロデュース「ホワイトペーパーの事例まとめてみました<BtoB企業ver.>」
事例3 ダイセル・エボニック株式会社
ダイセル・エボニック株式会社は高品質な機能性樹脂の開発及び販売をおこなっている企業です。 新規開拓が進まない課題に直面し、解決するためにデジタルマーケティングを取り入れました。
デジタルマーケティングを商品の特徴や使い勝手を売り込むためではなく、商品やブランドコンセプト、イメージなどの抽象的な印象を浸透させて共感を呼び起こすものと位置づけ、その手法としてホワイトペーパーが活用されています。 問題解決のための手法や解決法は、多くの読者の悩みに応えるものとなるでしょう。
参考:シンフォニーマーケティング株式会社「マーケティング導入事例【ダイセル・エボニック株式会社 様】」
事例4 神東塗料株式会社
神東塗料株式会社は水系塗料を中心に無溶剤塗料や粉体塗料などの製造及び販売をおこなう老舗総合塗料メーカーです。 ひと言で塗料といっても工業用・建築用などさまざまな目的に合わせて数多くの塗料を扱っているため、環境への取り組みや安全報告と共に、事業説明などを紹介したホワイトペーパーを発行しています。
ホームページでも製品や事例を細かく紹介しているため、併せて読むことで読者の関心を高め、問題の解決へと導いていけるでしょう。
参考:シンフォニーマーケティング株式会社「マーケティング研修導入事例【神東塗料株式会社 様】」
ホワイトペーパー制作時のポイント2つ
ホワイトペーパーの制作時は、以下の2点のポイントがあります。
- 課題・ターゲットの設定
- 文章の基本構成
上記に重点をおくことで顧客の悩みに訴求し解決できる、よりよいホワイトペーパーとなるでしょう。
課題・ターゲット設定
ホワイトペーパーを制作するにあたり、課題とターゲットの明確な設定は特に重要なポイントです。 ターゲットを定めず、曖昧な課題に向けて作られたホワイトペーパーは、顧客に響きません。 ターゲットが解決したい悩みを深く掘り下げ、明確で具体的な課題を提示することで、読者の共感と危機感を煽ることができます。 最後に解決策と自社ソリューションを紹介することでホワイトペーパーのメリットである顧客満足度を高め、顧客との関係性が築きやすくなるでしょう。
文章の基本構成
ホワイトペーパーの文章の基本構成は、導入・問題提起のあと解決策を提示し、製品情報・結論ですが、ポイントとしては結論を先に提示することです。 結論を先に示すことにより、ダウンロードしたもののしっかり読み込む時間のない人でも解決策が伝わりやすくなります。
また、長い文章や難しい専門用語は避けることが無難です。 企業の担当者であっても知識の少ない人である場合を考慮し、あくまで初心者でも理解できるような平易な言葉を選びましょう。
加えて、信頼性の向上のため、適宜政府機関や調査会社などの客観的な情報を取り入れ、必要であれば図や表を使うことも大切です。 一目見てわかりやすい文章構成を考えることが、顧客のためになるホワイトペーパーの基本構成です。
参考記事:ホワイトペーパーの制作費はどのくらい?制作の流れやポイント紹介
ホワイトペーパーのおすすめ配信方法は2つ
ホワイトペーパーを制作後、ターゲットとなる潜在顧客や見込み顧客の目にとまるようにするためには、どんな方法があるでしょうか。配信方法の例を紹介します。
ダウンロードサイト
ホワイトペーパーを制作したら、自社サイトで情報が見られるようにすることはもちろん、ダウンロードサイトを利用するという方法もあります。ダウンロードサイトは、ホワイトペーパーや企業が行う事業資料などを多数掲載している外部のプラットフォームサイトです。
自社サイトのSEOが弱く検索結果に露出が高くないケースには利用しやすく、通常のマーケティングなどでは接点がない業界の見込み客を獲得できる可能性も期待できます。料金は、リード件数に応じて発生するものが多いため、それぞれのサイトで金額を確認してみてください。
リスティング広告
検索と連動したリスティング広告の活用も有効です。ユーザーが閲覧しているページに広告を表示させ、自社サイトなどに誘導してホワイトペーパーのダウンロードを促します。リスティング広告でのリード1件あたりの単価はその時によって変動しますが、数千~数万円程度かかるものもあります。
ホワイトペーパーをダウンロードした人を分析できるツールを活用する
ホワイトペーパーを制作し配信した後、ただ連絡を待っているだけでは効率的なマーケティング活動を行うことはできません。ホワイトペーパーがどんな企業や人にダウンロードされたか、ダウンロード前後にはどのページが見られていたかなどを分析した上でナーチャリング等の行動に移す必要があります。 近年では、ホワイトペーパーをダウンロードしたユーザーを分析するためのツールとして「MAツール」があります。
具体的には、MAツールで制作した入力フォームを設置することで、ホワイトペーパーをダウンロードする際に入力された企業や個人情報を自動的にシステムに蓄積させるというものです。 蓄積したデータは条件を指定して抽出できるため、条件にあった潜在顧客や見込み顧客経向けて効率的にアプローチができます。
事例から自社に応用して有益なホワイトペーパーを
今回はホワイトペーパーとはなにか、効果や種類など基本的な部分から実際に使っている4つの事例、制作時のポイントを紹介しました。 ホワイトペーパーはWeb上で配布する際に個人情報の入力が必要となりますが、問い合わせほどハードルが高くないため、気軽にダウンロードできるものです。
顧客にとっても満足でき、企業にとってもリード情報の獲得やナーチャリングに繋がるため、多くの企業で採用されています。 制作時の課題やターゲット設定、文章の基本構成など重要なポイントをしっかりと押さえ、有益なホワイトペーパーを制作し、活用していきましょう。