千葉県南部、房総半島の安房地方西部に位置する南房総市は、農業や漁業といった一次産業と観光産業を中心とした自然豊かな地域で、市民、企業、教育機関、行政が力を集結し、創造力を持って市民が主役のまちづくりを進めています。

千葉県南房総市に 14 ある公立小中学校の 1 つである、南房総市立和田小学校

南房総市では、全小中学校への無線 LAN 環境や電子黒板の整備教材の充実といった ICT 教育の環境整備も推し進めてきました。さらに 2016 年からは、校務用途と教務用途の両立を実現する Surface Book を教員へ配付することで、教員のタブレット デバイス活用を開始しました。南房総市は今後、この Surface Book を活用することで、授業のインタラクティブ性をこれまで以上に高めていきます。

プロファイル

房総半島の南端に位置し、海と山に囲まれた豊かな自然をもつ千葉県南房総市。同市は、安房郡富浦町、富山町、三芳村、白浜町、千倉町、丸山町、和田町の 6 町 1 村が合併して平成 18 年 3 月に発足しました。「ひと・ゆめ・みらい 地域で創る魅力の郷 南房総」を市の将来像として掲げ、「地域力の発揮」「やすらぎの実現」「協働と参画」を基本理念にまちづくりを進めています。

導入の背景とねらい
授業のインタラクティブ性の向上、それに伴う教員と児童生徒の触れ合いを増やすべく、タブレット デバイスの導入を検討

南房総市は前述のとおり、市民や企業、教育機関、そして行政が力を集結することで、創造力を持った「市民が主役のまちづくり」を進めています。こと、教育機関においては、南房総学と呼ばれる第一次産業の体験授業を取り入れるなど、ユニークな教育を実践しています。

市内の 14 ある公立小中学校の教育を補助する南房総市教育委員会では、こうした「市の地域性を生かした教育」の推進と並行し、近年有効性が強調される ICT 教育の環境整備を推し進めています。

具体的な取り組みとしては、2013 年に全小中学校で無線 LAN 環境を構築。2015 年には、1 つの学校に少なくとも 1 台の電子黒板が備わるよう整備を行っています。

このように ICT 教育の環境整備を進める南房総市教育委員会ですが、もともと ICT 教育の導入に積極的であったわけではありません。

南房総市教育委員会 教育総務課 江野口 隆満 氏は、「南房総市教育委員会では、教員と生徒の触れ合いを、教育における重要事項と位置づけています。その機会を増やすべく、(校務や教務で) 多忙な教員の負担を減らす支援を行ってきました。先進的な学校は 2010 年くらいから ICT 教育の導入を進めていましたが、電子教材の作成には、どうしても教員側へ負担がかかります。先のとおり、当委員会では教員の負担を可能な限り排除したいという考えがあったため、南房総市ではそれまで、ICT 教育に大きくは注力してきませんでした」と当時を振り返ります。

そんな南房総市教育委員会が ICT 教育の環境整備を推進するに至った背景について、江野口 氏は次のように説明します。

南房総市教育委員会
教育総務課
江野口 隆満 氏

「近年、行政機関やベンダーの支援によって電子教材が充実してきています。また電子黒板の使い勝手も向上しています。ICT 教育の有効性は理解していましたので、教員側の負担なく ICT 教育が実践できるフェーズに至ったことを受け、環境整備を進めました」(江野口 氏)。

ICT 教育が実践フェーズへ移ったことにより、「教員へのタブレット デバイス配付の必要性、有効性も高まってきた」と江野口 氏は語ります。その言葉の背景には、教員が自身で所有しているデバイスを積極的に教務活用していたことがありました。

南房総市の教員は、これまでも、撮影写真を活用した振り返り学習といった形で、デジタル カメラやスマート フォンを授業内で活用しており、一定の効果を上げてきました。しかし、これら機器は、授業で使うには画面サイズが小さいなど利便性に問題がありました。加えて個人デバイスを教務活用するため、セキュリティの観点でもリスクが残ります。

このような問題を解決すべく、南房総市教育委員会はタブレット デバイスの導入を検討。同市では 2015 年度までに実施した ICT 環境の整備で、既に市内の小中学校へ無線 LAN と電子黒板が整備されていました。タブレット デバイスの導入は、先の問題をクリアすると同時に、机上巡視で生徒のノートを撮影し、生徒の考え方をその場で他生徒へ共有する、電子黒板で一斉共有するなど、授業のインタラクティブ性の向上も期待できたのです。

システム概要と導入の経緯
校務用 PC のリプレースを機に、校務用途と教務用途の両立を実現する Surface Book の採用を決定

授業のインタラクティブ性の向上は、教員と生徒間の接点増加と密接にかかわるため、タブレット デバイスの導入には大きな意義がありました。しかし、当然そこには投資が必要となります。既存製品からのリプレースではない「新たな投資」を行ううえでは費用対効果の提示が不可欠ですが、その見える化は難しく、タブレット デバイス単体での導入は困難でした。

このような状況の中、南房総市教育委員会は、2016 年下旬に控えた校務用ノート PC のリプレースに伴う、教務用途を兼ねた 2 in 1 タブレット デバイスの導入を計画します。同計画の意図について、江野口 氏は次のように説明します。

「既存 ICT 資産である校務用ノート PC のリプレースは、必要経費として予算化することができます。そこで 2 in 1 のデバイスを採用すれば、タブレット デバイスの用途を兼ねた PC の導入が実現できると考えました。また、タブレット デバイスは教務において有効に機能する一方、先行事例から、『教員によって活用頻度の差が大きいデバイス』だという印象ももっていました。校務用途を兼ねる 2 in 1 タブレット デバイスを採用すれば、教員は普段の校務上でタブレット用途に慣れることができますので、先の差を埋めるという意味でも有効でした」(江野口 氏)。

しかし、これら利点を生み出すためのデバイスには、各用途で高いレベルの作業性、操作性が必要となります。南房総市教育委員会は 2015 年秋口より機種の選定を開始しましたが、江野口 氏は、「予算申請の期限となる 2015 年末の段階では、このレベルに達する 2 in 1 タブレット デバイスが存在しませんでした」と当時を振り返ります。

そのため、南房総市教育委員会は、2 in 1 タブレット デバイス の導入をいったん断念。2015 年末の段階では従来どおりのラップトップ型ノート PC を機種に選定し、リプレースへ向けた予算を申請しました。しかし、翌年 2 月に発売が決定した Surface Book の登場により、状況は変わります。再度、タブレット デバイスの導入へ向けて動き出したのです。

江野口 氏は、2016 年 2 月に提供を開始した Surface Book の魅力について、次のように説明します。

NECフィールディング株式会社
東関東支社
営業部
千葉営業課
久保田 晋介 氏

「Surface Book は、性能、画面サイズといった校務に求められる要件と、携行性やタッチ操作など教務に必要な要件それぞれを高いレベルで備えており、2 in 1 タブレット デバイスの中では群を抜いて優れた製品でした。また、学校のシステムは基本的に Windows ベースで設計していますが、Surface Book であれば校務、教務それぞれで利用するアプリケーションすべてが利用できます。さらに、Windows 10 は、キーボードの着脱によって自動的にタブレット モードとキーボード モードを切換える機能を備えていますので、校務と教務のシームレスな切り替えが可能です。非常に魅力的なデバイスだと感じ、導入へ向け動きだしました」(江野口 氏)。

校務用途と教務用途の両立を実現する Surface Book ですが、同デバイスは校内のあらゆる場所、シーンで活用することとなります。当然、そこには紛失や他者による操作といったリスクが推測され、セキュアな環境が必要となります。

南房総市教育委員会の ICT 環境整備を長年支援し、今回のプロジェクトでも Surface Book の調達やシステム構築を担当した、NECフィールディング株式会社 東関東支社 営業部 千葉営業課 久保田 晋介 氏は、校務用と教務用のネットワークの切り分けを行うことで、このセキュリティを担保していると説明します。

「南房総市の学内ネットワークは、校務用と教務用とでネットワークを切り分けており、『Fogos PRO FS』というソフトウェアでセキュア クライアント化したデバイスでのみ校務用ネットワークへアクセスできるしくみを採っています。認証キーをもつ USB メモリを PC に接続しなければ校務用のネットワークへ入ることができませんが、校内の無線 LAN 環境下であれば、USB メモリを挿すことで、どこにいても教務から校務へ移ることが可能です。このことから、同環境においては、携行性をもった校務用 PC の採用意義が高いといえました。Surface Book の導入は、既存のネットワーク環境を最大限に活かせる取り組みだったのです」(久保田 氏)。

2016 年 6 月に、南房総市教育委員会は Surface Book の導入を決定。Windows 10 と既存業務アプリケーションとの互換性検証やデバイス調達、キッティングを経て、同年 11 月より、Surface Book の運用を開始しています。

導入製品とサービス

  • Surface Book

  • ワイヤレス ディスプレイ アダプター

導入メリット

  • 校務用途と教務用途の両立を実現する Surface Book を導入したことで、コスト対効果を最大化したうえで、教育シーンにおけるタブレット デバイス活用が開始できた

  • Surface Book の活用によって、授業のインタラクティブ性の向上と、南房総市が重視する教員と生徒の触れ合いの増加が実現できた

  • ワイヤレス ディスプレイ アダプターと Surface Book の組み合わせにより、タブレット デバイスの活用を手軽に実践できる環境が整備できた

導入の効果
高い信頼性をもつ Surface Book を採用することで、タブレット デバイスの教務活用を実現

2015 年末の段階で予算が既に確定していたことから、2016 年のリプレースでは、全教員のデバイスを Surface Book へ変更するまでには至っていません。ですが、保守契約なしでデバイスを調達することで、各学校、1 学年 に 1 台の割合で、Surface Book を導入することができています。

江野口 氏は、Surface Book のもつ製品としての高い信頼性があったからこそ、教務でのタブレット デバイス活用が開始できたと評価します。

「(保守契約を行わなかった) 背景として、予算的な制限はもちろんあります。ただ、それだけでなく、教員の責任範囲を明確にする、つまり配付デバイスであっても教員自身でしっかり管理する意識を醸成したかったことも、保守契約を外した理由でした。デバイスが故障しては校務と教務が滞ってしまうため、この決断には当然、デバイス側への高い信頼性が求められます。高い信頼性をもつ Surface Book だからこそ、当初計画した予算内でのタブレット デバイス活用が実現できたと考えています」(江野口 氏)。

また、南房総市教育委員会では今回、Surface Book と並行し、ワイヤレス ディスプレイ アダプターも導入しています。同製品は、デジタル テレビなどの HDMI 端子へ接続するだけで、有線接続なしに遠隔にあるデバイス画面の複製投影が可能です。これにより、Surface Book が今後、教育場面に当然のように存在するツールとして活用されることを、江野口 氏は期待しています。

「既に各学校へ電子黒板を設置していますが、現状それはまだ各校 1 台~数台という規模です。テレビやプロジェクターを設置している教室であれば、Surface Book とワイヤレス ディスプレイ アダプターを組み合わせることで、電子黒板に近いインタラクティブ性をもった授業ができるようになりました。デバイスの発展的な活用を手軽に実践できる環境が整備できたといえるでしょう。今後、ふでばこのように『教育場面に当然存在するツール』として、Surface Book が利用されるようになっていくことを期待しています。また、南房総市は特別支援教育へも注力していますが、そこで児童生徒の集中力を維持させる意味でも、この組み合わせは有効だと考えています」(江野口 氏)。

教員へ配布した Surface Book は、授業では主にタブレット型で (左)、校務ではノート PC 型で利用されている (右)。認証キーをもつ USB メモリによって、業務によってネットワークの切り替えが可能

今後の展望
PC 教室に常設するノート PC へも、2 in 1 タブレット デバイスの採用を検討。そこへ向け、よりいっそうのセキュリティ強化を構想

Surface Book を導入したことで、教員の自発的なタブレット デバイス活用と、それに伴う教育効果のさらなる向上を見通している、南房総市教育委員会。南房総市教育委員会は、2018 年以降に控えている、(各学校の) PC 教室に常設する PC リプレースについても、2 in 1 タブレット デバイスの採用を検討しています。今後、教員に配布した Surface Book や、PC 教室への配備を計画する 2 in 1 タブレット デバイスが、あらゆる教育シーンで活用されることが期待されます。

そこへ向け、江野口 氏は、さらなるセキュリティ面の強化を行っていくと語ります。

「既にネットワーク面や認証基盤などはセキュリティ対策を実施していますが、今後さらに強固なものにしていく予定です。現在、認証キーをもつ USB メモリ を利用してネットワーク セキュリティを担保していますが、たとえば Surface Book が搭載する『Windows Hello』に対応したカメラを活用し、生体認証も認証基盤へ組み込むことで、利便性を維持したままセキュリティ レベルを高められると考えています」(江野口 氏)。

教員と生徒の触れ合いを重視した教育を実践する、南房総市教育委員会。Surface Book の採用により、同市の教員は、授業のインタラクティブ性の向上と、さらなる生徒との接点の増加を実現しつつあります。この動きをさらに加速、発展すべく、南房総市教育委員会は今後も、ICT 環境の整備と教育主事を通じた活用支援を推し進めていきます。

ユーザー コメント
「既に各学校へ電子黒板を設置していますが、現状それはまだ各校 1 台~数台という規模です。テレビやプロジェクターを設置している教室であれば、Surface Book とワイヤレス ディスプレイ アダプターを組み合わせることで、電子黒板に近いインタラクティブ性をもった授業ができるようになりました。デバイスの発展的な活用を手軽に実践できる環境が整備できたといえるでしょう。今後、ふでばこのように『教育場面に当然存在するツール』として、Surface Book が利用されるようになっていくことを期待しています。また、南房総市は特別支援教育へも注力していますが、そこで児童生徒の集中力を維持させる意味でも、この組み合わせは有効だと考えています」

南房総市教育委員会
教育総務課
江野口 隆満 氏

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