本稿からさかのぼる事約3年前、クラウドサービス黎明期から日本における代表的なクラウドサービスのひとつであった「ニフティクラウド」をエンジニア目線で試すという企画「【コラム】現役エンジニアが本音で試すニフティクラウド」に取り組んだことがある。

今では、「クラウドファースト」と言われるほどクラウドサービスは普及しているが、当時から変化したことを1つ挙げるならば、企業システム、つまりエンタープライズ用途でのクラウド利用が本格化したことだろう。さらに先進的な動きとしては、デジタルトランスフォーメーションの重要性が説かれる時代になったと言えるが、クラウド基盤に対してもこれまで以上に高い柔軟性や処理速度が求められている。そこで第4回となる本稿では、この柔軟性、処理速度について検証していきたい。

クラウドを使いこなす

大手のクラウドサービスベンダーが広く一般向けにサービス提供を開始してから約10年が経過し、どんなケースがクラウドサービスに適しているのか、どんなケースがオンプレミス向きなのか、またはそれをどのように組み合わせて使っていくのかが明確となりつつある。現在の状況は適材適所で、技術を組み合わせて活用する時代になっているのだ。

細かい使い分けが可能になってきた背景には、クラウドサービスベンダーが提供するサービスの種類が増えたことにも理由がある。適したリソースを細かな選択肢から選定してシステムを構築することができるようになったことで、多くのシステム要件を満たせるようになった。要するに、サーバー選択に関する「柔軟性」が高まっているといえるだろう。

サーバーラインナップの変遷 2011年~2017年

ニフティクラウドで提供されるホストのスペックも年を追うごとに増えている。2010年当時に発表があったホストのスペックは次のとおりだ。今だからこそ振り返ってわかることだが、現在のサービスと比べるとかなり限定的なものであることがわかる。

ニフティクラウド 2010年9月時仕様・機能

ニフティクラウド 2010年9月時仕様・機能

2011年にはメモリとサポートオペレーティングシステムが拡張され、次のようなスペックになっている。現在のサービスと比べると、これでもかなり限られたスペックでのサービス提供だったことがわかる。

ニフティクラウド 2011年9月時仕様・機能

ニフティクラウド 2011年9月時仕様・機能

ニフティクラウド 2011年9月時仕様・機能

そして約6年後の2017年9月現在、ニフティクラウドで提供されているサーバーの主なスペックは次のとおりとなっている。メモリもCPUも6年前と比べて格段に選択肢が増え、サポートしているオペレーティングシステムの数もさらに増えた。データベースサーバーの用途に特化したサーバータイプも登場したほか、高い性能が期待できる専有サーバーも提供されている。

ニフティクラウド 2017年9月時仕様・機能

ニフティクラウド 2017年9月時仕様・機能 Type-e(汎用システム)

ニフティクラウド 2017年9月時仕様・機能 Type-h(高速処理向けシステム)

ニフティクラウド 2017年9月時仕様・機能

ニフティクラウド 2017年9月時 DBサーバータイプ仕様・機能

ニフティクラウド 2017年9月時 DBサーバータイプ仕様・機能 Type-e(汎用システム)

ニフティクラウド 2017年9月時 DBサーバータイプ仕様・機能 Type-h(高速処理向けシステム)

ニフティクラウド 2017年9月時 DBサーバータイプ仕様・機能

1CPU 512MBメモリというミニ構成から28CPU 256GBメモリという高性能サーバータイプまで幅広く選択できるようになっていることがわかる。クラウドサービスの利点は、なんといっても必要な時にすぐに使える即時性と、必要なリソースだけを利用できる「柔軟性」にある。このようにラインナップが増えたことで、これまでよりも細かくユーザーの多彩な要求に応えることができる「柔軟性」が向上したといえる。

性能は充分に出ているのか

クラウドサービスで提供される仮想サーバーのスペックは、ともすると販売されているラックマウント型サーバーよりも優れているように見えることが多い。しかし、数値が大きいからといって性能が出るわけではないということに注意が必要だ。こうしたサービスを使ったことのある方であればよくご存じのことだと思う。

というのも、提供されているクラウドサービスは仮想環境で構築されている。このため、仮想CPUや仮想ディスクの性能はオンプレミスのCPUやディスクと比べるとかなり遅くなるのが一般的なのだ。サービスのスペックシートだけで判断するのではなく、実際に利用開始する前には、利用したいサーバータイプの性能を直接計測するのが鉄則だ。ここでは、2017年4月に追加されたハイスペックタイプとなるtlargeとwlargeのスペックを実際に計測してみよう。参考までに、普段使っているオンプレミスのラックマウント型サーバーのベンチマーク結果も掲載しておく。

unixbench結果 - サーバータイプwlarg48 - 8vCPU/48GB

unixbench結果 - サーバータイプtlarge48 - 12vCPU/48GB

unixbench結果 - オンプレミスラックマウントサーバー - 4core/8GB

unixbench結果グラフ

wlarge48とtlarge48はハイスペック向けのサーバータイプだけあって、オンプレミスのラックマウント型サーバーに近いレベルになっていることがわかる。オンプレミスのラックマウント型サーバーの方が総合値で高い値をつけているものの、いくつかの項目では仮想環境の方が優れているものもある。

また、仮想環境でもっともネックになるのは特にディスクIOだ。この部分はどうしても性能が低くなりがちだが、ニフティクラウドではこのディスク性能を向上させるために、ゾーンをまるごとフラッシュ対応させたものを提供している。別のベンチマークソフトウェアを使って、wlarge48のフラッシュゾーンと非フラッシュゾーンの性能差を調べてみると次のようになる。参考までに上記ラックマウントサーバーの結果も掲載しておく。

dbench結果 - サーバータイプwlarg48(フラッシュゾーン)- 8vCPU/48GB

サーバータイプwlarge48(非フラッシュゾーン) - 12vCPU/48GB

dbench結果 - オンプレミスラックマウントサーバ - 4core/8GB

こうしてみると非フラッシュゾーンと比較して、フラッシュゾーンの方が高速であることを確認できるだろう。よく、サービス基盤をクラウドに移行させたら性能が低下したということを耳にするが、これはディスクIOがボトルネックになって、速度が出ていないことが多い。仮想環境では記述のとおり、さまざまな原因でディスクIOの速度が低下することが起こりうる。しかしここで触れたフラッシュゾーンなどを活用すれば、性能低下を抑えることが可能になる。いずれにせよ、クラウドサービスを活用する際には、スペック上の数値だけではなく、実際に性能を計測してみることが大切だ。

どの程度の性能が発揮できるのかは、普段使っている環境での計測結果と比較してみるのがよい。これはオンプレミスでも仮想環境でも他のクラウドサービスでも同じである。普段使っている環境での計測結果と比較してみるのがよい。普段使っている環境と比較することで必要になるサーバータイプをより正確に見積もれるようになるし、かかるコストも必要最小限に抑えることが可能になるだろう。

適切なリソースを選ぶ

クラウドサービスベンダーから提供されるサーバータイプが多様化したことで、これまでよりも広い選択肢からクラウドを利用することが可能になった。さらに、ニフティクラウドのようにサーバータイプをあとから変更できるサービスもある。より適切なリソースのサーバータイプに変更すれば、それだけコストを削減できる。昨今ではこうした「最小の投資でシステムの安定稼動を維持する取り組み」がいわゆる「運用」と呼ばれるようになってきている。

クラウドで提供されるサービスは頻繁に新しい機能や料金プランが導入されていく。そのため、定期的に見直して適切なものへ変更していくのが、運用における賢い方法だ。用意されている多種多様な選択肢から自分達の用途にあったものを選んで、随時アップデートをかけていってもらえればと思う。

[PR]提供: 富士通クラウドテクノロジーズ