人手不足が深刻化する中、様々な職場でRPA(ロボットによる業務の自動化)へのニーズが高まってきている。だが具体的にはどのような導入作業が必要となってくるのだろうか。また、効果測定にはどのような方法が考えられるのだろうか。さらにその効果をいっそう高めるためには何をすればいいのだろうか。

本連載では、RPAの導入・活用を行う中で留意すべきポイントや考え方について、4回にわたって紹介している。第3回目となる今回はNTTデータビジネスシステムズで業務改善などのコンサルティング業務を手がけている下間 大輔 氏に、RPAツール「WinActor」の導入や同社でのサポートを例にとり、導入から運用開始後に重要となるポイントを語ってもらった。

  • NTTデータビジネスシステムズ 第一システム事業本部 コンサルティンググループ コンサルタント 下間 大輔氏

録画とGUIで"ロボット"を簡単作成、実証試験に臨む

― 前回は導入検討時の注意点を伺いました。今回はRPA化対象業務の洗い出しもすみ、会社の承諾も取れた後の道筋について聞かせてください。

下間:具体的な作業工程になってくるとRPAツールによって差が出てきますから、ここでは「WinActor」を導入すると仮定してお話ししましょう。 まずは洗い出した対象業務の候補をさらに5~10くらいに絞り込み、PoC(実証実験)を行うことをお勧めしています。1つや2つの業務だけでPoCを行ってもいいのですが、「この業務なら確実に大きな成果を上げられる」という見極めはなかなか難しいものです。候補を絞り込みすぎて思ったほどの効果が出なかった場合、せっかくワーキンググループをつくって進めてきたRPA化プロジェクトが萎んでしまうことも考えられます。様々なところで試し、RPAにマッチした業務を探していきます。

― そしていよいよRPAのプログラム…というわけですね?

下間:「WinActor」の場合、プログラミングの知識がなくても簡単に使えますから、基本的にはお客様ご自身に"ロボット"をつくっていただくことが多いですね。自動化したい作業をPCで普段通りに行って「WinActor」で録画すれば、自動で基本的なシナリオ(操作手順をフローチャート化したもの)が作れます。そこに細かい条件分岐を追加してシナリオを完成させるのですが、この作業もGUIで行えますからそれほど難しくはありません。後はできあがったシナリオを「WinActor」に実行させれば、自動化を実現できます。

2ヶ月間は有償の検証ライセンスで試用できますから、その間、実際に触りながら「自分たちだけで使いこなせそうか」「自分たちの目的に合っているか」「きちんと効果が出るのか」などを、評価していただけます。上手くいきそうであれば、そのまま正式ライセンスへ移行していただくという流れです。もちろん使い方のサポートやアドバイスなどは、当社で行います。

  • 「WinActor」なら操作録画と分かりやすいGUIで、簡単にシナリオが作れる

― もし「自分たちだけでは難しい」となった場合は?

下間:ご要望があれば、当社でシナリオづくりから参加させていただくこともできます。その場合は当社の担当がお客様の現場に伺って、「この画面では、ここにあるプルダウンメニューの値を選択して、OKのボタンを押すんですね?」「この場合は、このアプリを起ち上げるんですね?」など、業務洗いだしの時以上に詳しく操作手順をチェックさせていただきます。

操作が複雑になる場合は、ビデオで撮影させていただくこともあります。よく画面のキャプチャをご用意いただくことがありますが、細かい操作手順は画像だけでは分からないので、必ず操作を見て確認してからシナリオをつくるようにしています。場合によっては、「人が行っている作業」と「WinActorが行っている作業」を詳細に記載した設計書という形でご用意して、作業内容の比較・確認をしていただきながら、シナリオ作成を進めていくこともあります。

― 動作確認や、従来作業からの切り替えはどのように行えばいいのでしょう?

下間:一般的な業務システムでもそうですが、完全に切り替えるまでは人と「WinActor」の並行稼働が必要です。従来通り人が正しく操作した結果と、同じ作業を「WinActor」にやらせた結果を比較して、問題がなければ作業ラインを「WinActor」に切り替えていただきます。結果に間違いがあったり、「WinActor」でエラーが出たりした際にはシナリオを再検討してやり直す…その繰り返しです。

― 導入から運用開始まで、どのくらいの期間が必要となりますか?

下間:RPA化する作業の複雑さにもよりますが「Excelのデータを別システムに転記する」という程度のロボットは、慣れた人であれば半日~1日くらい、初めて「WinActor」を触るお客様でも数日あれば完成できると思います。

効果測定後は分析・改善を行い、次につなげることが重要

― 「WinActor」に限らず、一般的にRPAの導入効果測定にはどんな方法があるでしょう?

下間:まずは当然ですが作業時間です。同一作業を人が行った場合とRPAが実行する場合の時間差は、そのまま作業時間短縮の効果となります。もうひとつはコストですね。ある作業にかかっていた人件費が、RPA導入でどこまで減らせたか。またその作業から解放された人が、別の業務で上げた業績などをプラスして考えることもできます。

当社ではPoCの際に測定した作業時間などのデータをもとに、こうした導入効果を資料化してお客様にご提供するサービスも行っています。前半でも申し上げたとおり、業務によっては思うように成果が上がらなかったり、逆に思わぬ成果が上がったり…ということもあるかと思います。

成果が上がった時には発表の場をつくって、他部門や経営層にきちんとアピールすることが大切です。ひとつでも成功例を目にすることで社内がRPA化に積極的になれば、他部門との自動化連携も取りやすくなるでしょう。それによって自分たちの負荷をさらに抑えることができるかもしれませんし、企業全体の効率化にもつながります。また成果が上がらなかった場合は、なぜそういう結果になったのかをきちんと分析して、シナリオや業務の見直しを行うべきでしょう。もちろん当社も協力いたします。

― 成果に一喜一憂するのではなく、次へつなげていって欲しいということですね。ありがとうございました。

「RPAが流行っているからツールを導入してみた、でも上手く使えなかった」「効果が出なかった」で終わってしまっては、導入までの検討やシナリオ作成にかかった時間や人件費が無駄になってしまう。導入にあたっては最初からコンサルタントを入れて、しっかりとした分析や判断ができる体制を整えておいた方が、むしろ余分なコストをかけずに業務改善を成功させられるといえるだろう。

次回は、RPAツール「WinActor」の導入効果を事例形式で紹介する。

[PR]提供: NTTデータビジネスシステムズ