データのカオス状態に陥らないため
ガバナンスを効かせることが必須

ユーザーがそれぞれ個別に集めたデータをExcelなどの表計算ソフトに取り込み、集計や分析を行う、いわゆる「スプレッドマート」が勝手気ままな形で進行してしまうと、社内には誰もその内容に責任を持たないレポートが氾濫する状態に陥ってしまう恐れがある。クリックテック・ジャパン ソリューション・コンサルティング部の部長を務める横川健氏は、このように語る。

「個人の裁量に任せてExcelを活用すること自体は決して悪いことでも、間違ったことでもありません。ただし、そこでの問題は誰でも自由にデータを加工・編集し、その結果を誰に対しても自由に配布できてしまうことです。そこで使われているデータは本当に正しいものなのかどうか、仮に社内のデータベースから抽出したデータを元にしていたとしても、それを加工している数式やマクロまで社内的にオーソライズされているという保証はどこにもありません」

例えば支店間の売り上げを比較する場合、一度支店ごとにバラバラの視点や指標に基づいて計算されるが、本社に上げられてきた時点で集計結果を横並びにしても評価のしようがなくなる。何故ならデータに対する全社的なガバナンスが効いていない事になるからだ、まさにそこがセルフサービスBIの成否の分かれ目となる。

データの統合のみならず
アプリケーションやチャートも標準定義

この課題に対してセルフサービスBIツールの「Qlik Sense」では、「Governed Discovery(統制されたディスカバリ)」を重視した、プラットフォームの管理機能を強化している。

まずは「Single Version of the Truth(唯一の真実)によるデータ管理」の実現である。Qlik Sense上に統合されたデータを経営者からマネージャー、ビジネス現場の担当者にいたるまですべての社員が共有し、それぞれの役職や業務目的に応じて活用するのである。 いくらセルフサービスとはいえ、誰もが自由に自分のデータを追加していては、ガバナンスが失われ、唯一の真実をみて意思決定することはできなくなる。※個人的にデータを見たいのであれば、もちろん可能ではある。

使用したいデータソースがあれば、IT部門が承認し、Qlik Senseに統合し、全社的に共有化して使用するというのが望ましい。「現場にセルフサービス力を提供するためにこそ必要となるガバナンス力が、IT部門の重要な役割となる。」と横川氏は語る。 次が「データ加工・編集の標準化」である。これがしっかりできていないと、仮に基にしているデータが同じだったとしても、先述のスプレッドマートのように属人化してプロセスが不明なレポートが氾濫することになってしまう。

そこでQlik Senseでは、データを加工・編集する手順や数式といったものも「マスターアイテム」として定義し、全社的に共有するのである。例えば「平均利益率」を計算する際には、”どの”テーブルの”どの”カラムから抽出した「販売価格」や「原価」といったデータを用いるのか、といったことを明確に定義しておく。

さらにQlik Senseが踏み込んでいるのが、「ビジュアライゼーションの標準化」である。この狙いはどこにあるのだろうか。「最終的なレポートとして作成するグラフやチャートにまでガバナンスを効かせることで、ユーザーがそれぞれ独自の視点から行った分析結果を、はじめて全社レベルの土俵に上げて検討することが可能となるのです」と横川氏は語る。

例えば地域別の売り上げを分析する場合、あるユーザーが作成したチャートは「県別」の集計結果でまとめられているのだが、別のユーザーが作成したチャートではそこからさらに「市区町村」や「営業所の管轄」といった詳細なレベルの情報にドリルダウンできるようになっていた。このように従来の独自の集計方法ではさまざまなチャートが乱立するのが実情だった。

Qlik Senseでは「軸の定義や数式の定義を登録したり、それらを使用してチャート自体を全社標準として登録しておくことができる。ユーザーは、そこから必要な軸や数式、チャートを用途に合わせて選択し、使用することができる。(図1)。

図1●Qlik Senseではグラフやチャートにまでガバナンスを効かせることが可能

図1

組織ごとにセキュリティポリシーを設定し
データやアプリケーションへのアクセスを制限

一方でセルフサービスBIのガバナンスを確立する上で欠かせないのが、セキュリティの確保である。セルフサービスBIではユーザー自身による自由なデータ活用を基本としているが、さまざまな機密情報や個人情報を含んだデータベースまで好き勝手に閲覧させるわけにはいかない。多くの企業がセルフサービスBIに乗り出すことができず、従来型のBIにとどまっている最大の要因が、こうしたセキュリティにあるといっても過言ではない。

この課題に対してQlik Senseがとっているのが、「ストリームによるアクセス制限」という方法である。ストリームとは、特定のデータやアプリケーションをまとめて登録しておき、そのアクセスに関するセキュリティポリシーを設定・適用することができる単位だ。

具体的な設定方法を見てみよう。まずはQlik Sense内で一元管理されるカスタムプロパティによって「エグゼクティブ」「営業」「財務」「人事」「IT」といった組織を定義し、各ユーザーを割り当てておく。この組織定義と同名のストリームを作成して紐づけることで、「財務の組織に属するユーザーは、財務ストリーム内のデータのみ参照可能」といったセキュリティポリシーを設定して運用することができる(図2)(図3)。

図2&図3●Qlik Senseがとっているセキュリティ手法「ストリームによるアクセス制限」

図2

図3

ひとつだけご注意いただきたいのが、こうしたアクセス制限の仕組みが決してユーザーの手足を縛るためのものではないことだ。「セキュリティが担保されるからこそ、企業は安心してデータを公開できるのです。またパワーユーザーが率先して作り上げたアプリケーションやチャートなどの定義をQlik Senseに吸い上げ、有益な知見として全社的に共有することが可能になります。ガナバンスを効かせることで、ユーザーの使い勝手はどんどん良くなっていきます」と横川氏は強調する。

そうした中で主導的な役割を担っていくのはIT部門に他ならない。セルフサービスBIの本質は制約ではなく「権限の委譲」なのだ。データに対する集中管理とガバナンスを保持し、セキュリティとの絶妙なバランスを取りながら、Qlik Senseをはじめとするツール活用を推進していくことで、セルフサービスBIを軌道に乗せることが可能となる。


尚、下記に「直観による視覚的な探索を可能にする次世代のセルフサービス型データビジュアライゼーションBI」について資料をまとめた。マーケティングご担当者やデータ分析に、ご興味のある方は是非一読いただければと思う。

直観による視覚的な探索を可能にする
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