京セラが日本予防医学協会さんと連携して提供する生活習慣改善サービス「デイリーサポート」について、前編に引き続き、京セラ 通信機器事業本部 通信機器経営戦略部 新事業推進部責任者 内藤昌宏氏と、日本のものづくりの開発支援を進めるプロトラブズ合同会社 社長 トーマス・パン氏による対談をお届けする。

京セラ 通信機器事業本部 通信機器経営戦略部 新事業推進部責任者 内藤昌宏氏(右)、プロトラブズ合同会社 社長 トーマス・パン氏(左)

未来継承型サービス

トーマス・パン氏(以下、パン氏):コンセプトが決まってからは、ハードとソフトが一緒になったサービスという現在の「デイリーサポート」システムの構成や提供する形などは、すんなりと完成したのでしょうか。

内藤昌宏氏(以下、内藤氏):それがスパッと決まったわけではありませんでした。1、2年前にトライアルをしたのですが、そのときは我々の作っているスマホの中に、アプリとセンサーを全て入れていました。それを3つの健康保険組合で使っていただいたのですが、「スマホを複数持つのは不便」「スポーツをやるときに落として壊す」「女性はスマホを職場で持ち歩かない」「工場や研究所ではカメラの持ち込みができない」など、さまざまな課題が見えてきまして、センサーとスマホを切り離そうと決断したんです。

パン氏:それは大きな判断でしたね。このセンサーにはコイン電池を利用しているそうですが、充電式にするか電池交換式にするか、これも議論があったのでしょうか。

内藤氏:もちろんその議論もありました。ただ、誰がターゲットなのかを考えたとき、「こまめに何かするのがおっくうな人」が対象でしたので、極力付けてもらうだけでいいものにしようと決めました。11gと軽く小型なので、女性でも気軽に身につけていただけます。センサーの「TSUC(ツック)」という名前は、体に「つく」という意味と「Tomorrow Succeed」という「未来継承型サービス」だという思いを込めています。

パン氏:「未来継承型」とは、どういう意味でしょうか?

内藤氏:我々は生活習慣のデータこそが価値だと思っています。取得したデータを分析して、その人にあった生活ガイドを自動で行えるような機能をサービスに盛り込んでいく予定です。現在は自分自身の健康しか見ることができませんが、いまからデータを集めて分析していくことで、「こんな生活をしたらこうなってしまう」ということを子どもや孫に具体的に示せるようになるでしょう。それは我々の世代が果たすべき責任でもあると思います。

パン氏:確かにデータが蓄積されていけば、例えば「ある属性の人が1日平均◯◯歩の生活を続けるとどうなるか?」といったことを実証することができますね。本当に健康になれるんだ、というモチベーションも上がると思います。将来はそのような生活習慣を実践するのが当たり前になっていくかもしれませんね。

測定データはグラフで閲覧でき、ひと目でわかりやすい。今後はこうしたデータの分析を視野にいれている

"BtoBtoC"で継続した健康支援を

パン氏:ヘルスケア業界は競合の参入が盛んで厳しい分野だと思うのですが、京セラさんはどのように他社メーカなどとの違いを打ち出しているのでしょうか?

内藤氏:競合は基本的に"BtoC"が中心です。つまり健康に関心のある人が商品を買って、自分の意思で続けているということです。一方、我々は"BtoBtoC"での展開を進めています。これは、会社や健康保険組合に「デイリーサポート」を提供することで、自分で続けることがなかなかできない人に対し、継続した健康支援をしようと考えたからです。

パン氏:その展開は、先ほどお話のあった「健康保険組合が赤字で困っている」という着眼点と繋がりますね。健康保険組合が「デイリーサポート」を使って生活習慣のデータを踏まえた予防手法を組合員に実践してもらうことができれば、医療コストが下がる可能性が大いにあると思います。

内藤氏:認知症や高齢者の入院・要介護になる要因の7割が生活習慣によるものだと言われています。そういったことは、現役世代からちゃんとやらないと防ぐことができません。どんな行動が病気につながってしまうのか、そこを明らかにしたいですね。

パン氏:普段健康な人が医師に診断してもらって身体のデータを取るというのは、相当なハードルがあることでしょう。危険な数値が潜んでいたとしても本人に自覚がない場合には、診断もしないし行動も変わらないのが普通ですね。その結果が生活習慣病につながっているのではないでしょうか。

内藤氏:まさにおっしゃる通りです。1年に1回健康診断を受けたからといって、健康になるわけではありません。あくまでその瞬間の自分の状態を知ることができるだけです。健康診断時の状態と比べて良くなっているのか悪くなっているのか、それに気づけることが、予防医療の一番大事なところです。

会社も社会も健康に

パン氏:京セラさんの自社社員が加盟している健康保険組合でも実際に「デイリーサポート」を使ってらっしゃるのでしょうか?

内藤氏:40歳以上65歳未満の特定保健指導対象者の方々にやってもらっています。社員が健康になることは、働き方が効率化されたりコミュニケーションが改善されるなど、会社にとっても大きなメリットがあります。健康推進の部署を交えて、全社的な動きにして行く方向です。

パン氏:単に売って利益をあげるためだけの商品ではなく、自社内に貢献し、社会にも貢献するという戦略の幅広さをこの「デイリーサポート」から感じます。この次の展開はどのようにお考えなのでしょうか?

内藤氏:いまは現役世代向けにサービスを提供していますが、まずはその世代を広げていきたいと考えています。その次は海外展開です。アジア圏も食の欧米化によって糖尿病患者が相当増えてきていますから。日本が先行して超高齢社会になってきていますが、どの国も高齢化しています。どこにでも応用できるサービスに育てていきたいと考えています。

パン氏:高度な技術を駆使した最先端の医療も重要だと思いますが、絶対数から言えば、世界中で生活習慣病に苦しむ方のほうがはるかに多いでしょう。御社は"BtoBtoC"という仕組みで、事業として利益を上げながら、人々の健康を維持し、さらに将来世代のことまで考えている。非常に共感できる素晴らしい事業だと思いました。

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