妊娠前は分からないことがたくさん。プレママプレパパさんは、これから起こる出来事に楽しみや不安、悩みなどさまざまな感情が入り交じっているのではないでしょうか?

本連載では、夫婦の間に起こりうる新生児期の「認識のズレ」やそれらの埋め方を実際の夫婦にインタビュー。家事・育児を夫婦で”一緒にする”ことが、浸透しつつある昨今ですが、どうしてもお互いの認識の「ズレ」は生じてしまいがち。未来に起こるズレとそれらの埋め方をさまざまなご家庭の形から紐解いていきます。

今回は、「産後の身体や精神面に対する理解のズレ」について、エピソードや解決策などをお伺いします。10カ月の息子さんがいる学さん(28歳)と千紗さん(26歳)がインタビューに応じてくれました。

産後に情緒不安定になり、小さなことでイライラ……

産後の入院中から気持ちのアップダウンが激しくなったという千紗さん。赤ちゃんに対して「私をお母さんにしてくれてありがとう!」という高揚した気持ちになったり、「どうしてこんなに機嫌が悪いの?」と大きく落ち込んだりと、激しい気分の波がありました。

退院してからは、学さんに対するイライラや不満に変わります。

「今思えば、それまで気にならなかったことが気になるようになっていました。例えば、掃除機をかけてくれたときも、『どうして下に置いてあるものをどかさないの?』と粗ばかり目に付くようになって……。ひどい言葉で怒ってしまったこともありました」

学さんとしては、千紗さんを気遣い、率先して家事をやっていたつもりでしたが、今まで言われていなかったことを注意されてしまいます。数回ほどは素直に受け入れられましたが、そのうち言い返したり、イライラしたりすることも増えるように……。

「産前から女性の身体や体調のことは調べていたので、ある程度予想は付いていたつもりでした。でも、産後の精神的な不安定さは想像以上で、当初はうまく受け止めてあげられていなかったと思います」

千紗さんは、「自分がメンタル不調かもしれない」とは思いもよらず、普通のことを指摘しているつもり。お互いの気持ちがすれ違っていたのです。

こちらも併せてチェック!
突然涙が出たり、悲しくなったり、不安になったり……
約半数のママが経験!? マタニティブルースを産婦人科医が解説

このエピソードを読む>

愛情表現を欠かさず、不満があれば何でも話すように

学さんは、妻に対する理解を深めようと、「夫婦のすれ違い」「男性脳/女性脳」といったテーマの書籍を読んでみることに。そのうえで、指摘された問題を解決するだけでなく、精神的なケアも必要なのではないかと考えました。

「『隅々まで掃除ができていない』と指摘されても、それ自体が問題なのではなく、妻が精神的に充足していないことが要因だろうと考えるようにしました。僕が注力するのは、ねぎらいの言葉をかけたり、近くに寄り添ったりすることなんじゃないかって。だから『いつもありがとう』『これをやってくれてありがとう』という言葉を重ねていきました」

同時に千紗さんも、衝突しがちな夫婦の関係性を改善したいと考えていました。そこで、愛情表現をしてくれれば気持ちが落ち着くことに気が付いたそう。「愛しているよ」「好きだよ」という言葉を朝起きたときや寝る前など、挨拶のように言ってほしいと学さんにお願いしました。

また、それ以外にも、家事や育児で「こうしてほしい」と思ったら我慢せずにすぐ口にするようにしたのです。

「それまでは『察してほしい』と思っていたんです。でも、期待して待っているのではなく、自分からお願いするようにしました。『愛情表現が欲しい』『今日は2人でのんびりしたい』など、自発的に伝えるよう心掛けています」

千紗さんの気持ちが分かるようになって、学さんは「素直に嬉しかった」と言います。よかれと思った行動で千紗さんの機嫌を損ねるより、考えを示してくれたほうがやりやすかったのです。

お互いに行動を少しずつ変え、千紗さんは「夫はすごく細かい気遣いをしてくれていた」と気が付きます。学さんも「それまでは、妻の言葉の裏側まで考えていなかった」と自分を顧みることになりました。

言いたいことを言い、険悪なムードになることは少なく

千紗さんは何でも話すようになり、学さんの帰宅後にその日の出来事やお互いの体調など、たくさんのことを伝えるようにしています。

学さんは、まずは千紗さんの不満を受け取り、考えるようにしているそう。

「何か指摘されても理由などを言い返さず、いったん受け取るようにしています。言われたことだけに焦点を当てるのは根本解決にならないと思うので、しばらく様子を見ていますね」

千紗さんとしては「この間も言ったのに」と思うこともあるものの、言い返さずに受け止めてくれたほうがいいようです。そのためか、今ではケンカのような言い争いはほとんどなくなりました。

「察してほしい」ではなく、事細かく伝える

インタビューの最後に、未来のパパやママに2人からアドバイスをいただきました。

「『察してほしい』と期待するのはお互いのためによくないので、事細かくお願いしたほうがいいと思います!」と千紗さん。

学さんからは「事前準備や調べものなどは、やろうと思っている1カ月前くらいにスタートするのがいいと思います。例えば出産育児一時金の手続きなど、ギリギリになって調べて時間が取られることが多かったので、『早すぎる』くらいがおすすめです」とのこと。

こちらも併せてチェック!
出産はどのぐらいお金がかかる? 健診にいくときにかかるお金は?
妊娠・出産にかかる費用ともらえるお金を助産師が解説!

このエピソードを読む>

毎日欠かさない愛情表現と、言いたいことを言うちょうどいいバランスが仲の良い秘訣なのかもしれません。不満だけでなく「こうしてほしい」と要望を言うところや、いったん受け止めるところは見習いたいですね。


  • コミックエッセイや、写真の撮り方など子育てを楽しむヒントが満載。さまざまな家族の子育てのスタイルを紹介しています。


  • イマドキ育児を実践する家族をピジョンが徹底調査。これから育児が始まる、又は育児真っ最中のママパパに新しい育児のカタチをお届けします。

[PR]提供:ピジョン