学生の進路において大きな岐路のひとつである「文理選択」。最近では、STEM*分野と呼ばれる理系や技術系のフィールドで活躍する女性も、どんどん増えてきています。東京都では、さらなる女性活躍を推進するため、女子中高生向けオフィスツアーを開催。学生がSTEM分野で働く方々や現場に触れることで、自分がやりたいことや関心のあることを見つける機会を提供します。 *Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)の頭文字をとった言葉


科学と感性を融合!新たな美の価値創造を目指す花王の化粧品開発の秘密に迫る
「ハイジーンリビングケア*」「ヘルスビューティケア」「化粧品」「ビジネスコネクティッド」の4つの事業分野で、生活者に向けたコンシューマープロダクツ事業を展開するほか、産業界のニーズにきめ細かく対応した「ケミカル事業」も展開する花王株式会社。その中でも化粧品グローバル供給拠点として、多くのブランドの化粧品開発を行っているのが、小田原事業場です。今回はその中にある「ビューティリサーチ&イノベーションセンター」で、オフィスツアーが実施されました。
(*)衣類や住まいの清潔を保つ商品(洗剤、掃除用品、衣類用洗剤など)・サービス

体験とゲームが盛りだくさんのプログラムに、参加者はワクワクした様子でした
科学と感性を融合させた革新的な研究に取り組み、新たな美の価値創造を目指す
「ビューティリサーチ&イノベーションセンター」は、化粧品の研究開発機能を集約した研究施設。ツアーでは、同施設内の「ここラボ」体験と、色と光の学び体験が行われました。
「ここラボ」は、 “こころ”で感じる美しさを“科学”のチカラで探る研究スペース。ここで参加者たちは3つのコンテンツを体験しました。1つ目が、化粧品を手に塗る動きをリアルタイムで解析するもの。2つ目が、自然界に存在する美しい色や質感を持った素材を選び、自身が映し出されたスクリーンにメイクアップを施し新たな自分を発見するというもの。そして3つ目が、複数の香りを選んで調合し、香りの奥深さを体感するというもの。参加者たちはさまざまな体験を通して、新たな美の可能性を探求しました。

ここラボでの体験の様子
色と光の学び体験では、メイク化粧品に使われている色や光の仕組みを学んだ後、チームに分かれて2つのゲームにチャレンジ。1つ目が光のスペクトル(波長)のグラフと、花王の化粧品のアイカラーの色を一致させるゲーム。2つ目が研究所で試作された複数の口紅の色を比較して、商品と同じ色の口紅を当てるゲームに挑戦しました。

離れて観察したり紙に塗り広げたりしながら、口紅のわずかな色味の違いを探します
研究員になるには?開発のこだわりは?日々化粧品に寄り添う女性研究員との交流会
交流会には5名の研究員が参加。メンバーは、ベースメイクの商品開発に携わる加藤麻紗実さん、村井日奈子さん、人間の感覚や感性に関する研究に携わる設楽稔那子さん、ポイントメイク品の製品開発に携わる奥京子さん、乳液などのスキンケア製品の開発に携わる首藤真優さん。ここではパネルディスカッションや交流会で印象的だったQ&Aの一部を紹介します。

自身が携わった商品を参加者に紹介しながら、女性研究員がさまざまな質問に答えてくれました
- Q.
-
花王の研究員を選んだ理由を教えてください
- A.
-
モノづくりに興味があったので工学系に進み、大学では、人の心や体の反応をものづくりに活かす感性工学を学びました。花王に入社を決めた理由は、感覚や感性に関する研究を積極的に行っていたからです。今も化粧品を使った時の心地よさなどを研究し、毎日ワクワクしながら仕事をしています。(設楽さん)
- Q.
-
研究員の大変なところはなんですか?
- A.
-
ゴールに向かって仮説を立てて進めても、うまくいくことばかりではありません。全く異なる方法を探さないといけないことも多いので、地道な作業の連続です。数年にわたる試行錯誤を重ね、満足のいく商品を発売することができた時は、頑張ってよかったと心から思います。(首藤さん)
- Q.
-
文理選択に悩んでいるのでアドバイスをください!
- A.
-
理系から文系に転向する選択肢もあります。少しでも理系の仕事に興味があるならば理系に進んでみて、どうしても自分には合わないと思ったらそこから変えてみてもいいと思います。(奥さん)
- Q.
-
デパートコスメとプチプライスコスメ、どちらを作るのが難しいですか?
- A.
-
デパートコスメはそのブランドのイメージに合うものを軸に、プチプライスコスメはより多くの層のお客様に受け入れてもらえるものを軸に開発するので、それぞれ難しさがあります。どちらを担当しても長く愛用してもらえるような商品を開発できた時はすごくやりがいを感じます。(村井さん)
オフィスツアー参加者の感想

研究職の仕事に興味があるので、今回のツアーに参加しました。将来に漠然と不安があり、交流会で「どういう基準で将来の仕事を選んでいったらいいですか?」とふたりの研究員さんに質問したら、二人とも「自分が好きなこと、今心動かされているものを基準に選んでいいと思うよ」とアドバイスをくださいました。すごく心が軽くなったと同時に、研究員になりたいという思いが一層強くなりました。

最前線の放送現場を訪問!テレビ朝日のオフィスツアーで広がる理系からのキャリアの可能性
六本木ヒルズに本社を構える株式会社テレビ朝日。今回のオフィスツアーは「テレビの向こうをのぞいてみよう!」と題して開催され、参加者は普段は立ち入ることのできない放送現場の裏側を体感しました。

オープニングの司会を務めたのは、入社1年目の佐々木若葉アナウンサー
最新スタジオを見学し、生放送の緊張感を味わう!
最初に向かったのはABEMAの生放送が進行中のスタジオです。最新設備が整う空間全体に漂う緊張感に、参加者たちは真剣な表情で見入っていました。国内のどこに居てもニュースを視聴できるアプリや配信サービスの普及についても紹介があり、災害時には避難所からも情報を得られるといった新しいテクノロジーの重要性に、多くの参加者がうなずいていました。

ABEMAスタジオを訪れ、最先端の配信現場を見守る参加者たち
その後は、定時ニュースの生放送も見学。出演者とスタッフが連携しながら進行する様子を間近で見て、参加者は放送現場ならではの迫力を肌で感じていました。
副調整室や美術セットで、放送を支える仕組みに触れる
続けて、番組制作を裏で支える施設「副調整室」を見学しました。まずは「スイッチャー卓」へ。これは、スイッチャーと呼ばれる複数のカメラ映像や素材を切り替える仕事に使われるもの。番組の流れに合わせて瞬時に選択・切り替えを行う必要があり、生放送では特に集中力が必要とされる仕事です。参加者はここで、スイッチャーの仕事の一つであるテロップ出しに挑戦しました。
次に、出演者の声や効果音などを調整する「音声卓」へ。声の大きさや質は人によって違うので、出演者全員の声が聞こえやすくなるよう1本1本マイクの設定を調整するんだそうです。他にも、音楽番組でエコーをかけたり、匿名インタビューの声を変えたりと、加工を行うことも。ここで参加者はマイクのボイスチェンジ体験をして、普段とは違う自分の声を聞いて盛り上がっていました。
その後はスタジオグリーンバックを使った背景合成技術を体験。画面越しに映し出された映像の、リアルさや鮮明さに驚いていました。

グリーンバッグを使って背景にスクランブル交差点を合成
そして最後は人気番組「報道ステーション」のスタジオを見学。その広さとスケール感に圧倒されながら、記念撮影を行いました。放送の裏側を支えている多様な仕事やテクノロジーに触れることで、番組づくりの奥深さを実感する貴重な機会となったようです。
先輩社員が語る、理系からのキャリアの選択肢の広がり
見学後には、テレビ朝日で活躍する若手女性社員3名との座談会が行われました。登壇したのは、データソリューションセンターにてテレビの視聴データ分析を担当する内田佑奈さん、インターネット戦略局AI推進部でAIの研究や番組制作などへの利活用を担当する山口真由子さん、技術運用センターで全国や世界各地から届く映像素材を調整し、局内の必要な部署へ分配するオペレーション業務を担当する竹内恵里香さんの3人です。

左から、竹内さん、内田さん、山口さん
- Q.
-
学部はどういう基準で選びましたか?
- A.
-
自分自身のことを“文系と理系の間に立つ人間”だと考えていたので、“社会・情報・人間”の3分野を学べる社会情報学部に進学しました。その後、専門として情報系を選びました。情報系は同級生も幅広い業種に就職していますね(山口さん)
- Q.
-
理系で研究にも熱心だったとのことですが、なぜテレビ業界へ進んだのでしょうか?
- A.
-
大学では病気から体を守る「免疫」について研究していたので、仲間の多くは製薬会社に進みました。自分もそうなるかなと思っていましたが、自分の可能性や“毎日通いたい場所”を考えたときにテレビ局を選びました。大学時代に学んだ知識は今でも役立っています。(内田さん)
- Q.
-
入社した時からずっと技術職ですか?
- A.
-
テレビ朝日は入社後の研修プログラムの一環として、技術職であっても全員が営業職を経験することになっているので、私も営業の仕事に携わりました。当時は大変だと感じましたが、会社の利益を生み出す仕事を知ることができ、今では貴重な経験になっています。(山口さん)
その後は3つのグループに分かれて懇談が行われ、大学での研究内容やキャンパスライフの話題なども飛び交いました。竹内さんは「ロボットを研究したいと考えて理工学部に進みました。当時は今ほどAI研究が盛んではなかったですが、AIを含めて当時学んだ知識が今に活きています」と振り返りました。
オフィスツアー参加者の感想

私はこれまで理系の進路としてテレビ業界を考えたことがありませんでした。しかし、今回のオフィスツアーで理系出身の社員の方々が活躍している姿に触れ、視野が広がりました。製薬会社やIT業界を考えていた中で、テレビ局という新たな道を選択したという体験談も、とても参考になりました。

ポンプで国内最大手の産業機械メーカ荏原製作所でユニークなxR体験を!
1912年にポンプメーカとして創業し、排水機場用の大型ポンプや学校やマンション、商業用ビルなどで使われる給水ポンプの国内シェアNo.1を誇る荏原製作所。現在はポンプのみならず、水と空気と環境の分野で優れた技術とサービスを提供。さらに、今や生活に欠かせない半導体の製造装置・機器の製造も手掛けています。そんな荏原製作所の主要生産拠点である藤沢事業所で、オフィスツアーが行われました。

会社概要と今回のツアー内容について説明する入江さん
冒頭で行われた会社説明では、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン推進部長の入江哲子さんから「理系の学びには、新しい技術や社会の仕組みを生み出し、未来をつくる力があります。また“自分らしさ”も、多様な視点によって新しい発見につながる大きな力になります。こういう力も大切にしながら、ぜひ未来を切り拓いていってほしいです」と、参加者たちへメッセージが送られました。
歴代のポンプが並ぶ展示室を見学し、xR技術でポンプの中にバーチャルで潜入
オフィスツアーは荏原製作所が製作するポンプをはじめとする歴代製品が飾られた展示室からスタート。ここではクイズ形式で、製品に関する豆知識を教えてもらいました。例えば、高圧ポンプは富士山より高く水を上げることができたり、巨大ポンプを使えば小学校の25mプールの水をたった1秒でカラにすることができたりするなどの能力があります。荏原製作所の高い技術力の数々に、参加者たちから感嘆の声があがっていました。

社員が出題するクイズに回答する参加者たち
次は最新のxR技術を用いて、リアルでは立ち入れないポンプの世界を知る体験を2つ行いました。xR技術とは、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)などの、現実世界と仮想空間を融合させて表示する技術の総称です。1つ目は、3DメガネをかけてVR空間にあるカラフルなポンプや配管などを組み立てる体験。「すごい没入感。ゲーム感覚で楽しい!」と参加者たちは大喜び。2つ目は、MRスマートグラスを着用して、ポンプ内部に潜入する体験。こちらも「ポンプの中ってこうなっているんだ!」と驚きの声が多く、普段知ることのないポンプの仕組みを体験しながら楽しく学ぶことができたようです。

最新のxR技術を使った体験に参加者たちは大はしゃぎ
グループワークであがったリアルな質問を女性社員に直撃!
交流会には制御技術部の東田秋桜花さんと、プロセス開発部の馬場枝里奈さんの2名の女性社員が登場。パネルディスカッションが行われた後、参加者たちが4グループに分かれてそれぞれ考えた質問を社員に投げかけました。ここではそのQ&Aの一部を紹介します。

社員と交流する参加者の様子
- Q.
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高校や大学を決めるときに、悩んだことや大切にしたポイントは?
- A.
-
もともと数学や理科が得意だったので、理系推進校の高校を選びました。大学は、将来パソコンを使った仕事がしたいと思っていたので情報工学科に進学しました。高校は自分の得意分野を活かせること、大学は自分がやりたい仕事を重視して選択しましたね。(東田さん)
- Q.
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なぜ荏原製作所に就職したのですか?
- A.
-
まず、自分の作ったものが形として残りやすく、達成感を得られそうなので、製造業に絞りました。そして数多ある企業の中でも、荏原製作所は基本的に開発拠点が一つに集約されていて転勤がなく、自分の人生設計を考えやすそうだと思い就職しました。実際にワークライフバランスが整っている会社なのでとても働きやすいです。(馬場さん)
- Q.
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中高生の頃の夢と、今の仕事につながりを感じる部分はありますか?
- A.
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学生の頃から人の役に立つものを開発したいと思っていました。現在は、実際にデータを分析してその結果を報告したり、分析用のツールを開発したりする仕事をしていて、人々の役に立っていると思うので、学生の頃の夢を叶えられています。(東田さん)
- Q.
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やる気が出ないときに、やる気を出す方法を教えてください。
- A.
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少し先の未来を考えます。例えば旅行の計画を立てたり、自分へのご褒美を考えたりして、それを目標に頑張ります!(馬場さん)
オフィスツアー参加者の感想

理系の仕事ってどんなものなのか全く想像がつかなかったので、実際に職場を見てから文理選択をしたいと思い、参加しました。荏原製作所のことを初めて知りましたが、xR体験も楽しかったですし、実際に社員の方の話を聞いて、毎日ワクワクしながら仕事をしていることが分かり、理系の仕事の解像度がぐっと上がりました。
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