携帯端末用管理ツール

前回はOffice 365管理センターのバージョンアップについて紹介しましたが、今回はスマートフォン/タブレットなどの携帯端末用の管理ツールを紹介します。

どこの組織であってもシステム管理者の頭を悩ませるのは、いつ起こるか分からない管理作業やトラブルです。管理者が職場にいる時間に発生すればまだいいのですが、休日や深夜、あるいは管理者の休暇中に緊急性の高い管理作業やトラブルが発生することは決して珍しいことではありません。ある程度の規模の企業であれば管理チームでシフト編成して24時間常駐対応することもできますが、中小企業ではなかなかそうもいきません。また、管理者をむやみに増やすことは、セキュリティー上望ましくありません。

Office 365では、こうした非常事態に備えて、スマートフォンやタブレット端末からOffice 365を管理できる管理ツール「Office 365 Admin」を用意しています。社外に出ているときや勤務時間外であっても、スマートフォンやタブレット端末でOffice 365の管理を行うことができます。

なお、Office 365 Adminで管理できる機能は、Office 365の「管理センター」とほぼ同様です。ほとんどの管理作業がOffice 365 Adminでも行えます。ただし、Exchange OnlineのExchange管理センターやSharePoint OnlineのSharePoint管理センターなどの個別のサービスの管理センターはもっていません。また、PowerShellでなければ操作できない管理やバッチ処理もできません。

管理ツールOffice 365 Adminのインストール

Office 365 Adminのインストールを、Android 4.4.2のスマートフォンを例に紹介します。

(1) Google Playで「Office 365」を検索し、Office 365 Adminをタップします。

(2) Office 365 Adminの「インストール」をタップします。

(3) 「同意する」をタップして、Office 365 Adminの稼働に必要な権限の許可を与えます。

以降、通常のアプリと同様に、ダウンロードとインストールが行われ、アプリを起動するページが表示されます。Office 365 Adminを起動してください。

Office 365 Adminのユーザーアカウントの設定

Office 365 Adminのインストールが終了してOffice 365 Adminが起動すると、管理者のユーザーアカウントの設定を求めます。

(4) 「管理者用のアカウントを使用してサインインします。」をタップして、管理者ユーザーアカウントの登録に進みます。

(5) 管理者アカウントを入力し、サインインします。

(6) パスワードを入力して、「サインイン」をタップします。

サインインが完了すると、Office 365 Adminを使用できるようになります。

※もし、サインイン時に、「職場、学校のアカウント」と「個人用Microsoftアカウント」の選択肢が表示されたときは、「職場、学校のアカウント」を選択してください。

Office 365 Adminの利用

Office 365 Adminを起動すると、シンプルなメインメニューが表示されます。

(7) 常にチェックが必要な「メッセージ」と「正常性」についてはトップに目立つように配置され、その下には使用頻度の高い管理メニューが並びます。

(8) Office 365 Adminのトップ画面から「メッセージ」をタップすると、マイクロソフトからのOffice 365に関する重要なお知らせやトラブルレポートのタイトルを一覧表示します。タイトルをタップすると、メッセージの本文を読むことができます。

※これらのメッセージは常に英語表記です。これらのメッセージは緊急性の高いものが少なくありません。マイクロソフトによると、翻訳にかかる時間を節約して少しでも早く正確な情報をテナント管理者に通知するため、日本語化せずに英語のまま情報を届けているということです。

(9) Office 365 Adminのトップ画面から「正常性」をタップすると、Office 365の主要サービスが正常に稼働しているかどうか、アイコンで一覧表示します。サービス名をタップすると、詳細なレポートを読むことができます。

(10) Office 365 Adminのトップ画面から「ユーザー」をタップすると、ユーザー管理のメニューを表示します。管理したいユーザーをタップして、各種の管理作業を行います。

※新規ユーザーを作成するときは、右上の「追加」をタップしてください。

(11) ユーザー管理メニュー。Office 365の「管理センター」と同様に、パスワードのリセットやライセンスの割り当て、連絡先情報の変更などのユーザー管理を行えます。

(12) Office 365 Adminのトップ画面から左上のメニューボタンをタップすると、すべての管理メニューを表示します。

スマートフォンやタブレットの管理が重要

さて、このように便利なOffice 365 Adminですが、便利さの反面、大きな危険をはらんでいます。Office 365 Adminをインストールしたスマートフォンやタブレットなどの携帯端末を紛失したり盗難に遭ったりすると、悪意のある第三者にOffice 365を丸ごと悪用されかねないということです。情報漏えい、改ざん、なりすましなど、様々な被害に遭う可能性があります。

Office 365 Adminを利用する場合は、必ず、以下の点に留意してください。

(1) 管理者以外がその携帯端末を利用できないようにする

パスワード、画像パターン、生体認証等の携帯端末のセキュリティー機能(ロック機能)を活用します。

(2) セキュリティーアプリを導入し、マルウェアや外部からの攻撃に対する防御策をとっておく

スマートフォンにセキュリティー対策アプリをインストールしていないユーザーが少なくありませんが、PCと同様、スマートフォンなどの携帯端末にもセキュリティー対策アプリは必須です。マルウェアの感染や、外部からの攻撃に対する備えをしてください。

(3) 遠隔操作で携帯端末を初期化できるようにする

多くの携帯端末用セキュリティー対策アプリには、携帯端末を紛失した場合に備えて、遠隔操作で携帯端末を初期化してしまう機能があります。また、携帯端末自身にそうした機能がある機種もあります。いずれの場合も、携帯端末を遠隔操作で初期化するための認証設定など、あらかじめ準備をしておかないと遠隔操作きません。万が一に備えて、Office 365 Adminの運用を始める前に、遠隔操作による初期化機能を使えるようにしてください。

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