第2回ではバイオマスの実用化に向けて設立されたビオストックの取り組みを紹介した。

ここまでで、NTT東日本が農業ICTに強くコミットしていること、あらゆるパートナーとの共創をもって農業現場にある課題解決に臨んでいることがお分かりいただけただろう。

最終回となる本稿では、同社の最新の取り組みとして、ドローンの社会実装とスマート農業の推進を掲げて設立されたNTT e-Drone Technologyの試みに迫りたい。

アグリビジネスをもっと豊かに――NTT東日本は日本の農業をどう変えるか?

【1回目】現場目線からICT活用の効果を生むために――農業専業会社NTTアグリテクノロジーの設立
【2回目】共創が農業に新しい風を生む――ビオストックを共同設立した狙い
【3回目】ドローンの社会実装がスマート農業を叶える――NTT e-Drone Technology誕生

万全の協業体制がドローンの社会実装を加速させる

ドローンビジネス市場が急速な拡大傾向にあることは周知のとおりだろう。農業は、数あるドローンの適用領域の中でも特に注目を集める領域で、2019年には農林水産省が「農業用ドローンの普及拡大に向けた官民協議会」を設置するなど、国を挙げてその社会実装が目指されている。

NTT e-Drone Technologyの設立は、この実現を期待させるものだ。設立にあたって登場したのは、通信技術に長けて農業ICTに対しても強いコミットを示すNTT東日本と、兼ねてより同社と密接に連携し農業におけるプレゼンスも強いAI・IoTプラットフォーマーのオプティム、累積約3万台ものドローンの販売実績を持ちドローンを熟知したワールドリンク&カンパニー(以下、スカイリンク)の3社。さらに、3社共同で設立されたNTT e-Drone Technologyの取り扱うのは、国産農薬散布ドローンのパイオニアともいえるエンルート社の製品「AC101」である。NTT e-Drone Technologyがエンルート社より事業譲与を受けて、ドローンの社会実装という命題を引き継いだ形であり、豊富なノウハウを持つ同社の始動によってスマート農業が加速していくことは想像に難くない。

  • ICT、ドローン、そして産業。この3つを繋ぐ3社が共同してドローンの社会実装を推進していくことが、NTT e-Drone Technologyのミッションとなる。

農業を基点にして、ドローンの社会実装を広げていく

NTTアグリテクノロジーやビオストックとは異なり、NTT e-Drone Technologyのビジネスフィールドは農業に限ってはいない。これは農業に限らずあらゆる産業においてドローンの社会実装が期待されていることを理由としている。

ただ、出資元の3社をみてわかるとおり、農業は、NTT e-Drone Technologyが第一にフォーカスする領域である。同社ではここでの実績を基点にし、他分野へと適用のフィールドを広げていく運びだ。

社会実装の基点として位置付けていることもあり、NTT e-Drone Technologyがたてる戦略には抜け目がない。

まずNTT東日本がこれまで培ってきた地域ネットワークをもとにして地域にあるニーズを収集。ここへ応えるためのソフトウェアを、農業用ドローンとAIをかけ合わせたビジネスモデルを既に確立しているオプティムが開発し、「AC101」へ実装する。そうして用意された「日本の圃場の特性に最適化したドローン」は、豊富な実績を持つスカイリンクによって販売される。それもただ販売して終わるのではなく、ドローンが農業の現場で有効活用されるよう、全国にサポートとスクールのネットワークを構築するというのだ。こうした一連の事業モデルからは、農業というフィールドへ確実にドローンを浸透させるという同社の強い意気込みが感じられる。

無論、社会実装の実現には出資元3社の力だけでなく、研究機関やドローン事業者といった地域のプレイヤーとの連携が必要になるだろう。同社ではオープンイノベーションを標榜しており、各組織との連携をもって、ドローンの社会実装を実現していく構えだ。

  • NTT e-Drone Technologyの事業モデル。

  • 同社の販売する「AC101」は、重量やサイズ、性能など様々な観点で、農業利用に適している。現場の課題解決につながる仕組みを常に持てるよう、NTT e-Drone Technologyではオープンイノベーションの方針のもと、継続的にサービス開発を行っていく構えだ。
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NTT e-Drone Technologyではこの春より順次、国産農業用ドローンのデモフライトを全国で行っていく。同取り組みをきっかけにして農業におけるドローン活用とその先にあるドローンの社会実装が進んでいくことが期待される。

強固なコミットとパートナーシップで、日本の農業を変えていく

NTTアグリテクノロジー、ビオストック、NTT e-Drone Technologyと、NTT東日本が設立した企業の取り組みとともに、アグリビジネスを豊かにするために同社がどんなアプローチを行っているかを紹介してきた。2019年に最初の会社が設立されてからまだ2年も経過していない(掲載時点2021年3月)のだから驚きだ。

ご覧いただいたように、NTT東日本のユニークなところは、農業への強いコミットと、パートナーシップによって現場を変えるというそのアプローチ方法にある。「農業に関わるあらゆる課題を、様々な企業との共創をもって解決に導いてくれる。」そんな期待が、NTT東日本に対して感じられる。

いまある農業の課題をなんとかしたい――NTT東日本はきっと、さまざまな農業経営体の持つ課題を解決をしてくれるだろう。

アグリビジネスをもっと豊かに――NTT東日本は日本の農業をどう変えるか?

【1回目】現場目線からICT活用の効果を生むために――農業専業会社NTTアグリテクノロジーの設立
【2回目】共創が農業に新しい風を生む――ビオストックを共同設立した狙い
【3回目】ドローンの社会実装がスマート農業を叶える――NTT e-Drone Technology誕生

【お問い合わせ先】NTT東日本(法人向けICT相談窓口):0120-765-000

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