文部科学省の「GIGA(Global and Innovation Gateway for All)スクール構想」が打ち出され、全国の自治体が、その構想に沿った教育ICT環境の整備に動き始めている。ネットワンシステムズは現在、ネットワーク構築に関する豊富な経験と知見、そして技術検証に基づきながら、GIGAスクール構想を支えるネットワークシステムの提案と構築支援のソリューションを提供している。そうした同社が構想する教育システムの近未来を紹介する。

先端技術による利便性と安全性の両立

「誰一人取り残すことのない、公正に個別最適化された学び」──。これは、GIGAスクール構想を打ち出した文部科学省が、ICTによって実現を目指している学校教育の姿だ。

そうした次世代教育に向けたシステムを実現すべく、ネットワンシステムズでは、『先端技術による利便性と安全性の両立』という大目標を掲げながら、下記の4つのソリューション提供に力を注いでいる。

①WAN回線の強靭化
②次世代ネットワーク(SINETサービス)の提供
③ICT/クラウドによる学力向上の支援
④情報セキュリティ対策

以下、それぞれのソリューションの概略について見ていきたい。

①WAN回線の強靭化

GIGAスクール構想により、1人1台の端末が配備されることで、クラウド型の学習系トラフィックが増加することが想定され、1カ所からインターネットへ抜ける従来型の構成ではレスポンス的にも遅延が発生しやすくなり、授業への影響が懸念される。ネットワンシステムズでは、さまざまな業種へ提供した豊富な実績を通じて培ってきたノウハウを生かし、SD-WAN(Software Defined-WAN)(*1)によるローカルブレイクアウト(*2)の実現により、柔軟かつ多彩な教育システム環境を提供していく。

*1:SD-WAN(Software Defined-WAN): ネットワーク機器やセキュリティ機器(ファイアウォールなど)、ネットワーク分離などの必要な機能をソフトウェアとして実現し、それを一つのパッケージとして提供することで、ポリシーベースでの一括管理を実現する技術。
*2:ローカルブレイクアウト:ここでは、SD-WANを活用してWAN回線を論理的に分離させ、学校から特定のクラウドサービスへのセキュアで直接的な接続を実現することを意味している。

②次世代ネットワーク(SINETサービス)の提供

ここで言う「次世代ネットワーク(SINETサービス)」の提供とは、AWS、Microsoft Azure、Google Cloud Platformといったクラウドサービスへの接続を、SINET(*3)を経由して、簡単に、かつ安心・安全・安価に実現する手段を提供することを指している。

「ネットワンシステムズでは2020年度(2021年3月期)中にすでに提供している「クラウドHUB」サービスにSINETを接続し、大学向けのSINET実証研究事業を通じて、その効果を測定する計画を進めています。この実証実験によって、SINETへの接続ノウハウが蓄積されていきます。それを教育システムの構築にも活かしていくというのが、私たちの考えです」と、ネットワンシステムズ カスタマーサービス本部 セキュリティサービス部 第3チーム シニアエキスパートの梅本 隆則氏は語る。

ネットワンシステムズ株式会社 カスタマーサービス本部 セキュリティサービス部 第3チーム シニアエキスパート 梅本 隆則氏

ネットワンシステムズ株式会社 カスタマーサービス本部 セキュリティサービス部 第3チーム シニアエキスパート 梅本 隆則氏

また、この実証実験で獲得したノウハウを活かして、SINET接続の自動化や、SINETを経由したクラウドへのスムーズな接続も実現していくという。さらに、ネットワンシステムズでは、某教育委員会とSINET接続の実証検証を行うことも予定している。

「この実証実験によって、クラウド上のデジタル教科書や校務クラウドサービス(グループウェア、など)をSINET経由で活用した際に、どの程度のトラフィック量が発生するかを把握することが可能になります。そのデータをネットワーク設計・構築の最適化に活かしていくつもりです」(梅本氏)

*3:SINET:Science Information NETworkの略称で、日本全国の大学、研究機関などが利用している学術情報ネットワークのこと。

③ICT/クラウドによる学力向上の支援

このソリューションは、学習系ベンダーとの協業を通じて、次世代教育システムの構築を支援していくというものだ。具体的には、クラウドなどに蓄積されていく児童・生徒の膨大な学びの記録(学習データ)を、ビッグデータ分析の技術やAI(人工知能)の技術を使いながら分析し、 “つまずき”の早期発見や可視化、ひいては学習指導の個別最適化に活かしていく。

さらに、これからの教育システムの基盤は、自治体・市町村のデータセンターとクラウドとのハイブリッド構成になる可能性が高い。

「そうなると問題になるのが、データセンターとクラウドの2つの基盤に、果たして、どのようなICTリソース/データをどう配置するのが適切かです。当社では、実際のプロジェクトや検証の積み重ねによって、そうした配置のノウハウを獲得していき、教育システムの最適化に活かしていく計画です」(梅本氏)

④情報セキュリティ対策

4つ目のソリューションである「情報セキュリティ対策」については、まず「ID統合管理システム」の構築に力を注ぐという。

「ID統合管理は、教育システムの情報セキュリティには必要不可欠な要素です。児童・生徒のIDと教職員のIDはしっかりと分けて管理することが必須ですし、ID/パスワードだけの認証ではセキュリティ対策的には不十分だと言えます。過去には、児童・生徒が教職員のID/パスワードを使ってシステムにアクセスし、情報漏洩、成績改ざんなどのセキュリティ事故が発生しており、教職員向けには多要素認証の技術を取り込み、教育(校務系)システムを安全・安心して利用できる環境整備が必要であると考えています」(梅本氏)

また併せて、学習系トラフィックの増大によりセキュリティ対策(ファイアウォール、プロキシー等の増強)、インターネット分離(学習系/校務系)などを考慮しながら、ファイル無害化や有害(フィッシング/スパム)メール対策、クラウドセキュリティ対策、システム運用管理支援、CASB(*4)サービス、セキュリティ監視・監査(MSS *5)、さらには、DR(災害時復旧)サイトやクラウドを活用したデータバックアップのソリューション、パンデミック対策・働き方改革における教職員のテレワーク/オンライン授業の環境整備も必要と考えている。

*4:CASB:Cloud Access Security Brokerの略称。複数のクラウドサービスとユーザー(のデータセンターなど)との間に単一の制御ポイントを設けて、クラウドサービスの利用状況を監視・制御する仕組みを指す。ネットワンシステムズでは、クラウドアクセス可視化サービスをリリース。(https://www.netone.co.jp/service/technology/cloudservice-cav/)
*5:MSS:Managed Security Service の略称。セキュリティ機器であるファイアウォールのログを、高度な分析スキルを備えたセキュリティアナリストが24時間365日リアルタイムで分析を行い、お客様に脅威がある攻撃を発見し、重大な影響があると判断した攻撃を遮断するセキュリティ監視サービスを指す。ネットワンシステムズでは、マネージド・セキュリティ・サービスをリリース。(https://www.netone.co.jp/service/lifecycle/mss/)

以上、4つの注力ソリューションによって実現される教育システムの未来をイメージ化すると、図1のようになる。

  • 図1:ネットワンシステムズ考える教育システムの未来(イメージ)

    図1:ネットワンシステムズ考える教育システムの未来(イメージ)

ご覧のとおり、学習系/校務系の支援ツールや遠隔教育用のコミュニケーションツール、教職員に向けたICT活用支援にはじまり、LAN/WANの構築、ネットワーク分離、SINETの活用、クラウドへの接続、さらには、情報セキュリティ、学習データ分析に至るまで、次世代教育システムの実現に必要なソリューションを包括的に、かつ実効性の高いかたちで提供することを、ネットワンシステムズでは目指している。

スマートスクールの実現を視野に

ネットワンシステムズではすでに、教育システムのさらなる発展形として、スマートスクールの構想も描き始めている。一例が、図2のイメージだ。

  • 図2:ネットワンシステムズが描くスマートスクール案

    図2:ネットワンシステムズが描くスマートスクール案

これは、前述した、児童・生徒の学習データを分析し、学びの個別化に活かすシステムの具体的なイメージでもある。データ分析を通じて、児童・生徒の“つまずき”を早期に発見・見える化し、学習指導の充実と、児童・生徒各人にとって最適な教育コンテンツの提供を実現していく次世代システムの例だ。

さらに、この構想を学校外へと押し広げていくことで、図3のようなスマートスクールのイメージも描けるという。

  • 図3:学びのデータと社会全体をつなぐスマートスクールのイメージ

    図3:学びのデータと社会全体をつなぐスマートスクールのイメージ

このように、児童・生徒各人の学習データを、情報セキュリティを確保しながら、小中学校や高校、さらには大学で共有することで、個々人に対する教育の品質を向上させていくことができる。また、大学や学校に提出する調査書類の申請や取得の手続きも簡素化され、業務効率が向上することも想定される。

ICT化することにより、海外の大学は高校、塾、クラウド上の学習系/校務系サービスとの連携も容易になる。これにより、児童・生徒各人の能力や希望に合わせた教育を一層充実させることができる。さらに、大学と企業との連携により、学生のキャリア支援も充実することになる。

「このようなスマートスクールのシステムを、ネットワンシステムズが独力で築けるとは考えていません。ただし、こうあってほしい、こうなるべきだという私たちの考えや想いは、ICTによって学校教育の未来を描こうとしている人たちと、多くの部分で共通していると考えています。これからも教育システムの理想を追求しながら、ソリューションに磨きをかけ、教育の発展に力を尽くしていきたいと願っています」(梅本氏)

>>ネットワンシステムズ「GIGAスクール構想」の実現

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