業務品質の向上や効率化、人手不足の解消など、AI(人工知能)に期待されることは数多い。だが実際に活用する段階になると、どの業務をAIに任せられるのか、既存のシステムにどう組み込んでいけばいいのかなど考えるべきことも多い。そうした疑問へのヒントとして、本稿では株式会社FRONTEO(フロンテオ)が開発・提供するAI、KIBITの導入・活用事例を紹介する。具体的な適用業務やそこでの効果を知れば、貴社での活用シーンをイメージしやすくなるかもしれない。

なおKIBITについての概要は、本稿に先立って掲載されている連載第1回(KIBITの開発経緯)、第2回(KIBITの特長とKIBIT搭載製品のラインナップなど)をご参照いただきたい。

作業時間42%削減の結果を出したFinTech活用例

まずはFinTechでの事例だ。2017年に金融庁は、「フィンテック企業や金融機関等が、前例のない実証実験を行おうとする際に抱きがちな躊躇・懸念を払拭するため」(金融庁サイトより)「FinTech実証実験ハブ」を設置した。この「FinTech実証実験ハブ」の支援案件として、FRONTEOは2018年、金融機関4社と共に実験を行った。内容は、業務記録を「人のみで確認した場合」と「KIBITを活用して確認した場合」の業務生産性を比較するものだ。

従来金融機関では、日々蓄積される膨大な記録データを担当者がチェックし、不適切な対応や、顧客の意見を検出するという方法が採られてきたが、実験ではこの業務KIBITで行った場合、KIBITの検出率は人と同等以上とされた。人が文章を読む時に働く暗黙知を再現できるということが、この実験でも証明されたかたちだ。さらに同じデータを処理するのに要した時間は、従来手法よりも42%短縮された。

この結果を受け、金融機関からは「今後のチェック業務においてさらに活用していきたい」との意向が示され、また金融庁からも「AIによる一次確認を介する運用を行うことに特段の問題はないと考えられる」との見解が発表されている。

参考:金融庁「FinTech実証実験ハブ」支援決定案件の実験結果について

採用業務の効率化や離職予兆検知など、HR領域でも貢献

KIBITはHR-Tech、つまり人事領域にも活用されている。ここではそのうちの2例を紹介しよう。一つ目は採用業務へのKIBIT利用例だ。新卒採用では、一斉に届く大量の応募書類から、短期間で良い人材を見極めることが必要とされ、膨大な工数、人による評価のズレ、人材ミスマッチなどの課題を抱える企業は少なくない。そこで、KIBITを活用し、選考のスピードアップ、客観的基準での評価、内定辞退や昇進の可能性を見極め、その会社に適した人材選出の支援を行っている。例えば、早く昇進したなどその企業で優秀と評価される社員が学生時代に書いたエントリーシートと、そうとは言えない社員のエントリーシートを教師データとしてKIBITに学習させる。そして、応募された学生のデータを分析、スコアリングすれば、「優秀人材」と類似の特徴を持つ応募者を選出することができるという。 昇進可能性以外にも、会社や職種への適性など、様々な軸を設定することができ、また人よりはるかにスピーディーに、基準のブレもなく評価することが可能だ。人の目だけでは落としていたかもしれない応募者が、KIBITの判定により次の選考に進み、結果、採用に至ったという事例もあったという。

  • エントリーシートから応募者のタイプや特性を読み取る

二つ目は、離職防止の施策としてKIBITを利用した事例だ。昨今では優秀な人材の定着を重要な課題とする企業も多いが、離職を考えている社員をいかに早くキャッチアップし、適切なフォローを行う事が出来るかが、離職防止のカギのひとつになる。KIBITは、『会社辞めようかな...』といった予兆を検知することで、離職率の低下にも貢献するという。

社員のコンディションを把握するため、会社や仕事への満足度や、業務の状況に点数をつけるようなアンケートをとっている企業もある。ただ、中には低い点数をつけにくいと感じる人もいるため、点数だけで判断すると離職の可能性を見逃してしまうこともある。 ある企業で面談記録をKIBITで分析したところ、アンケートでは点数が低くない群の中に、離職の可能性が高い人を発見し、その後人がフォローすることで離職を抑制することができた。近年はAIが人の仕事を奪うなどということが話題になるが、この事例はAIが人の働き方を良い方向へ持って行くためのサポートツールとなり得ることを示したと言えるだろう。

属人化や技術継承を解消する、KIBIT Find Answer

人手不足が進み、働き方改革や業務効率化への動きが強まっていますが、専門性の高いエキスパートへの確認や社内問い合わせが集中し、本来の業務の進行を妨げる、という状況もまだ減っているとは言えない。ナレッジの共有のため、社内インフラにFAQ用のポータルサイトを置いたり、AIチャットボットを導入したりするケースも増えているが、システムの構築やシナリオの作成やメンテナンスには、多くの手間と時間がかかってしまう。

こうした課題を解決するのが、KIBITを搭載したFAQシステム、Find Answer(ファインドアンサー)だ。質問と回答が含まれているテキストデータがある程度蓄積されていれば、すぐに運用を始めることが可能だ。Find Answerの質問入力欄に、自然文で質問入力するとKIBITがその文章を解析し、過去の質問データから類似したものを抽出、その回答を有力候補順に提示してくれる。

UIにはWebブラウザを用いているため、社内FAQとしての利用はもちろん、例えば機器保全の作業にも活用できる。現場にタブレットPCを持っていき、トラブルの症状を確認、それを質問として入力すれば、過去にベテラン社員が行った対処法が表示されるので、経験の浅い新人でも適切と思われる処置をとれるようになる。

  • 自然な表現で質問文を入力すれば、回答候補が瞬時に表示される

KIBIT Find Answerの詳細はこちら

以上、3回にわたって人工知能KIBITとその活用について紹介してきたが、すでにAIは具体的な活用フェーズに入っていることがお分かりいただけただろう。今以上にAIが当たり前に使われるようになる日も、そう遠くはない。

10月にリリースされた、次世代版のKIBIT G2では複数サーバによる並列処理による処理時間の短縮、機械学習アルゴリズムのカスタマイズ対応が発表されるなど、人工知能の本格的な実用化フェーズにむけKIBITもさらに、日々進化している。

この先もビジネスの土俵に残っているためには、それぞれの企業・組織が今からAIの活用方法を検討し、共存を図る道を探っておくことが重要だといえるだろう。

[PR]提供: FRONTEO