この連載では、ネットワークカメラのセットアップ方法を解説すると共に、利用方法や使い勝手についてもレポートしていきます。第一回から第四回までに、ネットギア製Arlo Q PlusとPanasonic製BB-ST162Aのセットアップや利用方法について解説しました。第五回の本項では、Axis製P1364のセットアップについて解説します。

1.P1364のネットワーク接続方法

 P1364は、Axis製のネットワークカメラです。Axisはスウェーデンに本社を構える企業で、ネットワークビデオ関連のグローバルリーダーとして確固たる地位を築いています。

  • Axis製のネットワークカメラ「P1364」

    Axis製のネットワークカメラ「P1364」

P1364は、ネットワークに接続する事でカメラの映像をパソコンやスマートフォンから見る事ができます。P1364のネットワークへの接続方法は、以下の2通りあります。

P1364はPoE(Power over Ethernet)をサポートしています。PoEとは、LANスイッチからツイストペアケーブル経由で電力を供給する仕組みです。

 PoEを利用すると、電源コンセントがない場所でもP1364を設置する事ができます。

2.PoE対応LANスイッチ

今回は、P1364をネットギア製LANスイッチGS108EPP、またはGS408EPPに接続して動作検証しています。この2つの製品はPoEに対応したLANスイッチで、複数台のP1364をツイストペアケーブルで接続してネットワークが可能になると共に、電力を供給する事ができます。ツイストペアケーブルの制限長は100mのため、離れた場所でも接続できます。

 LANスイッチの接続口はポートと呼ばれます。GS108EPPは赤枠部分がPoEに対応しているため、P1364は1~4番目のポートに接続します。GS408EPPは、全てのポートがPoEに対応しているため、いずれのポートにも接続できます。GS108EPPやGS408EPP側の設定は不要です。ツイストペアケーブルで接続するとP1364が起動し、本体のLEDが点灯します。

3.AXIS IP Utility

 パソコンとP1364がネットワークで接続されていれば、パソコンからP1364にログインして映像を見たり設定変更したりできます。簡単にログインするためには、「AXIS IP Utility」を利用します。「AXIS IP Utility」は、https://www.axis.com/jp/ja/support/downloads/axis-ip-utilityからダウンロードします。ダウロードしたzipファイルを解凍してIPUtility.exeを実行すると、以下の画面が表示されます。「ユーザーアカウント制御」が表示された場合、「はい」をクリックします。

「同意する」をクリックすると、以下の画面が表示されます。ファイアウォールのブロックに関する表示があった場合、「アクセスを許可する」をクリックします。

赤枠部分にネットワークカメラの名前やIPアドレス等が表示されます。P1364は、デフォルトではDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)によりIPアドレスを自動取得します。IPアドレスは住所のような役目をしており、通信するために必須です。DHCPにより取得できない場合は、192.168.0.90が設定されます。このため、上記のIPアドレス欄が192.168.0.90以外になっている場合、DCHPによりIPアドレスが取得されています。DHCPが利用できずにIPアドレスが192.168.0.90になっている場合、ネットワーク環境に合わせてIPアドレスの変更が必要です。赤枠のように対象カメラを選択し、青枠のアイコンをクリックすると以下の画面が表示されるため、IPアドレス等を変更可能です。

赤枠のように「次のIPアドレスを設定」を選択し、青枠部分でIPアドレス等を入力後、「OK」をクリックすると設定が反映されます。利用できるIPアドレス等は、ネットワークの管理者に確認が必要です。

4.ログイン時のセットアップ

IP1364の初期セットアップ方法です。まずは、「AXIS IP Utility」を利用してログインします。

赤枠部分のようにログインしたいネットワークカメラを選択し、青枠のアイコンをクリックするとブラウザが起動します。文字化けが発生する場合は、Internet Explorerを利用してみてください。

管理者用のユーザー名はrootです。rootのパスワードを設定するため、赤枠部分に2回入力して「OK」をクリックします。ユーザー名とパスワードを入力するポップアップが表示されるため、ユーザー名を「root」にし、今設定したパスワードを入力してログインすると、以下の画面が表示されます。

 これ以降、デフォルトの言語が英語になります。日本語にしたい場合、赤枠部分をクリックすると日本語向けファイルがダウンロードできます。ダウンロード後に表示される画面で「参照...」をクリックし、ダウンロードしたファイルを選択して「続行する」をクリックすると、日本語対応できます。この後、幾つかの設定があり、いずれも「OK」をクリックして進むと、アドオン(ブラウザの拡張機能)のインストールを促されます。クリックしてインストールした後に、ライブ映像の画面が表示されます。ライブ映像は、この時点ではピントが合ってないので、フォーカスの設定が必要です。設定は、「設定」→「基本設定」→「5.フォーカス」で行います。

 以下の通り、表示された順番で設定を行います。

 1.「絞りを開く」をクリックします。  2.フォーカスの設定をした事がある場合は、「元に戻す」をクリックします。  3.フォーカスリング固定ネジを反時計回りに回して緩め、画面を見ながらズーム調節レバーとフォーカスリングを動かして調整します。終わったら、フォーカスリング固定ネジを締め直します。  4.「フォーカスの微調整は自動的に行われます」をクリックします。  5.「絞りを有効にする」をクリックします。

 フォーカスリング固定ネジ、ズーム調節レバー、フォーカスリングは、以下の位置にあります。

 多少ピントが合っていない場合でも、「フォーカスの微調整は自動的に行われます」をクリックすると、以下のようにピントが合うようになります。

音声を使う場合、「4 ビデオストリーム」→「音声」で設定します。

「音声を使用する」にチェックを入れて「保存」をクリックすると、マイクから拾った音が聞こえるようになります。音が小さい場合、「6 音声の設定」で「入力ゲイン」を大きくしてみてください。なお、ライブ映像の画面では、AACデコーダーのインストールを促される場合があるため、案内に従ってインストールします。また、IPアドレスがわかっている場合、「AXIS IP Utility」を使わずにブラウザを起動して、アドレス欄にIPアドレスを入力してもログインできます。

5.おわりに

今回、GS108EPPとGS408EPPのPoE機能を使って、P1364の映像を問題なく見る事ができました。P1364は、PoE対応LANスイッチを利用すると、電源コンセントがない場所でも簡単に設置が可能になります。また、「AXIS IP Utility」を利用すれば、簡単にログインしてライブ映像を見る事ができます。

のびきよ

2004 年に「ネットワーク入門サイト」を立ち上げ、初心者にも分かりやすいようネットワーク全般の技術解説を掲載中。著書に『短期集中! CCNA Routing and Switching/CCENT教本』、『ネットワーク運用管理の教科書』(マイナビ出版)がある。

次回は、P1364の利用方法について解説します。

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