『3分でわかるIoT関連用語集』、今月は既に言葉だけならほとんどの方が知っているであろう「ブロックチェーン」を取りあげる。

巨額盗難事件が相次いだ"ビットコイン"との紐づけが強いためかネガティブに語られることもあるブロックチェーンだが、今回はIoTとの関わりに着目して、ビジネスシーンにおける有効活用の可能性を探ってみたい。

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ブロックチェーン

<一般的なブロックチェーン>

Wikipediaによればブロックチェーンとは、『分散型台帳技術、または、分散型ネットワークである。ビットコインの中核技術(サトシ・ナカモトが開発)を原型とするデータベースである。ブロックと呼ばれる順序付けられたレコードの連続的に増加するリストを持つ。各ブロックには、タイムスタンプと前のブロックへのリンクが含まれている。理論上、一度記録すると、ブロック内のデータを遡及的に変更することはできない。ブロックチェーンデータベースは、Peer to Peerネットワークと分散型タイムスタンプサーバーの使用により、自律的に管理される』(引用:「ECU」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』2018年9月25日 (月) 18:00)

註)Peer to Peerネットワーク:Peerとは英語で対等の仲間の意。日本語ではピア・ツー・ピアや端的にP2Pと表現されるのが一般的。複数の端末間で通信を行い、その関係が対等である関係性からきている。対比される関係に上下があるものはクライアント=サーバ方式。

<ブロックチェーンとIoT>

その特徴である「順序づけ」からは「時系列につながっているため改ざんが困難」といった特性が、「中心となるサーバが不要」からは「分散しているためダウンタイムがすくない、安価に運用可能」、「連続している」ことから「トレースが可能」というメリットが生じる。加えて、ビットコインを成立せしめた「対価が払える」という特徴をもってこの仕組みは、IoT、特にビジネス分野でのIoTとの結びつきの可能性を一気に高めたといえそうだ。IoTといえば時に、大量のデータや長時間にわたるトランザクションの記録といったニーズがイメージされると思うが、たとえば人工知能の分野で膨大な検証データを集めたい、産業分野において時系列で大量のデータを取り扱いたい、製造業で一定条件における多種多様なサンプルを収集したい、などのビジネスニーズはまさに、ブロックチェーンと相性良くフィットしそうである。

<ブロックチェーンとセキュリティ>

巨額盗難事件が相次いだため、一時期はセキュリティ侵害への耐性に強い懸念がもたれたこともあったビットコインであったが、ブロックチェーンの特性として改ざんがほぼ不可能であることに加えて、中央集権型ではないがゆえに、シングルポイントへの攻撃や単一のセキュリティ障害によるIoTデバイス全体への物理的なリスクを軽減しうるのではないかという考え方もある。まだ発展途上の技術であるといわれがちなブロックチェーンではあるが、メリットも非常に大きく、今後の研究や実施実験においてうまくIoTと連係させる未来には、なんらかの可能性が見える。

参考:Wikipedia「ブロックチェーン」

ブロックチェーンは、まだそれ自体がきちんとした定義がなされていない場合もあり、ビジネスシーンでの活用も手探りなところが多い。しかし、世界に目を向けると土地の登記や出入国管理など、高い機密性と公平性を必要とするシーンを中心に徐々に導入は拡がりつつある。

単なるビットコインの中核技術ということだけでなく、さらに活用の場が拡がることが予想されるブロックチェーン。前述したように「改ざんが困難」、「トレースが可能」といったメリットはIoTとも密に関連する可能性を秘めていることから、今後もブロックチェーンの動向には目が離せないこととなるだろう。

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提供:【アヴネット株式会社】
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