リハビリテーション専門家を養成する「社会医学技術学院」

社会医学技術学院は、1973年に国内で初めて夜間部の理学療法士養成校として創設されて以来、3,500人以上の理学療法士・作業療法士を社会に送り出してきた専門学校だ。現在の理学療法学科は昼間部と夜間部、作業療法学科は夜間部の体制で、毎年400人以上が医療現場で活かせる実践的な教育を受けている。

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社会に広く必要とされるリハビリテーションの担い手を育成する専門学校として、同学院では2018年頃から授業へのICT活用に取り組んでいたという。「もともとはeラーニング活用に向けてデジタル教材の導入などを考えていました。2018年に教育関連のIT展示会でG Suite for Educationに出会い、まずはG Suite for Educationの申請・許可を経て1クラス分のアカウントを作成して試用したものの、そのときは本格的な講義での活用には至りませんでした」と語るのは教務係である青柳圭祐氏だ。

学生のサポートを念頭に試行錯誤を重ねる中、G Suite for Education導入支援の必要性を感じていたところに出会ったのがサテライトオフィスだったという。「ドメインの切り分けなどで自力構築の難しさを感じていたところにサテライトオフィスの支援を受け、無事に導入することができました」と青柳氏は振り返る。

G Suite for Educationアカウント配布からスタートしたオンライン授業

青柳圭祐氏

学校法人 日本リハビリテーション学舎
専門学校 社会医学技術学院
教務係 青柳圭祐氏

本格的な活用が進んだのは新型コロナウイルスの感染拡大がきっかけだった。2019年度の卒業式は小規模で開催したものの、2020年4月からは授業のオンライン化が求められたのだ。

「最初はeラーニング教材利用も検討しましたが、コストの事情からG Suite for Educationの活用を進めることになりました。しかし全体的に準備の時間が足りませんでしたね。これまでシステムに関わってこなかった教員にとってははじめての試みだったので、段取りの把握や準備などをすべて1週間でこなし、オンライン授業を開始することになりました。このとき、サテライトオフィスにレクチャーをお願いしたところ、動画の撮影方法から教えてもらい、とても助かりました」と青柳氏は語る。

学生向けにも、本来は年度はじめのオリエンテーションでアカウント配布や登録方法について説明するはずだったが、慣れないオンラインで対応することになったため、サポートの負担も大きかったという。

「G Suite for Educationアカウントの使い方からの指導でしたから、1カ月くらいはサポートが大変でした。たとえば授業を視聴できないという問い合わせがあり、確認したところ本来は学校から配布されたアカウントを使うべきところを個人のGoogleアカウントでログインしている、など初歩的なミスがよくありましたね」と青柳氏。

理学療法学科 教員の福田崇氏も「不慣れな授業準備と学生サポートで業務とプライベートの境目が曖昧になってしまった時期もあります。G Suite for Education のツールの中ではGoogleフォームが学生の回答率が高く、トラブルが少なかったので、課題の受付をフォームにするなど、まずできることから始めていきました。教員側もClassroomを利用するのははじめてなので、基本的なことがわからず失敗したこともあります」と語る。

ホームルーム単位や科目ごとにClassroomを作成し、ホームルームのClassroomでは全体的な案内や時間割を提示するなど、教員・学生共にわかりやすく運用できるように工夫を凝らした。またClassroom上で提出状況のモニタリングを行うことで未提出者を洗い出しやすくなったという。「学生アンケートを実施したときに、Classroomを利用すると課題のような感覚になるのか、メールより早く回答が集まりました」と青柳氏は授業だけではないオンライン活用についても語った。

あえてオンデマンドを選択! 手持ちのスマートフォンで自己学習

福田崇氏

学校法人 日本リハビリテーション学舎
専門学校 社会医学技術学院
理学療法学科教員・理学療法士
福田崇氏

社会医学技術学院では、在籍する学生の生活環境やライフスタイルを考慮したうえで、全ての授業をリアルタイムではなく、録画した授業動画を利用したオンデマンド型の自己学習にしている。高校卒業したての学生から、社会人学生まで幅広い層が在籍しており、IT知識や環境もさまざまだ。そのような背景から、学生に向けたアンケートを実施し、PCを保有しない学生がいることを把握したうえで、個人所有のタブレット端末やスマートフォンを利用して受講できるオンデマンド授業形式を採用することにしたという。

小さなスマートフォンの画面でも問題なく視聴できることや、通信量の負担が少ないことなどから、YouTubeの限定配信機能を利用したオンデマンド授業を実施。学生は自身の時間割に合わせて必要な授業動画を視聴するというわけだ。

「理学療法学科も作業療法学科も実技と座学の授業があります。また医学的な分野については高校までにほとんど学ぶことなく入学されるため、学習量もかなり多くなります。オンデマンド授業動画を予習復習にも役立ててもらいつつ、登校できるときに実技の授業を行いました」と福田氏は語る。

夜間部では働きながら通学する学生も多いが、決められた時間に授業を受ける通常授業時よりも、オンデマンド授業は自分の都合がよい時間に授業を受けられるため融通がきくという声もあったという。

「通常授業やリアルタイムのオンライン授業と比較して、オンデマンドでは繰り返し視聴できるので理解を深めやすいという声もありました。オンデマンドならではの特徴を押さえて上手く活用できました」と、オンライン授業が学習面でプラスになる面もあったと語るのは作業療法学科 教員の河野崇氏だ。

こうした工夫と手厚いサポートによって、同学院では4月の2週目からオンライン授業を開始。徐々に対応科目を増やし、4月末から5月はじめにかけてほとんどの授業をオンライン化することができたという。結果として、7月末までの前期で予定していた授業をほぼ完了させることができ、予定通りに試験が行われた。

オンライン授業での著作権配慮や医学系教材の繊細な扱いに課題

河野崇氏

学校法人 日本リハビリテーション学舎
専門学校 社会医学技術学院
作業療法学科教員・作業療法士
河野崇氏

すでに9月からは登校できる環境になり、通常時よりも広い教室を利用したり、2教室に分けて片方はオンライン学習にしたりなど工夫を重ねている。コロナ禍への緊急対応を終えていったん落ち着いた状態ではあるが、苦労した部分として挙げられたのは権利面での対応だ。

「現在でこそオンライン授業のノウハウを公開する大学等が増えてきましたが、当時はほとんど情報がありませんでした。そのため、授業での利用が許可されている教材をオンラインでも利用できるかどうかわからないなど、権利面での課題も気になりました」と福田氏は振り返る。

著作権法では学校教育での利用について認められている範囲がある。しかし教材提供元によってはオンライン学習についての規約が存在しない。また、医学系の教材だからこその課題もあったという。

「動画教材には患者さんが映っているものもあり、学校内での利用は許可されていてもオンライン授業での利用については、個人情報やプライバシー面での課題があります。YouTubeの限定配信はURLを知っていれば視聴可能なので、URLを漏らしたり、画面をキャプチャしたりしないように指導を行いました」と河野氏は医療系専門学校ならではの指導について語った。

教材の一部に教員がモザイク処理を行うなど工夫しつつ、リスクが高いものについてはYouTubeを利用せず、登校可能になってから学校で見せるようにしたという。

将来的には1人1台のChromebookをめざしICT活用を推進中

社会医学技術学院では、Chromebookの導入も行っている。事前アンケートにおいてスマートフォンで授業を受けざるを得ないと答えた学生への貸し出し端末として50台を確保した。

「後期は対面授業も増えているのですが、将来的には1人1台用意したいですね。たとえば医学の教科書はかなり分厚いのですが、これをデジタル教材で代用できれば、学生の負担も軽減できます」と青柳氏は語る。

端末の配備を進める一方で、オンライン授業のさらなる活用も検討されている。「リアルタイムでのオンライン授業の実施を検討したり、通学できることもふまえて科目ごとに効果的な手法を模索したり、さらなる見直しをかけているところです」と河野氏。準備不足な中でオンライン授業に突入したが、今後はクオリティ向上を目指したいという。

また、学生サポートの負担が大きくなっていることから、今後はAIチャットボット導入など対応の簡便化も図ろうとするなど、ICT活用の拡大に積極的だ。「サテライトオフィスには技術面でいろいろと頼っていますし、導入時のclassroom一括登録も助かりました。工数のかかる作業もサポートもしてくれますし、サービスやアドオンの存在もありがたいですね。今後もぜひ力になってほしいと思っています」と青柳氏は語った。

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監修:原口 豊(はらぐち・ゆたか)

大手証券会社システム部に在籍後、1998年、サテライトオフィス(旧ベイテックシステムズ)を設立。2008年、いち早くクラウドコンピューティングの可能性に注目し、サービスの提供を開始。Google Workspace(旧称:G Suite)の導入やアドオンの提供で、これまで実績4万社以上。「サテライトオフィス」ブランドでクラウドサービスの普及に尽力している。

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