デジタルデータの増加に伴い、それを保存・共有するためのファイルサーバのへの要求は高まるばかりとなっている。管理するデータが増えれば増えるほど、管理コストや管理工数は増していき、円滑に、効率的にファイルサーバを管理するためにはどうすれば良いのか、これを課題としている企業も多いのではないだろうか。

本連載では、ファイルサーバ管理の基本的な考え方から、ソリューションによる管理の実践までを、3回の連載で紹介する。

ファイルサーバとは、主な4つの用途

はじめにファイルサーバとは何かに触れたい。ファイルサーバは、LANなどのネットワーク上にファイルを保存・共有するために設置するサーバのことを指し、主な用途としては、以下の4つがあげられる。

① ネットワーク内の社員間におけるファイルの共有

② ローカルディスクでは保存しきれないファイルの保存

③ ファイルのバックアップ

④ PCのリプレース、システム移行の際のファイルの保管

NASやファイル共有サービスのとの違いは?

次にファイルの保存・共有という観点から、よくファイルサーバと比較されるNAS、ファイル共有サービスについても触れてみたい。

NAS(Network Attached Storage)は、上記で触れたファイルサーバの用途のうち、ファイルの共有と保存の2つに特化したアプライアンス製品のことを指す場合が多く、ストレージの名が示す通り、単なる入れ物と捉えれば、"USBドライブや外付けディスクの延長"として手軽に使用できるものといえる。

しかし、ユーザー設定や格納されたファイルへのアクセス制限をOS側で行うファイルサーバとは管理の面で大きく異なり、導入の手軽さゆえの無造作な拡張がデータ管理の煩雑化、さらにそこに介在してくるセキュリティ上のリスクの増大など、ファイルサーバと比較した際、管理における欠点がNASには存在する。

  • ファイルサーバ管理術_第1回_002

つづいて、ファイル共有サービスについてだが、これもファイルサーバと同じようにファイルを共有・保存できるという点では同じであり、クラウドのメリットとして、社内社外を問わず、どこからでもアクセスできることにある。これにより、社外の人とファイルの共有を行うことができたり、大容量ファイルを保存したり、バックアップとして利用したりできる。加えてファイルの同時編集など、クラウドならではの機能も提供されている。

ただ、ファイル共有サービスは、Webブラウザを通したファイル管理を行うため、たとえば、WindowsのExplorerとまったく同じ操作体系にはならず、ファイルを開く際にはローカルにダウンロードする必要があったり、アクセス権限をローカルディスクとは別に設定する必要があったりするという点から、ユーザーの操作上におけるリスク(データを消去してしまうなど)が欠点としてあげられる。

  • ファイルサーバ管理術_第1回_003

ファイルサーバのメリットは「データマネジメント」にある

では、NASやクラウドではなく、ファイルサーバを利用するメリットとは何だろうか。

これは、先にも少し触れたが、格納されたデータの管理をOS側で行うことにある。特に多くの企業で採用されているWindows環境下においては、以下のようなメリットがある。

① AD(Active Directory)と連携したユーザー管理

② ACL(Access Control List)によるアクセス制御

③ Windows環境下における利用のしやすさ(Explorerでの利用)

つまり、管理者にとって操作に慣れたOS上でファイルサーバの管理を行うことができるため、格納されたデータを安全に、かつ安心して管理することができるのである。また、Windowsに限った話ではあるが、高機能だが専用のOSを必要とするHCIやLinux系のファイルサーバに対し、大多数の企業が採用するWindowsであれば、大抵の情報はネット検索でも手に入ることもメリットになるだろう。

OS側でのデータ管理は、柔軟性と拡張性の高さにもつながる。NASはアプライアンスであるため、NASを管理しているOSや筐体の制約を受けやすく、容量を増やすためにディスクを追加しようと思ってもドライブベイに限りがあったりする。なかには、WindowsベースのNASもあるが、アプライアンスであることで、サーバ機能に制限がつくこともある。たとえば、社内にある数十台のNASを統合してデータを一元管理したいと思ってもできないことが多い。だが、ファイルサーバであれば、アプライアンスの影響を受けずに、柔軟に構成を変更したり、カスタマイズを施したりすることであらゆるケースに対応することができる。

さらに、セキュリティ、ガバナンス、コンプライアンスといった面からの管理性の高さもファイルサーバのメリットとしてあげられる。製造データや医療データなどは、内部監査や外部監査でファイルへのアクセスログなどをきちんと取得し、だれがいつどのデータを操作したかをわかるようにしておくことが求められる。ファイルサーバは、上述したOS側でのデータ監視によりアクセスログの取得、監査への対応などを柔軟に実施することができる。

このように、ファイルサーバのメリットは格納されたデータの「マネジメント」にこそある。データを業務に求められるかたちで適切に管理し、業務の実態やニーズにあわせて柔軟に展開、拡張するわけだ。そして、しっかりしたデータマネジメントのためには、しっかりした「ファイルサーバ管理」が重要になってくるということだ。

もっとも、ファイルサーバを管理する場合、さまざまな課題がでてくる。それが落とし穴になり、本来のメリットを行かせないケースも出てくるだろう。次回は、ファイルサーバ管理の落とし穴、盲点について、整理していくことにする。

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