NEXCO東日本の「高速道路事業を通したSDGs/CSRへの取り組み」をお届けしている当連載。第8回の今回は、2023年9月に事業化された長野県「上信越自動車道 屋代スマートIC(仮称)」を軸として展開する「NEXCO東日本版MaaS*」をクローズアップします。地域の活性化に想いを寄せる長野県千曲市の職員の方々と、NEXCO東日本の社員の皆さんが総勢27名で行ったワークショップに潜入! SDGsとCSRを意識した“未来のまちづくり”のアイデア創出の様子を見学し、ワークショップ後に実施したインタビューでは、双方が協力し合うことの相乗効果と地域への想いを伺いました!
*MaaS……「Mobility-as-a-Service」
日本版MaaSは、地域住民や旅行者一人ひとりのトリップ単位での移動ニーズに対応して、複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済などを一括で行うサービスのこと。観光や医療などの目的地における交通以外のサービスなどとの連携により、移動の利便性向上や地域の課題解決にも資する重要な手段となるもの。
(出展:国土交通省HP「日本版MaaS」の推進)
NEXCO東日本版MaaSでは、自治体、地域の事業者との連携を強化し、3者がそれぞれのメリットを提供しながら地域社会の課題解決(域内交通の改善や観光振興等)につなげる取り組みを推進。あわせて、この取り組みを地域連携への意識醸成や人材育成につなげています。この記事では「上信越自動車道 屋代スマートIC(仮称)」事業を通じ、千曲市と協働・共創しながら地域の持続可能性に取り組むNEXCO東日本グループの姿を描きます。
・長野工事事務所……上信越自動車道(若穂スマートIC(仮称)・屋代スマートIC(仮称))の新設工事と、上信越自動車道(富岡IC~信濃町IC)と長野自動車道(安曇野IC~更埴JCT)の改築工事を担当。
・長野管理事務所……上信越自動車道(松井田妙義IC~信濃町IC)、長野自動車道(安曇野IC~更埴JCT)、中部横断自動車道(小諸御影料金所~佐久小諸JCT)の維持管理・料金サービスを行っている。

・伊藤孝雄さん:2024年より、千曲市からNEXCO東日本長野工事事務所へ出向。「屋代スマートIC(仮称)」事業において、自治体とNEXCOがスムーズに連携を取れるよう調整役を担っている。
・長谷川諒さん:2025年入社。長野工事事務所にて橋梁改良第二工事区を担当。
・服部侑志さん:2024年入社。長野管理事務所にて舗装工事の管理を担当。
・小出奈知さん:2025年入社。長野管理事務所にて工務を担当。
・山岸愛さん:2023年入社。新潟支社総合企画部 経理財務センター経理サービス課を経て、現在は長野工事事務所 庶務課に所属。
ワークショップで活発に意見交換! 千曲市職員との密接な連携
――本日のワークショップは、活気があって圧倒されました! まずは、参加した感想をお聞かせください。
小出さん:はじめは、ワークショップって何をするんだろう? と、わからないことだらけでした(笑)。ただ、専門分野が違う方々とひとつの地域について真剣に話し合う機会は刺激が多く、入社1年目で貴重な経験ができました。
長谷川さん:自分の出身地は関東で、初任地で長野に来ました。ワークショップのはじめはこの地域についての知識が少なかったのですが、回を重ねるごとに千曲市に関する理解がどんどん深まって大変勉強になりました。
山岸さん:「NEXCO東日本版MaaS」を考えるにあたって、千曲市の地域資源を使ってどこまで集客できるのかを考えることが難しかったです。そのうえで、事業の仕組みをいろいろと学べて勉強になりました。
服部さん:最初は事業案についてイメージがまったく湧かなかったのですが、どのように発想していくのか学んでいくうちに、考えられることも増えてどんどん前のめりになっていきました。それから、自分はふだん工事管理の仕事をしていますが、このワークショップを通じて社内の他の職種の人たちと触れ合えたことも嬉しかったです。視野が広がりましたし発見も多くありました。
伊藤さん:ワークショップは今年7月から3回にわたり行われました。この3ヵ月間は、NEXCO東日本の皆さんの地域への強い想いに触れて心動かされることばかりでした。
――この企画は、どのような経緯でスタートしたのですか?
伊藤さん:現在、千曲市屋代でスマートインターチェンジの事業が行われています。この事業は、必要な用地の確保や周辺地域の方々との調整などを千曲市が担当し、スマートインターチェンジの建設工事をNEXCO東日本が担当します。
伊藤さん:私は1年半前に千曲市からNEXCO東日本の長野工事事務所に出向してきまして、双方の役割分担やスケジュール調整などを担っておりましたが、そのなかで双方の職員がアイデアや意見交換を行うワークショップ形式で「NEXCO東日本版MaaS」として進めてはどうかという案が上がりました。
地域貢献活動の様々なかたちNEXCO東日本のSDGs/CSR
質の高い議論ができたのはコミュニケーションを重ねたから
――3回にわたるワークショップを通じて、特に印象的だったことを教えてください。
小出さん:今まで高速道路のインターチェンジは完成しているものしか見たことがなかったので、「これからここにスマートインターチェンジができますよ」と言われても、どういう段階を経て出来上がっていくのか想像がつきませんでした。ただ、今回のワークショップを通してゼロの状態から高速道路やインターチェンジが出来上がるまでの流れを学ぶことができました。また、地域の方々との結びつきを大事にしながら建設されていると知ることができた点も強く印象に残っています。
長谷川さん:初回のワークショップが終わった後に参加者全員で懇親を深めたのですが、そこで趣味や仕事の話を交わした時間は互いを知るうえでとても有意義でした。このときの交流があったからこそ、計3回のワークショップでは議論をしっかり重ねられたと思っています。
山岸さん:皆さんのワークショップにかける熱量がすごくて、尊敬の気持ちを抱きました。真剣に議論に取り組んでいる人たちと交流できた今回のワークショップは刺激的でした。
服部さん:千曲市についていろいろと教えていただいたことが、とても新鮮でした。春にあんずの花が満開になる「あんずの里」を視察した際に、その近くにあるあんずの直売所で「あんずエード」というジュースを飲んだのですが、これがとても美味しくて驚きました。実際に現地に触れたことで意見交換の幅が広がりました。
伊藤さん:市内を巡った際は、皆さん目をキラキラさせていましたよね。「あんずエード」や「あんずソフト」を試していただき、大変喜んでいただけました。また、千曲市には食だけではなく景観が美しい場所もたくさんあります。これがなかなか思うように広まらなくて、でも千曲市の魅力を広めたい思いが皆さん強くて。それこそ、県外には千曲市のことを「ちくま」ではなく「せんまがり」と読まれるような方も多いと聞きます。私にとっては、ワークショップをきっかけに、NEXCO東日本の皆さんが千曲市のことを好きになってくれたことが感無量です。
――伊藤さんに伺います。出向したことで感じられた、NEXCO東日本の印象を教えていただけますか?
伊藤さん:まず、私が出向しているのは屋代スマートIC事業をよりよいものにしようという背景からですが、市役所の職員が民間企業に出向するケースは千曲市では非常に珍しいことです。そのため、着任前はわからないことが多く、高速道路の運営と管理に専念されていて、地域とは少し距離のある会社なのかなと。今思うと誤ったイメージをNEXCO東日本に抱いていました。
伊藤さん:実際は地域貢献への気持ちが非常に高く、驚かされることばかりでした。たとえば、今日のワークショップの席には参加者以外の社員の方々も遠方からわざわざ足を運んでくださるなど、地域のためにこんなに真剣に取り組んでくださる組織なのだなと。出向したからこそわかったことがたくさんあります。
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「道路を造ったら終わり」ではない――将来の地域貢献も見据えて
――今回のワークショップでの経験を踏まえて、SDGsとCSRの観点から新たに意識したことがあれば教えてください。
山岸さん:SDGsとCSRに関しては今まで勉強不足だったのですが、今回ワークショップで多くを学んだので、今後はそのことを仕事に活かしていきたいです。たとえば、イベントで地域の皆様に向けて工事事務所や工事の概要を説明する機会があるのですが、今後はそこで地域貢献への想いをさらにわかりやすくお伝えするなど、気をつけながら取り組みます。
長谷川さん:私は橋梁の改良工事を担当していて、通常業務そのもので地域に貢献できていると感じていました。ただ、その道路を使っていただいた先にある観光について考えたのは今回のワークショップが初めてです。 これからは道路を造るだけではなく、その後に利用する方々のことも視野に入れていきたいです。
――それでは最後に、皆さんの今後の抱負をお聞かせください。
小出さん:今まで諸先輩方が造ってくださった高速道路は、自治体や工事に携わる企業の方々とともに力を合わせた結果だということを念頭に置いて仕事に励みたいです。そして、そのことを後世にも伝えていきたいです。
山岸さん:将来は職場で指導をしていく立場になると思うので、後輩や部下にSDGsやCSRの大切さを伝えられる人を目指したいです。
長谷川さん:今回のワークショップでは千曲市と長野県の魅力をたくさん知ることができました。それと同じように、自分が将来長野を離れて別の地域に行くとしても、まずはその土地の魅力を知りたいです。そうすれば、そこで得た情報を業務に活かせて仕事にさらにやりがいを見出せると思うので。このことに気づけたワークショップは自分にとって大きな経験でした。
服部さん:NEXCO東日本と地域とのつながりは大きいのだと今回のワークショップを通して改めて感じました。自分が行っている主な業務は舗装工事の管理なので、地域の皆さんと関わることはほとんどないのですが、今後そういう機会があれば積極的に関わっていきたいです。
伊藤さん:私はいずれNEXCO東日本さんを離れ、千曲市役所に戻ることになりますが、市役所と民間企業をつなげる経験やこうした活動の良さを同僚へ広めていこうと思います。そのうえで、他の地域の方々から「千曲市はいろいろなことをやっていておもしろいね」「魅力的だね」と思っていただけるような市をつくっていきたいです。NEXCO東日本さんが千曲市のことを真剣に考えてくださり、学ばせていただくことが多かったので、そのような考えを抱くようになりました。今回の経験は自分にとってそれほど濃密でした。
地域をよくするために自治体と協働・共創
・自治体の職員がNEXCO東日本に出向し、MaaS事業で連携
・地域貢献のため、自治体と協働でワークショップを開催
・地域活性化に向け、自治体とともに事業案を創出
・若手社員も“未来のまちづくり”を考案し、地域理解を深める 自治体とともに地域をつくる
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