愛知県田原市を拠点とし、花き、青果、畜産を中心に多くの農畜産物を供給する、愛知みなみ農業協同組合。「農家の安定経営」を方針に掲げる同組合は、組合員から高い信頼を得るとともに、全国トップ クラスの販売取扱高を誇っています。

愛知みなみ農業協同組合

農家の安定経営を支えるためには、組合自体の事業継続性が担保されねばなりません。愛知みなみ農業協同組合は、自然災害の発生といった緊急時においても農家の支援を継続できるよう、従来オンプレミスで運用していた IT 基盤の見直しを実施。優れた信頼性とセキュリティを評価し、Microsoft Azure によるハイブリッド クラウド環境の構築を決定しました。2016 年 9 月から稼動を開始した新たな IT 基盤は、事業継続性やセキュリティ レベルの向上に加え、運用工数とコストの大幅な削減をもたらしています。

プロファイル

2001 年 4 月に、現在の愛知県田原市を拠点とする 3 農協 (JA田原町、JA赤羽根町、JA愛知渥美町) が合併して誕生した愛知みなみ農業協同組合 (JA愛知みなみ)。愛知県の南部、渥美半島一円を管内とする同組合は、花き、青果、畜産を中心に特色ある農畜産物を供給し、販売高、生産量ともに全国トップ クラスを誇っています。

導入の背景とねらい
「農家の安定経営」を継続的に支援すべく、IT 基盤の見直しを実施

愛知県南部の田原市を拠点とする、愛知みなみ農業協同組合 (以下、JA愛知みなみ)。電照菊などの花き、キャベツやトマトといった青果、肉牛をはじめとする畜産を中心に、特色ある農畜産物を供給する同組合は、2015 年度の販売取扱高が約 500 億円と、トップ クラスの経済規模を有する農業協同組合です。

農協改革や TPP など、日本の農業を取り巻く環境は急速に変化しています。そのような中で JA愛知みなみは、「農家の安定経営」を方針に据えた組合員の支援を実践し続けています。

愛知みなみ農業協同組合
代表理事組合長
中神 享三 氏

愛知みなみ農業協同組合 代表理事組合長 中神 享三 氏は、同組合の特徴について、次のように説明します。

「JA愛知みなみは、営農販売事業を軸とする農業協同組合です。田原市の年間農業産出額は約 700 億円ですが、そのうちの約 7 割が農協を通じて販売されています。これは全国でも他に例がないきわめて高い水準です。組合員の農家に支持され、信頼が厚いことが表れた数字であり、当組合の強みだといえるでしょう。また、毎年 30 名ほど新たな就農者が加わり、若手農家が数多くいることも特徴です。新しいアイディアを積極的に実践する若手農家を基点として、活気ある農業と地域をつくる、21 世紀型日本農業のオピニオン リーダーを目指しています」(中神 氏)。

JA愛知みなみが組合員から高い信頼を得ている理由は、同組合が「農家の安定経営」という方針を実践している点にあります。日本の農業人口が減少傾向にある背景として、経営の不安定さが挙げられます。JA愛知みなみはその課題を解消すべく、施設増強や技術開発といったさまざまな取り組みを続けてきました。また、農業経営に役立つ情報を発信し、かつ組合員どうしで共有するためのしくみも構築しています。

愛知みなみ農業協同組合
代表理事専務
高瀬 与志彦 氏

JA愛知みなみは、この情報共有のしくみを構築すべく、積極的な ICT 活用を進めてきました。愛知みなみ農業協同組合 代表理事専務 高瀬 与志彦 氏は、そこでの ICT 活用について、次のように説明します。

「農協の本来の役割は、農家の安定経営を支援することです。安定的な経営が担保されれば、就農者の数はおのずと増加します。そのうえで重要なのが、『天候による生産量の減少』をいかに減らすかであり、そのための支援を継続的に行ってきました。また、組合員である各農家が独自の技術、ノウハウを有していることも多いため、情報共有のしくみを構築すべく、ICT の活用も積極的に進めてきました。2010 年 4 月には『農業情報システム』という組合員に向けた Web サイトを開設し、有用な情報の提供にも注力しています」(高瀬 氏)。

農業情報システムは、市況情報や振込単価情報といった、農業経営に役立つ最新の情報を提供するほか、組合員へ配布する購買代金請求書や販売代金精算通知書等を閲覧できる私書箱機能も備えています。生産者の約 6 割が活用する同システムは、これまで本店内のサーバー ルームで運用されてきました。JA愛知みなみは 2016 年度に控えた農業情報システムのハードウェア リプレースを機に、本店で運用する全システムについて、IT 基盤の見直しを実施したといいます。

農業情報システムでは、市況情報や振込単価情報といった情報が閲覧できる

愛知みなみ農業協同組合 総務部 部長 大久保 哲夫 氏と、愛知みなみ農業協同組合 総務部 電算課 課長 太田 年彦 氏は、IT 基盤の見直しを実施した背景について次のように説明します。

愛知みなみ農業協同組合
総務部
部長
大久保 哲夫 氏

愛知みなみ農業協同組合
総務部
電算課
課長
太田 年彦 氏

「当組合が運用するシステムは、これまで本店の電算室に 5 台のサーバー ラックを設置して運用してきました。農家の安定経営を支えるためには、まず当組合自体の事業継続性が担保されなければなりません。そのための取り組みとして、システム トラブルを見据えた復旧手順書を作成したところ、現環境のままでは膨大な作業量が発生することがわかりました。このままではシステムの運用停止といったリスクが懸念され、自然災害などで物理的なハードウェア破損が生じた場合には、システムの復旧自体が困難になることも予想されました。そこで、BCP (事業継続計画) 対策の水準を高めるべく、IT 基盤の見直しを実施することにしました」(大久保 氏)。

「事業継続性に加え、セキュリティの面でも課題がありました。近年、個人情報漏えい事件がニュースとして大きく取り上げられることが増えています。当組合も過去、農業情報システムがサイバー攻撃を受けて一時的に使えなくなることがありました。そのときは単にシステムが停止しただけで済みましたが、セキュリティ対策をより強固なものにせねばならないことを実感しました。しかし、オンプレミスで高いセキュリティ レベルを維持するためには、コストと運用工数の面で限界があり、具体的な対策が企てられなかったのです」(太田 氏)。

システム概要と導入の経緯、構築
ハイブリッド クラウドとの親和性と、優れた信頼性、セキュリティを評価し、Microsoft Azure を採用

これらの課題を解決すべく、JA愛知みなみは 2015 年夏より、本店で運用する IT 基盤の見直しを実施。データセンター サービスや AWS など、複数サービスのもとで比較検討を行った結果、Microsoft Azure の採用を決定しました。

大久保 氏は、Azure を採用した理由としてまず、優れた信頼性とセキュリティを挙げます。

「組合員からの信頼を維持するためには、サービスの安定的な提供が不可欠となります。また、個人情報の漏えいが発生した場合、これまで築いてきた信頼を一気に落としてしまう可能性もあります。各ベンダーの実績を調査しましたが、Azure はその中で最も信頼性が高いと感じました。また、Azure は、情報セキュリティ監査の認定や、個人情報の取り扱いに関する最新の認定 (ISO27018) を取得しており、オンプレミスの運用以上のセキュリティが担保できる点にも期待しました」(大久保 氏)。

さらに太田 氏は、保守期限の背景で本店に残す必要があったシステムについても BCP 対策が図れる点が、Azure を採用した決め手になったと語ります。

「本店で稼動する各システムは、ハードウェアのリプレース時期がばらばらでした。そのため、全システムを同時期にクラウドへ移行することは困難でした。他ベンダーと比べ、マイクロソフトはハイブリッド クラウド環境を構築するソリューションが多い印象を受けました。たとえば、Azure Site Recovery と Azure Backup、そしてハイブリッド クラウド ストレージである StorSimple を利用すれば、本店に残すシステムの BCP 対策が、最適なコスト内で実現できます。バックアップ データを時系列で保存することもでき、利便性の面でも申し分ありません。これまでは物理ディスクにイメージ ファイルをコピーして金庫へ保管するという体制をとっていました。Azure の採用によって、そこに要していた大幅な工数削減と、有事の際の復旧スピード向上が期待できると考えました」(太田 氏)。

以上を理由とし、JA愛知みなみは 2016 年 5 月、農業情報システムの Azure 移行と、本店で引き続き運用するシステムの DR サイトとしての Azure 採用を決定しました。7 月より構築、検証作業を開始し、わずか 3 か月後の 9 月からは、DR サイトの運用を開始。農業情報システムは、12 月より Azure 上での稼動を開始しています。

Azure 上での、農業情報システムのシステム構成 (左) と DR サイトのシステム構成 (右)。同時期に導入した Azure Log Analytics により、Azure 上のシステムだけでなく、オンプレミス含めた全システムの統合管理も実現でき、運用負荷の大幅な削減が期待できる

構築、検証を担当した、日興通信株式会社 東海ブロック 名古屋支店 サポート部 システム課 町田 翔 氏は、当初の予定よりも早く Azure 上のシステム稼動を開始できたと語ります。

日興通信株式会社
東海ブロック
名古屋支店
サポート部
システム課
町田 翔 氏

日興通信株式会社
東海ブロック
名古屋支店
営業部
営業課長
鳥海 慎一 氏

「Azure を本格的に活用したシステム構築は、我々のチームとしては初の取り組みでした。しかし、Azure は構築をスムーズに進めるためのドキュメントが豊富に公開されています。それを参考に進めることで、トラブルなく構築できました」(町田 氏)。

おなじく構築、検証を担当した日興通信株式会社 東海ブロック 名古屋支店 営業部 営業課長 鳥海 慎一 氏は、町田 氏が語る Azure 自体の優位性に加え、マイクロソフトの密なサポート体制についても評価します。

「今回、JA愛知みなみ様には Azure Professional Direct (ProDirect) というサポートを契約いただきましたが、そこでのサポート体制が非常に優れていると感じました。問い合わせに対する返答がとても早く、システムの構築と検証をとどこおりなく進めるうえで非常に頼りになりました」(鳥海 氏)。

導入ソフトウェアとサービス

  • Microsoft Azure

  • StorSimple

  • Azure Site Recovery

  • Azure Backup

  • Log Analytics

導入メリット

  • 農業情報システムの提供基盤と、オンプレミスシステムの DR サイトへの Azure の採用により、事業継続性とセキュリティ レベルが向上

  • 当初計画していた IT 基盤整備と比較し、約 50% のコスト削減を実現。また、クラウド移行と Azure Log Analytics の活用により、運用工数も大幅に削減

  • これらの削減された工数、コストを充てることで、セキュリティ強化や回線二重化といった、追加整備が計画できるようになった ユーザーコメント

導入の効果
トータル コストを約 50% 削減。『農家の安定経営』を継続的に支援するためのプラットフォームも獲得

2016 年 9 月より Azure の活用を開始した、JA愛知みなみ。大久保 氏は、長期的な視点でみた場合、今回の Azure 導入が BCP やセキュリティ以外においても大きな効果をもたらすと語ります。

「2014 年に、ネットワークやセキュリティを含む、10 か年の ICT 整備計画を立てたのですが、そこでは全システムにおいて『最新サーバーへのリプレース』を予定していました。Azure を導入したことで、農業情報システム以外のサーバーについても、Azure への移行を計画できます。そこでは、10 か年計画で当初想定したトータル コストの約 50% が削減できる見通しです。また、Azure Log Analytics の採用により、コストだけでなく運用工数も大幅に削減できるでしょう。これらの削減が見込めるコスト、工数を充てることで、さらなるセキュリティ強化や、組合員の利便性を高めるための追加施策が計画可能となりました。Azure の採用は、JA愛知みなみが方針にかかげる『農家の安定経営』の支援をこれからも継続していくうえで、最良の選択だったと考えています」(大久保 氏)。

また、太田 氏は、Azure に期待した事業継続性の向上が、自然災害の発生時以外においてもメリットを生み出していると語ります。

「2017 年度には本店の移転を計画しています。Azure の導入により、本店移転時においても農業情報システムの運用を停止せずに済むようになりました。これは大きなメリットだといえます。また、物理的なサーバー台数を削減できたため、移転費用や電気代、免震設備の設置費用についても、大幅なコスト削減を見込んでいます。もう 1 年早く導入していれば、こうした間接的なメリットが他にもさまざまな面で生まれていたはずです。既に大きな効果を見込んではいますが、もっと早く検討すべきだったと感じます」(太田 氏)。

今後の展望
Azure を活用し情報共有基盤を整備することで、21 世紀型日本農業のオピニオン リーダーを目指す

Azure の導入により、農家の安定経営を支えるための新たな IT 基盤を獲得した、JA愛知みなみ。同組合は今後、21 世紀型日本農業のオピニオン リーダーを目指すべく、若手リーダーの育成に注力していく予定です。

中神 氏は、今後の展望について次のように語ります。

「これからの農業を牽引するのは若い組合員たちです。JA愛知みなみとしては、農家の安定経営を支える取り組みを継続することで、まずは若手の農家や後継者が積極的に参入できる土壌を築いていきたいと考えています。また、現在『青年部』という、若者どうしがフェイス トゥ フェイスで情報共有する場を設けていますが、電子上でも同様のことができるようにしたいと思っています。具体的には、農業情報システムなどでコミュニケーション環境を整備し、組合員どうしの情報共有を促進していく予定です」(中神 氏)。

続けて高瀬 氏は、そこでの Azure の活用構想について説明します。

「まずは、農業情報システムに続いて、営農販売事業の実績を管理している当組合独自の販売管理システムも Azure に移行し、サーバー管理の負担を軽減したいと考えています。また、組合員の一部では既に、IoT を活用したハウス栽培環境の測定といった先進的な取り組みが行われています。これら新たな技術の情報共有を支援するサービスも、Azure を活用し提供していきたいと考えています。今後も当組合における IT 基盤の発展を支えてもらえるよう、マイクロソフトには強力なサポートを期待しています」(高瀬 氏)。

若手組合員により、日々新たな技術やアイデアが生まれている JA愛知みなみ。同組合が今後整備を進める情報共有基盤により、これら技術やノウハウの共有が期待される

農家の安定経営を支援すべく、積極的な ICT 活用を進める JA愛知みなみ。同組合は、新たに導入した Azure を最大限に活用し、21 世紀型日本農業のオピニオン リーダーを目指す取り組みを続けていきます。

ユーザー コメント
「2014 年に、ネットワークやセキュリティを含む、10 か年の ICT 整備計画を立てたのですが、そこでは全システムにおいて『最新サーバーへのリプレース』を予定していました。Azure を導入したことで、農業情報システム以外のサーバーについても、Azure への移行を計画できます。そこでは、10 か年計画で当初想定したトータル コストの約 50% が削減できる見通しです。また、Azure Log Analytics の採用により、コストだけでなく運用工数も大幅に削減できるでしょう。これらの削減が見込めるコスト、工数を充てることで、さらなるセキュリティ強化や、組合員の利便性を高めるための追加施策が計画可能となりました。Azure の採用は、JA愛知みなみが方針にかかげる『農家の安定経営』の支援をこれからも継続していくうえで、最良の選択だったと考えています」

愛知みなみ農業協同組合
総務部
部長
大久保 哲夫 氏

パートナー企業

  • 日興通信株式会社

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