ネットワークエンジニアの仕事は依然として重要ですが、ビジネスを考える際に「インター ネットとは何だろう?」といった地点から始めることは無くなりました。ネットは当たり前に使えることが前提であり、クラウドから手軽に環境設定を変更できるものとなっています。

同じことが、AI 技術にも起きようとしています。高度な専門知識を有したデータサイエンティ ストが時間をかけて作業するのではなく、ブラウザを立ち上げていくつかの条件を設定すれば、あとは数回クリックするだけで、自動的に学習と評価が行われ、AI モデルが完成する「自動機械学習( Automated Machine Learning )」技術が目まぐるしい進歩を遂げているのです。

電通国際情報サービス( ISID )は、ユーザー企業自らが AI を開発し、運用できるプラット フォームを Azure Machine Learning をベースに実現しました。AI は前提となり、各社の ビジネス課題の中心に活かしていく。そんな時代が訪れようとしています。

先端技術としての AI を「ソリューション化」していく

電通国際情報サービス(以下、ISID )は、電通と General Electric Company のジョイントベンチャーとして、1975 年に設立された SIer です。先進的な IT 技術とユニークなアイデアを掛け合わせることで 成長を続けてきた同社は、現在、金融業および製造業向けソリューション、基幹業務の支援、そしてコミュニケーション IT の 4 ドメインで事業を展開しています。

ISID は2019 年度からの中期経営計画「ISID X(Cross) Innovation 2021」の基本方針の一つに「事業基盤の革新」を掲げ、その実現に向け「先端技術への取り組み加速」を推進しています。

  • ISID が掲げる中期経営計画「ISID X(Cross) Innovation 2021」

    ISID が掲げる中期経営計画「ISID X(Cross) Innovation 2021」

同社が注力している「先端技術」の代表は AI 技術です。2015 年頃からAI ソリューションの開発や適用支援を開始し、100 以上のプロジェクトを実施してきました。2020 年 2 月には、全社横断組織「AI トランスフォーメーショ ンセンター」を設立し、より優れた AI 製品の企画・開発を行うため、それまでは 4 つの事業部ごとに所属していたデータサイエンティストを結集させ たのです。

「AI ファースト」を掲げる ISID は、2020 年 5 月に 3 つの自社開発 AI ソリューションをリリースしました。いずれのソリューションも、社内プロジェ クトで高い成果を挙げたものであり、顧客の共通課題に合致したものです。

その一つ、TexAIntelligence (テクサインテリジェンス)は、製造業の品質保証や新商品開発を支援する AI ソリューションで、Azure Machine Learning をはじめとする複数の Azure のサービスが用いられています。教師あり学習による自動分類機能、要約機能、さらに ISID が独自開発した アルゴリズムによって、「文章を入力すると、過去の類似の文章が表示される」という機能を有しています。

既存の仕組みでは単語を一致させなければ、ドキュメントを検索することができませんでした。「異常音」ではなく「金属音」、「油漏れ」ではなく「オ イル漏れ」で探さなければレポートが見つからなかったのです。しかし、 TexAIntelligence の AI は、単語ではなく「文章の特徴」を類推し、分類することができます。これにより、過去の不具合というノウハウを活用しやすくなりました。

  • 「TexAIntelligence」の概要 : 社内にある膨大な文章データの整理し、蓄積された文章を 有効活用できるように

    「TexAIntelligence」の概要 : 社内にある膨大な文章データの整理し、蓄積された文章を 有効活用できるように

    ※採用されている Azure のサービス:Azure Machine Learning / Azure Database for PostgreSQL / Azure Virtual Machines / Azure LogAnalytics / Azure Blob Storage

二つ目の DiCA は、2 次元図面を検証する AI ソリューションで、2 次元図面の法務認証チェックや交差解析の実績があります。例えば「CCCマー ク」の記載が抜け落ちている製品は、中国で販売することができません。 こうした細かいチェックをするために、OEM 側の人間はサプライヤーからの2 次元図面のすべてを目視で作業しています。その途方もない作業が、Object detection (物体検出)という技術を用いることによって、AIに代替させることが可能になったのです。 ここにも Azure Virtual Machines ( MongoDB )と Azure Data Science Virtual Machine の二つのサービスが 採用されています。

  • 「DiCA」の活用例 : チェックしたい記号をAIが即座に発見し、確認作業の工数を削減。ま た、目視によるミスの軽減も実現

    「DiCA」の活用例 : チェックしたい記号をAIが即座に発見し、確認作業の工数を削減。ま た、目視によるミスの軽減も実現

    ※採用されている Azure のサービス:Azure Data Science Virtual Machine

ここで注意しなければならないのは、どちらの AI ソリューションも、 導入後すぐに完璧な仕事ができるわけではないということです。会社ごとの利用法に応じて教師データを読み込ませ、学習を繰り返す必要があります。AI も、人間と同じく「新人教育」が欠かせないのです。

こうした AI との付き合い方について、株式会社電通国際情報サービス X (クロス)イノベーション本部 戦略テクノロジー室 AI テクノロジー部 AI コンサルティンググループ グループマネージャー 深谷 勇次 氏は次のように語ります。

「近年、大手製造業を中心に『データサイエンティストを育成して、自ら AI をやっていこう』という気運が高まっています。自社のコア部分の競争力を AI によって高めるには、自分たちで AI を創り、育てていかなければいけない、という考えが拡がりつつあるのです」(深谷 氏)

  • 株式会社電通国際情報サービス 深谷勇次氏

ISID の 3つ目の AI ソリューションは、まさに、「自分たちで AI を創り、 育てていく」ためのプラットフォームとなります。高度な専門知識が無くとも AI モデルを開発し、ビジネスに展開していくことができる仕組みが「 OpTApf on Azure 」です。

Azure Machine Learning の機能によって、AI開発・運用を大幅に効率化

AI 開発プロジェクトの大きな特徴は、「不確実性」です。90% の精度を出せるか、98%の精度を出せるかどうかは、やってみるまで分かりません。 学習前に事前に AI モデルの精度を保証することはできないのです。優れた AI にするためには、教師データを増やし、学習を繰り返して、育てていかなければならないのです。

では、TexAIntelligence や DiCA のような AI ソリューションは、どのような流れで開発されているのでしょうか。

それはまず、対象のビジネスを理解するところから始まります。その上で、 扱うデータを用意し、AI に読み込ませるためにデータを整形します。そのデータを使って学習させ、分析ツールによって精度を評価し、一定水準に 到達した段階で展開します。

もちろん、AI モデルだけでサービスになるわけではありません。フロントエンドやバックエンドを構築し、ネットワークを整備し、他のシステムと連携をするなど、サービスインフラを用意する必要があります。

また、ひとまず良い精度の AI モデルが構築出来て、AI システムの開発を終えても、AI が劣化せず成長するように、運用し続けなければなりません。

自らAI を生み育てることが必要だとしても、こうしたすべてのプロセスを自力で行うには、とても労力がかかります。いかに AI ソリューションの開発・運用を簡単にできるのか。その課題を解消するために「 OpTApf on Azure 」は開発されました。 AI モデルの開発と運用を自動化することによって、「 AI をつくって終わり」ではなく、「 AI によるビジネス価値を創出し続ける」ことへの専念が可能となるのです。

OpTApf on Azure は、Microsoft が提供する「Azure Machine Learning」 を基盤に構築されています。モデル開発の自動化はAutomated Machine Learning機能によって、運用の自動化は、Azure DevOps も利用した MLOps 機能によって実現しました。

OpTApf on Azure は、モデルの製作やデータ追加による再学習、精度に関する要因分析、前回モデルとの比較、バージョン管理、デプロイなどを自動化します。人間は、「来月の売上げを予測したい」「欠品予測をしたい」といった企画を練ることや、データの準備、そしてサービス提供そのものに集中することができるようになります。

  • 「OpTApf on Azure」の開発プロセス : ユーザーはデータ、目標数値、制限事項をインプットするだけで、解釈性のあるAIモデルを生成できる

    「OpTApf on Azure」の開発プロセス : ユーザーはデータ、目標数値、制限事項をインプットするだけで、解釈性のあるAIモデルを生成できる

    ※採用されている Azure のサービス:Azure Machine Learning / Automated Machine Learning / Model interpretability in Azure Machine Learning/ Azure Machine Learning compute instance / Azure Machine Learning Notebook VM / Custom Vision / Azure DevOps / Azure Kubernetes Service /Azure Blob Storage / Azure Virtual Machines

ビジネスとしての総合力に優れた Microsoft Azure

ユーザー企業が AI 開発・運用を自ら実現するプラットフォームとして、 「OpTApf on Azure」は生み出されました。OpTApf on Azure を実現する上で、Microsoft Azure に着目した理由について、深谷 氏はこう話します。

「Azure に特に注目したのは、2019 年 5 月に Automated Machine Learning の強化が発表された時のことです。モデル選択やパラメーターチューニングの自動化など、AI のソリューション化に必要な技術が詰まっていました。さらに MLOps によって、煩雑な AI のライフサイクル管理まで自動化してくれます。我々はもともと『機械学習をユーザー主導でやる』ことが重要だと考 えていましたから、これは是非とも試す価値があるだろうと感じたのです」(深谷 氏)

数ヶ月の検証を経て、ISID は「ユーザー主導の機械学習」を実現するための基盤として Microsoft Azure を採用しました。深谷 氏は Microsoft Azure を次のように高く評価しています。

“『AI をビジネスに活かし続ける』といった観点では、Azure がナンバーワンだと思っています。ソリューションとしてのAIは、周辺システムといかに組み合わせるかが重要です。 Azure は機械学習の自動化はもちろんのこと、Azure IoT Hub との連携によるデバイス管理や、Power BI との連携によるレポーティングなど、連携性にとても優れています。また、AI の開発・運用に必要なシステムを独自に用意しようとなると、かなり高額 になってしまいますが、Azure の各機能を使えば費用対効果に優れた形で実現できます。総合的にみて、 Azure は最適なプラットフォームだったのです”

―深谷 勇次 氏:X(クロス)イノベーション本部 戦略テクノロジー室
AIテクノロジー部 AIコンサルティンググループ グループマネージャー
株式会社電通国際情報サービス

パートナーシップによって、人と AI のコラボレーションを実現していく

マイクロソフトが提供している先進的なテクノロジーを適切に組み合わせることで、日本企業が自ら AI を活用していくため仕組みを、ISID は築き上げました。こうした、マイクロソフトとの関係性について、深谷 氏は次のように説明します。

「従来から、マイクロソフトとは密に情報を共有し、相談し合いながらサービスを提供しています。『 Azure にこんな機能が欲しい』と要望を出すことはよくあります。また逆に、お客様に対して、『その業務形態なら、この機能群を組み合わせればいいですよ』とアドバイスすることもあります。お客様の現場から生まれるニーズと、マイクロソフトの有する膨大な最新機能との間を埋めるパートナーとして、今後も深く連携していければと思います」(深谷 氏)

マイクロソフトはオンプレミスの時代から、BtoB 領域ではパートナーありきで事業を展開していました。パートナーの存在が無ければ、マイクロソフトが成長することは無かったでしょう。新たなテクノロジーを、どうすればビジネスの最前線まで届けることができるのか。そこには、お互いがお互いのリセラーであるという「Co-Seller」としての関係性が構築されているのです。

最後に、AI という新たなテクノロジーのビジネス活用について、深谷 氏は こう展望します。

「AI による世界の変化は、ちょうどインターネットが登場した 1999 年頃に似ていると思っています。当時はインターネットがビジネスに使えるかどうかも まだ懐疑的でした。それが今では、最も重要なビジネスインフラとなっています。インターネットと同じように、今後は、いかに早く AI 技術を取り入れ、 ビジネスに活用していけるかどうかが、会社を強くするための鍵となるでしょ う。そして、重要な仕事の『勘所』は、現場のエキスパートこそが身に付けているものです。AI の専門家ではなく、業務の専門家が AI を育てていくことによって、業務の専門家が AI のクリエーターとなることで、これからのビジネスは進化していくと思います」(深谷 氏)

人間に向いている仕事と、AI に向いている仕事は同じではありません。 OpTApf on Azure により、これから職場に加わっていく「AI という新人」の個性を知ることで、人と AI のコラボレーションはさらに発展していくことでしょう。

  • 深谷氏の写真

[PR]提供: 日本マイクロソフト