1921年、米ニューヨークにあったラジオ・ロウで産声をあげたアヴネット。同社の100年のあゆみを紹介する当連載の2回目は、マイクロプロセッサの登場を契機に米国における一大ディストリビューターへと成長を遂げて以降、現在に至り半導体・エレクトロニクス業界を代表するグローバルディストリビューター、さらには現 CEOであるPhil Gallagher氏の言葉を借りれば、“ソリューション・プロバイダ”へと発展していった1980年代以降の歩みを、日本市場への進出の話なども交え紹介します。

米流通業界で初となるアジアの倉庫拠点を東京に開設

アヴネットのグローバル展開を語るうえで、まずハイライトとなるのは1979年、アジア地域における倉庫拠点が東京に開設されたことです。当時、日本の半導体業界は、コンピュータ、通信、産業機器の分野を中心に、本格的な成長の兆しをみせ始めたいわば“夜明け前”の時期であり、その後80年代にかけ、日本の半導体市場が急速な発展を遂げたこと考えれば、この試み自体が先見の明であったと言うことができます。そのことは、東京への拠点開設が米流通業界で初の試みであったということからもうかがえるのではないでしょうか。

こうして日本におけるビジネスを開始したアヴネット(当時の日本での名称はハミルトン・アブネット)は、米国本社で培われたノウハウ――豊富な在庫を保有することで、さまざまな顧客、さまざまなニーズに応えるStocking Disti(ストッキング・ディストリビューター)として、アジア地域における企業活動をスタートさせていきます。

加えて、この頃のトピックとして注目したいのは、インサイド・セールスの導入です。現在ではコロナ禍ということもあり、ポピュラーな営業形態となってきましたが、当時の日本ではまだ画期的と言って差し支えない販売体系であり、訪問を必要としない顧客への対応をインサイド・セールス部門が対応することで効率的に販路を拡大していくことにつながりました。

その一方、日本の商活動における言わば“おもてなし”的な対応として求められるサポート、つまり技術商社としての「技術」の提供という点でもFAE(Field Application Engineer)チームを発足させ、顧客へ対するサポートの強化も同時に図っていきました。

在庫管理を見直し供給過多へいち早く対応、

日本への拠点開設に代表されるグローバル展開の裏で、実は世界的な視野でみた1980年代の半導体市場は、供給が需要を上回り始め、市場全体が“供給過多”へシフトしていた時期でもありました。

アヴネットは、これにいち早く対応し、1984年、マサチューセッツ州ピーボディの大規模倉庫での在庫の集中化、および管理の自動化を取り入れるという業界において“革命”と称賛された取り組みを行うことで、需要に対する最適な供給体制を構築しました。

また、最適な供給体制という観点では1987年、アリゾナ州チャンドラーに2ヵ所目の大規模倉庫を開設し、先に稼働していたピーボディの倉庫とを連携させる専用オンライントランザクション処理コンピュータシステム「Genesis」の運用を1988年より開始。これにより2拠点間における最適な供給体制を確立させることに成功したアヴネットは、半導体ディストリビューターとしてのイニシアティブをさらに高めていくことになります。

  • 第2回 グローバルディストリビューターへと成長を遂げる_001

    株式会社化50周年を記念し制作された冊子より抜粋。供給体制の確立はここでも大きく取り上げられており、これを主導した当時のCEO Tony Hamilton氏(誌面中央)は、まさに“アヴネット中興の祖”と言える

積極的な企業買収を行い、グローバルディストリビューターに

80年代に行った供給体制の最適化により、アヴネットは90年代に入り急速に規模を拡大していきます。その象徴的なできごととしてあげられるのは1993年、米国にある5つの半導体企業すべての製品を取り扱う初めての代理店になったということです。

この背景には80年代後半に就任したCEO Leon Matiz氏の指揮の下、前任のCEOであるTony Hamilton氏が確立した米国での半導体、コネクタ、コンピュータ製品、受動部品分野における確かな地位を引き継ぎ、積極的な企業買収を行ったことがあげられます。

具体的には1991年に行われたAccess Groupと、FHTec Composants、Nortecといった企業を合併し、欧州進出の足が掛かりとしました。その後も欧州におけるさらなるシェアの拡大を見込し、KE Systemsと、ヨーロッパを代表する半導体販売業者であるEBV Groupを買収するなど、この時期はアヴネットがグローバルディストリビューターへと変貌を遂げる大きなターニングポイントとなるトピックが数多くあり、アヴネットの歴史を振り返るうえでも大きな転換点と捉えることができます。

さらに1999年には、シンガポールに流通センター、香港に倉庫と、この頃より台頭し始めていた東アジア地域の半導体市場へも関与を強めていき、アヴネットのエコシステムはグローバル規模に広がっていきます。こうした積極的なアプローチは90年代を経た2000年代、そして現在まで受け継がれています。2000年から2020年までの20年間でPremier Farnell、Softweb、Witekioといった業界でも高い実績を誇る企業を含む計68社を買収したことにも表れており、現代における“グローバルディストリビューターおよびソリューション・プロバイダ”としての姿が形成されるに至りました。

  • 第2回 グローバルディストリビューターへと成長を遂げる_002

    現在のアヴネットのグローバルネットワーク。本社のある米 アリゾナ州フェニックスを中心に世界中に125拠点を構える


AIやIoT、それにデジタルトランスフォーメーションなど、現代のビジネスシーンを代表するキーワードには、必ずと言って半導体、コネクタ、センサ、またこれらを用いた製品・ソリューションがあらゆる場面で活用されています。

その意味では現在もなお、半導体・エレクトロニクス市場というのは拡大し続けており、これまででは想像もつかったような技術、ビジネスが生まれ続けています。アヴネットは、これからも変革し続ける市場・ビジネスのなかで世界中のサプライヤーと顧客をつなぐ重要なプレイヤーとしてさらに活躍の場を広げていくことでしょう。

ここまで、アヴネットが歩んだ100年の歴史を簡単に振り返ってきましたが、次回となる第3回では、アヴネット日本法人の代表取締役社長 茂木 康元 氏をお招きし、日本におけるアヴネットのこれまでや現在地はもちろん、“次の100年”についても展望をお伺いします。

アヴネット 100周年記念Webサイト(英語)

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