音楽制作に挑戦してみたい、さらに自分のイメージどおりの音色も使ってみたい。そんな願いを手軽にかなえてくれるのがサンプラーだ。今回紹介するカシオの「SXC-1」は、軽量コンパクトなボディに本格的なサンプリング機能を搭載した1台。初心者から経験者まで幅広く活用できる、その実力をレビューしていこう。
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「SXC-1」
「SXC-1」は、手軽に使えるポータブルタイプのサンプラー。スピーカーとマイクを内蔵しており、パッドをタップすればすぐ音を鳴らせるほか、オリジナルサウンドのサンプリング(録音)も簡単にできる。様々な音を重ねながら演奏でき、簡単に曲作りをすることも可能だ。
本体は片手で軽く持てるほどコンパクト。バッグやギターケースに入れてスタジオに持っていけるし、乾電池で動かせる。自宅はもちろん、スタジオや移動先など場所を選ばず使用可能だ。
カシオのサンプラーといえば、80年代に登場した「SK-1」を覚えている方もいるだろう。
当時は大型かつ高額で、専門知識が求められる機材だったサンプラーを、手軽なミニキーボードに搭載。ボタンを押して録音すればすぐに鍵盤で演奏できる手軽さ、そして1万円台という驚きの価格でサンプリングをより身近なものにした「SK-1」だった。この「SXC-1」には「SK-1」をはじめ、内蔵のリズムパターンがレゲエシーンでも広く知られる「MT-40」など、プリセット音源としてカシオの名機のサウンドもたくさん入っている。
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「MT-40」
電卓のボタンのように並んだ16のパッドを、タイミングよくタップするように叩いて音を出す。これが「SXC-1」の基本の使い方だ。どのパッドにどんな音が割り当てられているかは、パッドが光る色でわかるようになっている。
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16あるパッドは音のタイプごとに色分けされて光るから、どんな音が鳴るのかわかりやすい。再生中のパッドは白く光る
オレンジと紫のパッドには、連続して再生することで楽曲の土台を作れるループ音源を配置。一方、水色と黄色のパッドには、楽曲にアクセントを加える際に使いやすいワンショット音源が割り当てられている。
楽器の種類も色ごとに整理されており、オレンジにはドラムやパーカッションによるリズムパターン、紫にはベースやピアノなどのフレーズ、水色にはシンセの短いフレーズやコード、黄色にはバスドラムやスネア、ハイハットといった単発のドラムサウンドを主に収録。色を見るだけで音の役割を把握しやすく、初めて触れる人でも直感的に演奏できるよう工夫されている。(※)
※パッドのカラーは変更可能
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スピーカーは背面に搭載
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端子類は左からヘッドフォン、アナログのライン出力、アナログ入力。USB-Cは給電やスマホと接続し専用アプリを通して音源ファイルの転送や本体アップデート等に利用する
最大16音の同時発音(※)に対応しているため、複数の音源を組み合わせながら楽曲のアイデアを形にしていける。例えば、ドラムのリズムパターンをループ再生しながら、それに合わせてベースやシンセのパッドを鳴らしていくといった使い方が可能だ。
※ BeatSyncやエフェクト機能の使用状況により変化
色々な音源を使ってみて、どのドラムにどのベースが合うか、どのシンセを重ねると雰囲気が変わるかを試していくと、使う音源を決めていくといいだろう。もちろん使いたいシンセがあればそれを先に決めて、あとからそれに合うリズムパートを選んでもいい。テンポは本来音源によって異なるが、再生時にテンポを自動的に合わせる「Beat Sync(ビートシンク)」機能もあるので、それを気にせず多くの音源を試すことができる。
ちなみに、16個のパッドに音源を割り当てたセットを「バンク」と呼ぶ。本機には80バンクが用意されており、そのうち1〜14番のバンクにはあらかじめプリセット音源が登録されている。
各バンクにはループやワンショット、リズムやコードなどがバランスよく配置されていて、テンポや曲調、キーも統一感を持たせた構成となっている。例えばバンク2ならBPM130のリズムカルなEDM風の音、バンク4ならレゲエ風の音がまとまっている。同じバンク内の音源同士は組み合わせやすく設計されているため、パッドを順に鳴らしながら音を重ねていくだけでも、楽曲のアイデアをスムーズに形にできる。音楽理論に詳しくないユーザーでも、試行錯誤しながら楽曲制作を楽しめる点は本機の魅力といえるだろう。
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バンク切り替えや設定はゲームコントローラーのようなボタンで操作する。パッドを押して鳴らすと、ディスプレイにその音源の波形が表示される
実際にバンク1の音を使って、曲作りをやってみた。まずオレンジの13番を押してドラムパターンをループ再生する。これはカウベルを使った軽快なパターンだ。続いて紫の9番でハネるようなシンセベースを重ねる。これでリズムパートができた。さらに紫の11番を押せばメロウで、きらびやかなピアノフレーズが重なり、曲の骨格が完成。あとは水色と黄色のワンショットのパッドをタイミングよく押せば、パーカッションでアクセントをつけたり、シンセのコードを鳴らして曲に変化をつけたりと、抑揚も表現することができる。これだけでミニマルミュージックができてしまうのだ。
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適当にパッドを叩いてもそれなりの曲ができてしまうのは楽しい
プリセット音源にはHIP HOPを中心として、テクノやレゲエ、EDMっぽいフレーズや音色が多いが、異なるジャンル同士でも統一感があるため、適当にタップして遊んでいるだけで雰囲気が出る。これがけっこう楽しい。曲調や雰囲気が違う音源を一緒に使うと、普通は調和しなかったり音が濁ったりするのだが、いろいろ試しているうちに、偶発的にかっこいいフレーズができたりするのも面白い。これは曲作りのアイデア探しにも使えそうだ。
音に変化を加えるエフェクトも2系統用意されており、1つの音源に対して最大2種類のエフェクトを同時に使用できる。ラインアップは、音の明るさやこもり具合を調整できるフィルターをはじめ、フランジャーやフェイザー、サウンドを粗く加工するビットクラッシャー、パッドを連打したような効果を生むロール、エコーを加えるディレイなど多彩だ。
いずれも操作はシンプルで、複雑なパラメーター設定は不要。使用したいエフェクトを選択したら、本体のダイヤルを回して効果量を調整するだけでよい。再生中に操作すれば変化がリアルタイムで反映されるため、音作りの結果を直感的に確認しながら調整できる。
また、パッドの反応が良いのもうれしい。押してから音が鳴るまでのタイムラグがなく、思った通りのタイミングで音を鳴らせる。そして高速の連打にもかなり追従してくれる。例えば「ボワーン」という音のパッドを連打して「ボボボボボワーン」というような、ヒップホップでいうスタッターのようなことも簡単にできる。
パッドの反応の良さを活かせるのは、指でドラム音源のパッドをタップするフィンガードラムだろう。ループ音源を流しながらその音に合わせてやってもいいし、完全にドラムだけのソロでもいい。ドラムができない人でも問題ない。バスドラムとスネアのパッドの位置だけ覚えて、そこを叩く指を決めておけば、基本的なリズムをキープできる。あとはそのときのエモーションに任せてほかのパッドをリズミカルに叩いていけば、それだけでかっこいいソロになるのだ。フィンガードラムができる機材は他にもあるが、「SXC-1」はこのコンパクトさながらPADを搭載しているのが大きな特徴。手軽に持ち運べるサイズでありながら、本格的なフィンガードラミングを楽しめるのは「SXC-1」ならではだ。ライブパフォーマンスなら、その見た目と音のギャップがかなり面白いはずだ。
ここまででも十分面白いのだが、サンプラーの本領はオリジナルの音をサンプリングして、それを楽器として使うことだ。「SXC-1」では、スマホやオーディオ機器をケーブル接続するか、内蔵マイクを使ってサンプリングができる。内蔵マイクなら、どこでも好きな音をサンプリングできるのが便利だ。例えば愛車のドアを閉める音、ボールペンをノックする音、時計のアラームなど、あらゆる音を楽器にすることができる。
サンプリングの手順は、RECボタンを押してサンプリングモードに切り替え、その音を割り当てたいパッドを押して選べば準備完了。あとは音を出せば自動的に録音が開始される。本体画面にはサンプル(録音した音)の波形が表示されるので、しっかり録音できたかどうかも確認できる。AUTO TRIGGERモードでサンプリングすると、音を鳴らすまで録音開始しないため、タイミングを気にせず録音可能。また、録音した音の一部分だけを使用したい際、切り取ることができる。この切り取りの作業も、波形を見ながらダイヤルをくるくる回し、再生の先頭と終わりの位置を決めるだけなので簡単だ。もちろんサンプルの音量や音程は後から自由に設定することができる。
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ダイヤルをくるくる回せば、サンプルの中の再生範囲を決められる
収録されているリズムパターンだけでも十分に楽しめるが、自分だけのフレーズやリズムを作りたくなったときには、シーケンスモードが活躍する。いわゆる「打ち込み」を行うための機能で、リズムパターンの作成はもちろん、楽曲を組み立てて保存しておくことも可能だ。
シーケンスモードでは、画面上に縦方向の16パッドと、横方向の時間軸が表示される。横のマス目は1小節を16分割したタイミングを表しており、どの音をどのタイミングで鳴らすかを視覚的に指定できる仕組みだ。
例えばパッド1にバスドラムを割り当てている場合、1拍ごとに音を鳴らしたければ1、5、9、13番目の位置にステップを配置する。いわゆる4つ打ちのリズムだ。スネアをバックビートとして加えるなら、5番目と13番目のステップに配置すればよい。ほかの楽器も同様で、鳴らしたい位置にステップを入力しながらリズムやフレーズを組み立てていく。 作成できるパターンは最大8小節まで。シンプルなビート作りから、ある程度展開のあるフレーズ制作まで対応できる。
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ステップ入力とリアルタイム入力の両方でパターンを作ることができるシーケンスモード
ステップごとに入力していく方法は確実だが、より直感的にパターンを作りたい場合はリアルタイム入力も利用できる。シーケンスモードでRECボタンを押すとメトロノームが鳴り、それに合わせてパッドを演奏すると、その内容がそのまま記録される仕組みだ。入力されたタイミングは自動的に16分音符単位へ補正されるため、厳密なタイミングを意識しなくても演奏しやすい。打ち込みに慣れていないユーザーでも、感覚的にパターンを作成できるだろう。 ただし、演奏タイミングが16分音符単位を大きく外れると、意図した位置とは異なるステップに記録されることがある。その場合は該当箇所を消去し、再度入力し直せばよい。
シーケンスモードで作ったパターンを鳴らしながら、パッドでプレイすることも可能だ。この場合パッドで鳴らす音源は、自動的にシーケンスパターンのテンポに合わせて再生される。逆に、いずれかのサンプルを鳴らしてからシーケンスパターンを再生すると、サンプルに設定してあるテンポでシーケンスが再生される。テンポ調整も「SXC-1」がやってくれるので、あまり細かいことを意識せず気軽にプレイできるのがありがたい。
より高度な使い方もサポートされている。USB MIDIによるMIDI信号の送受信ができるので、外部MIDI音源を「SXC-1」のパッドで演奏したり、「SXC-1」のシーケンスを外部機器と同期させて再生したりといったことが可能だ。
「SXC-1」専用のスマホアプリも用意されている。スマホとUSBケーブルで接続すれば、パッドへの音源の登録や波形の簡単な編集などをアプリで行える。
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スマホで簡単な編集もできる
さらに、カシオが運営しているクリエイター向けオリジナルサウンド提供プラットフォーム「Waves Place」との連携も可能になっている。ここでは「CZ-3000/5000」「VL-1」、「MT-40」、「SK-1」といった過去のカシオ楽器音源やプリセットには入っていない、オルタナティブR&B、ハードとラップHIP HOP、テクノPOPの3ジャンルとリズムキットがセットになったSXC-1拡張サウンドキットを購入できるほか、生成AIを利用し、日本語の文章による指示で「SXC-1」で使える効果音を作ることもできる。
とにかく手軽に使いこなせることが、「SXC-1」の大きな魅力だ。感覚的にパッドを叩きながら曲作りを楽しめるだけでなく、サンプリングやサンプル編集、シーケンス作成といった機能も、複雑な設定なしで扱える。また、 Waves Place上で購入した楽器音などの追加音源を、CASIO Sampler Appからの操作ですぐにSXC-1のパッドへアサイン可能なため、音源収集は無限大。(※)サンプラーをこれから始めてみたい人にとって、有力な選択肢となる1台だろう。
※ CASIO Sampler Appのアプリバージョン1.4.0以上で対応。
※音源生成や購入をCASIO Sampler Appから直接行うことはできません。
「SXC-1」の特設サイトも公開されているので、興味を持った人はぜひチェックしてみてほしい。
また、「SXC-1」のチュートリアル動画も公開されている。操作方法や楽曲制作の流れを解説したものが複数用意されているほか、ゲーム感覚で演奏を学べるコンテンツも用意されている。購入を検討している人はもちろん、使い方を知りたい人にも参考になるはずだ。
[PR]提供:カシオ計算機株式会社

