「写真編集やイラスト、動画制作など、クリエイティブな作業をもっとスムーズに進めたい」と思ったことがある人は多いはず。「左手デバイス」は、そんな制作環境を効率化する方法のひとつです。
今回注目したいのは、先日バージョンアップされたばかりのXPPen「Pilot Pro」。ジョイスティックやダイヤル、複数のボタンを備え、自分の制作スタイルに合わせて操作をカスタマイズできます。本記事は、普段から仕事でクリエイティブワークを行っている筆者が、実際の制作に取り入れながら使い勝手を試した様子をレポートしていきます!
Pilot Proを目にして、まず印象に残るのが中央に配置された存在感のあるジョイスティックです。
ジョイスティックを倒して直感的に操作できるほか、その周囲のラージノブを回して数値などを調整することも可能です。他にも、複数のダイヤルやボタンを搭載。ひとつのデバイスにさまざまな操作方法が詰め込まれています。
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横から見るとこんな感じ(左の小さなでっぱりがスモールノブ、左から2番目の大きいものがジョイスティック)
実際に左手を置いてみると、ジョイスティックに手を添えた状態から親指でボタンを押したり、指を伸ばして奥側のスモールノブを回したりすることが可能です。 筆者はそれほど手が大きい方ではありませんが、不自由なく操作できました。操作のたびに手を大きく移動させる必要がなく、本体サイズや各操作部の配置にもこだわりを感じます。
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これが筆者流の基本配置。ジョイスティックも、その奥のスモールノブも、左右のボタンにもこのまま手が届きます
単純にボタンを「押す」だけではなく、さまざまな指の動きを組み合わせて直感的に操作できるのがPilot Proのおもしろいところです。
Pilot Proを使うには、まず専用ドライバをインストール。その後、ドライバの設定画面から各種操作をカスタマイズできます。
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始めに、各部の名称や使い方を説明してくれて親切な印象
ジョイスティックやノブ、各ボタンには100以上のコマンドを割り当てることができ、自分の制作スタイルに合わせてカスタマイズ可能です。
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コマンドの設定画面。割り当てる操作は検索して選べるほか、自分で割り当てたいショートカットキーを押して設定することも可能。ジョイスティックは「4コマンド」「8コマンド」から選択でき、倒す方向ごとに異なる操作を割り当てられます
とはいえ、多機能だからこそ、最初に悩むのが「どこに何を割り当てれば使いやすいの?」ということ。
今回はまず、配布されているMac版のLightroom Classic向け設定をインポートし、それをベースに写真編集から試してみることにしました。
最初からすべての設定を自分で考えなくても、既存の設定を土台にできるのはありがたいところです。筆者の環境では、インポートした状態のままだと一部の操作が想定通りに動かない場面もありましたが、該当する操作の割り当てを設定し直すことで問題なく使用できました。
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使うアプリケーションに合わせて別々の設定ができます。「自動切り替え」をオンにしておけば、その時に開いているアプリケーションに合わせて自動的に切り替えてくれるので快適です
今回はLightroom ClassicとPremiere Proで試しましたが、PhotoshopやDaVinci Resolve、Final Cut Pro、CapCutなど、幅広いクリエイティブソフトに対応しています。
設定が終わり、実際に使用してみると、さすがに最初から自在には操れず、探り探りのスタート。どの動きにどの機能が割り当てられているのか、指が覚えるまでは慣れが必要でした。
そんなときに便利だったのが、ジョイスティック中央のOKボタン。押すと、各操作部に何を割り当てているのかが画面上に一覧で表示されます。
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画面を切り替えず、その場で一覧を表示してくれるので助かります
わからなくなったらこの表示を確認しつつ、よく使う操作から試していくうちに、少しずつ感覚がつかめてきました。
筆者は普段、写真編集のほとんどを右手のマウスで行い、左手は「元に戻す」などのショートカットキーを押す程度です。
Pilot Proを使い始めて、まず便利に感じたのが拡大・縮小でした。これまではショートカットキーで操作していたため、そのたびに右手をマウスから離してキーボードへ移す必要がありました。しかしPilot Proを使えば、写真の細部を確認したいときも左手だけで拡大・縮小できます。
例えば、映り込みや埃を除去するときは、拡大して修正したあとに一度引いて全体を確認し、また拡大して細部を見る……という操作を何度も繰り返します。
そんなとき、右手をマウスに置いたまま左手で表示倍率を変えられると、作業の流れが途切れにくくなります。一見すると地味な変化ですが、何度も繰り返す操作なので、「おー、これは快適だな〜!」と実感できました。
同じく、シンプルながらかなり助かったのが「元に戻す」操作です。MacではCommand+Zで行うこの操作を、Pilot Proのボタンに割り当てて使いました。
ショートカットを割り当てられること自体は左手デバイスとして基本的な機能ですが、Pilot Proでは大きなジョイスティックに手を添えたままの位置で、親指でボタンを押すことができる点が印象的でした。
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ボタンは軽くて押しやすく、ストレスフリーに使えます
写真を編集していて「違った」と思った瞬間、そのまま反射的に元へ戻せるという、ほとんど考えずに操作できる感覚が想像以上に快適でした。
さらに、写真編集でかなり便利に感じたのが、左右の手で異なる操作を分担できることです。
例えば、左手のPilot Proで露光量を調整しながら、右手のマウスではハイライトを調整。写真全体を見ながら「露光量をもう少し上げる」「明るくなった分ハイライトを少し下げる」と、複数の数値を行ったり来たりする作業も、手を持ち替えずスムーズに進められます。
写真編集では、ひとつの項目だけを決め打ちで調整するのではなく、複数のパラメータのバランスを見ながら仕上げていくことも少なくありません。右手だけで次々に異なるスライダーを操作するのではなく、左手にもひとつの操作を任せられるという点は、特にうれしかった点です。両手を効率的に使えることで、操作の行き来が減り、作業がよりスムーズになった感覚がありました。
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Lightroomの画面上でジョイスティックを倒し、どの数値を調整するか選択。自分がよく使う順番に設定しておけばサクサク作業が進みます。自由にカスタマイズできるので、自分の作業に合った設定へ整えていけます
写真の選定作業でもPilot Proを使ってみました。
筆者は撮影時に連写したり、構図や角度を少しずつ変えながら何カットも撮影したりするため、撮影後には大量の写真を確認する必要があります。 そこで、写真を「次へ」「前へ」と送る操作や「採用」をPilot Proに割り当てて使用。写真送りでは、「このあたりの写真は全部ボツ!」となればノブを高速で回して一気に写真を送り、似たカットで迷ったときには前後を何度も行き来して見比べるなど、直感的に選定できました。 次々と写真を確認し、残したいカットにはそのままボタンで採用フラグを付けていきます。
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採用/除外は十字キーに割り当ててみました。こちらも左右のボタン同様軽くて押しやすい印象
この方法で、大量の写真も普段よりサクサクと選定できました。
機能だけでなく、ジョイスティックやダイヤルそのものの操作感も印象的。操作するとほどよい手応えがあり、軽すぎず、重すぎない感触です。
以前筆者が使った別の左手デバイスでは、ダイヤルがカラカラと軽く回りすぎて、思うように操作しづらいと感じたことがありましたが、Pilot Proは適度な抵抗感があり、指先でコントロールしやすかったので快適に使えました。なんなら、電源を切っているときにも意味もなく動かしていたくなるほど、触っていて心地よさがあります(笑)。ちなみに、ダイヤルやノブの振動については、強度を調整できます。
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振動強度の調整画面。割り当てごとに調整ができます
筆者が好みだったのは「強」。数値をひとつ動かすごとに、手元へしっかりと振動が伝わるため、「今、ひとつ動いた」という感覚がわかりやすく、数値を調整するときにも操作量を把握しやすく感じました。
回転速度も変更できますが、こちらは「高速」が好み。高速にするとその分素早く操作できますし、筆者が試した範囲では、意図せず数値がどんどん先へ進んでしまうような感覚はありませんでした。
細かく合わせたいところではきちんと止めつつ、必要なときにはスピーディーに動かせるので、焦れったさを感じず作業を進められます。
自分の感覚や作業スタイルに合わせられるのもうれしいポイントだと感じました。
続いて、動画編集でもPilot Proを使ってみました。Pilot Proの特徴でもあるジョイスティックの便利さを特に実感したのが、この動画編集作業です。
今回はジョイスティックの4方向それぞれに、よく使う操作を割り当ててみました。右に倒すと順再生、左に倒すと逆再生。さらに同じ方向へ繰り返し倒すことで再生速度を上げられるように設定しています。これが想像以上に便利!
長尺の動画や、タイムラインを遠目に見ただけでは場面の切り替わりがわかりにくい素材では、高速再生しながら目的の箇所を探すことがあります。これまでキーボードのショートカットで行っていた操作が、ジョイスティックを左右に倒すだけでできるようになると、映像を確認する作業がかなりスムーズになりました。
さらに、ジョイスティックを手前に倒すと「編集点を追加」(クリップの分割)をするように設定。再生しながら「ここで切りたい」と思った瞬間に、スティックを手前へ倒すだけで、再生ヘッドの位置に編集点を追加できます。
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ジョイスティック操作だけで、クリップを思うように分割できました
これまでショートカットキーを押していた操作が「スティックを手前に倒す」という動きに変わるだけなのですが、思った以上に直感的で楽な上に、操作もスピーディーだと感じました。
「ちょっと位置が違った!」となっても、ジョイスティックに手を添えたまま近くのボタンで「元に戻す」操作を実行。そのまますぐやり直せます。
また、ジョイスティックの上方向にはリップル編集ツールを割り当てました。倒す方向によって複数の編集操作を呼び出せるので、「どのキーだっけ?」とキーボード上を探すより、方向と操作を結び付けて覚えやすく感じました。
さらに、タイムラインの拡大・縮小を左手側で操作できるのも便利。こちらも写真編集と同様、右手をマウスに置いたまま表示範囲を変更できるため、タイムライン全体を見たり、細部へ寄ったりする操作をスムーズに行えます。
その後、作業を進めていく中で特に使いやすかったのが、再生ヘッドの細かな位置合わせでした。クリップを細かく分割していきたいときや効果音の編集などでは、再生ヘッドの位置合わせが非常に重要です。筆者は、なかなかピンポイントで合わせられずイライラすることもあります。
そこで今回は、ラージノブでは0.5秒ずつ、ダイヤルは0.1秒ずつ再生ヘッドを動かせるように設定。まずジョイスティックで映像を再生しながら目的の箇所を大まかに探し、より細かく位置を合わせたいときにはラージノブやダイヤルを使用します。
「ここ!」というポイントへ合わせたいときは、0.1秒単位で少しずつ動かせるダイヤルが便利でした。
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ダイヤルは、意外にも薬指で動かすのが楽でした
もちろん、ジョイスティックに手を添えたまま、周囲のボタンで再生や「元に戻す」といった操作も可能です。
高速再生で場所を探す、細かく位置を合わせる、編集点を追加する、間違えたら戻す……という一連の操作を左手側で次々と行えるようになると、想像していた以上にテンポよく編集を進められました。
アプリごとに割り当てる操作は異なりますが、使い続けるうちに、よく使う操作の配置を少しずつ指が覚えていきました。
初めこそ「これはどの操作だっけ?」と確認する場面もありましたが、慣れてくると、左手はPilot Pro、右手はマウスに置いたまま。ショートカットキーを探すためにキーボードへ視線を動かしたり、操作のたびに手を移動させたりすることがかなり減りました。このことで、これまでよりも作業に集中しやすく、効率的に進められるようになった感覚がありました。
Pilot Proを使ってみて印象的だったのは、単にショートカットをボタンで呼び出せるだけではなく、ジョイスティックを倒す、ノブやダイヤルを回す、ボタンを押すといった複数の操作を組み合わせられること。また、ジョイスティックに手を添えたまま各操作部へアクセスしやすい配置も魅力です。さらに、振動強度や回転速度まで調整できるため、操作感そのものを自分好みに合わせられます。多機能なぶん、最初からすべてを自在に使いこなすには少し慣れが必要でしたが、配布されている設定をベースに、よく使う操作を少しずつ自分向けに変えていくだけでも、作業をしっかり支えてくれる存在になってきました。
今回試した範囲でも十分に快適さを実感できましたが、さらに使い込んでカスタマイズしていけば、もっと自分の制作フローに合った相棒にしていけそうです。写真編集や動画編集など、日々のクリエイティブワークをもっと快適に、効率よく進めたい人は、ぜひ一度チェックしてみてはいかがでしょうか。
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