「千代田」と聞いて、多くの人が思い浮かべるのは、おそらく東京都の千代田区だと思います。……だがしかし! 今、「じゃない方の千代田」が話題を集めていることをご存知ですか?
群馬県にある千代田町(ちよだまち)が注目を集めているのです。個性際立つキャラクターや、千代田町を舞台にしたショートドラマがSNSで再生回数80万回を超えるなど、“攻めた”シティプロモーションで知名度が向上しています。それに伴い、ふるさと納税の寄附額も増加しています。
なぜ、企画がうまく運んだのか!? プロジェクト成功に至るまでの経緯を、仕掛け人のおふたりに聞きました!
利根川沿いにある、自然に恵まれた千代田町。船での交通も現役!
――千代田町が「じゃない方の千代田」として注目されています。まずは、千代田町について教えてください。
横山さん利根川沿いにある自然に恵まれた町、という点がひとつ目の魅力です。水が豊かな環境で「サントリー 〈天然水のビール工場〉 群馬」があり、実はビールの生産地なんです。また、昔から地元の人に親しまれている「赤岩渡船(あかいわとせん)」という渡し船が有名です。千代田町の赤岩というエリアから利根川を挟み、対岸の埼玉県熊谷市葛和田までをつなぐ、「橋のない公道」を走る船です。今でも年間1万人以上が利用しています。
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千代田町 総合政策課 まちづくり戦略室 政策推進係 主事 横山将さん
――渡し船があったということは、人の行き来が盛んだったのですか?
横山さん赤岩は渡船場を中心に繁栄した「赤岩宿」という宿場町でした。歴史ある赤岩宿の賑わい創出と関係人口の拡大を目的に、2026年4月にはかつての赤岩宿があった地域に交流拠点「赤岩ベース」を設置しました。飲食や物販を通じた憩いの場として稼働させつつ、災害時には炊き出しなどの支援を行う避難所支援施設として活用していく予定です。
教えて! 千代田町
群馬県南東部の邑楽郡(おうらぐん)に位置し、町の南側を日本一の流域面積を誇る利根川が流れる水と緑が豊かな町。人口約10,600人、町の面積は21.73 km²。平坦な土地で暮らしやすく、農業・工業ともに盛ん。毎年8月18日に利根川河畔で開催される祭り「千代田の祭 川せがき」は約150年の伝統を誇り、毎年多くの人で賑わう。
行政のプロモーションは優等生的。だから敢えて“斬新”に!
――自然豊かで美しい千代田町ですが、シティプロモーションを始めるにあたり、どのような課題をお持ちでしたか?
横山さん知名度の低さが課題でした。「千代田町? 東京の千代田区にあるんですか?」と聞かれることは珍しくないのですが、実は一番ショックだったのは群馬県民の方ですら千代田町をご存知じゃない人が多いことでした……。より多くの人に千代田町を知ってもらうためにどうするか検討する中で、ふるさと納税業務の一部を委託しているシフトプラス株式会社に相談したのが、「じゃない方の千代田」のプロモーションを始めたきっかけです。
――「じゃない方の千代田」という言葉を初めてお聞きになったときの、感想を教えてください。
横山さん自虐的なフレーズを前面に出して大丈夫かな? と、最初は少し戸惑いました。ただ、行政のシティプロモーションには「住み心地がいい町です」「自然が豊かです」などの優等生的な表現が多く、他と同じようなことをしても全国に1,700以上ある自治体の中に埋もれてしまう。ここは思い切って、「じゃない方」と打ち出し、企画を進めたところ、おもしろいキャラクター案をいただいてプロモーションが加速していきました。
――おもしろいキャラクターとは?
横山さん東京都千代田区生まれ千代田区育ち、ビールが好きな32歳のシティボーイ「千代田線男(ちよだせんお)」です。キャラクターのアイディアは3案あり、A案、B案はよくある地方プロモーションみたいな見え方になりそうだったので、絵のテイストと設定が斬新なC案の「千代田線男」に決めました(笑)。
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「じゃない方の千代田」公式キャラクターの「千代田線男」。生まれも育ちも東京の彼が、群馬県の千代田町を知っていく様子を、「じゃない方の千代田」ではさまざまな形で表現している
――「千代田線男」を活用したプロモーションの内容を教えてください。
横山さん2025年8月には東京都千代田区で、千代田町を体感できるリアルイベントを開催するほか、「千代田線男」ともうひとりのキャラクター「千代田町子(ちよだまちこ)」が登場する交通広告を東京の地下鉄千代田線沿線の主要8駅に貼り出しました。グルメやホテル、トレンド、交通網などが充実している千代田区と、名前は似ているけど存在感の薄い千代田町を対比しつつ、「実は千代田町にはこんな魅力がある!」と訴求しました。
そして、2025年9月には特設ホームページをオープン。SNSでショートドラマを公開するなど、複数の施策を同時並行で進めていきました。ショートドラマは3日間で再生回数が50万回を達成し、現在は80万回に到達しています。
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2025年に千代田線沿線で展開された「じゃない方の千代田」の交通広告の一例
――プロモーションを実施して、周囲の方の反応はいかがでしたか?
横山さん好意的に受け止めたり、応援してくださる方が多くて嬉しいです。千代田区のリアルイベントでは、「キャラクターが可愛い」という声をよく耳にしました。
――役場の方々は、すぐに賛成してくださいましたか?
横山さん「こんな攻めた企画で大丈夫?」と不安な声も一部ありました。でも、千代田町役場には新しいことに挑戦しやすい柔軟な風土があるので、企画を進める意味やメリットをしっかり説明することで賛同を得られました。
この企画は、千代田町を紹介するための玄関の扉を開くようなイメージです。そして知名度向上を一過性のものにせず、千代田町とつながりを持つ身近な手段である「ふるさと納税」に興味を持っていただき寄附につなげること、さらに、千代田町の魅力を伝え続けることで町を活性化させることがゴールだと伝えました。
交通広告・ショート動画・イベント、一見遠回りの複合施策が寄附につながる
――ここからは、「じゃない方の千代田」発案者であり、今回のシティプロモーションに並走したシフトプラスの髙橋さんにもお話を伺います。髙橋さんは、千代田町について初めはどのような印象をお持ちでしたか?
髙橋さん自然豊かで、住んでいる皆さんは優しい方が多く、温かい町という印象を受けました。ふるさと納税の返礼品提供事業者さんに訪問する機会も何度かあり、いつも温かく迎え入れていただいています。千代田町さんもそうですし、今回のプロモーションで関わる機会が増えて、町全体がそのような風土があるのだと感じました。
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シフトプラス株式会社 デザイン本部 プロモーション部 部長 髙橋宏太さん
――千代田町役場の横山さんにプレゼンなさったときの様子をお聞かせください。
髙橋さんかなり勇気を出して提案しました(笑)。「じゃない方」という言葉は、千代田町を「ディスっている」と受け止められかねないですし、住んでいる方やご出身の方々のシビックプライドを傷つけ兼ねないので。ただ、ゴールはあくまでも、「千代田町っていい町なんだな」と感じていただくことや、「ビールと言えば、千代田町」というふるさと納税市場での第一想起を図っていくことです。その目的とゴールをはっきり示して、企画のねらいをお伝えしたところ採用をいただけました。
イラスト案の中から絶対に採用されないだろうと予測していたC案を選んでいただいたことから良い意味で歯車が狂っていったと思います。その後は横山さんを始め、役場の方々と何度もアイディアを交換したうえで、プロモーションを実働させることができました。
――キャッチフレーズとキャラクター決定後のプロモーション内容は、どういう経緯で作り上げていったのですか?
髙橋さんまずは社内のプロジェクトチームで、千代田町の強み弱みを洗い出し、そこから様々な観点からの企画の切り口を話し合いました。その中で一番ハマった案が「じゃない方の千代田」だったんです。そして、「“じゃない方の千代田”で進めるなら、あえて千代田線で広告を出すとおもしろいのでは?」という発想に至り、予算の範囲内でできることとして交通広告に着地しました。そして、千代田区内でリアルイベントを開催すると同時にグッズも制作。SNSではキャンペーンを行い、ショートドラマをしっかり作り込んで配信する。オフラインとオンラインをミックスさせることで大きなプロジェクトに成長させられたと思います。
――今回の企画を通して得られた気づきを教えてください。
髙橋さんふるさと納税の寄附額を伸ばすための広告手法は、一般的にポータルサイト内に広告を出すなど、見てくださる方に伝わりやすい方法が主流なのですが、「じゃない方の千代田」のプロモーションは、遠回りだけれど寄附につながる実感を得られました。今後も、役場の方々に伴走する形で、同じ目標に向かって楽しみながら仕事をしていけたら光栄です。
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「じゃない方の千代田」公式グッズ。「千代田線男」と「千代田町子」を起用したエコバッグ、アクリルスタンド、キッチンタイマーなどがある。
RPGゲームをモチーフにした新ドラマ、「千代田線男」の漫画も制作中。勢い止まらぬ千代田町に注目を!
――横山さんは、このプロモーションに取り組んでどのような発見がありましたか?
横山さん今回は官民連携の形で、行政の力だけでは成し得なかったことを展開できたと考えています。千代田町側は地域資源や我々の本気度をシフトプラスに伝え、それがクリエイティブな形になり、多くの方々に知っていただくシティプロモーションに昇華できたと感じています。大切なパートナーとして今後も一緒に企画を進めていきます。2026年のふるさと納税の寄附額は、当初目標の35億円を達成できました。この温かいご寄附を有効活用して町の賑わいを創出していきたいです。
――今後の具体的な取り組みがあれば教えてください。
髙橋さん近々催す企画としては、ショートドラマの第2弾として、RPGゲームをモチーフにした物語を配信し、同ゲーム内に登場する酒場にあやかって「チヨーダの酒場」というテーマのイベントを2026年9月に千代田区有楽町の東京交通会館で行います。それから、キャラクター「千代田線男」が主人公の漫画も制作中です。他にも、予定している企画は次々と生まれています。これらのプロモーションをきっかけに、多くの方が千代田町のファンになっていただき、さらには千代田町に足を運んでくれて、広い空のもと心地よい時間を過ごしてもらえたら嬉しいです!
[PR]提供:千代田町

