保険といえば、事故や災害が起きた後の補償を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし近年は、交通事故や自然災害、動物による被害、サイバー攻撃など、私たちを取り巻くリスクが多様化・複雑化しています。そうした中、事故や災害の被害について経済的な補償にとどまらず、被害の最小化や未然に防ぐために企業や社会が何ができるのかという視点にも、関心が高まっています。
三井住友海上火災保険(以下、三井住友海上)では、これまでの事故対応などを通して蓄積された知見や、地域とのネットワークを活用し、事故の未然防止や防災に向けた取り組みを推進しています。活動を支えているのは、部署の垣根を越えた連携。お客さまが抱える課題を可視化し、リスクを軽減するための活動をしています。
今回は、営業部門の企画を担う営業企画部、事故対応を統括する損害サポート業務部、そして国や地域との連携を進める地域マーケット部の社員が座談会を実施。防災や事故の未然防止に対する想い、取り組みの内容、そして社内の部署間連携について伺いました。



地域共創ユニット長 和住さん
損害保険だけではない。“事故の未然防止”に取り組む理由
――三井住友海上では防災や事故の未然防止に向けた取り組みにも力を入れているそうですね。なぜ、損害保険の枠に留まらないサービスの提供をしているのでしょうか。
近藤さん:
従来、損害保険は事故や災害が起きた後の経済的な損失を補償する役割を担ってきました。しかし、自然災害の激甚化やサイバー攻撃など、リスクが多様化する中では、それだけではお客さまを十分に支えきれない場面も増えています。
だからこそ当社では、事故時の補償に加え、事故を未然に防ぐ、復旧を早めるといった補償前後の価値を「補償前後のソリューション」として提供しています。私たち営業企画部も、商品やサービスを一方的に勧めるのではなく、お客さまが何に困っているのかを起点に、そのお客さまに合った対策を考えることを大切にしています。
藤下さん:
私たち事故対応部門も、これまでは事故に遭われたお客さまのサポートや保険金のお支払が主な役割となっていました。これからは、事故に遭われたお客さまへの対応にとどまらず、事故に遭われていないお客さまも含めた「すべてのお客さまや地域」を支えていくことが重要だと考え、すでに地域やお客さまの課題に応じた取り組みを全国で展開しています。
そのなかで私たち損害サポート業務部は、会社全体として事故の未然防止への活動を推進するための仕組みを整備・統括するとともに、地域や部門を越えた連携を促し、取り組みがより多角的かつ発展的なものとなるよう支援しています。
和住さん: 各地域が抱える課題は、地形や気候、産業などによって異なります。地域マーケット部の目標は、それらの課題を的確に把握し、地域に寄り添い、解決に取り組むことで新たな価値創造を目指すことです。私たちは、「今の課題は何ですか」と聞くところからプロジェクトを始めます。保険代理店のネットワークをいかして解決できることが、きっとあるはずですから。
近藤さん: 事故の未然防止は、ひとつの部署だけでは実現できません。営業担当者や保険代理店がお客さまと対話し、事故対応部門が事故の実態を把握し、営業部門が地域マーケット部とともに地域課題と向き合う。その中で得られた気づきを全社で共有し、施策として形にしていく。こうした連携が、事故の未然防止を進化させる原動力だと考えています。
藤下さん: たとえば事故対応部門では、日々の事故対応を通じて、お客さまの怪我や事故を未然に防ぐための知見やアイデアにつながる気づきがあります。しかし、こうした情報を具体的な予防策として実装していくには、事故対応部門単独の取り組みでは限界があります。そのため、各部署が持つ専門性や知見、ネットワークを掛け合わせ、部門横断で解決策を検討・推進していくことが重要だと考えています。
和住さん:
地域マーケット部は主にハブ役として、他部署との連携を促しています。防災、交通安全、脱炭素など、地域が抱える課題に向き合うためには、当社のリソースを結集し、部門横断で何ができるのかを考えなければいけません。
そのうえで重要なのは、「誰を主語にして課題を捉えるか」という視点です。「当社の商品を売ること」が目的になってしまうと、課題解決の方向性を誤ってしまう可能性があります。主語はあくまでもお客さまである地域・住民・企業です。その視点に立つことで、お客さまにとって納得感のある提案につながると考えています。
近藤さん: ですから施策を考えるときは、お客さまの声をもとに、営業企画部や損害サポート業務部はもちろん、商品・サービスの企画やリリースに関わるさまざまな部門と連携しながら、リスク軽減につながる取り組みを形にしていく必要があります。そして地域マーケット部や営業部門、自治体と協力し、地域に届けていく。部門横断の循環を大切にしています。
――部署間のコミュニケーションは、日頃から活発なのでしょうか。
近藤さん: そうですね。社内では、部署の垣根を越えて相談し、意見を交わしながら検討を深めていくことが日常的にあります。私自身も、お二人に直接相談しながら考えを深めたことがありますし、必要に応じて専門性を持つ他部署の方につないでいただくこともあります。そうした連携を重ねる中で、3部署に限らず、関連部門の知見や協力が自然と集まり、取り組みが前に進んでいく実感があります。
藤下さん: 日々のコミュニケーションによって連携がより円滑になり、新しいアイデアや取り組みの創出にもつながっていると実感しています。
和住さん: 地域マーケット部には自治体から来ている方もいるのですが、当社のコミュニケーションのスムーズさに驚いていたのが印象的でした。話が進むのが早い、他部署との連携が活発という環境を評価していただけました。部署の枠を越えて横串を刺す、というのは地域マーケット部の役割の一つでもあります。そしてそこに自治体等の社外とも連携を図ることが私たちの大きな存在価値のひとつであると感じています。社内外で連携することで、大事なお客さまのリスク軽減や、地域のさらなる発展に貢献していければと思います。
事故対応の現場や地域との対話から、ヒントが見える
――先ほど、損害サポート業務部には、これまで蓄積した事故に関する知見があるとおっしゃっていました。事故対応の現場でわかってきた、近年の事故の傾向や課題を教えてください。
藤下さん: たとえば強風が吹く地域では車のドアが急に開いてしまい隣のお車を傷つけてしまうなど、地域ごとの特性や事故が多発するスポットが見えてきました。ドアにガードを付ける、駐車間隔を空けるなど、これまでの事故対応経験から見えてきた知見やアイデアを地域の皆さまに共有することで、事故の未然防止につながる可能性があると考えています。
今までお客さまにとっての保険は、「安心」・「いざというときの備え」という認識にとどまっていたと思います。しかし、たとえ修理費が補償されるとしても、自分の車が傷つくことを望む方はいません。「注意すべきポイントへの意識を高めれば、避けられる事故がある」と私たちがお知らせすることで、事故の未然防止、事故のない世界の実現に寄与できると考えています。今年は道路交通法の改正もありましたので、自転車に関する啓発活動にも力を入れていく予定です。
――地域マーケット部では、自治体などとどのような連携を進めてきたのでしょうか。
和住さん: 3年ほど前から、大阪府堺市の防災パートナーとしてプロジェクトを進めています。堺市は防災の施策を行っても住民への認知が進まないことが課題で、伝えるためのノウハウが不足していたんです。その役割を私たちが担います、とお話をさせていただいたのが連携のきっかけでした。
近藤さん: 三井住友海上には、保険という価値が見えにくいものを扱ってきた実績がありますからね。今なぜリスクに備えなければいけないかを、営業部門や保険代理店が一体となってお客さまに伝えてきました。
和住さん: また、保険ビジネスとも関連の深い防災・減災や、昨今法改正のあった自転車の交通安全にも注力をしています。どの年代の事故が多いのか、どんな状況で事故が発生しやすいのかなど、これまで蓄積してきた情報をもとに現状をしっかり把握できるのが、私たちの強みです。
――地域課題の発見から施策の実施までは、どのように進めていくのでしょうか。
和住さん: まずは自治体のオープンデータをしっかり調べ、課題を把握しておくところからスタートし、次にその課題に一緒に取り組んでいただけそうなパートナーを探します。たとえば自転車事故の未然防止なら、自治体や警察との連携にはじまり、情報伝達のためデジタルサイネージを手がけている鉄道会社などに声をかけて、だんだんとパートナーを増やして、施策を実行に移していく。社会課題の解決に向けて一緒に汗を流せるような関係性を構築すれば、お客さまからも共感されるパートナーシップになっていきます。
近藤さん: お客さまが抱える課題は、社会環境や事業環境とともに日々変化しています。だからこそ、本社部門だけで判断するのではなく、営業担当者や保険代理店の皆さまとの対話を通じて、現場に寄せられる声をタイムリーに捉えることが重要です。お客さまの不安や困りごと、日々の対応の中で得られる気づきを、取り組みに反映することを大切にしています。
藤下さん: 事故対応部門では、事故に遭われたお客さまに直接対応しているからこそ得られた知見があります。そうした情報を、営業部門はもちろん、各部署へ共有し、今後の取り組みに活かしていくことが重要だと考えています。
現場の声が新たな価値を生む。部署間連携で生み出した施策
――営業企画部では、現場の声をどのように施策に反映してきたのでしょうか。
近藤さん:
たとえば、クマ被害への対策があります。近年、各地でクマの出没が増加しており、お客さまや自治体からも「何から対策を始めればよいかわからない」といった声が寄せられるようになっています。こうした声を営業担当者が受け止め、地域マーケット部や商品部門をはじめとする関連部門、MS&ADインターリスク総研などのグループ会社と連携しながら、リスクの把握から具体的な対策、万一の備えまでを一体的に提案できる体制を構築しました。
具体的には、MS LifeConnect(AIスマートカメラ)による検知、動物被害に関するコンサルティング、緊急銃猟時の賠償リスクへの備えなど、複数の選択肢を組み合わせ、地域ごとの課題に応じた提案につなげています。
藤下さん: 北海道では、自動車と野生動物との衝突事故が増加しているという課題がありました。そこで、事故の未然防止と動物との共生の両立を目指し、動物の行動特性を活用した技術による事故回避に向けた検証を進めています。
和住さん: 地域からは動物との衝突事故を防ぐだけでなく、ジビエの活用についての相談もいただいています。駆除で事故の未然防止をするとともに、地域の新たな産業にもしていきたいとの思いがあり、課題解決の先にある地域貢献や経済活性化にも、営業部門が目を向けるようになってきました。
藤下さん: 事故対応部門の知見だけでは、ジビエも含めた施策には行き着きません。他部署と連携しているからこそ、一気通貫のソリューションを検討できるのだと思います。
――他にも三井住友海上ならではの強みを教えてください。
近藤さん: お客さまとの対話を通じて、潜在的なリスクを見える化し、具体的な行動変容につなげられることだと思います。リスクは認識されなければ対策につながりません。全国の営業部門、事故対応部門、保険代理店、自治体から得られる情報を組み合わせることで、お客さま自身も気づいていなかったリスクに光を当て、備えの一歩を後押しできると考えています。
藤下さん: 事故に遭われてご不安なお客さまに寄り添い、「三井住友海上に入っていてよかった」と思っていただけるような対応を、日々心がけています。今後は事故そのものを未然に防止すべく、地域や社会、お客さまの課題に向き合い、安心・安全な未来に寄与していきたいです。
事故のない世界をめざして。未然防止の先にある安心・安全な社会
――今後、事故の未然防止や地域課題解決の取り組みを通して、どのような社会を実現したいですか。
和住さん: 事故の起きない社会を実現するための構造変革に、これからも力を入れていきます。しかし私たちだけでできることには限界があるので、地域や国、大学、そして企業などと積極的に連携して取り組みます。
近藤さん: 事故が起きた後だけでなく、事故が起きる前からリスクに気づき、備えられる社会にしていきたいです。事故や災害、社会課題への不安は、地域やお客さまごとに異なります。だからこそ、営業担当者や保険代理店、関係部門と連携しながら、お客さまの声に耳を傾け、課題に合わせた提案につなげていくことが大切です。保険会社としてこれまで培ってきた事故対応やサービスの品質を活かしながら、万が一のときだけでなく、いつでもお客さまや地域の安心を支えられる存在になっていくのが目標です。
和住さん: リスクを価値に変える会社になれれば、当社の大きな強みになりそうですね。
藤下さん: 事故に遭わないことが、お客さまにとっていちばんの安心ですよね。事故が起こらない社会を実現するために、保険会社としてできることを実践し、お客さまや地域に貢献していきたいです。事故のない社会の実現に寄与するという当社の活動を通して、三井住友海上を知っていただき、お客さまに最も選ばれる会社になることをめざしていきます。
連携を循環させ、お客さまを支える
事故後のサポートだけでなく、事故そのものを減らし、リスクを軽減する。そのために三井住友海上では営業企画部、損害サポート業務部、地域マーケット部などの各部署が連携しながら、防災や事故の未然防止に向けた取り組みを進めています。
現場の声から課題を把握し、社内外の知見を融合させ、新たな価値を提供する循環。それこそが三井住友海上の強みの一つだといえるでしょう。
今後も社会の変化や地域の事情に合わせ、事故の未然防止に力を入れていくとのこと。発展を続ける三井住友海上のビジョンに、今後も注目してみてはいかがでしょうか。
[PR]提供:三井住友海上火災保険株式会社






