物流施設と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、高速道路のインターチェンジ付近に建つ巨大な倉庫ではないでしょうか。荷物を保管し、仕分け、トラックで運び出す。私たちの暮らしを支える重要なインフラではあるものの、普段の生活ではなかなか関わることがないため、どんな場所なのか具体的にイメージしにくい人も少なくないでしょう。

そのイメージを変える施設が、神奈川県海老名市に誕生しました。2026年6月30日に竣工した「三井不動産インダストリアルパーク海老名 &forest(以降MFIP海老名 &forest)」です。

物流機能に加え、建物の約半分をオフィスや研究施設、ラボなどとして活用できるマルチユース型の複合業務施設となっています。

※参考リリースhttps://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/ 2026/0625/(2026年6月25日付)

本施設は、複数テナント型の物流用途を含む施設として国内で初めて一部木造構造を採用したほか、三井不動産グループの木造建築ブランド「&forest」の第1号竣工物件でもあります。そんなMFIP海老名 &forestを3つのポイントから紹介します。

※(株)日本ロジスティクスフィールド総合研究所調べ

MFIP海老名 &forest とは▶

物流を含む複合施設に、国産材による一部木造構造を採用

MFIP海老名 &forestの大きな特徴は、建物構造の一部に国産材を用いた木造構造を採用している点です。

木造が使われているのは、主にエレベーターホールや階段まわりの共用部。柱には外側にトドマツ、内側の構造材にカラマツを使用し、梁には木材と鋼材を組み合わせたハイブリッド構造を採用。階段の踏み板にも木材が使われています。

施設全体で使用した木材のうち約7割は、三井不動産グループが北海道の31市町村にわたって保有・管理する約5,000ヘクタールの森林から調達しています。共用部は一部木造を採用したことにより、鉄骨造で建築した場合と比較して建築時のCO2排出量を低減することに成功しました。さらに屋上には太陽光パネルを全面設置し、再生可能エネルギーの活用も進めています。環境認証についても、BELSにおける「Nearly ZEB」の取得を予定しています。

また注目したいのが、伐採・搬出から現場施工までの流通過程をつなぐ形で、三井不動産として初めてSGECプロジェクトCoC認証を取得したことです。これは、認証を受けた森林から産出された木材が、加工・流通の各段階で適切に管理されていることを証明する認証制度です。

三井不動産グループは、保有林の木を守るだけでなく、適切に育て、建築資材として活用し、その収益を次の植林につなげていく「植える・育てる・使う」のサイクルを回し続ける“終わらない森創り”に取り組んでいます。MFIP海老名 &forestは、この循環の中に物流施設という大規模な産業施設を組み込んだプロジェクトといえます。

“終わらない森創り”を詳しく見る▶

なお、&forestブランドとしては、今後、東京・日本橋エリアにおいて日本最大・最高層の木造賃貸オフィスビルとなる「日本橋本町三井ビルディング &forest」の計画も進んでおり、木材活用が広がっていく見通しです。

倉庫の上階にラボとオフィス。多様なワーカーが集う複合業務施設

MFIP海老名 &forestは地上4階建て。1フロアの面積は約9,000㎡で、1階・2階が物流エリア、3階・4階がオフィスや研究施設、ラボなどに対応するマルチユースエリアという構成です。

本施設は、竣工時点ですでに全フロアが満床となっています。物流だけでなく、研究開発や検査業務などにも対応できる施設設計が、多様な企業の入居につながっています。

横河レンタ・リースは1階・2階の倉庫フロアと3階の一部に入居し、PC・IT機器のライフサイクルマネジメントを担う国内最大級のテクニカルセンターを開設します。3階の残りの区画には、食品検査や遺伝子検査に対応するラボとしてファスマックが入居。4階には、新日本空調が長野県茅野市から研究開発拠点を移転して「SNK EBINA Innovation X HIVE」を開設する予定で、環境・エネルギー分野の研究開発や技術展示、異業種共創の場として活用していく計画です。

新日本空調が使用する4階フロアは、有効天井高7.5メートルを確保するなど、研究開発用途のニーズを踏まえた仕様となっています。単なる保管施設にとどまらず、テナント企業の事業内容や用途に応じて柔軟に空間を構築できる点が、MFIP海老名 &forestの大きな特長です。

こうした多様な利用ニーズに対応できる背景には、優れた立地環境があります。海老名は東名高速道路や圏央道へのアクセスに優れる一方、小田急線・相鉄線・JR相模線の3路線が利用でき、物流従事者だけでなく研究開発職やオフィスワーカーも通勤しやすい環境が整っています。

施設デザインにも、働く人への配慮が見て取れます。メインエントランスは木や植物の風合いが感じられるデザインで、壁面には海老名の田園風景をモチーフにしたアート作品「実りの軌跡」が設置されています。

海老名の原風景である田園風景をモチーフとし、大小の木片で風に揺れる稲穂を表現しています。木片の加工には、欄間(らんま)に用いられる伝統的な木工技法を採用。背景の壁面の一部には黒錆加工を施しており、光を美しく反射する仕上げになっています。素材の一部には三井不動産グループ保有林の木材が使われており、地域の記憶と未来への想いをつなぐシンボルとしてデザインされました。

3階には、コンセプトの異なる2つの共用ラウンジも整備されています。

北側の「Forest Lounge」は、木質感あふれるリラックスできる空間です。

保有林の木材を使った什器が設置され、壁面には海老名から望める丹沢大山の眺望をモチーフにしたデザインが施されています。JVCケンウッドのハイレゾ空間音響ソリューション「KooNe(クーネ)」を導入し、北海道の保有林で収録した自然音を再生。小川のせせらぎや小鳥のさえずりなどが聞こえてくることで、従業員がリラックスできる環境を創出しています。

一方、南側の「EBINA HUB」は、交流・共創などコミュニケーションを促す空間となっています。

バーを思わせるカウンターに大型スクリーン、プロジェクターやマイクなどを完備し、交流や休憩のほか、イベントやプレゼンテーションにも活用できます。

公園や歩道を整備。地域に開かれた施設づくり

物流施設というと、周辺の住宅地や商業エリアとはあまり関わりがないと思われがちです。しかしMFIP海老名 &forestは、海老名市役所周辺地区計画の区域内に位置しており、地域のまちづくりと連携する形で開発が進められました。

敷地の一部には、広さ約2,000㎡の「中央第一公園」が整備されています。高さ約5mのネットで囲まれたボール遊び広場のほか、遊具や水飲み場、ベンチが設置されたエリアもあります。いずれも海老名市との協議を経て計画され、三井不動産が整備したうえで海老名市に提供されました。

施設に面する市道332号線の沿道には、幅2m、長さ約200mにわたる歩道状空地も整備され、ジンダイアケボノなど四季の移ろいを感じられる樹木やベンチが設置されました。

施設の周辺では今後、温浴施設や住宅の開発も予定されており、新たな賑わいにつながることが期待されます。

物流施設から産業拠点へ MFIPが描く新たな施設のかたち

三井不動産では、従来の物流施設ブランド「MFLP(Mitsui Fudosan Logistics Park)」に加え、物流機能だけでなく研究開発や製造、ラボ機能などにも対応する「MFIP(Mitsui Fudosan Industrial Park)」の展開を進めています。MFIP海老名 &forestは、その取り組みを象徴する施設として誕生しました。

国産材を活用した一部木造構造により脱炭素に貢献し、地域に開かれた公園や歩道を備え、働く人のための空間づくりにもこだわったMFIP海老名 &forest。物流、産業、環境、地域をつなぐ新しい施設として注目を集めそうです。

三井不動産グループの木材活用とはとは▶

[PR]提供:三井不動産