夏のボーナスや初任給が支給されると、普段より大きな買い物や新しいサービスの利用を検討したり、旅行に出かけたりしたい方も多いのではないでしょうか? 財布の紐が緩むこの時期だからこそ、消費者を不利な選択へ誘導する「ダークパターン」に注意が必要です。「期間限定」「残りわずか」などの文言に心がぐらついて、通常より高い買い物や意図しない課金をしてしまうかもしれません。

今回の記事では、家電・旅行・サブスク等の分野に潜む落とし穴を可視化し、お得かつ安心して買い物をするためのポイントと、巧妙な仕組みに騙されないためのヒントを解説します。

ユーザー本人が意図しない不利な選択へ誘導されてしまうダークパターン

近年、ECサイトを通じて商品やチケットの決済をしたときに「お得に買ったつもりが損をする」人が増えています。

・一度きりの購入のつもりだったのに定期購入を申し込んでいて、品物が繰り返し届くまで気付かなかった
・期間限定の割引と表示されていたから購入したのに、期間が過ぎても表示が変わっていなかった
・承諾と拒否のボタンが見分けづらくて間違えて押した
・いつのまにか選んでいないはずのアイテムが購入カートに紛れ込んでいた
・解約したいと思ったが、手間や時間がかかり、少額なので面倒になって妥協した
・ユーザーレビューに明らかな嘘や誇張が書かれていた

こうした経験を自分や知人がしたという人は多いのではないでしょうか? ユーザーの不注意や「面倒だからこのままでいい」と感じる心理に働きかけ、 本人が意図しない選択や行動へ誘導してしまうようなUI・UX上の設計は、「ダークパターン」と呼ばれます。

ダークパターンにはさまざまな手口があり、経済協力開発機構(OECD)では、それらを24類型に分類しています。これらの手口は組み合わせて使われることも多く、決済前に「安すぎる」「やけに急いで決断させようとしてくる」「解約やキャンセルの方法が見当たらない」といった違和感を覚えたら、それはダークパターンに遭遇したのかもしれないサインです。

ダークパターン対策協会についてはこちらをチェック

ジャンル別リスクマップで自分ゴト化を促進しよう

ダークパターンに気を付けるといっても、買い物のたびに選択肢の公平さや解約の容易さ、紛らわしい表記がないかなど、隅々までいちいちチェックするのは大変です。そうした作業を面倒くさいと思う心に付け込む手口が多いので、外すべきではないポイントだけ押さえると考えましょう。

そこで参考にしたいのが、以下に整理したリスクマップのポイント。今回は夏に消費が向かいがちな4つのジャンルに分けました。自分がよく利用するECサイトや、この夏の買いたいと思っているものなどと照らし合わせ、このポイントに違和感があればすぐに決済せず、注意して調べるようにしてください。

  • ジャンル別リスクマップ

    ジャンル別リスクマップ

どのジャンルにも共通する見分け方としては、残り僅か、今だけ、現在何人が閲覧中といった情報で決済を「急がせる表示」、追加費用やキャンセル条件、定期購入の条件などがわかりづらい「総額・条件が見えにくい表示」、オプションなどが自動選択されていたり、解除しづらかったり、あるいは解約の導線が複雑だったりといった「やめにくい/外しにくい設計」があげられます。

なお、リスクマップを見るときには、これがあくまで違和感を覚えやすいポイントの抽出であり、該当するものを見て即座にダークパターンを使っている悪いサイトだと決め付けないように注意してください。たとえば、期間限定の割引は、創業祭や発売記念などで実際に短期間だけ実施されることも多く、ダークパターンはまさにそれを装う手口だからです。

「いまだけお得は本当にお得?」自動更新の設定や解約条件も確認を

サブスクやサービスを契約するときに気を付けたいことは?

サブスクやサービスを契約するときに最も気を付けたいのは、利用を止めるときのことまで考えて申し込むこと。つまり解約手順の確認です。

これらのサイトでダークパターンを用いる場合、「解約しにくい」に分類される手口が目立ちます。具体的には解約手順がわかりづらい、申し込みはいつでも受け付けているのに解約は特定の時間帯しか受け付けていない、キャンセルは電話受付のみ、年額契約であることや途中解約条件が分かりにくい・月額のように見せている、無料体験後にキャンセルしないと自動的に課金が始まるといったケースがあります。

優れたサービスに見えても、解約しにくくなっていれば、信用に疑問符が付きます。使っているうちに思っていたようなサービスが受けられないと気が付くかもしれません。生活環境の変化や、より良いサービスが登場するといったことまで見越して、解約手順は必ずチェックしましょう。

旅行やイベント予約の際に気を付けたいことは?

旅行やイベントの予約関連のサイトでは、キャンセル料に関するトラブルが起きがちです。航空機や新幹線など交通機関の搭乗券や座席券、宿泊施設の部屋、飲食店のメニュー、イベント会場の入場券や施設利用など、予約時にあとから止むを得ずキャンセルしなければならなくなる可能性を想定し、いつまでならどのくらいの返金に対応してくれるのか、確認しておきましょう。

これらのサイトでは、サブスクと同じ「解約しにくい」、座席数や部屋数(在庫数)などが限られていることを誇張して強調する「在庫僅か」、現在◯人のユーザーが閲覧中ですといった他の消費者の行動について表示して注目されていると装う「アクティビティメッセージ」、ユーザーレビューに誇張や虚偽を混ぜる「嘘の口コミ」などの手口がよく見られます。それらについても気を付けるようにしてください。

EC・通販サイトでの購入時に気を付けたいことは?

EC・通販サイトで少額の買い物をする場合、本来は不要な商品を購入させられそうになっていないか、実際よりもお得に感じて多くのお金を使うことになっていないか注意しましょう。

条件が複雑なクーポンでの購入を促し、不本意な商品の購入につなげる「釣り餌と交換」、決済画面で定期購入が標準で選択されていて、一度きりの購入のつもりで定期購入させる「隠れた定期購入」、総額がわかりづらい「隠された情報」などのほか、オファーや割引が間もなく期限切れになると表示して焦らせる「カウントダウンタイマー」、意図しないアイテムが自動的にカートに追加されている「こっそりカートへ」もあります。

このジャンルでは、ユーザーが途中で気が付いても「少額だし、もう一度探し直すのは面倒だから、まあ、いいか」と妥協しやすくなるよう誘導する点も目に付きます。数百円や数千円の課金でも、年額になれば大きな出費になっていきます。

それにダークパターンを使う事業者が儲けるということは、誠実な設計に取り組む事業者が競争上不利になり、消費者が真っ当なサービスを受ける機会の減少にもつながるということです。少額だからこそ、違和感を見逃さないようにして、本当にいますぐ買う必要があるのか、立ち止まって決済する習慣を身に着けましょう。

家電などの高額商品を比較検討する際に気を付けたいことは?

家電などの高額商品を比較検討して購入したい場合、ECサイトも複数を見比べがちです。そうしたユーザーに見比べられることが前提で設計されているサイトでは、金額が少しでも安く見えるよう最小構成になっていることが多いです。

しかし、いざ決済画面に進むと追加で保証やオプションが標準で選択され、ほかより安いと思って選んだのに高くなっていたり、逆に当然あると思っていた内容がオプションになって外れていたりということもあります。金額だけでなくオプションや条件にも目を通すようにしてください。

消費者と誠実な企業を守るNDD認定制度

ダークパターンの被害者にならないための注意点を紹介しましたが、ダークパターンを「避ける」だけが自衛ではありません。リスクマップでのチェックに自信が持てない人にもぜひ覚えておいてほしいのが、信頼できるWebサイトを選定する指標として、ダークパターン対策協会が付与する「NDD認定マーク」。この有無を確認するという「選ぶ」視点です。

NDD認定マークは、事業者が自己審査を実施したうえで、ダークパターン対策協会が行うWebサイトの表示内容や組織的な対策について、協会の基準に基づく審査を受け、基準を満たしたWebサイトに付与されるものです。

認定は1年ごとの更新制で、継続には毎年の更新審査が必要です。継続年数に応じてブロンズ、シルバー、ゴールドへと昇格します。認定マークは各領域(スコープ)のアイコンと組み合わせて表示。現在は「組織的対策」「クッキーバナー」「購入前最終確認画面」の3つのスコープを運用中です。

  • NDD認定マーク。現在はゴールド、シルバー、ブロンズの3種類が用意されています

    NDD認定マーク。現在はゴールド、シルバー、ブロンズの3種類が用意されています

具体的なトラブルは188へ、気づきや体験はダークパターン・ホットラインへ

ボーナス時期は大きな買い物の好機ですが、気持ちが大きくなって判断力が鈍るリスクもあります。限定感やお得感に惑わされず、冷静に見極める視点が不可欠だと言えるでしょう。ダークパターンの特徴を把握して「よくある違和感」の気付きを大切にし、NDD認定マークのような信頼の指標を覚えておくことで、安心してECサイトや予約サイト、サブスクなどのデジタルサービスを利用できるようになります。

ただ、どれだけ気を付けても、被害に遭うことはあります。特に急いでいるときや、マルチタスクで作業しているときなどは、ダークパターンの罠に陥りがち。実際に請求が続いている、解約できない、返金や契約内容について相談したいといった具体的なトラブルがある場合は、消費者ホットライン(局番なし188)を通じて、身近な消費生活センター等に相談できます。

一方で、「この表示はおかしいかもしれない」「同じような体験をした人がほかにもいるかもしれない」といったダークパターンに関する気づきや体験は、ダークパターン対策協会が運営するダークパターン・ホットラインへ情報提供できます。寄せられた情報は集約・分析され、注意喚起を兼ねたホットラインレポートとして公表されるほか、悪質なケースは関係省庁等とも共有され、同様の被害を未然に防ぐための制度改善や規制強化の検討に役立てられます。

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[PR]提供:一般社団法人 ダークパターン対策協会