G-SHOCKオリジンのデザインをフルメタル化、タフソーラーやBluetooth®によるスマートフォン連携など使いやすい機能を詰め込み、人気を博した『GMW-B5000』の新たな潮流としてリニューアル。高機能フルメタルオリジンのコンセプトはそのままに、「液晶ディスプレイの高性能化」や「AIとの共創」などのキーワードを盛り込み、『GMW-BZ5000』として登場した。

そこで今回は、その商品企画を担当されたカシオ計算機の小島一泰氏に、『GMW-BZ5000』開発の経緯と、込められた思いの数々を聞く。

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長年追い求めた「ソーラーでドット表示」への夢

---ヒット作のフルメタルオリジン『GMW-B5000D』の後継機を作ることになった理由を教えてください。

小島氏「まずひとつは、液晶画面でドットによる数字表現が可能になったことが挙げられます。 従来のデジタル時計の多くは「7セグ」と呼ばれる、7つのセグメントで数字を構成する方式を採用してきました。これを、私たちが日常生活で目にする普通の数字(フォント)で表示できる。しかも、ボタン電池やUSB充電を使わず、ソーラー駆動で可能になったことが、大きな理由でした」

  • 次世代フルメタルオリジン『GMW-BZ5000D-1JF』

    次世代フルメタルオリジン『GMW-BZ5000D-1JF』

  • 発売時のラインナップ。左から『GMW-BZ5000D-1JF』、『GMW-BZ5000BD-1JF』(現在はCASIO WATCH PARTNER SHOP店頭在庫のみ)、『GMW-BZ5000GD-9JF』

    発売時のラインナップ。左から『GMW-BZ5000D-1JF』、『GMW-BZ5000BD-1JF』(現在はCASIO WATCH PARTNER SHOP店頭在庫のみ)、『GMW-BZ5000GD-9JF』

G-SHOCKのオリジンであり、液晶デジタルウオッチの代表作である5000系モデルの系譜にとって、「ソーラー駆動でドット表示の液晶が使えることは、長年の夢だった」と小島氏はいう。「デジタルウオッチはドットで表示できるべき」という意見は、ちょうどG-SHOCKが話題になり始めた90年初頭頃から、すでにカシオ社内にあった。

小島氏「当時の液晶デバイスとしてはポケベルやPHSがあり、モノクロのデジタル表示も色々とありました。しかし、すでにドット表示が主流だったんです。その中で、カシオのデジタル時計は伝統的な7セグで表示されていて、これがいつドット表示になるんだという空気は、ポケベルが広まったとき、すでにいわれていました。
当時、私はデザインの部署にいたのですが、お客様の意見としても、それはありましたね。ただ、デザイナーは技術の細かい部分には詳しくないので、じゃあドットで作ればいい、くらいに思っていましたが、技術を学んでいくと、ボタン電池もUSB充電も使わずに、となるとかなりハードルが高いことが解ったのです」

  • カシオ計算機 時計事業部 商品企画部 第一企画室 小島一泰氏

    カシオ計算機 時計事業部 商品企画部 第一企画室 小島一泰氏

当時のドット方式液晶は消費電力が大きく、ソーラー発電のわずかな電力や、当時のLSIが持つ限られたメモリー容量では駆動が難しかった。

小島氏「それが、2010年から2015年あたりにかけて、MIP(Memory In Pixel)液晶というものが市場に出てきました。これはピクセル、つまりドット表示式の液晶で、高い屋外視認性を実現できるのです」

その名の通り、MIP液晶は各ピクセルがそれぞれ記憶機能を持っていて、書き換えが起こらない限り状態を記憶して表示を維持する。このとき、そのピクセルは限りなく低い電力消費となるため、従来のドット表示方式より遥かに消費電力を抑えることができるということだ。

小島氏「これを5000系モデルに搭載することは、開発陣の多くが考えていました。そして今回、それならフルメタルG-SHOCKでやりましょう、ということになった。そこがスタート地点でしたね」

カシオはもともと計算機(電卓)を主力商品とし、後にポケットコンピュータ(ポケコン)や電子辞書などを手がけるようになったことで、筆者も昔から「カシオは液晶に強い」というイメージを強く抱いていた。そんな(ドット化の)流れを考えれば、G-SHOCKもディスプレイがMIP液晶になっていくというのは納得できる。が、それほど昔から計画があったというのは驚きだ。

小島氏「技術研究のベースでは、より高精細へと進んでいましたが、昔はまだまだ解像度が低くて、表現がなかなか追い着きませんでした。MIP液晶は、そのブレイクスルーでしたね。消費電力の低いMIP液晶に、カシオの持ち味でもある独自の省電力技術をかけ合わせることで、今回の『GMW-BZ5000』では、タフソーラーのみでの駆動が可能になりました」

伝統を残すことは、文化を残すこと

G-SHOCKは、実は早くからMIP液晶を搭載している。初搭載は「スーパーレンジマン」と呼ばれたMASTER OF G『GPR-B1000』(2018年)。ただし、駆動はソーラー発電とワイヤレス充電を併用するシステムを採用していた。

  • MASTER OF G『GPR-B1000』。GPSを搭載、ディスプレイ上でルートナビも実現するなど、まさに「スーパー」な意欲作

    MASTER OF G『GPR-B1000』。GPSを搭載、ディスプレイ上でルートナビも実現するなど、まさに「スーパー」な意欲作

その後もG-SQUAD『GBD-H1000』や『GBD-100』、G-LIDE『GBX-100』(すべて2020年)も登場したが、駆動はソーラー+USB充電式あるいは電池式だ。

  • G-SQUAD『GBD-H1000』。光学式心拍計をG-SHOCKで初搭載したモデル

    G-SQUAD『GBD-H1000』。光学式心拍計をG-SHOCKで初搭載したモデル

  • G-LIDE『GBX-100』。潮汐情報(タイドグラフ)も高精細に表示できる

    G-LIDE『GBX-100』。潮汐情報(タイドグラフ)も高精細に表示できる

小島氏「『GMW-BZ5000』のMIP液晶の見た目は電池式や充電式と同じですが、中身(モジュール)としては、消費電力を抑える高度な工夫がされており、チューニングにチューニングを重ねています」

---『GMW-BZ5000』という型番には、「Z」が入っていますが、この意味は何ですか?

小島氏「これには色々と意味があって、ひとつは先ほど申し上げた5000系モデルの原点(7セグ)と目指すべき姿(ドット表示)、どちらの表示にも切り替えて対応できるという究極の姿という意味でZを付けました。また、一番の目指す頂点を示したいというのが、企画担当者としての思いです」

---念願だったドット表示が可能になったのに、7セグ表示との切り替え機能を入れたのはなぜですか? ドット表示だけでも良かったのでは……。

小島氏「カシオでは7セグの見易さが長年研究されていて、文字の縦横比、各セグメントの長さと太さ、バックライト点灯時の見え方など、これもひとつの文化なんです。

新しいものができたからと、伝統的なものを捨てて行ったら、文化を支えてきた記憶や思考もなくなってしまいます。それを切り捨ててはいけないと思い、ドットと7セグの両方で時刻を表示できるようにしました」

  • スマートフォンアプリ「CASIO WATCHES」を使って、現在時刻の数字をスタンダート表示(左)と7セグ表示(右)を切り替えることができる

    スマートフォンアプリ「CASIO WATCHES」を使って、現在時刻の数字をスタンダート表示(左)と7セグ表示(右)を切り替えることができる

  • 伝統の7セグ表示も、実はドットで表現している。正確には「7セグ風表示」なのだ

    伝統の7セグ表示も、実はドットで表現している。正確には「7セグ風表示」なのだ

---『GMW-BZ5000』はAIとの共創で開発したということですが、主にAIを活用したのは外観と構造のどちらでしょうか?

小島氏「『GMW-BZ5000』は、その正面デザインをG-SHOCK初号機『DW-5000』から受け継ぐフルメタルオリジンです。したがって、AIの知見を活用したのは主に内部の耐衝撃構造です。が、それはケースのサイドビューなどの外観にも影響を与えています。

最大の特徴が、樹脂製の緩衝体パーツを用いた新構造です。この形状と仕組みは、AIの知見を取り入れながら導き出されました。

  • ケース(右)の上に乗っている、黒くて細い樹脂パーツが緩衝体だ

    ケース(右)の上に乗っている、黒くて細い樹脂パーツが緩衝体だ

5000系モデルの正面デザインはカシオの立体商標(2023年に登録)※を取得しており、そのスタイルの伝承をまず考えました。この正面のデザインを維持したうえで、新しい構造を導くにはどうすればいいかをデザイナーがAIを活用して形をまとめ、設計担当者と協議や調整を重ねて生まれたのが、『GMW-BZ5000』の内部構造です。

今回、この緩衝体とこれがセットされる構造にAIの知見を使って作っていますが、従来はただの緩衝ゴムでした。それが、ベゼルとケースの内側に挟まっているだけだった。それが、今回はベゼルと緩衝体とケースが噛み合う構造へと変化したのです」

  • 『GMW-BZ5000』のサイドビュー。緩衝体を挟み込む形で、ベゼルとケースが噛み合っている

    『GMW-BZ5000』のサイドビュー。緩衝体を挟み込む形で、ベゼルとケースが噛み合っている

※【参考】G-SHOCKはカタチを見ればわかる! 特許庁から「立体商標」に登録(https://news.mynavi.jp/article/20230718-2729954/ )

「見える構造」が信頼・安心を生む

---『GMW-B5000D』では、このような内部構造を見せていませんでしたね。

小島氏「そうなんです。『GMW-B5000D』は、ウレタン製のオリジナルのデザインを忠実にメタル化する視点で作っています。したがって、ベゼルがケースに被っているんですね」

  • 左が『GMW-B5000D』、右が『GMW-BZ5000』。構造の違いがサイドビューに表れている

    左が『GMW-B5000D』、右が『GMW-BZ5000』。構造の違いがサイドビューに表れている

筆者は展示会で初めて『GMW-BZ5000』を見たとき、外観に構造が現れることの大切さを実感したことを覚えている。新しい『GMW-BZ5000』の方が、視覚的にも衝撃を吸収してくれそうに感じられたからだ。『GMW-B5000D』は綺麗にまとまっているが、箱構造に見える。これがフレーム構造的に進化したことで、心理的な信頼感がより向上したと思う。

小島氏「デザイナーもきちんと意味のある構造をやりたい、という視点でAIを使っています。ただ印象的に奇抜であったり、話題作りでやってるわけじゃなくて、耐衝撃構造の強度をしっかり満たした上での新しいチャレンジをAIと共にやってきたということです。

印象的、唐突なものだけじゃない。多くの進化がG-SHOCKの根底である「耐衝撃」がトリガーになっているところが、これまでのデザインを支えてきたポイントだと思っています」

異質なものを組み合わせていくことがG-SHOCKのそのスピリッツに根ざしている。樹脂と金属を適切に使い分けてきた歴史を踏まえても、『GMW-BZ5000』のサイトビューにはその思想が美しく継承されている。

「5000系モデルの充電不要なMIP液晶化と構造進化はどちらも必然だった象徴的な存在」と小島氏はいう。

小島氏「デジタル時計の進化としては、これはまだ通過点のひとつです。が、大切なマイルストーンでもありますから。

実は今回、当社の羽村技術センターがリニューアルされるので、これを機に、開発資料を成城の樫尾俊雄発明記念館に移動することになりました。これに伴い、旧社屋最後のお披露目の機会があり、私も当時のDW-5000の手書き図面を改めて見たのですが、その寸法や線の使い方を見ると、かなり特徴的なんですね。

ただの四角ではなく八角形で、しかも、その八角形の角が丸みを帯びた角R。このRのベゼルの外側内側では曲率が微妙に異なるわけです。その考え方を踏襲しないと、この雰囲気は出てきません。製図を見ているだけで、意志が見えるんです。「Rで構成された八角形」という形そのものが、衝撃を吸収しようとしている。当たりが強い”角”を作らないようにしよう、という意思、”角を作らない意志”が、すごく伝わってきました。

  • 5000系のモデルはよく「八角形のベゼル」といわれるが、実は曲線が多用されている

    5000系のモデルはよく「八角形のベゼル」といわれるが、実は曲線が多用されている

対角のRとRを繋ぐ線も、実は直線じゃないんですよね。大きなRで繋いでいる。しかも、二点を決めてそこをRで結ぶという角度指示じゃないんですよ。そこにも、開発者の(伊部菊雄氏)思いみたいなものが出ているなぁ、と」

ディテールをAIで最適化する──最新G-SHOCKの構造美

---バンドそのものは、『GMW-B5000D』と共通ですか?

小島氏「いいえ、少し違います。基本的にはこの好評いただいた『GMW-B5000D』の継承にはなっています。ただ、第1コマについては取り付け部の構造が変わっていますので、細かなチューニングをさせていただいています。

  • 『GMW-BZ5000』のケースパーツ。バンド接続部の3本脚が改良され、耐衝撃性能がさらに向上している

    『GMW-BZ5000』のケースパーツ。バンド接続部の3本脚が改良され、耐衝撃性能がさらに向上している

---では、互換性はないのですね。

小島氏「ありません。『GMW-BZ5000』では、バンド取り付け部を改良して耐衝撃性能を向上させています。したがって、『GMW-B5000D』のバンドを『GMW-BZ5000』本体に付け替えることはできません」

---完成品を見た時に感じた手応えを教えてください。

小島氏「やはり、サイドビューのフォルムの美しさが気に入っています。形だけでなく、機能性が形になっているので。

あと、細かいところですが、このベゼルを固定する構造も凝っているんですよ。今までは、バンド接続部の上にある2本のビスをカバーの上から落とし込み、横からビス止めしていましたが、『GMW-BZ5000』では、この2本のビスはトルクスビスになっていて、これをカバーの裏側から締めて留めるようになっています。『DW-5000』ではあくまで形状のワンポイントだった部分が機能としてブラッシュアップされ、デザイン性がより高まりました」

  • 4本のビスは軸の下部にマイナスが切られている。これは逆ネジのトルクスビスで、ベゼルの裏側から回して締める

    4本のビスは軸の下部にマイナスが切られている。これは逆ネジのトルクスビスで、ベゼルの裏側から回して締める

---これは『MRG-B5000』と同じ構造ですか?

小島氏「はい、同じです。ただ『GMW-BZ5000』の構造の耐衝撃構造だと、カン足のかなり細かいところに先を出さなければならないので、角度は検討を重ねました。思ったより寝ているでしょう? でもこれ以上寝かせてしまてしまうと、製造やメンテナンスがしにくくなってしまうのです。こういう設計は、AIが得意とする部分ですね。

---開発者として、AIとの共創を今後どのように進めていきたいと思いますか?

カシオには、G-SHOCKの40年超の歴史で得た膨大なデータの蓄積があります。それらを今後、さまざまな課題を解決するために、AIでどう使うかを人間がしっかり考えること、それが鍵だと思っています。

AIも得意なことと不得手なことがあります。学習したことから理論的に最適解を導くことは得意ですが、視点や発想という部分では、まだ人間には敵いません。AIは仮説は立てられても、実際に体験することができないからです。知識からだけでは、やはり到達できない部分がまだまだあります。

耐衝撃という要素をこれだけ追及している企業も他にはないと思うので、その人間による研究成果と経験をAIで最大限に活用する。その方法を考えているところです」

---『GMW-BZ5000』の想定ユーザー層と着用シーンを教えてください。

小島氏「MIP液晶は視野角も非常に広く、『GMW-BZ5000』は安心して使っていただける製品です。しかも、今回はソーラー駆動で手軽にお使いいただけるので、ひと目で正確な時間を知りたい、見やすいデジタル時計が欲しいという方、フルメタルならではの高級感や、衝撃に強いタフネスをお求めのお客様にご満足いただける製品になったと思っています。

スマートフォンのアプリから伝統的な7セグ表示に切り替えることもできるので、そちらが好きな方には7セグ表示で。または、その日の気分でドット表示と切り替えていただいても、別の時計になったような新鮮さを味わっていただけると思います」

オリジンスタイルを守りつつ、タフソーラーで駆動するMIP液晶と、AIによる最新構造を搭載したフルメタルG-SHOCK『GMW-BZ5000』。その見易さと心強さ、気持ち良さをぜひ、店頭で体験していただきたい。

「カシオの思いと技術ノウハウが凝縮した『GMW-BZ5000』をよろしくお願いします」

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[PR]提供:カシオ計算機株式会社