ゲーミングモニターは、モニターの便利さを備えつつ、よりゲーム環境に適した性能を持つモニターで、いまや幅広いユーザーにとって魅力的な選択肢だ。なかでもプレイヤーを包み込むような没入感を実現する「21:9」のウルトラワイドモデルは、多くのゲーマーにとって憧れのモニターである。一般的な「16:9」のモニターに比べて21:9では表示面積が横に33%広がることにより、プレイヤーの視界がほぼ包み込まれ、ゲーム世界への没入感が飛躍的に高まるのだ。

また複数ウインドウを左右に配置してもデュアルディスプレイのようにベゼルで遮られることなく、1つのデスクトップ上でシームレスに表示されるので、PCワークにおいて思考が引っかかるようなことがない。さらに動画編集アプリなどではタイムラインを横に長く表示できるので、前後の見通しがよく、全体を把握しやすいというのも21:9の大きなメリットだ。

39インチという数字だけ見るとボディが大きすぎると思われる方もいるかもしれない。しかし、21:9のウルトラワイドモデルであれば平均的な幅120cmのオフィスデスクに余裕で収まる。16:9の24インチや27インチ、さらに21:9の34インチモニターからであっても、「39インチ、21:9のウルトラワイドモニター」はゲーム、クリエイティブ、ビジネス用途においてベストチョイスと言えるのだ。

ちなみに21:9のゲーミングモニターと言えば、2025年春に発売されたLGエレクトロニクス(以下、LG)の5K2K解像度有機ELゲーミングモニター「45GX950A-B」は予約開始からたったの2週間で、初回入荷分が完売した。21:9のゲーミングモニターがそれだけ注目されているジャンルであることは間違いない。

そんなジャンルにおいて、世界最大の家電見本市「CES 2026」で大きな注目を集めたのが、LGエレクトロニクス(以下、LG)の最新モデル「UltraGear evo AI 39GX950B-B」だ。

話題のゲーミングモニターを先行レビュー

  • UltraGear evo AI 39GX950B-B

    LGエレクトロニクス「UltraGear evo AI 39GX950B-B」

本製品は「LG第4世代有機ELパネル(タンデムOLED)」を搭載し、21:9の5K2K超解像度を実現。さらに「5K AIアップスケーリング」に対応している点も大きな特徴となっている。

LGは有機ELモニターにおいて国内シェアNo.1*を獲得しており、「有機ELモニターならLG」と言えるほどの支持を集めており、その最新モデルは多くのゲーマー、クリエイターが発売を待ち望んでいた。直近でも「LG第4世代有機ELパネル(タンデムOLED)」を採用した26.5インチWQHDモニター「27GX790B-B」が2月10日に初回入荷分が完売しており、その人気ぶりがうかがえる。

*2025年出荷台数、金額において、IDC調べ

今回の「UltraGear evo AI 39GX950B-B」は、国内ではLGエレクトロニクス・ジャパンから年初に情報が公開されたものの、記事執筆時点では未発売の製品だが、今回は先行して実機を試用する機会を得た。ウルトラワイドモニターのゲームチェンジャーとも目される本製品について、技術的背景から詳細スペック、実際の使用感までを詳しくレビューしていこう。

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LG第4世代有機ELパネルとはなにか?

本製品のキーテクノロジーは「LG第4世代有機ELパネル(タンデムOLED)」だ。これは、長年有機ELパネルを開発・製造してきたLGが、従来の常識を塗り替える「輝度」と「耐久性」を実現した次世代パネル技術である。

  • UltraGear evo AI 39GX950B-B

    上が一般的な1~2層の発光層構造。下が発光層を4層に積み上げた「タンデム構造」。発光層が増えることにより、より高輝度な光が出力される

一般的な有機ELパネルは発光層を1層(または2層)重ねる構造が主流だが、LG第4世代有機ELパネルは4層に積み上げる「タンデム構造」を採用している。発光層を複数重ねることで、1層あたりの負荷を抑えつつ、パネル全体の輝度を標準で335nitに、画面の限定的な領域(APL 1.5%)でのピーク輝度は最大1,500nitへと大幅に向上させた。また、4層に役割を分担させることで1枚あたりの発光層にかかる負荷が低減されるため、長寿命化と焼き付きにくさを両立している。

ちなみに、有機ELといえば、「暗い」というイメージを抱く人も少なくなかった。しかし、MLAを採用したLGの有機ELは1,300nitの高輝度を実現し、その不安をすでに払拭している。そして本製品では、さらにタンデムOLEDを採用することで1,500nitへと到達。“暗さの克服”にとどまらず、より高い輝度性能を手に入れたLG第4世代有機ELパネルは、まさに有機ELの完成形と言えるだろう。

さらに、R(赤)・G(緑)・B(青)の発光層の積層を最適化したことで、純色のスペクトル特性が改善されている。これにより、DCI-P3カバー率99.5%という広色域を実現し、より正確な色再現を可能にしている。積層構造によって発光層が増えても、消費電力が従来のパネルと同等に抑えられている点も特筆すべきポイントだ。

最大1,500nitのピーク輝度によるコントラストの強化と、デジタル映画規格に準拠した広色域は、ゲームや映像鑑賞における視認性を飛躍的に高めてくれる。光の表現を眩しいほど鮮烈に描き出し、液晶から有機ELへ移行した際のような劇的な映像体験の進化をもたらすのが、この「LG第4世代有機ELパネル」なのだ。

「39GX950B-B」は日本市場向け最上位モデルにふさわしいスペックを実現

それでは「UltraGear evo AI 39GX950B-B」(以下、39GX950B-B)の基本スペックを解説していこう。

  • UltraGear evo AI 39GX950B-B

    「39GX950B-B」は日本市場向け最上位モデル。31.5インチ(16:9)有機EL版「32GX870B-B」、26.5インチ(16:9)有機EL版「27GX790B-B」、27インチ(16:9)のMLED(IPS)版「27GM950B-B」も同時に発売される

本製品は、「LG第4世代有機ELパネル(タンデムOLED)」を採用した39インチウルトラワイドモニターだ。解像度は5,120×2.160ドット(5K2K)、画素密度は143ppi。27インチのWQHDが109ppiなので、「39GX950B-B」は大画面化と高精細化を両立している。画面上の文字が滑らかに、そして大きく表示されるので、読みやすさが格段に向上している。

アスペクト比は21:9、曲率は1500R。リフレッシュレートはDual Mode対応となっており、5K2Kでは165Hz、WFHDでは330Hzで利用可能。また独自のオンデバイスAIソリューションとして、「5K AIアップスケーリング」、「AI Scene Optimization」(シーン最適化)、「AI Sound Optimization」(音響最適化)が実装されている。

本体サイズは921.4×605.4~495.4×322.8mm。数値ではピンと来ないかもしれないが、16:9で32インチクラスのモニターが横に33%長くなったと言えばイメージしやすいだろう。

  • UltraGear evo AI 39GX950B-B

    出入力端子は、HDMI×2、DisplayPort 2.1×1、USB Type-C×1(USB Power Delivery 90W)、USB Type-A×2、3.5mmオーディオ端子×1、電源端子×1を用意

  • UltraGear evo AI 39GX950B-B

    標準スタンドは、高さ、チルト、スイベル調整機能を備えている

  • UltraGear evo AI 39GX950B-B

    背面にはVESAマウントを装備。モニターアームへの取り付け、壁面設置も可能

  • UltraGear evo AI 39GX950B-B

    ACアダプタのサイズは実測203×97×35mm。仕様は入力100-240V 3.3A、出力20V 13.5A、容量270W

  • UltraGear evo AI 39GX950B-B

    背面には「Hexagon Lighting」と名づけられたLEDゾーンが設けられており、パープル、レッド、ブルー、ホワイトの4色、またはそれらをゆっくりと周回する「サイクリング」を適用できる。ゲーミングモニターならではの装備だ

39GX950B-B 主な仕様
パネル 39インチ 第4世代有機ELパネル(タンデムOLED)
解像度 5,120×2,160ドット (5K2K)
画素密度 143ppi
アスペクト比 21:9(ウルトラワイド)
曲率 1,500R(曲面)
応答速度 0.03ms(GtG)
リフレッシュレート Dual Mode対応(5K2K@165Hz、WFHD@330Hz)
主なAI機能 5K AIアップスケーリング、
AI Scene Optimization(シーン最適化)、
AI Sound Optimization(音響最適化)

ここからは実際に39GX950B-Bを試用した感想をお伝えしよう。

本製品を数日メインディスプレイとして使用して最も印象的だったのは、有機ELならではの「黒表現」と、その圧倒的な「明るさ」だ。

先述の通り、タンデムOLEDは、タンデム構造による発光効率の向上と広色域な『DCI-P3』を99.5%に対応し、高輝度によるコントラスト表現が可能になった。加えて、有機ELの強みである“黒”の再現性が両立している。

その効果はHDRコンテンツを鑑賞してみると明らかであった。従来の有機ELに比べて光のエネルギーが明確に増しており、映像内の照明や日光の照り返しなどは眩しさを感じるほど鮮烈だ。有機ELならではの締まった黒の表現を維持しつつ、これまで弱点とされていた輝度を、飛躍的に向上させたと実感できる。

本製品のもう1つの大きな優位点は、用途に応じて解像度とリフレッシュレートを切り替えられる「Dual Mode」だ。

本機能では、解像度を優先する「5K2K(5,120×2,160ドット)@165Hz」と、リフレッシュレートを追求する「WFHD(2,560×1,080ドット)@330Hz」の2つのモードが用意されている。また、このほかにも32インチ、27インチ、24.5インチモードに対応しており、ゲームのジャンルや好みに合わせて最適なサイズを選べる。これも、ゲーマーのニーズを的確に把握しているLGならではの仕様だ。

  • UltraGear evo AI 39GX950B-B

    「OSDメニュー」の「ゲーム機能設定→Dual-Mode」から、いつでも切り替えが可能

グラフィック重視のオープンワールドRPGや映画鑑賞には「5K2K@165Hz」、0.03ms(GtG)という圧倒的な応答速度を最大限に活かし、コンマ数秒を争うFPSや格闘ゲームには「WFHD@330Hz」……と使い分けができる。1つのモニターで最高峰の精細さとプロのeスポーツレベルの速度に切り替えられる設計は、幅広いジャンルのゲームをプレイするユーザーにとって非常に魅力的な仕様と言えよう。

また、330Hz動作時にはあえて表示領域を27インチや24.5インチ相当に狭めるモードも用意されている。これは視点移動を最小限に抑え、画面全体の状況を瞬時に把握しやすくするためのeスポーツプレーヤーへの配慮だ。ゲーマーの声を反映した実戦的な機能と言える。(今回はフォートナイトで試してみた)

  • UltraGear evo AI 39GX950B-B

    「5K2K@165Hz」では5,120×2,160ドットという超高解像度によりゲーム世界が描写される。奥行きさえ感じられるほどの臨場感だ

  • UltraGear evo AI 39GX950B-B

    「WFHD@330Hz」ではどんなに素早くマウスを動かしても、「ヌルヌル」と視点が切り替わる。至近距離で相手が素早く移動しても、その動きを見逃すことはない

  • UltraGear evo AI 39GX950B-B

    「ゲーム機能設定→Dual-Mode」で「オン(16:9 24.5”)」を選択すると、表示領域が狭められる。没入感よりも「勝ち」にこだわるためのモードだ

さて、39GX950B-Bをゲーム専用モニターにするのは、あまりにももったいない。というのも、従来の4K(3,840×2,160ドット)を横方向に拡張した「5K2K(5,120×2,160ドット)」という解像度は、圧倒的な情報量を備えている。一般的な16:9のモニターよりも横幅が約30%広く、縦の高さも32インチ相当が確保されているのだ。

この広大な作業領域により、たとえば動画編集ソフトで長いタイムラインを表示しながら、その横でWebブラウザを立ち上げて情報を確認したり、SNSのタイムラインをチェックしたりといったマルチタスクを余裕でこなせる。

  • UltraGear evo AI 39GX950B-B

    動画編集ソフトを起動して、全体の1/3のスペースにプレビュー画面を表示してみた。プレビュー画面で細部を確認しながらの動画編集は実に快適だ

またDCI-P3カバー率99.5%という広色域は、映像コンテンツの色の確認、カラーグレーディングに活用できる品質である。さらにiPhoneなどのスマートフォンのディスプレイも120Hzのリフレッシュレートに対応しているので、4K 120Hzのコンテンツ作成にも本製品のスペックは申しぶんなしだ。プロクリエイターが使用するモニターとしても高い資質を備えていることは間違いない。

クリエイター本位の使い勝手という観点では、USB Type-C(USB PD 最大90W)に対応しているという点も見逃せない。対応ケーブル1本でノートPCに給電しながら映像を表示できるので、スマートに接続できる。本製品にキーボードやマウス、ストレージを接続しておけば、それら周辺機器をまとめてノートPCに認識できるのも実に便利だ。

  • UltraGear evo AI 39GX950B-B

    21:9のウルトラワイドモニターでは、3つのウインドウを同時に表示しての作業が快適。一度この作業環境を体験してしまうと、16:9のモニターには二度と戻れない

さらに、1,500Rの湾曲画面は緩やかなカーブでユーザーの視界を包み込んでくれる。画面のどの位置も目からの距離がほぼ一定に保たれるため、端に表示された小さな文字も目の焦点をほとんど変更せずに、読むことができる。平面パネルに比べて視線移動の負担が少なく、長時間のクリエイティブワークやゲームプレイでも疲れにくい。これは実機を試用したからこそ強く実感できた、本製品の大きなアドバンテージだ。

  • UltraGear evo AI 39GX950B-B

    「5K AIアップスケーリング」、「AI Scene Optimization」、「AI Sound Optimization」はモニター内のプロセッサーによりオンデバイスで実行される。接続する映像機器をアップグレードすることなく、高解像度、高画質、高音質化を実現する先端技術だ

本製品には、高画質テレビやノートPCメーカーでもあるLGならではのAI機能も実装されている。1つ目は「5K AIアップスケーリング」。本製品に内蔵された専用AIプロセッサーが、映像信号をリアルタイムで解析し、解像度を向上させてくれる機能だ。

2つ目は「AI Scene Optimization」(シーン最適化)。表示されているコンテンツがFPSなどのゲームなのか、映画なのかなどを自動的に判別し、色彩やコントラストを動的に調整してくれる。薄型テレビで画質にこだわってきたLGならではの先進機能である。

3つ目は「AI Sound Optimization」(音響最適化)。こちらもAIが映像のシーンに合わせて音響補正を行い、内蔵スピーカーやヘッドフォンに対して、より立体的な没入空間を作り出す。

特筆すべきはこれら3つのAI機能はモニター内部で処理されるため、接続する機器を選ばず利用でき、PCのグラフィック処理に負担をかけることもない。もちろん本機能は個別にオンオフ可能だ。よりリッチな映像、音響を楽しむため、ぜひ積極的に活用したい機能と言える。

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ディスプレイ、テレビの大手メーカーならではの安心感

デザイン面では、直線を基調とした落ち着きのあるフォルムが特徴の「Unity Design」を採用。パーツ同士の一体感や配置のバランスにも配慮され、洗練された佇まいだ。背面には六角形モチーフの「Hexagon Lighting」を備え、さりげないアクセントがありつつ、全体としてはスッキリとした外観にまとめられている。いかにもゲーミングデバイス特有の過剰な主張を抑え、居住空間やインテリアに馴染みやすいモニターに仕上げられているのも好印象だ。

実用面を大きく左右する多機能スタンドも使い勝手がいい。前述のとおり、高さ、チルト、スイベルといった細かな調整機能に対応しており、自分好みの位置、角度にスムーズにセットできる。仕事での集中時とプライベートでのリラックス時で高さや角度を使い分けるなど、多様なライフスタイルに合わせた使い方が可能だ。

  • UltraGear evo AI 39GX950B-B

    一定時間使用したあとに、映像信号が途切れると、自動的に有機ELパネルの焼き付きを防ぐためのクリーニングが実行される。このような機能にこそ、有機ELの特性を知り尽くしたLGの強みが生かされている

なにより、パネル業界を長年リードしてきたというLGの歴史が、本製品への信頼を裏打ちしている。有機ELパネルにおける先駆者としての実力と、積み重ねられてきた技術的な知見は、本製品にも惜しみなく反映されている。大手メーカーならではの品質とサポート体制は、ユーザーにとって大きな安心感と言えるだろう。

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ウルトラワイドOLEDで最高クラスの没入感を求める人におすすめしたい1台

「UltraGear evo AI 39GX950B-B」は、LGの有機EL技術における最新の成果を凝縮したモデルだ。タンデムOLEDの採用により、従来の課題であった輝度を大幅に改善し、5K2Kという高解像度と相まって、極めて緻密でリアリティのある映像体験を可能にしている。

また、用途に応じた「Dual Mode」の搭載や、PC側に負荷をかけないオンデバイスAI機能の実装など、ゲーミングと実用性の両面において合理的な設計がなされているのも魅力だ。多彩な用途において、なにひとつ妥協したくない、ウルトラワイドOLEDで最高クラスの臨場感と没入感を求める人に、本製品はぜひおすすめしたい1台と言える。

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