「音作り」に正解はありません。だからこそ、体系的に情報を手に入れるのは難しいといえます。カシオ計算機(以下、カシオ)が提供する「TONEBOOK」は、そんな音作りの情報を“音レシピ”として共有し、クリエイター同士をつなぐ新しいアプリです。

今回はそんなTONEBOOKについて、開発者とアーティストによる対談を実施。TONEBOOKが生まれた背景やその活用方法、そしてアップデートでの進化ポイントなどについて語り合いました。

(右)川田遼平氏
サウンド・新規事業部 第二戦略部 第二企画室

(左)TTN氏
インストバンド『SHAF』のリードギタリスト。情景描写を大切にしたフレーズを得意としている。TONEBOOKでは個人アカウントとして最多の投稿数(取材時点)。

音作りを記録するコミュニティサービス「TONEBOOK」開発の背景

――まず、TONEBOOKとはどのようなサービスなのか教えてください。

川田:TONEBOOKは、こだわりの「音作り」を記録できるスマホアプリです。音作りは音楽活動における重要な要素のひとつ。たとえば、ギターを例に挙げるとギター本体や足元のエフェクター、アンプ、マイキングなどのさまざまな要素の組み合わせで最終的な音を決めていきます。

  • TTN氏のペダルボード。複数のエフェクターを配置し使用する

    TTN氏のペダルボード。複数のエフェクターを配置し使用する

この音作りの工程を体系化して、ユーザーの皆さんの知恵を記録し、共有するサービスがTONEBOOKです。

――開発のきっかけは何だったのでしょうか。

川田:私は以前鍵盤楽器の設計をしていて、鍵盤の弾き心地を追求する「感性評価」という仕事も担当していました。その中で気付いたのですが、鍵盤について重いほうがいいという人もいれば、軽いほうがいいという人もいるんですね。これは音作りも同じで、人によって好みが分かれる世界なんです。そこに絶対の正解というものはありません。

ところが、音作りについてインターネットで調べると、どうしても「これが正解だ」「それは間違っている」といった論調が目立ちます。発信力のある人の意見が正解とされたり、メディアが影響力のあるアーティストを取材して、それが正解として発信されたりする構造があったんです。

しかし、本来の音作りはそうではありません。人の数だけ好みがあり、もっとたくさんの“正解”があっていいはずです。そこで、どうやってその音を作っているのかというレシピを投稿したり、調べたりできるサービスとして、TONEBOOKを開発したというわけです。

――TTNさんはTONEBOOKのサービス内容を聞いたとき、どんな印象を持ちましたか。

TTN:ギタリストの目線だと、ついに音作り特化のサービスが開発されたのか! とワクワクしたのを覚えています。というのも、音作りをきちんと体系立てて自由に投稿できるサービスって、これまで日本にはなかったと思うんです。僕自身、音作りについてはインターネットの情報や知り合いのライブなどを参考にしていましたが、SNSだとどうしても周囲の意見がノイズとして入ってきます。TONEBOOKならノイズをシャットアウトし、いろいろな人の意見を参考にしながら、自分が本当に良いと思える音作りの情報を入手できると感じましたね。正直、カシオという大企業がこんなニッチな領域のサービスをやってくれることには驚きました(笑)。

自分の音作りを言語化し、記録できる点がアーティストにとっての大きな魅力

――開発のこだわりや試行錯誤した点について教えてください。

川田:まず、いきなりサービス開発を始めるよりも、ユーザーとの対話から始めました。アーティストと初心者、双方の意見を聞きながら、どんなユーザー体験を作るべきなのかを考えて、仕様を作っていったんです。プロトタイプをいくつも作って、細かく検証を重ねていきました。

――途中で仕様が変更になったこともありましたか。

川田:ありましたね。TONEBOOKは最初、アーティストから音作りの情報をいただいて、運営側が一方的に発信するメディア型の予定でした。しかし、ユーザーからのフィードバックで、「自分たちも音作りのレシピを投稿したい」という声を多くいただき、誰もが音作りの情報を発信できるコミュニティ型に移行したんです。現在は私たち運営チームがアーティストを取材して情報発信するメディア機能と、ユーザーが自由に投稿できるUGC機能の二本柱で提供しています。

――アーティストとしての目線でTONEBOOKの魅力を教えてください。

TTN:アーティストとしては、自分の音作りを記録できるという点が一番の魅力だと感じています。現場ごとにアンプなどの機材は異なりますし、ライブによって必要な音作りも変わります。いつの時点の自分が、どんな音をどんなふうに作っていたのかを記録できるのは、実はアーティストにとっても助かることなんです。いわばセーブポイントみたいなものですね。しかも、そうした音作りの情報を投稿することで、他のユーザーにも見てもらえて、アーティストとしての認知度を高められる可能性もあります。自分のためにもなるし、ユーザーにも喜んでもらえるという点が大きな魅力です。

――コミュニティというとユーザー同士がコメントなどで交流するイメージがありますが、TONEBOOKには現在、コメント機能はありませんよね。

川田:はい。コメント機能をつけなかったのは意図的な設計です。冒頭でもお話したように、どうしてもSNSでは「これが正解だ」といった強い言葉が目立ち、コメントで論争が起きることも珍しくありません。TONEBOOKはそうした争いを生まないように、あえてコメント機能は設けず、必要最低限の「いいね」機能だけに限定しています。

TTN:コメント機能がない点は歓迎ですね。軋轢も生まれないし、フラットな目線で投稿したり調べたりできます。これは、TONEBOOKが音作りに特化した専門的なサービスだからこそできることだと思います。

――実際に投稿することで、気づきなどはありましたか。

TTN:機材の設定など、意外と僕は直感的にやっていたんだなと気づきました。自分の中での基準はもちろんあるのですが、それがあまり数値化できていなかったんです。TONEBOOKの投稿欄は項目ごとに機材の名称を入れて、役割を書いていくというフォーマットになっているのですが、それを埋めていくうちに「自分の音作りってこんな感じだったんだ」という自己分析につながりました。投稿することで自分の音作りを言語化できるのが面白いですね。

アップデートで機材名検索機能が追加、1万ユーザー突破で盛り上がりを見せるTONEBOOK

――3月には大きなアップデートがあったと聞きました。どのような内容なのでしょうか。

川田:投稿欄には「使用した機材」を書く仕様になっているのですが、その機材名をタップすることで、TONEBOOK内のすべての投稿から同じ機材が入った投稿を検索できる機能を追加しました。たとえば、誰かの投稿に「MS-3」という機材が登場していて、他のアーティストがMS-3をどう使っているのか気になったら、MS-3の部分をタップします。すると、MS-3を使っている他のユーザーの投稿が一覧で表示されるのです。

――それはかなり便利になりそうですね。ユーザーからも大きなニーズがありそうです。

川田:そうですね。機材の購入前後どちらにもニーズがあると考えています。たとえば機材の購入を検討している場合は、その機材でどんな音が作れるのか、より多くの情報がほしいものです。また、購入後であれば、あまり良い音が出なかったり、どう使っていいかわからなかったりするときに、同じ機材の使い方を調べたいですよね。

TTN:検索機能はとても役に立っています。他のSNSや動画サイトなどでも情報を探すことはできますが、専門サービスではないので、どうしても欲しい情報以外のノイズも多くなってしまいます。TONEBOOKなら音作りの解説だけが並ぶので、ピンポイントで欲しい情報が得られるんです。

――現在のユーザー数はどれくらいでしょうか。

川田:リリースして半年強ですが、1万ダウンロードを突破しました。これは私たちが想定していた以上の数字です。

――たしかに、音作りに特化して情報を探しているユーザーがそれだけいるということですからね。

川田:YouTubeで音作りに特化してチャンネルを1万人まで成長させるのはかなり大変だと思いますが、TONEBOOKなら最初から1万人に対して情報を届けられます。アーティストだけでなく、ベンダーの皆さんにも商品情報の発信などに使っていただきたいですね。

――今後、TONEBOOKをどのように活用してほしいですか。

川田:とにかく音作りの記録を楽しんでほしいですね。自分の音作りを他人に見せるのが恥ずかしいという人も多いと思いますが、顔もプライベートな情報も出さなくていいので、気軽な気持ちで使っていただけたら嬉しいです。動画を撮って投稿するのことについて、少しハードルが高いと感じるのであれば、写真だけで投稿するところから始めるのがおすすめです。

――最後にアーティストの方へのメッセージをお願いします。

TTN:TONEBOOKはこれまでの自分の音作りが記録できて、その記録が誰かにとっての価値につながるサービスです。情報を発信することで仲間も増えるし、音作りがさらに楽しくなっていくと思います。ぜひ始めてほしいです!

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TONEBOOKはこれまでまとまった形で知ることが難しかった「音作り」に特化したコミュニティサービスです。アーティストにとっては、自分自身の音作りを記録したり、ユーザーにアピールしたりできるメリットがあり、ユーザーにとっては欲しい機材や音作りの情報をピンポイントで探せるメリットがあります。

アップデートでは機材名検索機能が追加され、さらに便利に進化したTONEBOOK。音作りに悩んでいる人や、情報が欲しい人、自分自身の音作りを発信したい人は、ぜひTONEBOOKを使ってみてはいかがでしょうか。

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[PR]提供:カシオ計算機株式会社