高度成長期に整備された道路やトンネルといった社会インフラ。集中的に整備された結果、2033年にかけてインフラの老朽化が一気に進行することが予想されています。一方で、点検や維持管理を担う人材は減少し、自治体は“見回りや修繕が追いつかない”ことが課題です。

  • 老朽化した道路インフラ

小さな劣化を見落とせば事故につながりかねません。しかし、限られた人数で広い地域をカバーするのは現実的に難しい状況です。こうした社会課題に対し、NTT西日本グループは自社の技術を活かした新しいアプローチを進めています。

  • 老朽化した道路インフラ

長年にわたって地域の通信インフラを守り続けてきた経験を、地域の交通インフラの維持に活かす――。今回は、NTT西日本グループだからこそ実現できる、これからのインフラ維持管理の現場を取材します。

  • 点検するNTT西日本スタッフ

取材の様子をYouTubeでも公開中

社会インフラの状態をわかりやすく可視化する『Audin AI』とは

まず訪れたのは、橋の下の通信管路の点検現場。NTT西日本グループでは、橋の下の通信設備を従来の特殊車両や船舶による点検から、ドローン撮影による画像点検へと切り替え、作業の効率化を図っています。

  • ドローンでの点検の様子

ドローンによる点検の効率化は、自社のインフラ点検以外にも用いられています。
現場でドローンを用いた点検を行っているNTTフィールドテクノ 名古屋設備部 総括担当の伊達さんは次のように話します。

  • ドローンでの点検の様子

伊達さん

通信設備の点検で培ってきたドローン運用のノウハウを活かし、橋梁や水道管、太陽光パネルなど、他の事業者さまのインフラ点検にもドローン撮影を導入しています。これにより、点検作業の効率化に貢献しています。


  • 伊達さま

そんな保守点検の豊富な実績を誇るNTT西日本グループは、同様の通信インフラの保守業務で蓄積してきたドライブレコーダー映像をAIで解析し、社会インフラの状態をわかりやすく可視化する『Audin AI』(オーディン エーアイ)を開発しました。

  • Audin AI

『Audin AI』は、道路標識やガードレールなどの道路付属物の有無や、劣化している箇所を効率的に発見することをサポートするソリューションです。NTT西日本グループではこの『Audin AI』を活用し、自治体と連携しながら、これまで“事後対応”だった道路の維持管理を“予防保全”へと変えていこうとしています。

  • 老朽化した道路インフラ

社会インフラの課題に対し、AIが担える役割と今後の期待

次にお話を伺ったのは、NTTフールドテクノ ネットワークデザイン部コーディネート部門 インフラビジネス担当で担当課長を務める鈴木さん。鈴木さんは、社会インフラの課題点と、自社で行ってきたインフラ維持管理が秘める可能性を語ります。

鈴木さん

高度成長期に整備された社会インフラは、今後20年で建設から50年以上が経過する施設が一気に増えていきます。しかし、点検に携わる人手は年々減少しており、老朽化した施設の管理がますます難しくなっています。


  • 鈴木さま

鈴木さん

私たちはインフラ事業者としてDXによるインフラ維持管理の業務効率化を進めてきましたが、今後はそのDXのノウハウを社会にシェアし、地域の皆さまが安心して暮らせる未来につなげていきたいと考えています。


――AIではどんなことがわかるのでしょうか?

鈴木さん

ドライブレコーダーの映像からは、道路標識やカーブミラー、ガードレールのサビ、標識や白線の退色や剥離、路面のひび割れなどを検知できます。劣化レベルのランク分けや、地図上での整理も自動化されるため、修繕すべき場所を直感的に把握できるようになります。


  • 老朽化した道路インフラをプロットするインターフェース

鈴木さん

今後はAIの性能をさらに高めて、他の道路付属物も自動で検出できるように開発を進めていきます。そして、住民の方からの申告受付や修繕計画の策定など、自治体の皆さまの課題解決にも、一層注力していきたいと考えています。NTT西日本グループは、これまで西日本30府県の通信インフラを守り続けてきました。これからも全国に広がる拠点と社員の力を活かし、地域を支えていきたいと思います。また、海外展開にも取り組んでおり、インドネシア・バリ州でもAIの検証も進めていきます。


愛知県・東浦町での実証実験で見えてきた『Audin AI』活用の手ごたえ

すでに導入を検討している自治体もあり、そのひとつが愛知県・東浦町です。

  • 愛知県・東浦町 役場

NTT西日本グループであるNTTフィールドテクノは、スタートアップ企業である株式会社マップフォーと共同で、東浦町の道路維持管理の実証実験を進めています。

  • 愛知県・東浦町 役場

ここでは、東浦町 インフラ整備部 土木管理課で維持修繕係の主査を務める足立さん、株式会社マップフォー ソリューションデベロップメント部の加賀谷さん、NTTフィールドテクノ 名古屋施設部 総括担当 主査の山内さんにお話を伺いました。

東浦町の足立さんは、町の課題点を次のように語ります。

足立さん

道路の老朽化が近年急速に進んでおり、点検や補修が必要な件数も年々増加しています。年間1,000件以上にもおよぶ損傷や住民からの申告があり、その把握と確認だけでも大きな負担になっているのですが、情報の管理方法が統一できておらず、業務が煩雑になっていました。また、補修工事においても、担当者の判断によって対応に違いが生じてしまうなど、属人化も課題となっていました。


  • 足立さま

足立さん

こうした課題を解決すべく、今回、NTTフィールドテクノとマップフォーさんの技術とノウハウを活用し、道路の状態をくまなく把握し一元管理する仕組みを構築します。修繕業務をより効率的に、そして均質に進めることで、事後保全から予防保全へ転換し、住民の皆さんが安心して暮らせる、持続可能な道路インフラの実現をめざしています。


続いて、点群計測技術を提供するスタートアップ、マップフォーの加賀谷さんは、今回の実証実験への期待感をにじませます。

加賀谷さん

NTT西日本グループが持つ現場データとAI技術、そして私たちマップフォーの点群計測技術を組み合わせることで、東浦町さまの維持管理業務を効率化し、町を守る仕組みを一緒に作れることに、大きな意義を感じています。点群計測技術は、レーザーやカメラで対象物を立体的に計測することによって、形状を高精度に把握できる技術。今回の実証実験でどのような成果が得られるか、楽しみにしています。


  • 加賀谷さま

最後に、NTTフィールドテクノの山内さんは、今回のような人員が限られる地域での有効性を強調しました。

山内さん

『Audin AI』であれば、ドライブレコーダーの映像から、道路のひび割れや白線の剥離、標識・ガードレールの損傷などを自動的に検知し、点検の省力化と診断の均質化をお手伝いできます。特に人員が限られる自治体さまこそ、効果を発揮できると考えています。


  • 山内さま

続いて向かったのは、道路の損傷箇所がある現場。この損傷を『Audin AI』で、どのように検出するのでしょうか。

  • 現地での調査

山内さん

例えばここに道路の穴が開いている箇所がありますよね。このような穴も、ドライブレコーダーの画像からAIが検知し、地図上に表示することができます。


  • 道路の穴

足立さん

一元管理されるのはこれまでになくありがたいですね。現場で探す手間が省けるのも大きいです。


  • 足立さま

加賀谷さん

点群計測することで、さらに損傷箇所を精度高く把握することができます。


山内さん

NTT西日本グループが蓄積してきたデータや技術に加えて、地域の各拠点にいる技術者が自治体や道路管理者さまの業務をサポートしていくことで、地域の皆さんの力になれると感じています。


  • 山内さま

地域をともに守っていく、NTT西日本グループの力

取材を通して、AIと映像を活用することで危険の兆候を早くつかみ、事故を未然に防ぐ力になるのだと感じました。そして何より、地域を“ともに守っていこう”という姿勢がNTT西日本グループの取り組みから強く伝わってきました。

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