日本ラグビーの聖地として愛されてきた秩父宮ラグビー場が、大きく生まれ変わろうとしています。目指すのは、観戦の快適性を高めつつ、スポーツにとどまらない多彩なエンターテインメントも楽しめる屋内全天候型多目的ラグビー場。2月12日(木)には、着工を記念した記者説明会および植樹セレモニーが開催されました。
本記事では、新秩父宮ラグビー場の特徴と、着工イベント当日の様子をレポートします。
新秩父宮ラグビー場はどう変わる?
これまでの神宮外苑には、秩父宮ラグビー場、神宮球場、神宮第二球場という3つの大規模なスポーツ施設がありました。ただ、秩父宮ラグビー場は完成から79年、神宮球場は築100年を迎えようとしており、老朽化により建て替えが必要な状況となっています。
しかし、このまま建て替えを進めると、ラグビーや野球などの競技ができない期間が長期間続いてしまいます。そこで考案されたのが、秩父宮ラグビー場と神宮球場の場所を入れ替えながら段階的に建て替える方法です。
具体的には、以下です。
・秩父宮ラグビー場跡地→新しい神宮球場を建設
さらに、神宮球場跡地には約1.5haの広大な広場を設ける計画も進められています。これは、施設数が減る分、オープンスペースを拡充し、誰もが気軽に立ち寄れる憩いの空間を増やすことを目的としています。また、4列のいちょう並木は伐採せずに保全しつつ、樹木本数は1,904本から2,304本、緑地の割合も約25%から約30%へと増加させる方針です。
ここからは、新ラグビー場の注目ポイントをご紹介します。
ポイント① 2030年開業予定
建物は、外苑創建時から存在する都市軸に並行するラインを意識して配置され、歴史性や場所性に配慮した設計となっています。また、屋根の高さを抑えて周辺施設との調和を図るとともに、弓なりの大屋根デザインにより圧迫感を低減します。
ポイント② 国内初! 屋内型の“全天候型ラグビー場”
新秩父宮ラグビー場の最大の特徴とも言えるのが、国内初の屋内全天候型多目的ラグビー場であること。
観客席は3階層となっており、最上階に位置するスカイラウンジやラグジュアリーなVIPルーム、コーナー部から観戦するラグビータワー、選手と同じ目線で楽しむフィールドバーなど、多彩な観戦環境を整えています。
また、3階のメインコンコースは、歩きながら常にフィールドが一望できるオープンコンコースとなっています。その他ユニバーサルデザインに配慮した座席など、誰もがラグビー観戦を楽しめる施設となりそうです。
ポイント③ “フィールドの近さ”はそのまま継承
現在の秩父宮ラグビー場の特徴である、フィールドと観客席の圧倒的な近さはそのまま継承。また左右対称のダブルメインスタンドと北側スタンドを合わせたU字でフィールドを包み込み、選手との一体感と高揚感、臨場感を生み出す狙いがあります。観客席のない南側には50m×12mの大型ビジョンを設置し、多彩な演出を実現。さらに、一つひとつの座席の前後左右にゆとりを確保し、移動時や観戦時の窮屈さを感じさせない観戦体験を提供します。
ポイント④ 最大約2.5万人収容、エンターテインメントの拠点へ
スタジアムの収容人数はラグビー観戦時に約1万5,000席、ライブ・コンサートを中心とした各種イベントの開催時には最大約2万5,000人になるとのこと。国内外を問わずトップアーティストの誘致を実現し、エンターテインメントの中心地となることを目指しています。
いよいよ始動! 新秩父宮ラグビー場着工イベント当日の模様
ここからは、2月12日(木)に開催された新秩父宮ラグビー場着工イベントの模様をレポートします。
まず、第1部プロジェクト説明会では、三井不動産代表取締役社長植田俊氏が登壇し、「これまでの100年の歴史を継承し、賑わいあふれる緑豊かなスポーツの拠点を作るという思いのもと、神宮外苑地区まちづくりを推進してまいりました」と挨拶。鹿島建設が新秩父宮ラグビー場の詳細な計画について説明を行いました。
また、イベントでは新秩父宮ラグビー場のトップパートナーが三井住友フィナンシャルグループに決定したことも発表。
歴史ある秩父宮ラグビー場の名称は継承した上で、副名称を「SMBC Olive SQUARE」とすることを明らかにしました。
三井住友フィナンシャルグループ取締役執行役社長グループCEOであり、自身も大学時代にラグビーに打ち込んでいたという中島達氏。
秩父宮ラグビー場について、「住友銀行で働くかたわら代表監督を務めた宿沢広朗氏率いる日本代表が、1989年にスコットランド代表から歴史的勝利を収めた舞台であり、SMBCグループにとっても特別な場所」と思いを語りました。
続けて、新秩父宮ラグビー場については「来場者がラグビーや音楽を楽しむ環境づくりの支援や、OliveをはじめとするSMBCのサービスの利便性を感じてもらえるような仕組みづくり、ビジネスの観点でもさまざまな施策を講じていく」とコメントしました。
元日本代表・田中史朗氏も登場! 豪華ゲストによるトークセッション
イベント第2部では、豪華ゲストによるトークセッションが行われました。
登壇したのは、元ラグビー日本代表・田中史朗氏、三上正貴選手(東芝ブレイブルーパス東京)、ジョネ・ナイカブラ選手(東芝ブレイブルーパス東京)、ラグビージャーナリスト・村上晃一氏です。司会はフリーアナウンサー・矢野武氏が務めました。
また、ビデオメッセージでは、ラグビー日本代表リーチ・マイケル選手(東芝ブレイブルーパス東京)、ニュージーランド代表リッチー・モウンガ選手(東芝ブレイブルーパス東京)、松永拓朗選手(東芝ブレイブルーパス東京)が映像出演。
「秩父宮ラグビー場は数えきれないほどの試合をしてきた、思い出深い場所です。新秩父宮ラグビー場は屋根付きの全天候型で、バーやラウンジがあって、いろいろなファンに楽しんでもらえると思います。ラグビーの魅力を多くの人に広げたいですし、ぜひプレーしてみたいです」(リーチ・マイケル選手)とメッセージを寄せました。
トークセッションでは、登壇者それぞれが秩父宮ラグビー場への思いを語りました。田中氏は京都出身ながら、「西の花園、東の秩父宮として、秩父宮ラグビー場を愛している」と語り、三上選手は印象深い思い出として、2016年のトップリーグカップ決勝でのゴールキック失敗による敗戦を挙げていました。
秩父宮ラグビー場では、数多くの歴史的な試合が行われてきました。村上氏が挙げたのは、1971年のイングランド代表戦、1989年のスコットランド代表戦、そして2013年のウェールズ代表戦です。イングランド戦は、敗れはしたものの、日本の実力を世界に示した試合として意義深く、ウェールズ戦は日本がトップ10に入る強豪相手に勝利を収めた試合です。
村上氏は当時の様子について、観客が波のように入場口から入って観客席を埋めていく様子が印象的だったと語りました。
ウェールズ戦については田中氏も「2013年の勝利で自信をつけたことで、2015年の南アフリカ戦勝利につながった」と語り、「秩父宮ラグビー場はファンとの距離が近く、日本代表の自覚をあらためて持てた」と振り返りました。
新秩父宮ラグビー場の最大の特徴は、日本初の全天候型ラグビー場であること。そして、人工芝が採用されていることです。
村上氏によると、「現在ほとんどのチームが人工芝で練習している現状にも適しており、天候や風に左右されず、プレーのクオリティ向上が期待できる」とのこと。これに田中氏も「屋根付きなので観客が雨や寒さを気にせず観戦できる」とメリットを述べ、三上選手は「人工芝なので良いスクラムが組める」と期待を語りました。
さらに新秩父宮ラグビー場の特徴である50m×12mの大型ビジョンについても、田中氏は「これだけ大きいと、ラグビーだけでなくいろいろなイベント時にもみんなが幸せになれる」と絶賛していました。
最後に、新秩父宮ラグビー場の次の100年に向けて、田中氏は「プレイヤーにとって最高の場所になる。次の100年間でまたさらに進化してほしい」と期待を語りました。
次の100年に思いを寄せて、植樹セレモニーが開催
イベント第3部では、場所を新秩父宮ラグビー場建設予定地に移し、神宮外苑地区まちづくりが主催する植樹セレモニーが開催されました。
明治神宮外苑は、国民からの献金・献木などによって造営されてきた歴史を持ちます。その歴史になぞらえて、一般の方などからの賛助金で樹木が植樹されるのが「令和の献木プログラム」です。
今回植えられた「ユズリハ」は、現在も神宮外苑に植えられている樹木。新しい葉が出てから古い葉が落ちることから、世代が途切れずに受け継がれるという意味が込められた、縁起の良い木とされています。
植樹セレモニーには、田中史朗氏や三上正貴選手に加え、さまざまな関係者が参加。さらに東京都立青山高等学校ラグビー部の生徒も加わって、覆土と水やりを行いました。
新秩父宮ラグビー場は、単なる「ラグビー観戦の場」にとどまりません。天候に左右されず楽しめる屋内全天候型多目的ラグビー場、多彩な観戦スタイル、そしてコンサートやイベントも視野に入れた環境により、新たな都市型エンターテインメント拠点としての役割を担っていくはずです。
歴史を受け継ぎながら、次の100年に向けて始動した新秩父宮ラグビー場。今から開業が待ちきれません。
※掲載されているイメージは、今後の検討・協議により、計画内容が変更となる場合があります。
※ロゴ・フォントについては今後変更する可能性があります。
※「新秩父宮ラグビー場」は現時点の仮称となります。
※「SMBC Olive SQUARE」という名称は2030年の施設運営開始日より効力発生となります。
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