• ユージさんと考える「乳がん」のこと。検診・治療・その後の生活まで

「乳がん(※1)」という病気を耳にしたり、気にしたことがある人は多いはず。今回は、この病気の検診内容や治療法などについて、4人のお子さんのパパでもあるタレントのユージさんと一緒に考えます。自分のためだけでなく、家族やパートナーを支える意味でも知っておきたい情報が満載です。

※1 乳がん | 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ|厚生労働省研究班監修 
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「乳がん」と聞くと、ちょっと不安も。自分だけじゃない、家族やパートナーのためにも理解してみよう!

女性の健康推進について考えるウィメンズ・ヘルス・アクション実行委員会主催のイベント『わたしたちのヘルシー~心とからだの話をはじめよう in Mar.2026』は、今年で10年目を迎えます。2026年は「心とからだのリズムを知る、理解する。自分らしく生きるための9つのセッション」をコンセプトに、女性の心とからだの悩みを、ゲストのリアルな声と専門家の解説とともにお届けします。 また、特別企画のスペシャル動画を、2026年3月8日(日)より配信中です。

『女性の健康週間(3月1日~8日)』と『国際女性デー(3月8日)』に合わせて開催されたイベントでは、医療ヘルスケアの専門家とゲストが、各テーマに関するお悩みとその解消法について話し合いました。

今回のテーマは、『あなたの人生を変える「乳がん」のこと。専門家に聞く、検診や治療、その後の生活について』です。ゲストであるユージさんが、筑波大学医学医療系 乳腺内分泌外科学教授の坂東裕子先生から、乳がん検診の必要性や治療方法などを教えていただきます。

こちらより、このイベントの対談番組動画をご覧いただけます。

日本の乳がん検診受診率は約50%。なんとなく後回しにしがち……?

「妻や母は乳がん検診に行っています」と話すユージさん。一方で、乳がんは「女性の病気」というイメージが強く、男性同士ではあまり話題にしないようです。だからこそ、パートナーを支える立場として男性も正しく知ることが大切であり、男性の乳がんリスクがゼロではないことも踏まえて“自分ごと”として学ぶ必要があります。

  • ユージさんと考える「乳がん」のこと。検診・治療・その後の生活まで

ユージさん:乳がんは女性の病気というイメージがありますが、パートナーがその病気になる場合に備えて、自分も知っておく必要があると思っています。

  • グラフ:男女別がん検診受診率の推移

坂東先生:乳がん発症率の99%以上は女性が占めるため「女性特有のがん」とも言われています。ただし、日本の乳がん検診受診率は低いのです。「仕事や家庭のことで毎日忙しく、検診に行く時間がなかなかとれない」「まだ若くて、家族にがんになった人はいないから何となく大丈夫だろう」などの声があり、受診率は50%前後となっています。

ユージさん:一般的に2人に1人が検診を受けていると思うと、十分のように思えますが……。ただ本来は100%、全員に受けてほしいなと思うと、まだ半分か、という少ない印象ですね。

  • グラフ:年齢階級別罹患率〈女性/乳房〉2021年
  • グラフ:部位別がん罹患率〈女性/全年齢〉2021年

坂東先生:そうなんです。乳がんとは、母乳を作り出す“乳腺”という場所に発生するがんです。罹患者は30代から増えていき、40代後半と60代後半に多いことがわかっています。女性がかかるがんのなかで最も多く、日本人女性の9〜10人にひとりが、一生のうちに乳がんになると言われています。

ユージさん:9〜10人にひとりが乳がんになるとは、めちゃくちゃ多いですね。

定期検診が大切というけれど……乳がん検診では、どんなことをするの?

乳がん検診には、マンモグラフィ検査と超音波検査の2種類の方法が。それぞれの特徴を、先生が詳しく教えてくださいました。

  • マンモグラフィ検査と超音波検査

坂東先生:マンモグラフィ検査とは、X線で乳房を撮影し、乳房内の石灰化やしこりを確認する検査です。石灰化は、しこりになる前の早期の乳がんで見られることがあります。そのため、早期発見することが非常に重要です。一方で、乳房を圧迫するため痛みを感じる方もいます。また、わずかですが放射線を使用するため、妊娠中の方などは避ける必要があります。そして、乳腺の密度が高い「デンスブレスト」の方は画像が白く写りやすく、異常を見つけにくくなるため、乳腺が発達している40歳未満の女性にはあまり適した検査とは言えません。もうひとつの超音波検査は、乳房に超音波を当てて、しこりの有無、形、輪郭を調べることができます。痛みがほとんどなく、マンモグラフィ検査が適さない方でも受けられる検査です。

ユージさん:妻は、以前マンモグラフィ検査を経験する前日に、「嫌だな~、怖いな~、痛いらしいんだよね~」と言っていました。ただ、実際に受けたところ、「多少は痛かったけど、想像していたほどつらくなかった」と言っていました。一方で、痛みは人によってはすごく痛いと感じることもあり、個人差がありますよね。

  • ユージさんと考える「乳がん」のこと。検診・治療・その後の生活まで

坂東先生:そうですね。乳房を圧迫すると痛みが出がちとされていますが、「思ったより痛くなかった」とおっしゃる方はいます。ただ、生理前に胸が張る方の場合、生理が終わったあとのほうが乳房は柔らかいので、時期を選ぶといいと思います。

ユージさん:検診には「すぐ行く」ことも大事ですよね。「いつか行こう」ではなくて。

坂東先生:そうです。早期に見つかれば、乳がんは治癒する確率が高いので。しかし進行すると、リンパ節や骨、肺、肝臓など、乳房以外の臓器にがん細胞が転移しさまざまな症状を引き起こし、治癒が難しくなってしまいます。

自分の身体に興味をもつことで、変化に気づき、早期発見につながることも!

  • ブレスト・アウェアネスのポイント

検診に行くのはもちろん、「日頃から自分の身体に触れ、興味をもち、向き合うことが大切です」と、坂東先生はおっしゃいます。乳房を意識する「ブレスト・アウェアネス」という習慣があり、①自分の乳房の状態を知る②乳房の変化に気をつける③変化に気づいたら、すぐに医師へ相談する④定期的に乳がん検診を受ける 以上を心がけることが重要だとか。

坂東先生:そして、しこりや乳房の皮膚のくぼみや引きつれ、乳頭から分泌物が出ている、乳頭や乳輪のびらん(ただれ)などが見られたら、自己判断で「大丈夫だろう」と考えず、病院やクリニックを受診してください。さらに、受診は一回で終わりにせず、定期的に検診を受けましょう。40歳になったら2年に1回は乳がん検診を受けて、自分の人生と自分の身体は自分で守る! という意識が大切です。

ユージさんと考える「乳がん」のこと。検診・治療・その後の生活まで
ユージさんと考える「乳がん」のこと。検診・治療・その後の生活まで

ユージさん:うちの妻は、検診を受けてから2年以上が経っているので、今日お聞きしたことをもう一回話してみます。それから、4人の子どものうちのふたりは女の子なので、まだ小学生ですが、将来のためにも一緒に話したいです。

もし「乳がん」と診断されたら――仕事・家族・生活、どんなサポートがある?

万が一罹患した場合の、仕事や育児、生活全般への変化についても、ユージさんは気になる様子。

  • ユージさんと考える「乳がん」のこと。検診・治療・その後の生活まで

ユージさん:妻が乳がんになったら、まずは治療や通院で時間がとられると思います。我が家では自分が仕事、妻が家のことという役割分担なので、妻の時間が減ると自分は仕事をセーブする必要が出てくるかもしれません。さらに、治療費などお金の面も気になります。治療と生活を両立するのは難しいのでしょうか?

坂東先生:今は医療が進歩していますし、治療と仕事と生活の両立が可能になっていますよ。入院期間をなるべく短くするとか、日常生活にすぐに戻れる治療も考えられるようになっています。具体的な治療としては、手術では乳房をできるだけ残す乳房温存療法や、乳房全切除術の場合でも再建手術を選べるケースがあります。薬物療法も、薬の種類や投与方法、通院の頻度など、生活に合わせた多様な治療スタイルが整ってきています。

また、「治療をしながら変わらず働く」ことへの支援も広がっているのだそう。治療と仕事を両立するためには、患者さんと職場、医療機関との連携が重要だとか。

坂東先生:患者さんが会社に病気のことを申し出たあとに、主治医の意見書などを提出して、スムーズに両立できる支援が行われています。治療には副作用が伴う場合もあるので、先生と相談しながら副作用のマネジメントをして、治療と仕事を両立することも大切です。

ユージさん:治療中はやはり、治療費などのお金も結構かかるイメージですけど……。

  • ユージさんと考える「乳がん」のこと。検診・治療・その後の生活まで

坂東先生:たとえば、1ヶ月に支払った医療費の自己負担額が一定金額を超えた場合、その分を払い戻しされる「高額療養費制度」があります。

ユージさん:そういった支援が、ちゃんとあるんですね!

そして、最後に、「乳がんのことでもうひとつお伝えしておきたいことがあります」と、坂東先生。それは、「妊孕性(にんようせい)温存(※2)」という治療法についてだとか。

ユージさん:にんようせい……???

坂東先生:がん治療は、生殖機能に影響を及ぼすことがあり、若い方が治療を受けると、将来お子さんを授かることが難しくなる可能性があります。最優先したいのはがんの治療ですが、状況によっては、将来の妊娠と出産の可能性を残す治療法、妊孕性温存を検討できます。お医者さんや大切な人と充分に話し合って、決定していただきたいです。

  • ユージさんと考える「乳がん」のこと。検診・治療・その後の生活まで

ユージさん:今日お聞きした内容は家族に伝えて、家族の安心にもつなげたいです。乳がん検診は後回しにするのではなく、命を守るために受ける。しかも一回ではなく、定期的に受けることが大切! このことは、女性に限らず、結婚している、していないに関わらず、みんなに知ってほしいですね。 

坂東先生:乳がんは早期発見が重要です。ですので、検診を受けて「ブレスト・アウェアネス」を心がけていただきたいです。そして乳がんと診断されても、皆さんの今の生活を守りながら治療ができる時代です。医療者の先生と相談しながら、前を向いて歩いていっていただければと思います。

※2 妊孕性温存 | 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ|厚生労働省研究班監修 
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定期検診はもちろん、日頃から自分の身体に触れ、興味をもち、向き合うことが大切

日々の小さな変化に気づけるのは、自分自身だけ。定期的な検診に加えて、ふだんから自分の体を知り、興味をもって向き合うことが、未来の健康を守る一歩になります。「なんとなく気になる」をそのままにせず、今日からできる小さな習慣を始めてみませんか。そして、もし乳がんと診断されても、いまの生活を大切にしながら治療を続けられる支援や選択肢が整ってきています。必要な時は遠慮せず、医療者や職場に相談していきましょう。

登壇者プロフィール

坂東 裕子(ばんどう・ひろこ)先生

坂東 裕子(ばんどう・ひろこ)先生
筑波大学医学医療系教授として乳腺・甲状腺・内分泌外科を牽引。都立駒込病院勤務を経て、乳がん診療・研究に精通し、検診から術後ケアまで包括的に支援。2002年UICCフェローシップ受賞、米国MD Anderson研修など国際的実績を持つ。日本乳癌学会評議員ほか学会活動に加え、NPOつくばピンクリボンの会理事、茨城乳腺疾患研究会代表世話人として啓発に尽力。2010年あけぼの会Best Doctor of the Year受賞。

ユージさん

ユージさん
モデル、タレント、俳優。出身はアメリカ・フロリダ州。2009年からファッション雑誌の専属モデルを務め、その後、ドラマやバラエティ番組などで幅広く活躍。2016年には、史上最年少で「ベスト・ファーザー賞」と「イクメン オブ ザ イヤー」を受賞。2023年にも「第13回イクメン/男性育休オブザイヤー2023」を受賞した。現在、4児の父親として育児にも奮闘中。

パートナー企業

  • 中外製薬

中外製薬は、独自の技術とサイエンスを強みとする、研究開発型の製薬企業です。革新的な医薬品とサービスの提供を通じて新しい価値を創造し、世界の医療と人々の健康に貢献します。

ウィメンズ・ヘルス・アクションとは?

  • ウィメンズ・ヘルス・アクション

今年、10年目を迎えるウィメンズ・ヘルス・アクション実行委員会では、国や自治体、医療・教育の現場や職場・家庭・地域などが連携し、現代日本における女性の健康推進の必要性とその課題について考えるための取組みを行っています。

女性は、思春期、妊娠・出産期、更年期、老年期と生涯を通じて、ホルモンバランスが大きく変動し、また、結婚や育児などのライフステージによっても、心と体に男性とは異なる様々な変化が現れます。女性ホルモンの変動に伴い、月経不順や月経痛、月経前症候群(PMS)、不眠やうつなどQOL(生活の質)の低下を伴う心身の失調を起こしやすい特徴があります。女性の健康リスクを低減させることは、人生各期における女性の自己実現と社会参加を促進し、日本全体の経済発展と活力増進を促す力となります。今、様々な場所で思春期や妊娠・出産期、更年期などのライフステージに応じた女性の健康推進サポート強化の動きが生まれています。

INFORMATION

「女性の健康週間」とは?

毎年3月1日~3月8日は「女性の健康週間」です。女性が生涯を通じて健康で明るく、充実した日々を自立して過ごす社会を実現するためには、家庭・地域・職域・学校などを通じて女性の健康問題を総合的に支援することが重要です。毎年、全国各地で「女性の健康づくり」を国民運動として展開しています。

「国際女性デー」とは?

毎年3月8日は国連が定めた「国際女性デー」です。女性への差別撤廃や地位向上などを目指し、世界各地で啓発イベントや記念行事が行われています。 日本国内でも様々な働きかけが行われており、その輪は国連機関から政府や自治体、NGO、メディア、一般企業等にも広がっています。
URL: https://whasympo.com/ 
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