育業を経験した社員の思いが次の世代へとつながり、またその先へと静かに受け継がれていく──。大和リース株式会社が進める育業の推進は、そんな「リレー」の積み重ねの中で文化として育ち始めています。
支える人・支えられる人双方の背中を押す制度について、大和リース株式会社 東京本店 管理部 部長 西村孝男さん、本社人事部 戦略人事課 島浦昌平さんにお話を伺いました。建築から地域連携まで。幅広い事業を動かす大和リース株式会社
—貴社の事業内容について教えてください。
大和リース株式会社 東京本店 管理部 部長 西村 孝男さん(以下、西村):大和リースは大和ハウスグループの一員として、システム建築や商業施設の企画・開発・運営、土地活用、リース事業、都市緑化、再生可能エネルギー、公民連携など、多様な事業を展開しています。
—現在のご担当業務を教えてください。
西村:東京本店には営業・設計・工事・管理など多くの職種の社員が約320名、勤務しています。その中で、私は管理部門の責任者を務めています。
大和リース株式会社 本社 人事部 戦略人事課 島浦 昌平さん(以下、島浦):私は人事として育業の推進を中心に、エンジェル奨励金制度やサンキューペイ制度の運用を担当しています。男性育業の広がり──その裏側で向き合ってきた思いと課題
—男性育業の現況と推進し始めた背景を教えてください。
島浦:2024年度に男性育業取得率100%を達成しました。50名の男性社員が育業し、そのうち約84%が30日以上、育業しており、最長期間は335日でした。
当社は従業員の「育児」と「仕事」の両立支援のため、男性の育業を推進しています。 “ライフ” と“ワーク”の相乗効果が 日々の仕事における生産性・創造性のアップにもつながること、さらに、男性の育業の促進(育児家事を夫婦で行う)は、女性の社会進出と活躍にもつながると考えています。―育業を推進している中で課題に感じていることはありますか。
島浦:人事部としては「気兼ねなく育業に専念してほしい」と伝えていますが、現場では人員減や業務負荷増への不安があり、その調整は引き続き重要な課題です。
また、育業する際には引き継ぎの調整も必要となります。育業は職場の支え合いの上に成り立つことも踏まえ、引き継ぎの統一的なルールづくりが求められると考えています。早く届けたい思いが形に──奨励金とサンキューペイ制度の立ち上げ
—男性育業を推進するために、どのような社内制度がありますか。
島浦:育業した社員には「エンジェル奨励金制度」を設け、子供の人数と育業期間に応じて奨励金を支給しています。申請翌月に支給されるため、育児休業給付金より早く受け取れる仕組みです。
一方、職場を支える社員には「サンキューペイ制度」を導入し、本来は育業する社員に支払われる予定だった賞与の一部、平均約16万円を再分配しています。 こちらは2023年に半年の検討を経て、運用を開始しました。 制度づくりでは、最初から完成形を求めず「走りながら改善する」姿勢を重視したことで、迅速な導入につながったと考えています。育業制度が紡ぎ始めた、経験が次世代へつながるリレーの文化
―取組を進める中で印象に残っている声はありますか。
島浦:社員の配偶者の方から、「最も大変な時期に長くそばにいてくれた」と感謝のこもった温かいコメントを写真付きでいただきました。 育業した社員だけでなくご家族からもこうした声が届いたことは、とても嬉しい反応だと感じています。
―育業を推進したことで、どのような変化がありましたか。
島浦:育業を支える同僚への賞与「サンキューペイ制度」の導入が社員の中で、「上司からきちんと見てもらえている」という安心感につながり、努力が正当に評価されていると実感することにもつながりました。賞与明細で金額が独立項目として可視化されたことも、社員のモチベーション向上に寄与していると感じています。
西村:「法改正があっても、自社で本当に男性育業ができるのか」という不安はあったと思いますが、制度や奨励金など、法改正を上回る取組をスピーディに導入してきたことで、“会社は本気だ”という安心感が生まれ、より働きやすい環境につながっていると感じています。 島浦:世代間の価値観の違いから、育業経験のない上司が「どう送り出せばよいのか」迷う場面もありましたが、制度整備により課題は徐々に解消されつつあります。 さらに、育業した社員がその経験を後輩へつなぐ「リレー」も生まれ、支え合う文化が広がっていると感じています。 また、大学からゼミのテーマとして当社の育業の取組をとりあげたいという問合せが増えるなど、外部からの関心も高まっています。会社説明会でも質問が多く、取組を紹介する機会が広がったことで、採用活動にもプラスの効果が出ています。育業のかたちを、家庭ごとの歩みにゆだねていく
―育業推進について、今後の展望を教えてください。
島浦:最終的には、男性の育業期間3カ月以上の割合を90%程度まで高めたいと考えています。 ただし100%を目指さないのは、育業を強制せず、家庭ごとの選択を大切にしたいからです。会社として推奨はしますが、最適な形は家庭によって異なるという考えを重視しています。
—ありがとうございました。
育業とは

東京都が2022年に公募し、選定した育児休業の愛称です。
東京都では育児を「休み」ではなく「大切な仕事」と捉え、育業を社会全体で応援する気運醸成に取り組んでいます。
HP:https://kodomo-smile.metro.tokyo.lg.jp/ikugyo
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