MVNO市場は格安SIM需要の拡大を背景に、多くの企業が新規参入を検討しています。しかし競争は年々激化しており、単に回線を仕入れて提供するだけでは差別化が難しいのが現状です。新たに参入を目指す企業は、独自の強みや市場ニーズを見極めた戦略が不可欠となります。

本記事では、MVNOに新規参入する際に確認しておきたいポイントや、導入の具体的なステップを紹介します。自社の事業をより発展させるために、MVNO新規参入を検討しましょう。

MVNOの仕組み

  • MVNOの仕組み

    MVNOの仕組みとは

MVNOは「Mobile Virtual Network Operator」の略称で、日本語では「仮想移動体通信事業者」と訳します。アンテナ、基地局、回線網などを自社保有せず、大手通信事業者から借り受けてサービスを提供している事業者を指します。

回線網などを借用しているため、増設や保守メンテナンスなどのコストが発生しないことから、大手キャリアよりも割安な価格でサービスを提供しているのが特徴です。日本でMVNOへの本格的な参入がスタートしたのは、2009年頃のことでした。MVNOが提供するサービスは「格安SIM」と呼ばれ、MVNO業界に参入する企業が次第に増えてきました。

現在は電気事業者や通信事業者、インターネット・プロバイダーに加え、さまざまな業種を手がける企業がMVNO市場に参入し、事業を展開しています。

MVNOとMNO、MVNEの違い

  • MVNOとMNO、MVNEの違い

    MNOやMVNEがどのようなものなのかも知っておきましょう

MVNO事業への参入を検討しているなら、「MNO」と「MVNE」についてもあらかじめしっかりと理解しておく必要があります。

MNOとは大手キャリアのことで、MVNEとはMVNO事業に参入する企業に対して必要な回線や仕組みを一括提供する企業のことです。MVNOとの違いとそれぞれの特徴を、詳しく見ていきましょう。

MNOとは

MNOは「Mobile Network Operator」の略称で、「移動体通信事業者」のことです。日本でMNOというと、以下4社の大手キャリアを指します。

  • NTTドコモ
  • KDDI
  • ソフトバンク
  • 楽天モバイル

名称に「V(Virtual=仮想)」が含まれていないことからわかるように、基地局と回線網を保有し、総務省からそれぞれ周波数帯を割り当てられている事業者です。

MNOはスマートフォンなどのモバイルデバイスを含めた通信サービス全般を、日本全国に提供しています。さらに、自社の回線網をユーザーに提供するだけではなく、回線の一部をMVNOに貸し出しています。

MVNEとは

MVNEは「Mobile Virtual Network Enabler」の略称で、「仮想移動体サービス提供者」を指す言葉です。MVNEは、MVNO事業に参入しようと考えている企業のサポート業務を提供しています。MVNO事業への参入を検討している企業に代わってMVNEがMNOと交渉して、借り受けた回線をMVNO事業者に提供しているのです。

また、MVNOサービスの構築・運用に関わる支援や、モバイル端末の調達のノウハウ提供をはじめ、MVNO事業運営全般に関するコンサルティング業務も提供しています。

MVNOへの新規参入の具体例

  • MVNO新規参入の背景と現状

    異業種からMVNOへ参入してきた企業の具体例を紹介します

これまで大手通信事業者がMNOサービスを通して業界の舵取りをしてきましたが、昨今はMVNOに注目が集まっています。その理由として異業種からの新規参入が増えている点が挙げられます。

異業種からの参入の一例としては以下があります。

  • 日本航空(JAL)による「JALモバイル」
  • メルカリによる「メルカリモバイル」

それぞれのサービスを具体的に見ていきましょう。

JALモバイル

JALは、3,000万人以上いるJALマイレージバンクの会員を対象としたモバイルサービス「JALモバイル」を2025年4月より開始させました。毎月の同サービスの利用やJALでのフライトによってマイルが貯まる特典が付いてきます。

メルカリモバイル

日本最大級のフリマサービスを運営するメルカリは、2025年3月より「メルカリモバイル」の提供を開始させました。ギガの売買が可能な点が最大の特徴で、使いきれずに余ってしまったギガ(1GB単位・1取引)を最低200円からメルカリ内で出品できます。ギガを売って得たお金はメルカリの残高にチャージされるため、メルペイで日常のショッピングにも利用可能です。

MVNO新規参入増加の背景

MVNOへの新規参入事例が増加している背景について詳しく見ていきましょう。

初期コストを抑えられ参入へのハードルが低い

MVNOはMNOの回線を借り受けて自社ブランドでモバイル通信サービスを展開でき、大きな設備投資も不要なためイニシャルコストを抑えやすいです。既存のサービスで会員などの顧客をかこっていれば、比較的ローリスクで大きなリターンが得られる可能性がある点は大きな強みと言えそうです。

MVNO市場の活性化

MVNO市場の活性化も、異業種からの参入を促しています。MNOサービスを提供する通信事業大手各社は近年、使い放題プランの月額アップや契約あたりの月間平均収入底上げに舵を切っています。結果として、廉価な契約を求める消費者がMVNOへと切り替え出しているのです。

その事実を裏付けるように、MVNOサービスの市場は堅実に成長しています。総務省による「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表」(令和6年度第4四半期)によると、2025年3月時点の契約数は3,801万(法人向け含む)で、2020年3月(2,471万)比で約154%となっています。

MVNOに新規参入することのメリット

  • MVNO新規参入のメリット

    MVNO新規参入にはさまざまなメリットがあります

MVNO事業は初期投資の負担が少なく、通信ビジネスに気軽に参入できるのが特徴です。MVNOに新規参入する際に期待するメリットは企業によって異なりますが、一例を挙げると以下が考えられます。

  • 収益拡大
  • 顧客の囲い込み
  • IoTビジネスへの新規参入の足がかりなど

中でも、非IT系の企業にとっては、デジタル・IT分野に参入する際に最適だと考えられているのがMVNOです。これまで展開してきた領域で保有している顧客基盤を活かして、既存サービスとSIMのクロスセル・アップセルなどが容易なため、新規参入を検討する企業が多いのです。

MVNO事業者になるための工程

MVNOへの新規参入を検討しているなら、サービス提供までのステップを具体的に確認しておきましょう。事前に導入手順を把握しておけば、実際にキックオフする際にどのような手順で進めればよいのかがイメージできてスムーズです。

MNO、MVNEの選定

まずは、利用するMNOとMVNEを決めるところから始めましょう。おすすめは、自社が希望する事業展開のイメージに対応可能なMVNEを選ぶ方法です。その場合、MNOは自動的にMVNEが利用しているものを使うことになります。

MVNEを提供している企業はインターネットイニシアティブやNTTドコモビジネスなど複数あり、それぞれが独自性のあるサービスを展開していますので、自社の具体的な要望をより正確に叶えてくれるMVNEを選んでください。どのMVNEを利用するかで、利用可能なMNOキャリアやサービスの内容が異なります。事業者として提供可能なSIMの種類も異なる場合がありますので、注意が必要です。

異業種からMVNOに初参入する場合には、プラン設計から任せられて、回線・帯域単位での提供や通話定額オプションがあり、さらに物流関連の業務設計まで依頼できるMVNEを選ぶと安心です。

サービス設計

自社でMVNO事業を展開するならば、サービス設計を綿密に検討する必要があります。どのような対象へのサービスを展開するか、どのような収益モデルを想定するかなどを考えましょう。その際、すでにMVNOに参入している企業の実績も参考にしながらサービス設計をしていくと、自社の事業によりマッチするサービスになるはずです。

自社メンバーが中心となって運用する場合には、外部のコンサルタントのサポートを受ける方法もあります。通信ビジネスへの参入が初めての場合には、トータルサポートを提供しているMVNE事業者に支援を依頼するとよいでしょう。

システムの構築

MVNO事業を運用するには、サービス全般の業務運用システムが不可欠です。利用するMVNE側のシステムと連携させる必要があるので、MVNEと協力しながらシステムを構築していきましょう。

顧客管理や請求、物流、サポートまで総合的に管理できる機能も必須なため、自社開発が難しい場合には、MVNEや外部のベンダーに開発を依頼することも検討してください。さらに、サービスがカットオーバーした後のシステム運用方法と、トラブル発生の対策も並行して検討しておきましょう。

SIMと自社商材をセット販売する場合には、さらに複雑なシステム設計が必要なケースも考えられるため、余裕のあるスケジュールを組むことが大切です。

MVNO参入の課題

  • MVNO新規参入の具体的なステップ

    MVNOに新規参入するときの課題とは

MVNOに新規参入する場合、どのような点に注意しながら準備を進めればよいのでしょうか。MVNO参入の課題について解説します。

法律

MVNO事業者としてサービスを提供するには、総務省総合通信基盤局が定めた「MVNOに係る電気通信事業法及び電波法の適用関係に関するガイドライン」に沿った対応が必要です。ガイドラインには、対象とするMVNOの事業範囲が指定されています。

MVNOの事業形態及び事業開始に必要な手続きとしては、まず「電気通信事業法」に基づいて電気通信事業の登録・届け出をすることが指示されています。MVNO事業者として事業を展開する中でのMNO、MVNEとの関わりに関しても、ガイドラインに違反しないよう、規定に従って対応を進めていくことが重要です。

インフラ

MVNO事業を行うためには、サービス全般を円滑に進行するためのインフラ基盤の整備が必須です。インフラが脆弱だと顧客に提供するサービスに影響が出てしまい、最悪の場合には事業の継続が困難になることも考えられるからです。

MVNO事業に必要なインフラには、以下のようなものが挙げられます。

  • MNO側のネットワークに接続してデータの送受信を行うパケット交換機
  • インターネット接続用の回線
  • 加入者情報の管理システムと連携して課金情報を管理するシステム
  • システム全般を監視するための仕組み

MVNO事業者は電気通信事業として届け出を出し、国が許可した事業者のみがサービスを提供できます。サービスの品質基準が設けられているため、通信品質の安定性と安全な事業の運用ができるインフラ整備が欠かせないのです。

競争

MNO系列以外の企業が手がけるMVNOサービスは、電力、流通・小売、CATVなどを展開する事業者によるものが中心です。低価格がメリットのMVNOは消費者に受け入れられてはいるものの、事業者の増加によって競争が激しくなっています。

近年は政府要請に応えるため、MNOがサブブランドを提供するようになっています。NTTドコモの「ahamo」やKDDIの「UQ mobile」、ソフトバンクの「Y!mobile」などが低価格でサービスを提供しているため、異業種から参入するMVNO事業者は今後さらにユーザーニーズを把握し、独自の戦略を立てていくことが求められています。

顧客

MVNOに新規参入すると、顧客獲得の競争に勝つ方法を模索しなければなりません。最も確実な方法は、自社が元々保有していた顧客をMVNO事業にも取り込むことです。既存のサービスとの抱き合わせでMVNO事業を展開するなど、販売方法には工夫が求められることもあります。

また、今後はIoT領域においてMVNOサービスの需要拡大が期待されており、MVNO事業者は一般消費者へのアピールも並行して検討する必要が出てくるでしょう。

収益性

MVNO事業で発生する費用の中で大部分を占めるのは、インフラ整備とMVNEなどの外部サービス利用にかかるものです。MVNOを自社でスタートさせるためには収益化が欠かせないため、出費をいかに抑えて安定稼働できるかが重要なポイントです。

プロジェクト管理やシステム開発、運用だけでなく、販売したSIMカードの物流・発送管理や顧客向けコールセンター運営にも費用が発生します。費用を抑えるためには可能な限り内製化することが望ましいですが、専門知識が必要なケースも多く、通信事業業界に精通しているMVNEに依頼するメリットも大きいのが現実です。

MVNO事業を成功させるためのポイント

  • MVNO事業を成功させるためのポイント

    MVNO事業を成功させるためのポイントとは

MVNO事業への新規参入を成功させるためにも、特に重視したいポイントを5つ紹介します。

市場調査と分析

MVNO事業を展開し、自社の利益を最大化するためには、市場調査と分析が欠かせません。MVNOはもちろん、MNOを含めた市場全体の動向を常にチェックしておきましょう。

2022年頃からはMVNOが提供しているサービスが充実してきたことを受けて、市場の活性化が見られます。ただし、MNOによるサブブランドの運用など、MVNO市場外からの影響も小さくありません。

市場の環境変化を敏感に感じとり、必要に応じて適切なプラン変更などを実施することで、事業の成功と黒字化を目指しましょう。

差別化戦略

MVNOサービスを提供する企業が複数いる中で自社が生き残っていくには、他社との差別化戦略が重要です。自社が展開しているサービスのポイント付与など、各社さまざまな対策で顧客の囲い込みを行っています。

提供形態の多様性は、今後のMVNO業界では重要なキーワードとなるでしょう。他社と同じような内容のサービスをしているだけでは事業としての成功が難しい場合には、メルカリのように自社の本来のサービスとの組み合わせによってユーザーに利便性を持たせるなどの工夫をするとよいでしょう。

適切なプランと料金設定

自社でMVNOサービスを展開するなら、適切なプランと料金設定が必要です。初めて参入する場合には、豊富なノウハウを保有しているMVNEに相談するのがおすすめです。

例えばスマートフォン向けに音声付きサービスを提供するならば、通話定額プランの設定ができるか、eSIM対応の可否、5G対応の有無で提供できるプランが大きく変わってきます。

料金プランをどのように設定するかについては、自社の顧客層を中心に販売するのかどうかなどで変動する可能性が出てきますし、MVNO事業でどの程度利益を得る必要があるかによってユーザーに提供できる料金プランも変わってきます。自社が想定する顧客層にはどのようなプランがよいのかを検討して、適切な料金設定を行いましょう。

顧客満足度の向上

消費者に選ばれるMVNOサービスを目指すなら、顧客満足度の向上を目指す必要があります。ユーザーが重視する主なポイントは「料金プラン」「コストパフォーマンス」「カスタマーサポートの対応」などです。

MVNO事業が自社にとってどのような位置付けの事業であるのかをしっかりと検討したうえで、顧客満足度の向上につながる方向性に進んでいきましょう。

パートナーとの連携

MVNO事業への参入を成功させるためには、自社と併走してくれるパートナー選びが重要となります。MVNO事業者のパートナーと言えば、支援事業を提供しているMVNEです。MVNO事業の企画・立ち上げからサービススタートまで、どこまでMVNEのサポートを受けられるかでスムーズに参入できるかどうかが決定します。

費用面の問題で委託範囲を絞る必要があるかもしれませんが、経験と実績が豊富なMVNEとタッグを組めば、自社に利益をもたらし、エンドユーザーにもメリットがあるMVNO事業を始められるでしょう。

MVNEを決定する際には最低でも3~5社からの提案を受けてよく検討し、パートナーとして信頼できるMVNEを選ぶことが大切です。

低コストでMVNO事業を開始する方法とは

MVNO市場は格安SIM需要の拡大などを背景に、多くの企業が新規参入を検討しています。しかし競争は年々激化しており、単に回線を仕入れて提供するだけでは差別化が難しいのが現状です。新たにMVNO事業へ挑戦する際には、成功とリスクの両面を冷静に見極める必要があります。

もっとも、異業種からMVNOに新規参入したからといって、100%の成功が約束されるわけではありません。通信インフラの維持やカスタマーサポート体制の構築、広告宣伝にかかるコストなど、想定以上の負担が生じるケースも少なくないからです。

そうしたリスクを回避しつつ市場の成長を取り込む方法として有効なのが「MVNO代理店販売」です。自社リソースを過度に投じる前に代理店として事業性を検証することで、リスクを抑えながら持続可能なビジネスモデルを築く足がかりとなります。

代理店販売の業務内容

代理店販売の一般的な業務として、SIMカードの販売があります。自社の既存顧客やネットワークを活かし、SIMや通信端末の販売チャネルとして新たな販路を開拓する役割を担います。

SIMカード販売の大まかな流れは以下の通りです。

【1.初期アプローチ・問い合わせ】

代理店側:興味のあるMVNO事業者に問い合わせ、資料請求や初期説明を受ける。
MVNO側:代理店募集ページ・説明会にてフローやサポート体制、提供条件(卸価格、インセンティブなど)を提示。

【2.契約前の打ち合わせ・条件交渉】

代理店側:販売チャネル(実店舗・EC・法人営業)や販売目標、サポート体制を事業計画として提出。
MVNO側:代理店の販売力やブランド価値を評価し、報酬モデル(卸価格・マージン率・インセンティブ設定)を提示し条件調整。

【3.契約締結・販売体制構築】

代理店&MVNO側:正式契約を締結し、販売開始日や報酬支払条件を合意。
MVNO側:販売マニュアル、申込フォーマット、プロモーション素材を提供。販売代理店用の管理システムやダッシュボードアクセスを設定。

【4.商品準備・在庫・端末仕入(場合による)】

代理店側:SIMカード(または端末+SIMのスターターキット)を仕入れ、在庫管理を行う。店舗での販売備品・POPも準備。
MVNO側:スターターキットやSIMカードの出荷手配を行い、初期導入支援・説明も提供。

【5.販売開始・ナーチャリング】

代理店側:店舗やオンラインで顧客へのプラン提案・契約取得を開始。問い合わせ対応に応じる。
MVNO側:販売状況を定期把握し、成約率向上のための研修・営業フォローやキャンペーン協働を実施。

イニシャルコストやMVNOビジネス失敗のリスクをできるだけ抑えつつ、新たなビジネスの可能性を探るには、「MVNOの代理店販売」という選択肢もあることを覚えておくとよいでしょう。

自社に最適な方法でのMVNO新規参入を

MVNO新規参入を検討するなら、事業発展に役立つサービスの展開を進めましょう。通信事業サービスの中では参入しやすい分野のMVNOには、異業種からスタートした企業も珍しくありません。MVNO事業をスタートする場合には、自社にメリットをもたらしてくれるMVNEを選び、事業展開を加速させましょう。

また、新規事業としてMVNO事業へ本格的に進出する前に、代理販売という選択肢でリスクとリターンを天秤にかけるという方法もあります。代理販売をするならば、インターネットイニシアティブが提供する「IIJmio」がおすすめです。

業界最大手の「IIJmio」は初期投資コスト0円で在庫リスクを抱える心配もありません。専任担当者によるサポート体制がとられているため、何か問題が生じてもスピード感のある対応をしてくれ、現場の混乱も最小限に抑えることができるでしょう。

「IIJmio」による代理販売というスモールスタートも視野に入れつつ、自社に最適な方法でのMVNO参入を検討して、さらなる事業発展を目指してください。

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