“食”を通じて人や社会に新しい価値を届ける三井不動産のプロジェクト「mitaseru」(ミタセル)と「&mog」(アンドモグ)。

今回、両事業の担当者による対談を通じ、それぞれの背景や想い、そして三井不動産が“食”に込めるビジョンを紹介します。加えて、先日行われたmitaseruの事業戦略説明会と新商品試食会の様子もお伝えします。

「mitaseru」とは▶

「&mog」とは▶

三井不動産が“飲食業界”の課題に挑む理由

【今回お話を聞いた方】

(左)三井不動産株式会社 日本橋街づくり推進部 吉田信貴さん
(右)株式会社mitaseru JAPAN 取締役 佐々木悠さん


※三井不動産グループ/事業提案制度「MAG!C」発の会社

――まずはそれぞれの業務内容について簡単に教えてください。

佐々木さんmitaseruは、さまざまな名店の味をそのまま自宅で味わうことのできる、プレミアム冷凍グルメ通販サービスです。食材の仕入れから商品の製造、販売までを請け負い、「店舗と同クオリティのメニュー」を再現する独自のビジネスモデルを展開しています。一般的な監修ではなく、レシピを共有&試作品をチェックいただいて再現しており、現在ラインナップは全50店舗・97商品以上となっています。

吉田さん&mogは、日本橋エリアを起点として食プレイヤーの事業開発につながる支援を手がけています。そもそも日本橋は非常に食と縁が深く、食品メーカーから飲食店まで、食に関する新しい事業、アイデアを生み出していくプレイヤーがたくさんいらっしゃいます。その方々に対して、三井不動産の不動産アセット(資産)を活用し、事業コンセプト設計や試作品開発、都市実装などさまざまな形で支援をしています。

――産業デベロッパーである三井不動産が“食”を重要なテーマに掲げて新規事業を展開しているのはなぜですか?

佐々木さん自身は商業施設の運営に携わっておりましたが、商業施設において飲食店舗の存在はとても大きく、街づくりに“食”は欠かせないと感じてきました。食に携わっている方たちは、多くを語らずとも本当に一流の商品を届けるべく、空間作りや食材調達へのこだわりも強く、私どもは心からリスペクトしております。その街の食のサービスをしっかり底上げすることによって、街にいる人たちに豊かになってもらいたいという思いから事業を展開しています。

吉田さん:私も同じ考えです。自分は福岡出身ですが、福岡といえば、博多ラーメンというように、食は街の個性となり、重要な要素です。しかし、その裏ではいろいろな社会課題も存在し、そこに目を向けないことには街づくりをやる会社としては意味がないと思っています。

佐々木さん:なにより日本橋には老舗のお店がたくさんありますよね。

吉田さん:そうですね。江戸の三大名物(※天ぷら、寿司、うなぎ。蕎麦を加えて四大名物とも)と言われる老舗の飲食店が古くから日本橋の“街”と“食”を支えてきました。

佐々木さん:三代目や五代目までいるお店もあります。mitaseruが提携している「日本橋ゆかり」の野永喜三夫店主や「日本橋たいめいけん」の茂出木浩司シェフも三代目です。

――お二人は現在の飲食業界が抱える問題についてはどうお考えでしょうか。

吉田さんフードロスやタンパク質クライシスなど挙げればきりがありませんが、食を支える根幹の部分でさまざまな課題がある今、しっかりそこに目を向けていかないと、最終的な街づくりにおける“食”も楽しめなくなってしまうと危惧しています。

※将来的に予測される食肉などのタンパク質の供給不足

佐々木さん:人材不足は特に深刻で、20年前だと新卒が何人も入るような業界だったのが、今は有名な星付き店でも新卒が1人しか入らないそうです。mitaseruとしても業界全体の底上げをすべく、人材不足や後継者不足を解消するレシピの保存や海外販売なども視野に入れております。

――そういった状況のなか、mitaseruと&mogが果たすべき役割、取り組むべき課題とは?

吉田さん:&mogはmitaseruとは違い製造や販売のノウハウについていまはまだありませんが、場所貸しで終わらず、不動産の領域を越えたところにまで手を届かせたいと思っています。たとえば、ある新規事業を考えている会社に新商品やサービスを実装する場所を提供するだけでなく、三井不動産、&mogとして食に関わる事業を開発するプレイヤー側に立つというように。

佐々木さん:業界に対して一つの解決策を提示することです。飲食店舗の方には店舗経営をすることに専念していただきながら、mitaseruは店舗の商品を全国に発信できるよう商品設計・開発・発送までを担います。飲食店舗の方にmitaseruをご利用いただくことで、よりたくさんのお客様に食の感動をお届けできるサービスでありたいと考えてます。また、国内だけでなく海外展開も視野に入れていきたいですね。一事業者が海外に進出するとなると、今はリスクがあるので、そこを私たちがカバーする形で販路を広げていければと思っています。まずは台湾やシンガポールなどのアジア圏での試験的な展開を予定しています。

――では今後、mitaseruと&mogの連携も考えられるでしょうか?

吉田さん:1年ほど前、陸上で海藻を栽培するシーベジタブルという会社のサポートをさせていただいたのですが、海藻単体だと販路を広げるのがなかなか難しいという側面もありました。なので、たとえばmitaseruと提携しているシェフとコラボしたメニューを開発して展開してもらうなど、それぞれの強みを活かせるような形で、将来的には&mogとmitaseruで新事業を起こしていく可能性も考えられればと思っています。

佐々木さん:そうですね。さまざまな企業にまだ眠っているアイデアや商品があるはずですし&mog にはまず企業とつながってもらい、製造・販売は私たちが引き受けつつ、街づくりの一つにmitaseruを使っていただけるよう、&mogとは日々、密にコミュニケーションを取っていけたらいいなと考えています。

吉田さんシェフとの深いつながりや広い接点は、これまでにmitaseruが培ってきた大きな強みだと思います。シェフのみなさんは日々かなりお忙しくされていますし、コンタクトを取るにしてもなかなか時間が取れません。そんななかでコツコツとシェフとWin-Winな環境を作り上げてきたmitaseruに、今後もお力添え願えればと思います。

佐々木さん:ありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします。

――最後に、2025年の総括と2026年の展望についてお聞かせください。

吉田さん:&mogは立ち上がってまだ1年半のプロジェクトですが、2025年は支援実績が少しずつ生まれてきたという手ごたえがあります。これからも日本橋で実際にイベントやテストマーケティングのお手伝いをさせていただくなかから、自分たちの強みが何かを勉強させてもらえればと思います。2026年は今より一層、大手からスタートアップまで、さまざまな企業や店舗のみなさんから、新しいアイデアや自分たちの製品・商品を支援してほしい、というお話を幅広くいただけるとうれしいです。

佐々木さん:mitaseruは2025年にecforceにてオンラインストアを刷新し、2030年までに100店舗の参画を目指しています。次の課題は「新しいイノベーション」をどう生み出していくかです。レベルの高い日本の飲食店舗のなかでもトップクラスのシェフと時間をかけてアプローチさせていただいて開発した、こだわりの商品をお届けしておりますので、食のブランドショッピングのような感覚でお腹と心を満たしてもらえたらと思います。マイナビニュースの読者のみなさんもぜひご利用ください!

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名店の味を次世代へ――mitaseru戦略説明会&新商品試食会レポート

先日、都内にてmitaseruの事業戦略説明会と新商品試食会が行われました。

最初に株式会社mitaseru JAPAN 代表取締役の松本大輝氏が登壇。2025年上期に飲食店の倒産件数が過去最高となり、調理師免許交付数も減少傾向にある厳しい状況のなか、「飲食店舗を助けたい」という思いのもと展開中のサービスであることを説明しました。

※中央に映るのが松本大輝氏

また、現在のプレミアム冷凍グルメ市場の隆盛に合わせてmitaseruの会員数も拡大中とあり、2025年度は前期比300%超の事業成長となる見込みや、11月にはAIコマースプラットフォーム「ecforce」にてオンラインストアを刷新し、加えて定期便サービス「名店ごちそう便」やメンバーシップサービス、NP後払い・amazon Payの導入などを次々と発表。詰めかけた多くのメディア・関係者から注目を集めていました。

商品ラインナップのうち、一部をご紹介します。

実際に食べた感想は「これが冷凍食品?」。どれもとても冷凍食品とは思えない、繊細かつ食べ応えのあるクオリティで、新しい時代の“食”を実感させる味わいでした。現在、活況を呈しているプレミアム冷凍グルメ市場の注目株として、今後、脚光を浴びていくことは間違いないでしょう。

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また、mitaseru参画シェフたちによるトークセッションでは以下のようなコメントも。

「この業界に入って38年になりますが、人材不足や原価高騰がかつてなく深刻な状況です。でも、料理が好きで、好きな料理をつくって、お客様から代金をいただいて生活していることは幸せなこと。それを若い人たちに伝え、料理を作る仕事にプライドを持っていただけるような職場環境づくりを目指して日々、頑張っています!」(「4000 Chinese Restaurant」菰田 欣也氏)

「立ち上げから協力させてもらっていますが、mitaseruの商品は百貨店の催事などでも“ごほうびメシ”として大人気。海外でも和食ブームの今、海外展開も含め、これからもっといろいろな可能性が広がっていくと思います」(「日本橋ゆかり」野永 喜三夫氏)

それぞれの“食”へのこだわりや料理に込めた熱意や愛情、現在の飲食業界が抱える諸問題にどう立ち向かっていくべきか、日本の“食”を最前線で支えるトップシェフのみなさんの決意とアツい思いを聞くことができました。

■4000 Chinese Restaurant 菰田 欣也氏
1988年4月「赤坂四川飯店」に入社。陳建一氏の下で修業を始める。2004年に第5回中国料理世界大会の個人熱菜部門で日本人初となる金賞を受賞。2008年7月「szechwanrestaurant 陳」および「四川飯店」グループ総料理長に就任。2017年、株式会社ファイヤーホール4000のオーナーとして独立。


■Simplicité 相原 薫氏
1994年に葉山のレストランでキャリアを開始。その後、フランスとスイスの星付きレストランで研鑽を積み、帰国後は銀座「レカン」でスーシェフを務めた後、2017年に代官山で自身のレストラン「Simplicité(サンプリシテ)」を開業。魚料理に特化したフレンチを提供している。


■日本橋ゆかり 野永 喜三夫氏
親子三代にわたり宮内庁への出入りを許された老舗名門店「日本橋ゆかり」。株式会社菊乃井で日本料理の修業を経て、ゆかりの三代目若主人となる。2002年『料理の鉄人 JAPAN CUPʼ02』で総合優勝。さまざまなメディアや雑誌、海外での活動も多く、幅広い分野で活躍中。


■Shin Harada(旧アロマフレスカ銀座)原田 慎次氏
服部栄養専門学校在学中よりアルバイトを始めた六本木「ヂーノ」に入店。佐竹弘シェフの下で5年間修業を積み、「ヂーノ」2号店にて4年間シェフを務め1998年に独立。「アロマフレスカ銀座」をオープン。2025年8月より店名を「シン ハラダ (Shin Harada)」に変更。


※写真の左より順に記載

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