急増するインバウンド需要、公共交通機関の廃線や減便、深刻なドライバー不足など、日本の交通インフラは現在、大きな課題に直面している。移動の選択肢が十分に確保できない「移動の足不足」が各地で社会問題となるなか、テクノロジーを活用して課題解決に取り組んでいるのが、世界最大のモビリティプラットフォームであるUberだ。

同社はUber TaxiやUberプレミアム(ハイヤー配車サービス)に加え、国が推進する公共ライドシェアやタクシー会社が運行管理する日本版ライドシェアなど、国内での事業を加速させている。Uberは現在の日本の交通課題をどのように捉え、どのような未来図を描こうとしているのか。

「移動の危機」にどう向き合うのか――Uber Japan社員インタビュー

近年は公共交通の衰退による交通空白地帯の発生や、オーバーツーリズムによる都市圏の交通ひっ迫など、日本の移動にまつわる課題は多層化している。Uber Japanは、単なる移動利便性の向上に留まらず、こうした公共性の高い社会課題の解決にコミットしている。同社でどのようなビジョンを描き、国や自治体とどのように連携しているのか。Uber Japanで政府渉外・公共政策部長を務める岩波隆一郎氏に話を聞いた。

Uber Japan 政府渉外・公共政策部長 岩波隆一郎氏

Uber Japan 政府渉外・公共政策部長 岩波隆一郎氏

――まず、Uberの日本におけるモビリティ事業の取り組みについてお聞かせください。

タクシーの配車サービス「Uber Taxi」は2018年7月に淡路島を原点に、2020年7月に東京へと拡大しました。その後、タクシー事業者との提携を拡大し、2025年12月には全47都道府県でのサービス展開を達成しています。

実はその前段として、2016年5月に京都府京丹後市で地域の交通を支えるための自家用車有償旅客運送(公共ライドシェア)をスタートしています。これは、まだ「公共ライドシェア」という言葉が定着する前のことでした。同年8月には北海道中頓別町で地域のボランティアによるライドシェア、そして近年では2024年3月に石川県加賀市で公共ライドシェアをスタート。長野・志賀高原エリアでは、冬季シーズン限定のライドシェア(2024年12月~2025年2月)、2025年4月には大分県別府市、12月には長野県野沢温泉村でも冬季シーズン限定で導入しました。

こうした取り組みの背景には、日本のモビリティ事業が非常に公共性のニーズが高いものであるという認識があります。Uberは、そのニーズが高い公共ライドシェアという社会的にニーズの大きい領域から取り組んできた歴史があります。地域の移動を支えるという視点を中心に据えながら、タクシー事業者の皆さまや自治体と協働し、日本に根差したサービスづくりを進めてきました。

――現在、日本では少子高齢化やドライバー不足が加速するなかで、交通におけるさまざまな社会課題が提示されています。この現状をどのように考え、解決に取り組んでいらっしゃいますか。

日本の交通課題は多岐にわたり、一つの施策で解決できるものではありません。地域ごとに状況もニーズも違います。そのため、私たちは地域にあった柔軟な手段を整備していくことで、乗客にとってもドライバーにとっても持続可能な交通の仕組みをつくっていくことが重要だと考えています。

たとえば、ドライバー不足の問題があります。今日本では、70歳以上のタクシードライバーの数が全体の約30%と、他世代と比較し一番多いのが現状です。もちろん地方が最も深刻なのですが、将来的には東京のような大都市であってもドライバー不足が予測されています。2024年4月から運用が開始された日本版ライドシェア(タクシー会社が運行管理する自家用車活用事業)は、各地で導入が始まっていますが、これはドライバー不足を解消するための基盤づくりの第一歩だと捉えています。Uberは今後日本版ライドシェアで得られた経験やデータをもとに、政府と協議を重ねながら、この制度をより効果的なものへ発展させていけるよう議論を進めていきたいと考えています。

また、公共ライドシェアについても、私たちはその地域に向き合い、自治体、観光協会、地元の飲食店や旅館業界の方など地域の有識者と綿密に対話し、どのようなニーズがあるのかを確認しています。同じ制度、同じアプリであっても導入方法、連携方法、価格設定、ドライバー確保の方法など、すべてが違います。公共性の高い取り組みだからこそ、「一律の仕組み」ではなく地域にあった設計にすることが不可欠であると考えています。

さらに、日本には非常に多くのタクシー事業者があり、それぞれに独自の配車の仕組みがあるので、Uberが全てのタクシー事業者と個別に契約して導入いただくのはとても時間がかかります。そこで、全国のタクシー事業者などに配車や運行管理を行うクラウド型システムを提供している電脳交通様とAPI連携を行い、ドライバーと乗客双方の体験を変えることなくサービスを拡大できるようになりました。

タクシーやライドシェアによる持続可能な交通サービスを実現するために最も大事なことは、若手ドライバーの参入を促し、業界全体を活性化させていくことです。私自身、多くのタクシー事業者の方々とお話しするなかで、皆さまが若手ドライバーの確保に必死で取り組まれていることを強く感じています。Uberもアプリを活用することで効率的に収入を得られる仕組みを提供しており、タクシー事業者様と協力しながら若い世代のドライバーも参入しやすい環境づくりに力を入れています。若いドライバーにとって、アプリを活用した旅客運送の仕事が「楽しく、将来性があり、魅力のある職業」であり、「デジタルツールを使いこなす力やインバウンドを含む接客スキルなど、スキルアップにもつながる仕事」であることを伝えていきたいと考えています。また、自分の働き方を通じて「地域の移動課題の解消に貢献できる」ことが大きなやりがいであることも訴えていきたいです。

こういった取り組みを重ねていくことで、より多くのドライバーが地域の移動を支え、そして乗客のみなさまが快適に移動できる仕組みをUberのアプリ経由で提供していきたいと考えています。Uber Taxiが47都道府県すべてで展開できるようになったのも、数多くのタクシー事業者様、ドライバーの皆さまをはじめ政府や自治体、各地のタクシー協会などの協力があって実現できたことだと思っています。

――インバウンド需要も好調とお聞きしました。海外から来た方にとっては、日本でも海外と同じ感覚で利用できるのは大きなメリットですね。

全くその通りです。たとえばサンフランシスコから来た人が羽田空港で、アプリの設定を何も変えずに英語で「〇〇ホテル」など行き先を入力してUberで配車できます。クレジットカードの変更も不要です。政府は2030年までに6千万人の外国人旅行者を受け入れるという目標を掲げています。これにより、東京などの大都市圏に限らず、日本各地の観光地でこれまで以上に多くの訪日客を受け入れることが想定され、移動需要のさらなる増加が見込まれます。

Uberアプリがより広い地域で利用可能になることで、訪日客の移動手段の選択肢が広がり、訪問先の分散が進みます。その結果、特定地域への集中を緩和し、オーバーツーリズムへの対応にもつながると考えています。

――国内ユーザーのUber利用も増えてきているのでしょうか。

日本人のユーザーは着実に増えており、伸び率は外国のユーザーより高いです。特に、ビジネスパーソンによる利用が多くなってきました。以前は「外国で使うアプリ」というイメージがあったかもしれませんが、今では半数以上が国内の方です。海外でUberを使った経験のある方がCMなどをご覧になって、「え、日本でも使えるの?」という流れで利用されることも多いようです。

また、Uber Eatsの配達料割引などを受けられる会員プログラムである「Uber One」を利用し、Eatsだけでなく、Uberの乗車料金でも割引を受けられるユーザーが多くなっており、日常的な移動手段としての利用も広がっています。

一方で、国内タクシー利用のうちアプリによる利用は約2割程度という第三者による調査もあります。同じアジアの韓国や中国では6割ほどになりますので、まだまだ利用率は低いという見方もできるでしょう。これは、流しや駅乗り場での乗車と異なり、配車アプリでタクシーに乗ると迎車回送料金(迎車料金)がかかることが多く、乗客からしてみたら割高になる制度になっています。こうした仕組みは、交通分野のDXの基盤でもある配車アプリの利用を進めるうえでの課題となっています。より乗りやすい環境作り、そしてデータを活用して効率よくお客様を拾えるようにするためにも、アプリの利用促進は重要です。

ドライバーがUberの利用に慣れてくると、流しでお客さまを探すよりも効率よく収入を得られるようになるため、アプリを活用するタクシーが増えてくる可能性が高いと考えられます。今後、ドライバー不足がさらに進めば、この傾向は一層強まるでしょう。また、将来的に自動運転(ロボタクシー)が普及すれば、アプリを通じてタクシーを利用することが当たり前となり、アプリなしではタクシーに乗れない時代が到来する可能性もあります。だからこそ、交通DXの基盤となる制度の導入や迎車料金のあり方の議論は不可欠です。

もう一つの課題は、高齢者によるアプリ利用です。海外では多くの高齢者がUberアプリを利用していますが、日本ではスマートフォンを利用していない、あるいは操作に不安を感じている高齢者も少なくありません。そこで弊社では今年、「Uberシニア」というサービスを開始しました。画面をよりシンプルで見やすいデザインに設定でき、高齢の方でも直感的に操作できるよう設計されています。こうした使いやすさの向上を通じて、今後はより幅広い世代の方々にUberアプリを利用していただけるよう、取り組みを進めていきます。

Uberシニア

「Uber シニア」向け機能「シンプルモード」

――制度面ではダイナミックプライシングの導入についても議論が広がっています。

タクシー以外では、すでにホテル、航空券、高速道路利用料金などでダイナミックプライシングが導入されており、鉄道でも導入に向けた議論が進んでいます。実はダイナミックプライシングをタクシーで導入すること自体は制度上可能なのですが、現在は「メーター料金に合わせる」という仕組みになっており、需要と供給のバランスを適切に反映できないため、実効性が乏しく、導入が進んでいません。私たちは本来の目的である「リアルタイムで需要供給のバランスを取るダイナミックプライシング」をタクシーに導入すべきだと考えています。

空車が多く料金が安い時間帯があれば、普段はタクシーを利用しない人でも「今日はタクシーを利用してみようかな」と思ってもらえます。単に料金が上がる仕組みではなく、利用者の裾野を広げ、全体として移動の選択肢を増やすために有効だと考えています。さらにドライバーにとっても、料金が低い時間帯は休憩し、高い時間帯に稼働するなど、需要に応じて戦略的に働けるようになるため、より効率的な働き方が可能になります。今後は政府やタクシー事業者と協議を重ねながら、より柔軟性が高く、需要と供給を的確に反映できる制度づくりに向けて、段階的な実証実験を進めていきたいと考えています。

――空港やホテルのような、乗降が集中する地域での改善点についてはいかがでしょうか。

すでに多くの施設の事業者様にご協力をいただいておりますが、まだ課題が山積しています。多くの駅や一部の空港等では需要が高くても、配車アプリはタクシー乗り場に乗車地点を設定できないケースが多く、離れた場所まで歩いて乗車しなければならない場合もあります。これは乗客にとって最適とは言えないため、国や自治体との連携や施設側との調整で改善すべき点だと考えています。

――ここまで伺った内容を踏まえて、日本の交通課題について総括をお願いします。

まず、地方の交通空白地では、地元のタクシーや公共ライドシェア等が共存することが重要だと考えています。タクシーはこれからも地域交通を支える重要な存在です。しかし、タクシーだけでは供給が追いつかない地域もあります。そうした地域では、公共ライドシェアが不足分を補う非常に有効な仕組みとなり、地域の移動を支える上で大きな役割を果たすと考えています。加賀市や別府市では、Uberアプリ一つでタクシーも公共ライドシェアも呼べるようになっており、両事業が共存しながら利用者にとってわかりやすく便利な仕組みが実現しています。もちろん公共ライドシェアも改善の余地はあるものの、地域の住民同士が移動を支え合うこれからの交通に欠かせない仕組みです。

また、ドライバーの多様な働き方という観点も重要です。タクシーや日本版ライドシェアのドライバーは雇用契約のもとで働き、移動サービスの重要な担い手として基盤を支えています。一方で公共ライドシェアは副業との相性もよく、「自分の好きな時間に働く」柔軟な働き方が実現できます。こうした働き方は、地域の労働力不足を補うだけでなく、新しい収入源を求める人にとっても大きなメリットがあります。

たとえば日本版ライドシェアは、タクシー事業者による雇用を前提とした制度として設計されております。今後さらに活用の幅を広げていく観点からは、雇用契約に加えて、タクシー事業者とドライバーとの業務委託契約も選択肢として認められると、より良い制度になるのではないかと考えています。現行制度では副業として参加するには一定のハードルがあり、結果として参加できる人が限られているのが実情です。

都心部では悪天候や事故等によって公共交通が遅延や運休し、突発的に移動需要が増加するケースが少なくありません。雇用を前提としたシフト制では、こうした急激な需要変動への対応には限界がありますが、業務委託であれば事前にシフトを組む必要がなく、対応可能なドライバーが自発的に稼働できるため、非常に効果的です。

このように公共ライドシェアのような業務委託の仕組みが広範に活用できるようになれば、副業として報酬を柔軟に増やすチャンスも広がると考えています。そうした仕組みが整えば、移動を支える人も増え、地域交通そのものが持続可能な形へ近づいていくでしょう。Uberは公共ライドシェアにおいて約10年携わってきましたが、Uberアプリを活用して業務委託で働くドライバーによる重大な事故はこれまで国内では発生していません。適切な運行管理を行うことで、業務委託であっても安全性は十分に確保できると考えています。雇用や業務委託といった多様な働き方を選べる環境を整えることで、担い手不足の解消につながり、結果として交通空白地の解消にも寄与すると考えています。

――日本の移動を支えるサービスとして、ドライバーにも乗客にもしっかりと広めていきたいですね。

日本の交通課題は非常に複雑で、一つの施策だけでは解決できません。ただ、タクシー、日本版ライドシェア、公共ライドシェア、またそれ以外の様々な移動手段が、共存、協業しながら地域のニーズに合わせた移動手段を整備していくことで、乗客にとってもドライバーにとっても持続可能な交通の未来をつくれると思います。これは単なる都市交通の話ではなく、日本全体の将来の移動の在り方につながる極めて重要なテーマです。

そういった課題に向き合うなかで、私たちはただ単に配車サービスのアプリを提供する企業ではありません。Uberは一企業ではありながら、日本のモビリティ分野におけるDX化や、公共性の高い社会課題の解決に貢献する存在であるべきだと考えています。その思いを大切にしながら、これからも地域とともに、より良い移動の仕組みづくりに取り組んでいきたいと思います。

* * *

岩波さんの話からは、Uber Japanが単なる海外発のテクノロジー企業ではなく、日本の特殊な規制環境と向き合い、地域の課題解決に深くコミットしている姿勢が伝わってきた。多様な移動手段が共存する社会に向け、どのように公共性と利便性を両立させていくのか。今後の取り組みに注目したい。

移動手段に困った! そんなときはUberがおすすめ

●Uberのメリットは?

Uberの配車サービスは、Uberアプリから利用できる。このアプリの大きな特徴は、世界中でスムーズに移動できること。料金確認から配車、キャッシュレス決済までがシームレスで、車両位置や到着時刻もリアルタイムで把握可能。安全機能や乗車履歴管理も充実し、世界中どこでも同じ使い心地で安心して利用できるモビリティサービスです。日本でユーザーが多いUber Eatsと同じアカウントで利用できることも魅力の一つです。

●Uberアプリの使い方

Uberアカウントの作成に必要なのは、メールアドレスと電話番号だけ。WebブラウザもしくはUberアプリで必要事項を入力して、登録したら乗車をリクエストできるようになります。

アプリを開いたら、まず画面上の[行き先は?]の項目に、目的地を入力。続いて乗車場所を確認・設定し、[確認]をタップするとドライバーとのマッチングが開始されます。

①配車依頼

②乗車

③降車

●どんなときでも使えるUber

ケース①

急な雨や終電を逃したとき

ケース②

観光地や帰省の際の地方での利用も

ケース③

空港でもUberが便利

Uberを使ってみる

[PR]提供:Uber Japan株式会社