「はたらいて、笑おう。」でおなじみのパーソルホールディングス。1年に1度開かれるパーソルグループ社員総会(以降、社員総会)は、社員一人ひとりが経営理念や行動指針に向き合う大切な場となっています。2025年の社員総会では、社員のリアルエピソードをショートドラマ化したり、XR技術を使って視覚的に分かりやすく表現したりと、これまでになかった試みが行われました。
今回は、インナーコミュニケーション室長の柴田真亜美さんに、社員総会の狙いや工夫、そして2026年に10周年を迎えるパーソルホールディングスが目指す姿を聞きました。
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柴田真亜美さん/2007年、パーソルキャリア(旧インテリジェンス)に中途入社。2017年にパーソルホールディングスに転籍し、インナーコミュニケーションを担当。2024年4月よりコミュニケーション部インナーコミュニケーション室長。社員総会の企画・運営をはじめ、インナーコミュニケーション全般に携わっている。
社員総会に参加してよかったと思える時間になってほしい
――パーソルグループにとって、社員総会はどのような位置づけのイベントですか?
社員総会はパーソルグループの現在地を知り、未来に対して期待を持つ場だと思っています。「これからもグループが一丸となって進んでいこう」という想いを改めて感じられる日です。インナーコミュニケーション室ではパーソルグループの理念体系を社員に浸透させていくことを大きなミッションとしており、そのもっとも大きなイベントが社員総会です。
――どのような想いを大切にして、社員総会を企画・運営しましたか?
「参加してよかった」と思える時間にすることです。2025年の社員総会は約3万人の社員が対象になっているので、2時間半×3万人もの時間をもらっているわけです。その時間で営業活動をしていたらどれくらいの売り上げになっていたかを考えると、結構なインパクトなんですよ。だからこそ、「ほかに仕事があるのに社員総会に参加して意味があるのか」と思わせてしまってはいけません。パーソルグループに所属することの意義や誇りを感じられる場になるよう、企画・運営をしています。
――社員の満足度はいかがでしたか?
2025年度のアンケートでは、86.8%の満足度になりました。「会社の規模や事業の多様性を改めて感じた」といった声も多く寄せられています。普段の業務では接点がない事業部の取り組みを知り、新しい気づきを得られる場にもなっています。
等身大の社員のエピソードから、“考動”のイメージをつかむ
――2025年の社員総会は、「いつ(When)、どこで(Where)、だれが(Who)、なにを(What)、なぜ(Why)、どのように(How)の5W1Hをもとに、⾏動する(I do!)」をコンセプトに掲げていました。このコンセプトが決まった背景を教えてください。
理念体系を行動に移すきっかけ作りをしたかったからです。インナーコミュニケーション室では、理念浸透を大事にすることでパーソルグループとしてのアイデンティティーが育まれると思っています。
理念浸透には「認知・理解・共感・行動」といった4つのステップがありますが、社内で実施した調査では「認知から理解」「共感から行動」の間に大きな解離が見られたんです。そのため2024年度は「理解」につながる施策を実施し、その年の目標値にまでは達しました。2025年度は、その先の「行動」につながる施策を推進しようとなったのです。
ただ、理念体系を「行動」に移すのは簡単ではありません。グループビジョンの「はたらいて、笑おう。」や5つの行動指針などは、言葉の意味は理解できても、どのように業務に落とし込めば体現できるのかイメージがつきにくいと感じる社員もいるからです。
そこで、イメージの解像度を上げるために5W1Hを考え、そこから「I do!」に結びつけようと、コンセプトを打ち出しました。
「I do!」には「行動する」だけでなく、「“考動”する(考えて動く)」という意味も含まれています。単に動くのではなく、自ら考えて、意志をもって動く。そんな“考動”を促す社員総会したいと考えました。
――2025年の社員総会でとくに力を入れたことは?
コンテンツのすべてに5W1Hや「I do!」の要素を入れたことです。
社員総会は4つのコンテンツで構成されています。パーソルホールディングス代表取締役社長 CEO 和田 孝雄によるプレゼンテーションの「Top Presentation」。グループビジョン「はたらいて、笑おう。」に貢献した社員及びプロジェクトに贈られる「PERSOL Group Awards 2025」。新しい取り組みとして、社員から応募したエピソードをドラマ化した「My “I do!” Story」。パーソルグループのブランド10周年に向けた社員参加型の企画「Countdown 10th Anniversary!」です。
このことで一貫してコンセプトが伝わり、社員からも「“考動”のイメージがついた」「明日から取り組むヒントが得られた」との声をいただきました。
――新しい取り組みとしてドラマを制作したとの事ですが、何故作ろうと思ったのでしょうか?
これまでの社員総会では、トッププレゼンやアワード表彰という定番コンテンツと併せて、ディスカッション形式のコンテンツが多く、「なにか新しいアプローチができないか」と模索していました。そんなときに「社員の『はたらく』にまつわるエピソードをドラマにすればどうか」という案が浮上しました。動画にすることで内容に入り込みやすく、ストーリー仕立てにすることで伝えたいことの解像度が上がり、自分ごと化しやすくなるといった利点もあると考えたのです。
社員総会の当日はエピソードを提供した社員にもインタビューを行い、内容をより深掘りしました。ドラマだけでは語りきれなかった部分や想いも含めて、等身大のエピソードを伝えられたと思います。
――ドラマの内容を教えてください。
今回ドラマ化したエピソードは2つあります。ひとつは、新しいプロジェクトにチャレンジしたときに、周囲に支えられながら困難を乗り越えた話です。もうひとつは、実現が難しい依頼に対して、後輩からの提案をきっかけに従来とは異なるアプローチで成功に導いたエピソード。どちらも等身大の社員を紹介することを重視して、エピソードを選定しました。
――なぜ「等身大」にこだわったのでしょうか?
社員総会ではグループアワードも実施していますが、表彰されるのは卓越した成果を出した社員たちで、見る側は「すごい!」と感じつつ「自分とは違う世界」と思ってしまうこともあります。そうではなく、「自分も“考動”できていたときがあった」と気づいてもらいたかったんです。
そのため「自分の意志で動いた経験」や「自分が変わるきっかけとなった場面」といったエピソードを選び、自分ごととして考えてもらえるような構成を目指しました。
――社員からの反響はいかがでしたか?
「ドラマを見ることで“考動”のイメージがついた」というコメントが多かったです。ただ、「そんな簡単にはいかない」といった否定的な意見の社員も一部にはいたのではないかと思っています。でも、それも含めてチャットツールでのコメントがかなり活性化しました。意見を発信するのもひとつの“考動”ですし、アウトプットのきっかけになる場を作れてよかったと思います。
――社員一人ひとりが“考動”をしていくために、インナーコミュニケーション室では今後どのような活動をしていくのでしょうか?
まだ構想中ですが、小さなアウトプットをくり返すきっかけを作りたいと考えています。きっかけがないと、なかなか“考動”につながりませんし、今のままでもいいと思ってしまいます。でも、もう一歩踏み出したらまた別の世界が見えるはずです。そんな小さな成功体験ができることで、“考動”は加速すると思います。そのきっかけ作りをすることがインナーコミュニケーション室の役割でもあります。
――きっかけ作りのために、すでに行った施策はありますか?
パーソルホールディングスは2026年にブランド発表から10周年を迎えるので、それに向けて「みんなでつくる、10周年ロゴ!」(通称:みんロゴ!)と、「パーソルのアプ活」を実施しています。
アプ活は、自分の価値観と行動指針を紐づけながら、自身をアップデートする方法をチームで考えるワークショップです。仲間からのヒントを得ながら、“明日からなにをするか”というのを言語化する場になりました。
「みんロゴ!」では、社員から10周年のロゴのアイデアを募集するもので、約100名からの応募がありました。今後ワークショップを行い、ロゴを選んでいく予定です。
次の10年で、“パーソルらしさ”を掘り下げていきたい
――ブランド設立からの10年間で、パーソルグループ内で育まれてきた文化を教えてください。
あくまで私の見解ですが、人の介在価値に重きを置いている会社だと思います。これは創業当時から変わらないのではないでしょうか。
創業者の篠原欣子が掲げた経営理念は「雇用の創造 人々の成長 社会貢献」と、とてもシンプルです。日本でまだ女性の社会進出が盛んではなかった頃、海外のように女性がいきいきと働く場所を作りたいと、篠原は人材派遣事業をはじめました。そうした創業当時の社会状況はかなり改善されてきたものの、「はたらく」に対する課題は未だに山積みです。働くこと、つまりは働く人に向き合い続けてきたことが、パーソルグループの大切な文化だと思います。
また、パーソルグループの社員に「パーソルのよさとは?」と聞くと、「人」と答える方が多くて。同じ思いを持って働いている人が多い、という感覚を持っているのだと思います。これは会社にとって大きな財産です。だからこそ、今後はもっと「パーソルで働く人」の解像度を上げていきたいと思っています。どういう価値観や想いを大事にして働いているのかを言語化することで、「パーソルらしさ」が磨かれていくはずです。
――最後に、パーソルホールディングス設立10周年に向けての意気込みをお願いします。
「パーソルっていいよね」と再認識できる年にしたいです。社員にとって日々の業務は大変ですし、パーソルグループ以外にも魅力的な会社はたくさんあります。それでも「パーソルで働くことは自分にとって意味がある」と感じられる場を作っていきたいです。
インナーコミュニケーション室としては10周年に限らず、今後もパーソルグループで働くことの体験価値を上げていきたいと考えています。私たちがメッセージを出していくことによって、普段仕事しているだけでは気づかないことや感じられないことに目を向けてもらえればと。その結果、「パーソルっていいよね」と思える体験が積み重なっていく。そうした職場を作ることが目標です。
そのために大切なのは、やはり理念浸透ですね。理念浸透によってエンゲージメントが向上し、社員のやりがいや生きがいにつながります。すると、生産性や個人のパフォーマンスが上がり、離職率低下につながるといった会社としての利点もあるでしょう。こうした前向きな循環に向けての土台作りを、今後も続けていきます。
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