高血圧の予防、といえば食事の塩分量を減らす「減塩」。薄味にしたり減塩食品を利用したりと、対策方法はいろいろですが、味わいの物足りなさから続けるのが難しいという声も少なくありません。そんななか、近年注目を集めているのが、減塩とともに「“カリウム”を積極的に摂取する」という方法です。
果たして、塩分(ナトリウム)とカリウムにはどんな関係性があるのでしょうか? この記事では、カゴメの管理栄養士の資格保持者による専門チーム・「野菜と生活 管理栄養士ラボ®」の方にインタビューを実施。ナトリウムとカリウムの関係性“ナトカリ比”について詳しく解説していただき、健康効果やおいしいナトカリレシピをご紹介します。
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■お話しいただいたのは…… |
【「野菜と生活 管理栄養士ラボ®」とは】
カゴメ株式会社に所属する管理栄養士による専門チーム。営業、研究、商品開発など、さまざまな部署で活躍する管理栄養士が、それぞれの分野での知見を持ち寄り、さらなる健康への寄与を図るために発足した。健康セミナーの実施やレシピの監修、コラムや書籍など、特定保健指導を通して食と健康に関する課題解決をサポートする活動を行う。
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ナトリウムとカリウムの関係性って?
――今日は“ナトカリ”について教えていただけるとのことですが、そもそも“ナトカリ”って何ですか?
広脇さん:“ナトカリ”はナトリウムとカリウムの2つを合わせた言葉で、この2つのミネラルの摂取バランスが「ナトカリ比」です。「ナトカリ比」を低くすることは高血圧や循環器疾患の予防に有効であるとされており、意識すると健康的な生活につながるということで、近年注目されています。
※食生活は、主食、主菜、副菜を基本に食事のバランスを。
※腎臓病の方はカリウムを制限する必要がありますので、必ず主治医にご確認ください。
※現在病気の治療中で病院から食事指導を受けていらっしゃる方は主治医の先生のご指示に従い、治療を継続してください。
――そうなのですね。ナトリウムは人体にとってどのような影響があるものなのですか?
広脇さん:ナトリウムには、水分をため込む性質があります。そのため摂りすぎてしまうと体内の水分量が上がり、血液の水分も多くなるので血圧が高くなってしまうのです。ナトリウムはさまざまなものに含まれていますが、多くは食塩として摂取していますので、食事の場合は基本的には「しょっぱいものなど塩分が多いものはとナトリウムが多い」という認識で大丈夫です。
――だから高血圧の人は減塩を指導されるんですね。日本人のナトリウム摂取量は多いのでしょうか?
広脇さん:基本的には摂りすぎの傾向にあります。食塩の約7割は調味料から、約3割は加工品などから摂っています。健康食のイメージがある日本食ですが、実は、料理に欠かせない調味料は塩分が高めなものもあります。また、加工品は保存性を高めるために塩分が多くなっている場合もあり、忙しい現代人は塩分を摂りすぎる傾向になりやすいといえるかもしれません。(*¹)
ナトリウムを摂りすぎると、高血圧のほか、胃がんや食道がんのリスクが高まるという報告もあります。(*²)
(*¹)出典:厚生労働省「知っていますか?食塩のとりすぎ問題 ~身近な栄養のおはなし~」
(*²)出典:厚生労働省「健康日本21アクション支援システム 健康用語辞典」
――それは怖いですね……。ナトリウムを摂りすぎないための対策にはどのようなものがあるのですか?
広脇さん:やはり基本的には減塩です。物足りなさを減らす工夫として、香味野菜を使ったりだしを利かせたりすることで、少しの塩分でもおいしく食べることができます。食事に工夫をして塩分量を減らすことが一番ですが、外食などどうしても難しい場面もありますよね。そういうときのもう一つの方法が「カリウムの量を増やすこと」です。
\ ナトリウムを減らしてカリウムを増やす /
――カリウムは、人体においてどのような働きをするのですか?
広脇さん:カリウムは、体の中の余分なナトリウムと結びついて、体外に排出する働きがあります。
――なるほど! カリウムをたくさん摂ることで、多すぎるナトリウムを体の外に出すことができるんですね。日本人はカリウムが足りていないんでしょうか……?
広脇さん:残念ながら、15歳以上のどの年代でもカリウムは目標量に対して不足している傾向です。(*3)カリウム不足は、倦怠感や食欲不振などの症状が出ることがあるといわれています。(*4)
(*3)出典:日本人の食事摂取基準(2020年版)、厚生労働省令和5年 国民健康・栄養調査
(*4)出典:厚生労働省「健康日本21アクション支援システム 健康用語辞典」
――カリウムはどんなものに含まれているのですか?
広脇さん:野菜と果実にたくさん含まれています。特にホウレンソウやニラ、小松菜など緑の濃い葉物野菜が多いですね。手軽に食べられるものだと、トマトやバナナなどは、生のままですぐに食べられる食材です。あとは、豆類やいも類にも豊富に含まれています。
――いろいろな食材に含まれているんですね。“ナトカリ”の関係性を意識した食事って、つまりはどういうことなんでしょうか?
広脇さん:カリウムが分母、ナトリウムが分子として、この“ナトカリ比”を低くしていくことです。ナトリウムを控えることはもちろん、カリウムを増やしていくことが重要。つまりは、食事の中で野菜や果物、豆、いも類などを積極的に増やしていくことが“ナトカリ比”の考え方です。
\ ナトリウムを減らしてカリウムを増やす /
――普段の食生活では、どのように実践すればよいですか?
広脇さん:とても簡単で「普段の食事に野菜を増やす」という考え方で大丈夫です。定食なら小鉢で1品野菜を足す、ラーメンなど味の濃いものを食べるときは野菜をトッピングする、飲みものを野菜ジュースにする……というように、いつでも野菜をプラスするように意識してみてください。
※「ナトカリマップ®」は東北大学とカゴメの登録商標であり、両者が共同で特許を保有しております。
――それなら少し意識するだけで手軽にできそうです! 減塩だけではなく、おいしく食べて“摂り過ぎたナトリウムの排泄を促す”という選択肢があることで、続けられる食生活になりそうですね。
広脇さん:そうなんです。ナトカリは、「無理なく続けられる血圧ケア」のテクニックです。もちろん減塩の工夫も大切ですが、ナトカリの考え方を持つことで、ポジティブに食事を楽しみながら、健康的な食生活を送ることができるようになります。“ナトカリ比”を意識して、ぜひ前向きに分とカリウムのバランスを意識してくださいね。
おいしいから続けられる! おすすめのナトカリレシピ
※普段から塩分摂取量に気を付けた食生活を心がけましょう。
※栄養計算は日本食品標準成分表八訂を基に算出しています。
すべての数値は1人分もしくは1単位当たりとなります。
・材料(4人分)
餃子(チルド):12個
ぶなしめじ(カットタイプ):90g
酒:小さじ1
トマトソース:150g
ピザ用チーズ:80g
パセリ(乾燥):お好み
・作り方
①耐熱容器にぶなしめじを入れ、酒を回しかける。ふんわりとラップをして電子レンジで加熱する(500W 2分程度)。
②①にトマトソースをかけ、餃子を並べてラップをし、電子レンジで加熱する(500W 5分程度)。
③②にチーズをかけ、チーズが溶けるまでオーブントースターで加熱する。
④パセリをお好みでふって、完成!
(食塩相当量2g/ナトリウム412mg/カリウム465mg)
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【おいしさメモ】 |
・材料(3人分)
合い挽き肉:300g
ブロッコリー:1株
しめじ:1パック
ジャガイモ:2個
ミニトマト:6個
サラダ油:大さじ1/2
水:1カップ
トマトソース:1缶(約300g)
カレールウ:2かけ
・作り方
①ジャガイモは食べやすい大きさに切る、しめじとブロッコリーは小房に分ける。
②フライパンにサラダ油をしき、合い挽き肉、ジャガイモ、しめじの順に加えて炒める。
③水とトマトソース、ブロッコリーを加えて中火で煮る。
④野菜が柔らかくなったら火を弱めて、カレールウを入れて溶かす。
⑤再び中火にして、ミニトマトを入れて軽く煮る。
⑥お皿にご飯と一緒に盛り付けて、完成!
(食塩相当量2.2g/ナトリウム863mg/カリウム1,499mg)
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【おいしさメモ】 |
・材料(4人分)
油麩:60g
玉ねぎ:1個
しめじ:1/2袋
ブロッコリー:1/2株
トマト:2個
卵:4個
煮汁(水2.5カップ、ケチャップ大さじ3、砂糖大さじ1、顆粒鶏がらだし小さじ2)
・作り方
①油麩は1.5㎝幅、玉ねぎは薄切り、トマトはくし切りにして半分に切る、しめじとブロッコリーは小房に分ける。
②鍋に煮汁を入れて煮立させたら、①のトマト以外を加え柔らかくなるまで煮る。油麩は両面煮る。
③油麩に汁がしみ込んだら、トマトを加えて軽く煮る。最後に溶き卵を回し入れて半熟程度に火を通す。
④どんぶりにご飯を盛って、③を載せて完成!
(食塩相当量1.3g/ナトリウム500mg/カリウム585mg)
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【おいしさメモ】 |
“ナトカリ比”を意識して、健康で楽しい毎日を送ろう!
高血圧の予防や健康のために、減塩を意識した味付けや食べる物、食べる量に気をつけることはとても大切なこと。普段から“ナトカリ比”を意識して食事バランスを整えれば、日々の食事をもっとおいしく楽しめるようになるはずです。外食のとき、忙しいとき、家族や友人と同じ料理を楽しみたいときなど、どうしても減塩が難しいタイミングもありますよね。そんなときにはぜひ、ナトカリ比を意識した食事を取り入れてはいかがでしょうか。
\ ナトリウムを減らしてカリウムを増やす /
[PR]提供:カゴメ株式会社













