豊かな海に囲まれた日本の物流を支える「海運業」。しかし、その舞台裏は、意外と知られていません。「船員って働きやすいの?」「若い人っているの?」――そんな疑問に答えてくれたのが、四国地方海運組合連合会(通称:四海連)の青年部の皆さん。
今回は座談会を開催し、業界のリアルと四海連が取り組む「働きやすい海運業づくり」について教えてもらいました。海のプロたちと一緒に、四国の“今どき”海運事情をのぞいてみましょう。
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内航海運業界クイズを出題! マイナビニュース会員たちの回答は?
まず、マイナビニュース会員に対し、内航海運業界の働き方をはじめとした実態に関するクイズを3問出題してみました。その回答は以下の通り。
では、これから四海連青年部の皆さんとの座談会を通じ、答え合わせをしていきましょう。クイズの答えを四海連青年部メンバーが解説!
〇プロフィール
山桝海運株式会社 代表取締役
徳島県内航海運組合青年部会長 四宮 信彦氏
三福海運有限会社 専務取締役
四国地方海運組合連合会青年部委員会委員長 福村 和哉氏
若宮汽船株式会社 代表取締役社長
四国地方海運組合連合会青年部委員会副委員長 立田 昌敬氏
大寿海運株式会社 専務取締役
四国地方海運組合連合会青年部委員会副委員長 井村 章吾氏
① 船乗りはずっと海の上で働くため、休みがほぼ取れない?
――約6割の人が「船乗りは休みをほぼとれない」と回答しました。内航海運業界の働き方について教えてください。
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内航船の船員は、海の上の仕事であるため、休みが少ないように思われがちなのですが、実はそうではありません。一般的には2カ月から3カ月にわたって乗船した後、20日から30日のまとまった休みをとるのがスタンダードで、年に3回から4回、いわば“夏休み”のような長期休暇があるんですよ。最近は1~2カ月の乗船、15~20日休暇の会社も出てきていて、業界全体で色々な働き方の選択肢が広がってきています。 |
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休暇中、船員たちは旅行に出かけたり、趣味を楽しんだりしています! |
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乗船中も働き詰めということではなく、船の種類にもよりますが、長くても3日程度で目的地の港に到着します。岸壁に接岸中には荷を上げ下ろしする荷役作業や船体保守作業などもありますが、天候により停泊を余儀なくされる場合などを利用して計画的に乗船中についても休みを取ったりしています! |
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最近では内航海運業界としても、陸上と同じように働き方改革が進められています。 しっかり休息を取れるようにして、ワークライフバランスを保った働きやすい職場環境を整えていこうと、業界全体で取り組んでいるところです。 |
――船員さんたちは旅行や趣味を楽しんでおられるとのことですが、収入面はいかがでしょうか?
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20代でもキャリアを積み上げていけば、日本の平均年収(460万円)を十分に超えることができます! さらに乗船中は食糧金が支給されますので、毎日の食事代がかかりません。そのため、船乗りという仕事は「お金が貯まりやすい」傾向にあるんですよ! |
② 海運業界はAIやIT化と無縁?
――この問題については7割を超える人が「無縁ではない」と回答しました。
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こう答えていただいた方が多く、安心しました(笑)内航海運業界の現場は、大きく変わってきています。 例えば、以前なら「紙海図」に手書きして航海計画を立てていましたが、自動車でいうところのナビに該当する「電子海図」が当たり前になっていますし、自動操縦や機器のデジタル表示の導入も進んでいます。 |
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今では、通信技術を用いてエンジンの運航データを陸上とも共有し、遠隔で管理しています。IT化により、トラブルを予防したり、いち早く対応できるようになりました! |
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また、船員の居住区にはWi-Fiを完備してネット環境を充実させ、快適な生活を後押ししています。特に、スマホで動画をよく見る若い船員たちから好評です。 |
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こういったことは情報通信技術の発達により、ようやく実現できたことですが、実は船の“ハードとしてのIT化”は他の業界に先駆けて早かったのではないかと認識しています。例を挙げると、30年ほど前から電磁バルブ※を中央操作室(機関制御室)で操作する機能が搭載されていましたね。 |
※ 電磁バルブは電気信号によって開閉を制御できるバルブで、船の燃料油・潤滑油・冷却水・空気・ビルジなどの流体制御、遠隔操作による安全性と効率性の向上、自動化・無人化運転の実現に関与します。
――今後、AIの活用やIT化はどんどん進んでいきそうですね。
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我々の使命は安全運航を遂行することですので、さらなるAIの活用やIT化は必須です! 我々船主はもちろんですが、業界関係者の方々と協力しながら、より良いシステムや仕組み作りが求められていると思います。 |
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船舶業務の高度化に伴い、船員に求められる資質も変わっていくでしょうね! |
③ 内航海運業界の仕事の場は海の上だけ?
――この問題についても約8割の人が「海の上だけではない」と回答しました。具体的には、どのような活動をしているのでしょうか?
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内航海運業界を盛り上げるため、さまざまな活動に取り組んでいます。四海連では、徳島の婚礼事業者さんとタイアップして、婚活パーティーを開催しました。内航船員のPR事業の一環で、地域活性化にもつながる取組みです。募集の段階から業界や仕事を紹介し、当日も参加者に改めて説明したうえで交流してもらいました。その結果、参加者はすぐに集まり、カップルも成立して、主催者からも大変好評でした。今後も継続して開催する予定で、他の地区でも広がりつつあります。 |
――婚活パーティーは四海連での取り組みとのことですが、県単位での活動もあるのでしょうか?
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香川県では、県内の水産高校にて出前授業を実施しています。 直近では、内航貨物船を学校の近くに停泊させて、船内見学を行ったのですが、生徒さんたちからは「思っていたより大きかった! 」「意外と居住区は快適そう! 漫画喫茶の豪華版みたい! 」「内航船に興味が湧いた!」といった声が上がり、非常に反応は良かったです。 |
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徳島県では、地域の夏祭りなどに協賛させていただきながらPR活動に注力しています。もちろん、香川県と同じく出前授業を実施していて、船や造船所の見学会を開催したりしています。 |
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他にも、小中学生が座学や乗船体験を通して港・海・船について学習する徳島県主催のイベント「みなとサマースクール」や、ハローワークの就活フェアに出展するなど、自治体や行政機関とも連携しながら取り組んでいます。 |
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高知県でも、内航海運業界の紹介を小学校の課外授業に取り入れていただき、小学生の頃から船や船乗りに慣れ親しんでもらおうと努めています。その他、宿毛市に船員の市民税について、減免制度を導入してもらうように要請し、制度化していただきました。 |
内航海運業界の実態は、イメージとは少し異なっていた
――最後に、これから内航海運業界を目指す方に向けて、メッセージをお願いいたします。
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船員の仕事は、海から日本を支える“縁の下の力持ち”として社会的使命を背負っていますので、大きなやりがいを感じられると思います。船員を目指す若い方々に飛び込んでいただきたいですね! |
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内航海運は、地域の暮らしや産業を支える大事な仕事です。又、海に囲まれた日本で、この仕事はこれからもなくなることはありません。課題もありますが、それはどの仕事同じです。少しずつ良い方向に進んできていて、「思っていたより悪くない仕事だな」と感じてもらえたらうれしいです。これからも四国の仲間と協力しながら、この仕事の魅力をしっかり伝えていきたいと思います。 |
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船員の仕事に就けば、地元に拠点を置きながら、東京や大阪で働くのと同じ給料を得られます。そういうライフスタイルを望む人にとって、船員は理想の仕事になりえるのではないでしょうか。そして、船の仕事は時代が移り変わっても無くならないので、将来性も抜群です! |
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自分の住みたいところで暮らし、仕事をしながら北海道から沖縄まで日本全国を旅できる。これこそ、船員の仕事の魅力です! それに就労時間と休みの時間のメリハリが付いているのも特徴ですので、陸上の仕事に疲れた方や自分の時間を大切にしたい方の転職先として内航海運業界をおすすめしたいですね。 |
クイズから見えてきた内航海運業界の実態は、イメージとは少し異なるものでした。自分の時間を大切にしながら、社会的使命を感じつつ、日本全国を旅できる船員の仕事。興味のある方は、ぜひこちらをチェックしてみてください。
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