ライブ配信や動画・音楽制作などが身近になった昨今。誰もがクリエイターになれる時代が来たといっても過言ではないでしょう。しかし、「配信スケジュールの共有・確認をもっとスマートに行いたい」「音素材探しに時間がかかる」など、悩みを抱えている人もいるのではないでしょうか?
クリエイターの制作や応援するファンの活動をより快適にするのが、カシオ計算機株式会社(以下カシオ)が2025年8月27日(水)より提供している「Streamer Times(ストリーマータイムズ)」と「Waves Place(ウェイブス プレース)」。「Streamer Times」はライブ配信者と視聴者、「Waves Place」は主にサウンドクリエイターの制作をサポートするツールです。
なぜ電卓や鍵盤楽器などを手がけるカシオが、クリエイターエコノミーの領域に力を入れ始めたのか。企画・開発担当者に、各サービスの特長や誕生の経緯などを伺いました。
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カシオ計算機株式会社 サウンド・新規事業部 第二戦略部 第一企画室
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――カシオが個人クリエイターのサポートを始めた経緯を教えてください。
石崎さん 背景には、個人がコンテンツを作成して発信する「クリエイターエコノミー市場」が成長し続けていることが挙げられます。カシオにも鍵盤楽器をはじめとする既存のサウンド事業があり、誰もが音楽を「弾く」体験を提供してきました。これを起点にして、作品作りを支援するツールの提供、クリエイターさんが稼げるプラットフォームの提供、そして継続的にビジネスを営めるような支援をめざそうと、新規事業「CASIO CREATOR ECONOMY」がスタートしました。
――ライブ配信をサポートする「Streamer Times」の特長を教えてください。
石崎さん 「Streamer Times」は、番組表型のスケジューラーサービスです。ストリーマー(配信者)さんが配信の日時やタイトルなどを登録すると、テレビの番組表のように一覧が表示されます。リスナー(視聴者)さんはお気に入りのストリーマーさんをフォローしておけば、配信予定をすぐに、一覧性良く確認できます。
――なぜスケジュールの共有を支援しようと考えたのでしょうか。
石崎さん スケジュールを伝えたいストリーマーさんと、配信を見逃したくないリスナーさん、両者の悩みを解決したいと思ったからです。
ライブ配信コンテンツの特徴は、リスナーさんとストリーマーさんの時間がマッチしているときにだけ成り立つことです。しかし、ストリーマーさんが配信スケジュールを伝達する手段は主にSNSなので、情報が流れていってしまうのが課題でした。ストリーマーさんの配信告知の確実な情報伝達と、リスナーさんの情報収集をどちらも支援するべく、サービスの開発に取り掛かりました。
――番組表型のスケジューラーサービスにしよう、と決めた理由を教えてください。
石崎さん 番組表は視認性がいいため、配信時間や内容、ほかの配信と被っていないかが確認しやすいです。だからこそ、事務所や配信アプリの枠を超えて、あらゆるストリーマーさんの情報が集まる、中心的なスケジューラーサービスにするべく、「番組表型のユーザーインターフェイス」にしました。
――続いて、サウンドクリエイターをサポートする「Waves Place」の特長を教えてください。
石崎さん 「Waves Place」は効果音をAIで生成するWebサービスです。ほしい音のイメージを日本語で入力すると、最大20種類の効果音を一度に生成できます。気に入った音をお気に入りに登録し、メモを書き込んだり、タグを付けたりできる「マイリスト機能」も実装しました。探していた音とはまったく違う音を見つけたときでも、ストックしたいというサウンドクリエイターの要望を取り入れ、音源ライブラリの管理機能を充実させました。
――各サービスの開発にあたって苦労した点を教えてください。
石崎さん 苦労したのは、各ジャンルのニーズを把握することです。とくにライブ配信に関しては、私も伊藤も知識がまったくなかったので、複数のライブ配信アプリをインストールし、配信の内容や、ストリーマーさんとリスナーさんが形成している文化を探りました。
伊藤さん 初めてライブ配信を見に行ったときには、ストリーマーさんがすぐにあいさつしてくださってびっくりしました(笑)
石崎さん 音楽系のライブ配信をしている方でも、新しいリスナーが来ると歌や演奏を一旦止めて声をかけてくださるんです。「邪魔をしてすみません!」と申し訳なくなると同時に、ストリーマーさんとリスナーさんのやりとりを体感できました。
伊藤さん 各ジャンルの文化を勉強して、仮説を元に仕様設計をしたのですが、それがクリエイターさんにまったくハマらないこともありました。「Streamer Times」もストリーマーさんに初めて使ってもらったときには「全然ダメです」と言われてしまいました……。さまざまな方からの意見を元に修正を加えながら、少しずつ方向性をつかんでいきました。
――ストリーマーさんからはどのようなフィードバックをいただいたのでしょうか。
伊藤さん 配信情報の登録画面に対して、「必須項目が多すぎて、入力が面倒」とコメントをいただきました。私が思っていた必須情報は、ストリーマーさんにとっては不要な情報だったようです。ヒヤリングしたことで、入力の手間と必須情報のバランスを調整することができました。
石崎さん 月額550円(税込)でストリーマーさんが週間スケジュール画像を簡単に出力できる機能についても、ヒヤリング情報をもとに正式リリース版に合わせて、新しく追加しました。
――なぜスケジュール画像を出力する機能に決めたのでしょうか。
石崎さん 価値検証に参加頂いたストリーマーさんから、普段SNSへ投稿している週間スケジュール表について、画像編集ソフト内でレイヤーごとに別れている日付や文字を毎週変えるのは面倒で、尚且つ記載ミスに気づかずリスナーへ共有してしまうことがよくあるという悩みをお聞きしました。そんなストリーマーさんの負担を抑えるべく、「Streamer Times」に登録した日付や配信タイトルなどをそのままテキスト出力できるようにしました。
伊藤さん スケジュールはpng透過画像で出力できるほか、「Streamer Times」に任意のテンプレートを登録し、仕上がりを確認しながら編集することも可能です。文字の大きさや間隔、色、配置、スケジュール枠のデザインなど、編集できる部分が多いのでストリーマーさんが普段使っているテンプレートとも合わせやすいです。開発中に試していただいた方からも「予想以上に使いやすい」と高評価でした。
――「Waves Place」開発に関して、苦労した点はありましたか?
伊藤さん カシオでも挑戦となるAIを使ったサービスなので、品質の担保方法や、課題を突き詰めていくのが大変でした。
石崎さん 「Waves Place」のアルゴリズムは、AIの技術開発を手がけている株式会社AIdeaLab(エーアイディアラボ)さんに協力していただき、権利的に問題ない40万個以上の音を使って学習させています。カシオからすれば初めての技術テーマでマニュアルがないということもあり、AIと向き合って何度も調整していくのは骨が折れました。
伊藤さん 品質の評価も難しかったです。自分が「いい音だな」と思っても、ほかの人にとっては求めていた音とは違う場合や、その逆もありえます。入力した日本語と出力した音の組み合わせが集まるほど、求めている音に対する仮説が立てやすくなるので、今後はさらに精度を上げていく予定です。
――ほかにも「Waves Place」開発でこだわった点はありますか?
石崎さん 日本語で使えるようにすることと、商用利用の可否をきちんと明確にすることです。音楽系の素材サービスや生成AIサービスは海外のものが多く、日本人からすると使い方が英語で書かれていてよくわからなかったり、学習データの権利元に許可がとれているかが不明だったり。そうした懸念点はクリアしようとこだわりました。
――「Waves Place」と「Streamer Times」に関する今後の展望を教えてください。
石崎さん 「Waves Place」と「Streamer Times」は、今後も機能追加アップデートを予定しています。「Streamer Times」は、リスナーさんが、フォロー中のストリーマーさんをより応援できるような機能など、今後リスナーさん向けの有料機能も導入していく予定です。
「Waves Place」は精度を向上させ、より多くの音を生成できるようにチューニングしていきます。
伊藤さん ユーザーさんの声を聞きつつ、事業の方針に合っている内容はどんどん取り入れていこうと考えているので、期待していてください。
――「Waves Place」と「Streamer Times」を、どのような人に使ってほしいですか?
石崎さん 各サービスのユーザーさんが、相互に行き来してほしいなと思います。配信で使う効果音を「Waves Place」で探すなど、どちらのサービスも使っていただけると嬉しいです。
伊藤さん 「Streamer Times」は、ストリーマーさんとリスナーさん双方に使ってほしいです。ストリーマーさんのなかには、配信の裏で大変な作業を行っている方もいます。リスナーさんも大量の情報を整理するのは大変ですし、配信を見逃してしまうこともあるでしょう。そうしたみなさんの労力を少しでも軽減して、「楽になった」と言っていただけるサービスにしたいです。
「Waves Place」は「当初のイメージとは違う音が出てきたけれど、これはこれでおもしろい」「ほかの作品に使えそう」など、音を楽しんでいただける方にぜひ使ってほしいですね。ほかのサイトで効果音を選んでいるときとは、また違った音探しを体験できると思います。
――最後に読者へのメッセージをお願いします。
伊藤さん まずは1度体験してみてください、というのが率直な想いです。使っていると違和感を覚える部分もあるかもしれませんが、より使いやすく改善していきます。
石崎さん 「CASIO CREATOR ECONOMY」では、今後もみなさんの予想を超えるようなプロダクトを生み出していきます。「さすがカシオ!」と言わせるような商品や機能を出していきますので、ご注目ください。
カシオの新たな挑戦が詰まった「Streamer Times」と「Waves Place」。コンテンツ制作を手助けする相棒として、欠かせないサービスになりそうです。どちらもWebブラウザ上ですぐに利用できるため、気になった方は試してみてください。
[PR]提供:カシオ計算機株式会社










