あらゆる製品ジャンルにおいて新製品、しかもハイエンドモデルが次々登場することには理由がある。需要があることはもちろんだが、誰もが実感できるレベルでの技術的進化が認められるからだ。ゲーミングモニターにおける「有機EL(OLED)」搭載機は、まさにこれに該当する。
とはいえ、OLEDに懐疑的な向きも多いはず。OLED搭載モニターは液晶タイプと比べ高価で、過去の製品では焼付きなどのネガティブな要素も存在した。
そんななか、液晶パネル業界を長年牽引してきたLGエレクトロニクス(以下、LG)は「プライマリーRGBタンデムテクノロジー」対応の第4世代OLEDパネルを採用した最新モデル「LG UltraGear™ OLED 27GX700A-B(以下、27GX700A-B)」を発売。このパネルがどのように進化したのか、そしてゲーマーの"もっと"に応えるスペックを実現しているのか、その背景を探ってみよう。
01 LG第4世代OLEDパネルの劇的な進化
ゲームの究極の目的は「勝つ」こと。そのためには、ライバルより少しでもいい条件で戦いに臨む姿勢が不可欠だ。PC本体の性能は言うまでもないが、ゲーミングモニターはその環境を支える重要な柱であり、導入に際してはさまざまな要素が吟味される。その代表格が「応答速度」であり、画面を書き換える速さの「リフレッシュレート」であり、色域の広さや最大ピーク輝度といった「描画性能」だ。
だからゲーミングモニターにおいては、応答速度と描画性能に優れるOLEDパネルに注目が集まることは自然な成り行きで、LGが新製品に最新の第4世代OLEDパネルを採用したこともその文脈で理解できる。
第4世代OLEDパネルの最大の特長は「プライマリーRGBタンデムテクノロジー」だ。第3世代の発光層は青・黄・青の3層構造だったところが、第4世代では青・緑・青・赤の4層構造へと進化し、発光効率が大幅に改善された。第2世代と比較して60%も向上し、最大1,500cd/㎡というピーク輝度は、この新技術によるところが大きい。
OLEDパネルにおいて最大輝度の向上はいくつかのメリットをもたらす。ひとつは、表現できる階調が増えたことによる描画力の向上。ゲームにおいては、光を浴びた剣の輝きがリアルさを増し、暗闇に潜む敵の動きがわかりやすくなる。第4世代OLEDパネルの場合、従来の3層構造では赤と緑の混色の層になっていたが、4層構造では赤と緑の層がわかれたことによって色の純度が向上している。つまり、より明るく緻密で色鮮やかな描画が可能になったというわけだ。
そしてもうひとつが、省エネ化とパネル寿命の改善だ。第4世代パネルは層が1つ増えたが電流密度は変わらないため、控えめな輝度で使えば電力消費量は旧世代パネルより少なくなる。画素の劣化速度は電流密度に比例するため、そのぶんパネル寿命が延びるというわけだ。消費電力を増やさず輝度が向上した第4世代OLEDパネルならではのメリットといえるだろう。
02 ゲーム環境でOLEDパネルを選択するメリットは?
モニターには液晶パネル(LCD)という選択肢もある。近年では、高輝度でコントラストに優れた液晶やmini LEDパネル搭載モデルも登場し、導入の際にはOLEDパネル搭載モデルと比較検討する向きも少なくないが、ことゲーミングに関してはOLEDパネルの優位性は揺るがない。
その理由のひとつは、圧倒的な応答速度。画素がある中間色から他の中間色へと切り替わるときにかかる時間 -- GTG(Gray To Gray)時間 -- は、高速な液晶パネルでも1ms(ミリ秒)以上を要するところ、OLEDパネル搭載の27GX700A-Bではわずか0.03ms。mini LEDパネルの場合、数百~数千に分割されたエリアごとにトーンマッピングを施すべく演算処理を行うが、画素単位で駆動するOLEDパネルにはその必要がない。演算処理がないぶん速度的に有利なのだ。
さらに、27GX700A-Bにはゲームの映像信号を受信すると自動的にオンされる「低遅延(DAS)モード」が用意されている。補正などの処理を行わず映像出力速度を優先するこのモードを使えば、OLEDパネルの描画パフォーマンスを限界まで引き出すことができる。そもそもゲームはフルCGだから映像処理は必要なく、合理的な機能といえる。
暗部階調表現の確かさもメリットだ。OLEDパネルでは黒を表現する際には画素を完全に消灯する -- 黒は発光しないため電力を消費しない、つまり黒が多い映像ほど省電力となる -- から、理論上"完全な黒"を表現できる。しかも描画は画素単位で行われるため微妙な色の変化やディテールの表現に長けており、液晶パネルでは黒つぶれしてしまうような暗闇に潜む敵キャラクターを視認できるし、ハロー(暗い背景に明るいオブジェクトがあるとき周囲に浮かぶ光のにじみ)も発生しない。
また、ゲームをするとなると長時間プレイする人も多いと思うが、その観点ではブルーライトが少ないこともメリットといえる。OLEDが放つ光スペクトルはLEDに比べピークが長めかつ穏やかという特性があり、光出力における有害波長帯ブルーライトの含有量は液晶パネルで20~25%程度、OLEDパネルで7~10%程度といわれている。27GX700A-Bは「Live Color Low Blue Light」機能による色変化なしのブルーライト低減を実現するので、ゲーム本来の色味を損なわないだけでなく、長時間プレイも安心できる。また子育て世代など目の疲れや健康に配慮したいご家庭にも選びやすいモデルといえるだろう。
03 「27GX700A-B」の基本的な使い方&機能は?
実物を目にした27GX700A-Bの第一印象は、「ちょうどいい」だ。世には32インチ、45インチといったより大型から21インチ、24インチといった一般サイズまでのOLEDゲーミングモニターが存在するが、視線を大きく動かさずに画面全体を俯瞰できるこの26.5型がベストバランスと思える。
スタンドは五角形を横に延ばしたような形状で場所をとらず、110mmの高さ調整に加え、前-5゚/後15゚のチルト、左右30゚のスイベル、左90゚のピボットにも対応しており、ソツのないつくりだ。
もちろん、ゲーミングモニターらしく背面にはしっかりと色味を主張する照明(Hexagon Lighting)が用意されている。
ディスプレイ表面は低反射の鏡面コーティングが施され、映り込みが抑えられているため長時間使用もストレスなく行えそうだ。解像度はQHD/2,560x1,440だが、画素密度は111ppiと必要十分な精細感がある。映像入力はHDMI 2.1x2とDisplayPort 1.4x1、充電やハブ用にUSB 3.2ポート(アップストリームx1、ダウンストリームx2)も用意される。
ティアリングやスタッタリングを抑えるディスプレイ同期技術は「AMD FreeSync Premium Pro」と「VESA Adaptive-Sync」に対応。さらに「NVIDIA G-SYNC」認証も取得しているので、高リフレッシュレート/低遅延を追求するゲーミングPC環境でも安心して使用できる。
HDMI接続したPlayStation 5で「Apex Legends」を試したところ、キャラクターの動きがスムーズでぼやけ感がない。ふだん利用している液晶モニター(IPS)も高フレームレート対応機だが、若干とはいえモーションブラーが避けられず、キャラクターの動きに残像感が生じてしまうが、27GX700A-Bでは皆無と言っていいほど。
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VESA ClearMR認証は13000を取得しているが、実感としてはそれ以上だ。HDR規格のVESA DisplayHDR True Black 500にも準拠、FPSでは頻出のメタリックな輝きも巧みに表現する。
PS5版Apex Legendsのフレームレートは最大120fpsのため、27GX700A-Bも自動追従し120fpsとなったが、ポテンシャルとしては倍以上の280fpsに対応するのだから心強い。280fpsを上回るフレームレートの液晶ゲーミングモニターも存在するが、残像感がなくDCI-P3を99.5%カバーという高い色再現性には安心できる。
スピーカーは内蔵されていないが、マイク入力に対応した4極ミニプラグのヘッドホン端子が装備されている。立体音響技術のDTS Headphone:Xに対応しているので、没入感が高まるうえにFPSの索敵にも役立つはずだ。
ちなみにOLED 27GX700A-Bは、表示サイズ24インチに切り替えることも可能。24インチはeスポーツ大会で広く採用されているサイズで、有機ELの優れた応答速度や画質をそのサイズでプレイできるのでプロゲーマーの方にとっても魅力的だろう。
ゲーム以外の用途はどうかと4K環境で映画を鑑賞してみたところ、これがなかなかいい。某SF映画(人類の存亡をかけて宇宙へ旅立つ科学者たちの物語)を液晶テレビで見ると、宇宙空間に煌々と輝くブラックホールのハローが気になることがあるが、27GX700A-BではOLEDパネルらしい明快なコントラストで楽しめた。
DTS Headphone:Xの効果も大きく、音の方向性を感じ取れるところもいい。バイオハザードシリーズやHALOといったゲーム原作の映画は暗部階調表現と音の方向性が肝であることが多く、深い没入感で楽しめるはずだ。
パネル寿命への配慮が盛り込まれているところにも注目したい。OLEDパネルは性質上、動きが少ないゲームや静止文字を長く表示すると焼き付きが生じやすいが、27GX700A-Bには電源オフすると自動的にピクセルクリーニング機能が動作する。設定画面から手動でも実行できるので、焼き付きの心配はかなり軽くなるだろう。
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最新の「プライマリーRGBタンデムテクノロジー」採用のOLEDパネル、垂直最大リフレッシュレート280Hz、0.03ms(GTG)の応答速度。OLEDらしい高コントラストの映像にくわえ、鮮明な画像を維持するための自動クリーニング機能など気の利いた機能の数々は、LGが12年以上かけて蓄積したノウハウと信頼によって裏付けられている。
その結晶ともいえる27GX700A-Bは、最新第4世代OLEDパネルによる高い描画能力とパネル寿命の延びとともに、OLEDパネルとしては手にしやすい価格を実現した意欲作。FPS三昧の休日を送りたい、ストーリー重視のゲームにどっぷり浸りたい、名作映画の世界観を味わいたいなど、これらをとにかく最高の環境で楽しみたいと思う熱心なゲーマーにはぜひともおすすめしたい、ゲーミングモニターだ。
[PR]提供:LGエレクトロニクス・ジャパン






















