地震や台風、豪雨などの自然災害に加え、予測の難しい病気や事故など――私たちの暮らしには、誰かの支えが必要になる瞬間が数多くあります。人を思いやる気持ちや「助け合い」の大切さが改めて注目される今、国連は2025年を「国際協同組合年」と定めました。

そこで本記事では、「共済=助け合い」を軸に、地域に根ざした活動を長年続けているJA共済連の代表理事理事長、村山美彦氏にインタビュー。今、なぜ “共助”が必要とされているのか? これからの取り組みについて伺います。

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“共助”とは何か? JA共済の理念とこれまでの歩み

――2025年は国際協同組合年ということですが、まずは、国際協同組合年について教えてください。

国際協同組合年は、国連が定めている制度で、協同組合の価値と役割を世界的に再認識し、未来への責任を考える重要な機会です。私たちJA共済にとっても、「助け合い」という原点に立ち返り、今一度その「共助」の重要性を発信していく節目と捉えています。

近年は、経済の発達によって「自分のことは自分でやる」という“自助”の風潮が強くなっており、「みんなでやろう」という“共助”の考え方が弱まっているように感じています。しかし、現代は社会課題が多様化しており、将来的には人口減少が避けられない状態です。

そのため、人々が助け合うことを考え直さなければ、バランスの取れた社会は作っていけず、また、世界的に掲げている持続可能な開発目標、つまりSDGsを達成できる社会は実現しづらいのではと考えられることから、今こそ協同組合の存在をもっと知ってもらうべく、今年は2回目の国際協同組合年に制定されました。

――そもそも、協同組合とはどのような組織なのでしょうか。

協同組合とは「人々の自治的な組織で、自発的に手を結んだ人々が共同で所有し、民主的に管理する事業体を通じて、共通の経済的、社会的、文化的ニーズと願いを叶えること」を目的とした組織です。この定義は、世界共通の協同組合原則に明記されています。日本には、JA(農業協同組合)や生協(生活協同組合)などの協同組合があります。

――つまり、JAは農業を営む方々によって組織されていて、農家の皆さんの経営や暮らしが円滑に進むよう組合員や職員の方々が活動なさっているということなのですね。

そうです。JAの歴史は古く、戦後の1947年に農業協同組合法が成立したことで誕生しました。そして、JAの対策や主張を示すJA綱領には、「地域の農業を振興し、我が国の食と緑と水を守ろう」「環境・文化・福祉への貢献を通じて、安心して暮らせる豊かな地域社会を築こう」などが記されています。

――そのうえで、JAが提供する共済事業がJA共済ですが、JA共済とはどのような組織なのか改めて教えていただけますか?

もともとは、農家の方々が「結(ゆい)」という相互扶助の精神で助け合いを始めたことがJA共済の始まりです。たとえば、ある一家の大黒柱が亡くなると、「結」によって農家の皆さんはお金を出し合い、その家を助けました。この仕組みが発展した形が「共済」なのです。

具体的には、組合員が一定の掛け金を出し合い、それが全国にいる組合員共同の財産になります。万が一何かあった際は、「ひと」「いえ」「くるま」に関する総合保障の提供を通じて、皆さんの豊かな生活づくりに努めています。

――JA共済には、農業に携わっている人しか入れないのでしょうか。

いいえ。地域の農業や暮らしを一緒に守りたいという気持ちがあれば、どなたでも加入いただけます。ただ、農業者でない方の場合は准組合員という形式になります。協同組合の原則やJAの綱領、JA共済の使命において共通して記されているのは「地域社会への貢献」で、我々は、組合員と地域社会が支え合う関係を大切にしています。

――「地域社会への貢献」が使命ということで、JA共済は地域貢献活動に力を入れていると伺いました。具体的な内容を教えてください。

たとえば、子育て世代向けには防災教育イベントを開催し、家族で防災意識を高める機会を提供しています。さらに、食育の推進や、リスクを未然に防ぐための交通安全教室、カーブミラーの設置といった取り組みも行っています。

  • 防災学習プログラム「ザブトン教授の防災教室」の実施

  • 子育て支援プログラム「ちょいムズチャレンジ」の実施

高齢者の方々に向けては、健康増進につながる体操を取り入れた健康教室を各地で実施。健康で豊かな暮らしをサポートしています。また、農業支援の分野では、若手農業者の育成や農作業の効率化を支援し、農業経営の安定化と地域経済の持続に寄与しています。これらのイベントや催しには、組合員でなくても参加可能です。

――組合員の生活だけでなく、地域全体の安全を願っているということですね。

JA共済は加入者の方々に単に保障を提供するのではなく、地域の皆さんの生活に寄り添う存在として信頼を築いていきたいのです。このあたりが、民間の保険会社との違いだと考えています。

また、事故や病気を未然に防ぐ活動だけでなく、加入者の方が万が一不慮の出来事に遭い、後遺障害などが生じた際は、社会復帰の支援も行っています。国内にはリハビリテーションセンターを2カ所設けており、また、介助犬による支援も実施しています。

――JA共済が行っている“共助”のひとつは、地域の人同士の助け合いだと思います。そのうえで、組合員の方々が出資し合っている掛け金は全国の組合員共同の財産とのことですから、全国規模での助け合いも成されているということですよね。

そうですね。現在、全国にはJA共済と契約してくださっている方々が約1,300万人いらっしゃいます。日本は近年自然災害が多発していますので、災害が発生した際には、JA職員と全国からの広域支援体制によって集まる連合会職員が、共済金のお支払いを迅速に行うよう努めています。我々JAとJA共済連の役職員は、組合員と利用者の方々から負託を受けていますので、その務めは懸命に果たさなければいけません。

JA共済の地域貢献特設サイト
「ちいきのきずな」

――災害が起きた際は、具体的にどのように対応なさっているのでしょうか?

JA共済には、日頃から加入者の方と密接にコミュニケーションを取っている、ライフアドバイザー(以下、LA)という役割の職員がいます。

東日本大震災発生時は、自身の家も被害に遭ったLAが、加入者の方がいる避難所に駆けつけて、共済金の請求手続きを簡略化するなどの迅速な対応に努めました。また、西日本豪雨の際は、JA共済の職員が地元のJAと連携して安否確認や物資支援を行うなど、地域の一員として即時に対応しました。昨年発生した能登半島での地震などへの災害対応についても、1,500億円を超えるお支払いを速やかに行えたと自負しております。今後も、地域の復興に向けた支援は、JAグループ総出で他の協同組合団体とも連携して進めていく必要があると考えています。



未来を作る“共助”へ――JA共済の挑戦と読者へのメッセージ

――JA共済が、現在特に力を入れている取り組みについて教えてください。

より多くの方に、協同組合の“共助”の必要性や我々の活動について知っていただくため、今はJAファン・仲間づくりに注力しています。具体的には、『たすけあいstory募集キャンペーン』というものを行っており、学校、職場、家庭など、さまざまな場所での皆さんの助け合いのエピソードを、JA共済のホームページやSNS上で募集しているのです。

選ばれたエピソードは、イラストレーター・げみさんによってキャラクター化されて、浜辺美波さんと福原遥さんが登場するオリジナルアニメ作品として映像化されます。このキャンペーンを通して、助け合いの良さを感じていただき、助け合いの連鎖が生まれていくことを願っています。

たすけあい story 募集キャンペーンは
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――助け合いの連鎖、素敵な言葉ですね。

みんなで支え合う、つまり“共助”の連鎖を起こすには、人と人とのつながりが必要となってくるため、我々は今もうひとつ力を入れている企画があります。それが、JAと連携して行っている『つなぐaction! プロジェクト2025』です。

各地域で活動されているフリーアナウンサーや声優、タレントの方々にJA共済アンバサダーに就任いただき、全国で行われるJAのイベントへの参加、地域特産品のPRなどを担当していただいています。催しを盛り上げ、JAの活動についての情報を発信することで“共助”の大切さを広げていきたいのです。

――それでは最後に、読者の方々へメッセージをお願いします。

“共助”とは、困ったときに助け合える社会を、日頃から一緒に作ることです。その一歩は、「誰かを想う気持ち」から始まります。JA共済は、これからも地域の皆さんとともに歩みながら、世代や立場を越えて助け合いの輪を広げてまいります。皆さん、その一員として、“共助”の未来をぜひ一緒に育んでいきましょう。

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