自由で多様な働き方を実現し、社員がより高い生産性を発揮できる環境を用意するため、企業が導入するPCには「軽さ」や「パフォーマンス」に加えて、一人ひとりのワークスタイルに応じた「選択肢」が求められている。一方で、社員のニーズが多様化するにつれ、IT管理者側では運用負荷の増大が課題だ。

パナソニック コネクトが法人向けに発表した新世代レッツノート「SC」と「FC」は、それぞれ12.4型と14型とサイズが異なるビジネスモバイルPCだが、ハードウェア・ソフトウェアに互換性を持たせることで、導入・管理工数の大幅な削減を狙っている。

  • 12.4型のレッツノート SC。本体は「頑丈、軽量、長時間」を徹底的に追求し、さらに「研ぎ澄まされた」レッツノートに仕上がった

企業導入に適した2つの新世代レッツノート

パナソニック コネクトから新しいレッツノートの「SC」と「FC」が登場した。SCは12.4型、FCは14型のディスプレイを搭載する。前モデルから内部構造を刷新した本機は、AIワークロードを高速化するNPUの「インテル AI Boost」を内蔵したインテル® Core™ Ultra プロセッサー(シリーズ2)を採用し、高い性能を実現しながら、12.4型のSCで約919gというモバイルPCとしての小型軽量さも兼ね備えている。

しかし、SCとFCを最も特徴づける要素は、両機種間での「互換性」を確保した設計だ。これら2機種は異なる大きさのディスプレイを搭載しているが、プロセッサや基板などの内部パーツから、ホイールパッドやインタフェースといった外部パーツに至るまで、サイズに関する部品以外が互換性のある設計となっている。

パナソニック コネクトが2機種で互換性のある設計を採用したのは、今ビジネスの現場において、自由度の高い働き方を選べるようにすることが、働き手と企業の双方から求められているためだという。働き方の変化が、なぜモバイルPCの互換性を確保した設計へとつながったのか、その背景を読み解いてみたい。

  • 14型のレッツノート FCと12.4型のレッツノート SC。内部構造も含め、画面サイズに関する部分以外のパーツに互換性がある

IT管理者を悩ませる「社員ごとに最適なPC」

2020年からのコロナ禍で国内でもリモートワークが急速に普及したが、経済活動が再び活発化して以降、オフィスへの出社と、在宅勤務や外出先での作業などを組み合わせた、ハイブリッドワークのスタイルが一般的になった。人材の獲得競争が激しさを増す中、企業は生産性の向上と同時に、職場としての魅力を高めることも求められており、社員一人ひとりが働きやすい環境の整備が重要な課題となっている。

このことから、業務用のPCには2つの選択肢が求められている。オフィスや自宅で腰を据えて仕事をすることが多い社員には、たくさんの情報を見やすく表示できる大画面のPCが適している。一方で、移動が多く、日々の都合に合わせて働く場所を柔軟に選びたいという社員からは、より軽量でコンパクトなPCが求められる。

  • 出社しても決まった座席がない「フリーアドレス」の会社も広がってきた

  • レッツノート SCは客先を回る営業や出先での商談が多い、動き回るビジネスパーソン向けのコンパクトな一台

しかし、会社のPCを管理するIT管理者からすると、社員の要求に応じて複数の異なるPCを支給するというのは、できれば避けたい運用形態だ。企業がPCを導入する際には、業務に必要なさまざまなソフトウェアや、ネットワークやプリンター、セキュリティ機器などが正しく動作するか、検証を行う必要がある。

複数の機種のPCを採用するとなれば、それだけ検証の手間は増える。しかも、この作業は最初の導入時だけでなく、ソフトウェアのアップデートや、周辺機器の追加・変更の度に発生する。修理や交換、社員の異動や入れ替わりに伴う再セットアップでも、PCの機種によって作業内容が変わるとなると、そのプロセスは煩雑なものになる。

多くの企業は近年新たなITツールの導入を積極的に進めており、IT管理者はPC以外にもさまざまなシステムの運用に忙殺されている。管理対象は1つでも少ないほうがありがたいため、社員によってPCに異なるニーズがあったとしても、できれば社内で導入する機種は統一したい、というのがIT管理者の本音だろう。

互換性ある2つのPC、現場のIT管理者はどう見る?

この課題の解決を目指したのが、今回のレッツノート SCとレッツノート FCだ。この2機種は液晶サイズの違いに関する部品以外、プロセッサも、内部の基板(マザーボード)も、冷却機構も、インタフェースも、ソフトウェアも共通で、互換性がある。

このSCとFCの互換性によって、企業へ導入する際の検証作業がほぼ1機種分のみで済んでしまうことが特徴だ。パナソニック コネクトの試算では導入時で約2人月、運用時で約4.75人月/年の工数削減を見込む。

パナソニック コネクトでは2機種まとめて導入することを推奨しており、社員の業務内容に応じて、よりモビリティの高い12.4型のSCか、腰を据えて使うのに適した14型のFCかを選べるようにするため、同じCPUを搭載したこれら2機種を近い時期に発売する。

  • レッツノート SCとレッツノート FCは、ハードウェア・ソフトウェアで互換性のある双子のような存在だ

この“互換性”によって、実際にIT管理者の業務は楽になるのだろうか? 8,000人規模の社員を抱える企業で、PCなどの業務用端末の調達、管理業務を行っているIT管理者に話を聞いた。

この企業では、グループ会社を含め約1万人のユーザーがいるため、IT管理者の所属するチームでは約1万台のPC、そして社用スマートフォンの調達と管理を行っている。

業務用PCの導入プロセスの中では、ひな形のディスクイメージとなる「マスター」の作成が重要な業務だという。PCにOSや社内標準アプリケーション、管理職専用のツールといった必要なソフトウェアをインストール・設定するキッティング作業を行い、マスターを作成。そして、このマスターが社内環境で動作するかの検証を、6カ月単位で内容を見直しながら実施している。

マスターの作成は定期業務として行われているが、OSやアプリの選定、セキュリティ対応など、工程が多岐にわたる。当然、例えばデスクトップPCやノートPCなど、複数の機種のPCを導入する場合はそれぞれで異なるマスターを作成する必要があり、機種が増えるごとにマスター作成の工数は増大する。さらに、機種ごとに異なる社内向けマニュアルの作成や、機種によって対応が異なる修理アナウンスなども効率化したい業務だそうだ。これらの作業にあたるIT管理者の稼働コストも課題となる。

  • 互換性のあるSC、FCを同時に導入することで、導入・運用管理工数の大幅な削減が見込めるとする

今回話を聞いたIT管理者によると、異なるサイズながらパーツや内部構造、ソフトウェアに互換性のある2機種であれば、「構成が異なる複数のPCを導入した場合と比べて、IT管理者は確実に運用が楽になる」という。

最も運用業務の省力化が見込めるのは、この会社においては「マスター作成工数」だ。内部構成が同じであれば、1度の検証で2機種分のマスターを作成でき、検証の手間が大幅に削減される。それだけではなく、問い合わせ対応やマニュアル作成、修理対応が標準化されるため、他の業務に人員を割けるようになり、IT管理者はより社内ユーザーに寄り添った働き方ができるようになるとする。

「PC運用業務で管理者が手一杯になっている、現に業務が円滑に回っていないという情報システム部門にとっては、非常に魅力的なデバイスだと思います」(上記のIT管理者)。また、マザーボードなどの内部部品に互換性があることで、メーカー側の在庫管理も容易になる。「過去には、メーカーに修理を依頼した際に部品が枯渇しており、対応をすぐには受けられなかったことがあった」(同)といい、このようなリスクが低減され、故障時の業務のダウンタイム短縮が期待できることも、IT管理者にとってメリットの1つと話した。

「頑丈」「軽量」「長時間駆動」も徹底的に追求

働き方の多様化に伴い、PCを外へ持ち出す機会が再び増えている。これに対応するため、レッツノートの“基本コンセプト”となる「頑丈」「軽量」「長時間駆動」といった特徴は、SCとFCでさらなる進化を遂げている。

これら3点は、同社が新モデルを開発する上でどうしても追及したかった「こだわり」の部分といい、例えば12.4型のSCは、従来の同サイズモデル「SR」から約20g軽くなり約919gを実現した一方、内蔵バッテリーの容量は50Whから56Whへ拡充し、JEITA 3.0基準による評価では動画再生で約12.7時間の長時間駆動が可能となっている。

  • インタフェースはUSB Type-C(Thunderbolt 4、PD対応)×2、USB Type-A×2、ギガビット準拠の有線LAN、HDMI、ヘッドセット端子など。外部ディスプレイとの接続はHDMIポートのみとなった

  • 内部にリブ(補強材)を組むことで加圧に強くした、ボンネット構造の天板はレッツノートの頑丈さを実現する要素の1つ

特筆すべき点が頑丈さだ。従来実施してきた30cm 26方向落下試験や、衝撃から内部を守るボンネット構造天板の採用などに加え、SCおよびFCでは米国防総省が制定した軍事物資調達基準であるMIL規格に基づいた品質試験を実施、独自の厳しい判定基準(試験後に液晶が壊れていない、など)をクリアした。

持ち運ぶ機会が多いPCは、ぶつけたり落としたりするリスクが高い。本体が頑丈なほど物理的に故障する危険が少なくなり、IT管理者が修理や交換の手配に追われるケースが減るので、業務PC運用効率も高まる。つまり、新しいレッツノートは「ビジネスパーソンが働きやすく、IT管理者は運用が楽になる」モバイルPCだといえる。

IT管理者も納得の「導入しやすさ」。価格に見合う価値に注目

異なるサイズながら設計を共通化し、頑丈さを高めたSCとFCは、IT管理者にとって「導入しやすい」製品といえるだろう。レッツノートはPC市場の中では高価格帯に位置する製品で、今回のSC・FCも確かに安価なPCではない。しかし本体自体の性能の高さ、またIT管理者の働きやすさや稼働コスト削減を考えると、価格に見合った価値がある。

また、パナソニック コネクトではPCを“買い切り”ではなく“サブスク型”で導入できる「スリムワークサポート」を用意している。レッツノート本体に加え、社内すべてのPCをクラウド上で管理できる機能や、動産保険が標準付帯する月額制サービスで、PCの新規導入やリプレース時の初期費用を低減しながら、万が一の故障時の修理対応の手間やコスト負担も抑えられるのがメリットだ。

  • 企業側でも、業務用PCの調達や運用、保守、廃棄といったサイクルを管理する「PCライフサイクルマネジメント」(PCLCM)を簡素化できるため、会社全体の課題解決に貢献できそうだ

2機種で互換性を確保した設計は、まだ試験的な試みなのかもしれない。しかし、現場の社員から定評のあるレッツノートが、互換性を確保した設計という新たな特徴によってIT管理者からもさらに高い評価を得ることになれば、働き方に応じて複数のサイズからPCを選ぶという導入形態が多くの企業でより一般的になっていくことだろう。レッツノートはこれまで以上に、ビジネスシーンにおいて強みのあるビジネスモバイルPCへ育ちそうだ。

  • IT管理者も一般社員もより自由な働き方を手に入れられる

新世代レッツノート「SC」「FC」の仕様をチェック!

  • レッツノート SC

  • レッツノート FC

  レッツノート SC レッツノート FC
OS Windows 11 Pro 64bit
CPU インテル® Core™ Ultra プロセッサー(シリーズ2)
メモリ 16GB/32GB
ストレージ 256GB SSD/512GB SSD
ディスプレイ 12.4型(1,920×1,280ドット 14型(1,920×1,200ドット)
重さ 約0.919kg~約0.954kg 測定中
バッテリー駆動時間(JEITA 3.0) 約12.7時間間(動画再生時) 測定中
カラー カームグレイ/ブラック カームグレイ
受注開始日 2025年6月 2025年秋頃

※モデルにより5G/LTE対応可

[PR]提供:パナソニック コネクト