「とんかつ新宿さぼてん」や「ホテルグランバッハ」、AI食事管理アプリ『あすけん』などで知られる、食をベースにさまざまな事業を展開する企業・グリーンハウス。そんな同社の2025年度入社式が4月1日、東京オペラシティコンサートホールにて華々しく開催されました。
何やらグリーンハウスの入社式は、一風変わっているようで……!? 今回は実際にお邪魔してレポートしていきます。

株式会社グリーンハウス
1947年創業。社是『人に喜ばれてこそ、会社は属する』を会社創業の原点とし、オフィスや学校、病院などでのフードサービスの提供、レストラン事業、ホテルマネジメント事業など、食とホスピタリティに関連したさまざまな事業を国内外に展開しています。
テーマは「五感で感じる入社式」
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入社式の様子
訪れてわかったのは、グリーンハウスの入社式は一般的な式典とはまったく違うということ!
式中にはなんと日本を代表する交響楽団「東京フィルハーモニー交響楽団」によるオーケストラ演奏が行われ、さらに閉式後には「入社式の香り」と名付けられたフレグランスとかつサンドが配布。聴いて、香って、味わう。まさに「五感で感じる入社式」となっていました。
式典に参加した新入社員の方々にお話を伺うと、「こんなに盛大な入社式を開催していただき、とても温かく迎えてもらえて嬉しいです。社長講話を聴いて社会人になる実感がわいてきました!」や「迫力のある入社式でびっくりしました! 昨日まで不安だらけだったのですが、今日の入社式で安心できました」など未来への期待に満ちた表情で声を弾ませていました。
さらに、グリーンハウスでは「大切なご子息、ご息女が入社されるということで、ぜひご家族にも当社について知り、一緒に楽しんでいただきたい」という想いから、親御様の参加も可能。
参加した方にお話を伺うと、「兵庫から参加したのですが、特にコンサートが素晴らしかったです。どんな会社なのか分かったのも良かったです」や「本当に立派な入社式で感動しました。娘にはいろいろな人に感謝しながら、これから頑張ってほしいと思います」と、ユニークな入社式への驚きや子どもの巣立ちに対する喜びを語っていました。
では、なぜグリーンハウスでは、このような唯一無二の入社式を行っているのでしょうか。
「五感で感じる入社式」の狙いや背景について、人事総務部 人事企画グループ マネージャー 中村浩平氏にお話を伺いました。
なぜ「五感で感じる入社式」をテーマに?
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人事総務部 人事企画グループ マネージャー 中村浩平氏
――豪華で五感が刺激される演出の数々に驚きました。なぜ「五感で感じる入社式」をテーマにしているのか教えてください。
当社の入社式で体感いただいた五感とは「集まる・聴く・見る・香る・味わう」です。これらを通して新入社員をはじめとしたご来場者の皆さまにグリーンハウスグループのビジネスを感じていただきたいという想いから、当社らしいホスピタリティあふれたおもてなしとしてこのような入社式を行っています。
――五感である「集まる・聴く・見る・香る・味わう」についてそれぞれ詳しく教えていただけますか。
まず、「集まる」とは北海道から沖縄まで、全国から480名の新入社員が集まり、交流することです。
そして、「聴く」とは東京フィルハーモニー交響楽団、オルガニストの石丸由佳さん、バイオリニストの廣津留すみれさんによるウェルカムコンサートを聴くこと。実は「音楽」は、当社のビジネスにおいて大切にしているもののひとつなんです。
当社の自社ブランドである「ホテルグランバッハ」では、食と音楽を通して癒しと感動を提供することをテーマにしていますし、社長である田沼 千秋自身が東京フィルハーモニー交響楽団の理事も務めています。
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人事総務部 人事企画グループ マネージャー 中村浩平氏 インタビューのご様子
「見る」では、コンサートホールのホワイエに新入社員から集めた顔写真で作ったモザイクアートや、当社オリジナルキャラクター“かつモン”のお出迎え、桜の木の装飾など見て楽しめるコンテンツを設置しました。
「香る」では、「自由」と「飛翔」をイメージしたオリジナルアロマ「入社式の香り」を当日のホワイエに散布したほか、形に残る思い出としてフレグランスを全員にプレゼントしました。
最後に「味わう」ですが、式典の終わりに当社の代表的なレストランブランドである「とんかつ新宿さぼてん」のプレミアムかつサンドをお土産としてお渡し。お客様に愛される当社の「おいしい食事」を味わっていただきました。
――グリーンハウスの事業や大切にしている価値観などを、まさに「五感」で感じられるのですね。親族も参加できるという点もユニークです。
大切なご子息・ご息女が入社されるわけですから、ぜひご家族にも当社について知っていただきたいという想いがありました。グリーンハウスでは会社と社員個人だけでなく、ご家族も含めたつながりも大切にしています。当社に関わる人すべてに喜んでいただける会社を目指しているのです。
――今回のコンサートで演奏された楽曲はどのように決められたのでしょうか。
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ウェルカムコンサートの様子。当日は「弦楽セレナーデより第2楽章」「四季」「喜歌劇『こうもり』序曲」「G線上のアリア」が披露された
単純に有名どころから選曲したわけではありません。東京フィルハーモニー交響楽団と検討を重ねて、入社式に合わせた曲目を選定しました。これから始まる新生活への期待や不安を表す神秘的な雰囲気から始まり、世間の厳しさや明るさを表現。最後は、希望に満ちた未来を彷彿とさせる曲目としました。
「人に喜ばれてこそ会社は発展する」グリーンハウスが考える人財育成
――「五感で感じる入社式」は多様な事業展開をしているグリーンハウスだからこそ実現できているのですね。改めて、なぜこのようなユニークかつ豪華な入社式を開催されたのか詳しく教えてください。
入社式は会社にとって、人財育成の入口となる大切なイベントです。「新入社員に何を感じてもらいたいか」を基に、当社らしさを最大限に体感してもらえるような式にしたいと考えました。その結果、私たちの社是である「人に喜ばれてこそ会社は発展する」が体現された「五感で感じる入社式」が生まれたのです。
――「人に喜ばれてこそ会社は発展する」という社是はどのようにして生まれたのでしょうか。
グリーンハウスは1947年、戦後の食糧難の時代に誕生しました。創業者である田沼文蔵が「学生さんにお腹いっぱいご飯を食べてもらいたい」との想いから、慶應義塾大学の嘱託となり、大学予科食堂を経営し始めたのがきっかけです。その当時の学生たちが卒業後に就職した会社で「自社で食堂をやるならグリーンハウスで」と任せてくれるようになり、会社が成長していったのです。
自身の利益ではなく、困っている人や目の前の人のために奉仕した結果、会社の成長につながった。「人に喜ばれてこそ会社は発展する」という社是は、この創業時のエピソードに由来しています。
当社の入社式は結果的に「豪華な入社式」というイメージになるかもしれません。ですが、目的はこれからの会社を支える人財に対して、当社が今できる最大限のおもてなしなのです。そして、その成果は10年後20年後に会社に返ってくるものと思っています。
――グリーンハウスの人財育成における方針を教えてください。
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人事総務部 人事企画グループ マネージャー 中村浩平氏 インタビューのご様子
「企業は人なり」、つまり企業の成長・発展は人づくりに始まり、人づくりにつきると考えています。この想いの下、当社は創業以来、積極的に人財育成に取り組んできました。
当社のグループ事業は「食・健康・ホスピタリティ」を軸に、コントラクトフードサービスやレストラン、デリカ、ホテル、IT、コンサルと多岐にわたっており国内・海外合わせて3万5千人以上の従業員が働いています。当社では性別や学歴、職種といった個人の属性に関わらず、成長し貢献したいという社員一人ひとりの意欲を大切にしたいという想いで、育成や登用の機会を提供しています。
“グリーンハウス流”の人財育成、充実した制度の数々
――人財育成において、「グリーンハウスならでは」という点はありますか。
職種に合わせたキャリアプランや教育体系を構築している点です。たとえば、グループの幹部候補である総合職には、事業の垣根を超えた人財になってもらうために、早期から経営層に必要な知識を身につけるための研修を用意しています。そこで得たクリティカル・シンキングやチームマネジメント等の学びを実務に活かしながら、ジョブローテーションを通して経験を積んでいくわけです。
また、社員が自身でキャリアを考えるための後押しにも力を入れていて、社内インターンシップや※FA(Free Apply・自由応募)制度なども導入しています。
※あるプロジェクト等に対し、広く社内に募集し、応募者の中から適する人を選び、異動させる制度
――特に強化しているポイントがあれば教えてください。
専門職の育成は、近年特に強化している点です。具体的には、栄養士・調理師を育成するための専門部署を新たに新設しました。給食会社の栄養士の仕事というと、事業所の栄養管理だとイメージされがちです。ですが、当社ではもっと多様なキャリアを描くことができます。ホテルやITアプリ、商品開発、人事、海外など、業界の中でもキャリアの可能性の広さは群を抜いていると自負しています。
当社では栄養士や調理師による付加価値の向上を目指しており、専門性を高めるための研修など、さまざまな取り組みを行っています。栄養職の新卒採用サイトには、当社で活躍する栄養士のインタビュー記事や、キャリアステップ診断という面白いページもあるので、ぜひご覧いただきたいです。
――そのほか、どのような人財育成制度を用意されていますか。
学ぶ意欲のある方を支援するために、通信教育講座や資格取得のサポートを行っています。たとえば、管理栄養士や衛生管理者、給食サービス管理士などの資格取得を目指すことが可能です。また、キャリア形成を補助する制度として、毎年「キャリア・ディベロップメント・プログラム(CDP)」を実施。上司との面談を通して、長期的な視点での目標や将来像を明確にし、自身の成長に役立てていただけます。年1回、「自身の振り返りと今後のキャリア・希望等について考える」機会を設けることで、意識改革にもつながると考えています。
2025年のテーマは「品質向上と人財育成」
東京オペラシティコンサートホールで「集まる・聴く・見る・香る・味わう」をテーマに開催された「五感で感じる入社式」。
会場に集まった新入社員に向けて田沼千秋社長は、「綿密な計画と緊張感を持って、インパクトのある品質向上と人財育成を進める」という会社方針を紹介。
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グリーンハウス・田沼千秋社長
さらに、2025年からの2年間はグリーンハウス80周年に向けた節目となることを踏まえて、「皆さんはそのスタートの年に入社された方々です。グリーンハウスの商品やサービスに対して、ただ品質が良いというだけではなく、お客様に『すごい』と言っていただけるよう、よく勉強し、ちゃんと自分の考えを持って臨むことが必要」とエールを送りました。
また、グリーンハウスグループの海外事業としては最大のパートナーとなる台湾についても言及。「台湾のGDPは、近年において実は日本を超えている」と述べた上で、台湾に拠点を置く半導体大手や精密工場の名前を挙げ「AI分野の鍵を握る企業が台湾ではどんどん出てきている。また、創業時から世界を目指すスタートアップも増えている」と紹介。そんな台湾の成長ぶりと自社の成長を照らし合わせ、「私が社長になった1993年のグリーンハウスの売上は約300億円、現在は2,000億円近くまで上がっています。 今後はさらにもっと成長すると思っています」と想いを語りました。
台湾以外にも、北京、ベトナム、韓国、フィリピン、タイ、シンガポールなど13地域に205店舗を展開しているグリーンハウス。今後はアメリカやヨーロッパなど、さらに広い地域に事業を拡大していくとのことで、田沼社長は「皆さんにはぜひ語学も頑張っていただきたい」と呼びかけていました。
「五感で感じる入社式」という唯一無二の豪華な入社式を行うグリーンハウス。その背景には、同社が誕生したエピソードや社是にこめられた想い、人財育成の考え方などがありました。
人を大切にし、食をベースにイノベーションを起こすことで成長してきたグリーンハウス。同社が描く未来に興味を持った方は、ぜひ同社の採用サイトをチェックしてみてください。