ジャンルの垣根を越えたマジシャンの賞レース『国民的マジックの祭典 世界が認めた日本人マジシャンNo.1決定戦SP』(フジテレビ系、23日21:00~ ※TVerで見逃し配信)。出場者は世界でも活躍する日本最高峰のマジシャンとあって、約5時間にも及んだ収録のスタジオには驚きの声がとどろき続け、時には悲鳴が上がる場面もあった。
“賞レース”となるとどの大会も緊張感に包まれがちだが、やはり人々を楽しませるエンタテインメントショーである「マジック」が題材だけに、緊張と緩和のバランスが絶妙な大会が繰り広げられた――。
Snow Man宮舘「あっという間に終わっていきました」
今回出場するのは、「ワインボトルマジック」のSORA、「対面ストーリーマジック」の高重翔、「コイン・マトリックス」のMASA MAGIC、「ロープマジック」のLUNA、「イマジネーション・カードマジック」のアツシオノ、「キューブ・マジック」のRYUHEI、「幻想的和装マジックショー」のizuma、「テレポートマジック」の佐々木俊一、「バードマジック」のCherry、「ビニールテープマジック」のJONIOの10人。
ステージを大きく使ったものからテーブルの至近距離で披露されるもの、小道具はトランプ、コイン、ロープ、鳥といった定番のものから、ルービックキューブという意外なアイテムまで登場し、マジシャンそれぞれの全く違った個性あふれるパフォーマンスがぶつかり合う。
これには、スタジオゲストの島崎和歌子、藤本美貴、宮舘涼太(Snow Man)も大興奮。突如飛び出す仕掛けに島崎は「ちょっと言ってよ!」と驚き、スタイリッシュなパフォーマンスに藤本は「ちょっとホラー映画みたいな感覚!」と恐怖すら感じ、一流のトークスキルを目の当たりにした宮舘は「おしゃべりが達者でついていくのに必死で、あっという間に終わっていきました」と魅了される。
さらに、MCの川島明とチョコレートプラネットまで、番組の仕切りを忘れてリアクション。川島は「これはマジックなんでしょうか!?」と叫び、チョコプラはマジックに協力しても全くタネに気づかず呆然としてしまう。
テーブルマジックでは出場者のパフォーマンスが終わっても、あまりの不思議さに混乱し、マジックを楽しみすぎて、MC席・パネラー席に一向に帰ろうとしない出演者たちに、進行の小室瑛莉子アナが「皆さんお席にお戻りくださ―い!」と何度も注意する姿があった。
緊張で手が震えてしまう出場者も
この“異種格闘技戦”ぶりに頭を抱えるのは、超一流のレジェンドマジシャン審査員たち。マジック界のオリンピック「FISM」で日本人プロ初の審査を務めたDr.レオン、「FISM」日本人唯一の優勝経験者・緒川集人、「FISM」現役審査員の桂川新平、2014年ベスト・クロースアップ・マジシャン受賞で最近はフジテレビ系お昼の生バラエティ『ぽかぽか』でも活躍するKiLa、そしてマジック界の生ける伝説・プリンセス天功の5人だ。
レオンが「この番組はかなりヤバいですね。“フランス料理と中華料理、どっちがうまいか”を決めるみたいなもの」と言えば、KiLaは「国内で完全なプロフェッショナルがこれだけそろった大会は初めてだと思うので、そこで審査するというのは本当に勘弁してほしい」と、悩ましい心境を吐露。それだけに、中にはパフォーマンス前に緊張で手が震えていたという出場者もいるほど、独特な緊張感がスタジオを包み込んでいた。
この緊張感を作り出すのは、審査員たち自身も大きな要素に。「テクニック」「演技構成」「オリジナリティ」「インパクト」という4つの項目で採点する中で、プロ視点の厳しいコメントが次々に飛び出すのだ。どの指摘も素人には分からないポイントなのだが、それが新たな見方となってマジックの楽しみ方をまた一段と広げてくれる効果をもたらし、従来のマジック番組にはなかった特徴の一つとなっている。
そんな空気を中和してくれるのが、審査員長の天功。最初に「今日は応援団長みたいな気持ちです。“カッコいい”とか“カワイイ”とか、素敵なところも審査したいと思います」と宣言した通り、他の審査員とは別角度から常に出場者たちに寄り添った言葉をかけており、“競技”と化したマジックがエンタテインメントショーであることを思い出す機会を提供してくれた。