2025年1月18日(土)、インテルは東京・LIFORK秋葉原 IIにて「インテル® Arc™ Bシリーズ・グラフィックス・カード 発売記念イベント」を開催した。

2月21日(金)に発売予定のアクションゲーム「龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii」を開発する龍が如くスタジオのチーフプロデューサーも登壇し、インテル® Arc™ Bシリーズ・グラフィックスの技術を取り入れていることを解説。プレイ体験では人気タレントの倉持由香、ストリーマーのいずちのの、桃井ルナが参加して盛り上がりを見せた。さっそくイベントレポートをお届けしよう。

  • 東京・LIFORK秋葉原 IIにて開催された「インテル® Arc™ Bシリーズ・グラフィックス・カード 発売記念イベント」

「XeSS 2」でフレーム生成を実現したインテル® Arc™ Bシリーズ・グラフィックス

インテルが昨年末に発表した新たなGPU「インテル® Arc™ Bシリーズ・グラフィックス」、その上位にあたる「インテル® Arc™ B580」、2025年1月16日(木)には下位の「インテル® Arc™ B570」が発売となった。それを記念して開催されたのが「インテル® Arc™ Bシリーズ・グラフィックス・カード 発売記念イベント」だ。

イベントのステージには、インテルの技術・営業統括本部 IA技術本部部長の太田仁彦氏に加えて、「龍が如く」シリーズのチーフプロデューサーであるセガの阪本寛之氏がゲストとして登壇した。

インテル® Arc™ Bシリーズ・グラフィックス(開発コード名:Battlemage)は、Arcの第2世代ディスクリートGPU(CPU内蔵型ではない単体のGPU)だ。

  • 開発コード名Battlemageとしても知られるインテル® Arc™ Bシリーズ・グラフィックス。インテル® Arc™ B580とインテル® Arc™ B570をラインナップしている

前世代のインテル® Arc™ α シリーズ(開発コード名:Alchemist)から、大きく構成は変えていないが、処理の効率化やレイトレーシング用ユニットの増加、ドライバーの改良など小さな積み重ねで70%のパフォーマンス向上を実現しているという。さらに、電力あたりの性能も50%ほど向上したとのこと。

  • 前世代のインテル® Arc™ α シリーズから細かな改良を重ね、70%の性能向上と50%のワットパフォーマンス改善を実現

現在のゲーム体験で求められているものとして、リアルなライティング、ディテールの細かいグラフィック、1440p(2,560×1,440ドット)の解像度があるとして、それを実現する技術として強調したいのが「XeSS」という。インテル® Arc™ α シリーズから採用されたスーパーサンプリング(超解像)技術で、小さい解像度でレンダリング処理をして、それをアップスケール(高解像度化)する。GPUの仕事量を減らし、AIエンジンに残りの仕事を託して綺麗な画像にする仕組みで、すでに対応するタイトルが多数あり、平均で47%もパフォーマンスが向上するとのこと。

  • XeSSを有効化することで平均47%のパフォーマンス向上を実現できているという

阪本氏によると複数のアップスケーラーがあるなかで、龍が如くスタジオで最初に実装を検討したのがXeSSだったという。実際に「龍が如く7外伝 名を消した男」ではXeSSが実装されており、ちらつきなどが緩和されることもあり、総合的にすごく安定している印象とした。

  • 「龍が如く」シリーズのチーフプロデューサーを務めるセガの阪本寛之氏がインテルの技術について開発者目線で語った

そして、太田氏によるとインテル® Arc™ Bシリーズ・グラフィックスの目玉機能になるのが「XeSS 2」という。これは、従来のXeSSをXeSS Super Resolution(XeSS-SR)と名前を改め、そこにフレーム生成のXeSS Frame Generation(XeSS-FG)、操作の入力から表示までの遅延を削減するXe Low Latency(XeLL)を加えた技術。XeSS-FGは、フレームとフレームの間にAIを使って中間フレームを作ることでフレームレート(描画の滑らかさ)を向上させる。

  • インテルの技術・営業統括本部 IA技術本部部長 太田仁彦氏がインテル® Arc™ Bシリーズ・グラフィックスの技術解説を行った

XeSS-SRとXeSS-FGによってフレームレートが向上しても、例えばゲームコントローラのボタンを押してから実際の画面に反映されるまでの時間にズレが生じてはプレイ体験が下がってしまう。それを緩和、適正化するのがXeLLとのこと。対応タイトルでは表示遅延を45%削減できるという。

  • XeSS-SR、XeSS-FG、XeLLで構成される「XeSS 2」

  • XeSS-FGはAIで中間フレームを作ることでフレームレートを向上させる

  • XeLLはデバイスから入力を受け付けてから画面に表示されるまでの遅延を軽減する

このXeSS 2は、「龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii」で採用されている。阪本氏は、基本ゲームは60fpsで安定するように作るが、XeSS 2によって120fpsという描画の滑らかさとゲームプレイの安定性を両立する、という選択肢も可能になるとした。映像を綺麗にするとフレームレートが犠牲になってしまう。そのバランスを調整し、天秤にかけて長年決めてきたが、それをカバーしてくれるXeSS 2が登場してくれたのはゲーム開発者としてはありがたいという。

  • 2025年2月21日発売の「龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii」ではXeSS 2が実装される

さらに、1月28日(火)にSteamで配信の格闘ゲーム「Virtua Fighter 5 R.E.V.O.」でXeLLが採用されることも明らかにした。予想外に注目タイトルの話が出たので会場では「おおっ」とどよめきが起きたほど(筆者も興奮した)。同ゲームは60fps固定で、XeSS-FGは実装されないが、競技性が高いタイトルだけに表示遅延を減らせるXeLLはうってつけの技術といえる。

このほか、Arc Bシリーズには環境構築が難しい生成AIやLLM(大規模言語モデル)を手軽に使える「AI PLAYGROUND 2.0」やオーバークロックによって性能限界を試せる「Intel Graphics Software」が用意されていることも紹介された。

  • インテル® Arc™ Bシリーズ・グラフィックスを活用したLLMによるチャットボットや画像の生成AIが手軽に試せる「AI PLAYGROUND 2.0」

ステージの後半では、タレントで女子e-sportsチーム「G-STAR Gaming」のプロデューサーである倉持由香さん、同チーム所属でべてぃの愛称でも知られるストリーマーの桃井ルナさん、Twitchを中心にFPSやホラーゲームの配信を行っているストリーマーのいずちののさんがゲストとして登場。「龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii」を体験してもらうことに。

阪本氏によると、龍が如くシリーズの人気キャラクター「真島吾朗」が単独主人公となり、ハワイで海賊になるというカオスな設定になっているが、同シリーズのなかで一番気持ちいいアクションゲームができたという。実際に倉持由香さんが中心となってデモプレイを行ったが、襲ってくる敵に対して簡単操作でコンボ(連続技)を決められたり、リアルに再現されたハワイを自由に移動できたりと見ているだけで、爽快感や楽しさが伝わってきた。

  • ステージでは倉持由香さん、桃井ルナさん、いずちののさんによる「龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii」のデモプレイも実施された

ミニゲームや衣装チェンジなどさまざまな要素がボリュームたっぷりとはいっているという。同シリーズのファンはもちろん、“海賊モノ”のゲームが好きな人にもオススメだ。

  • 「龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii」のプレイ画面

会場では発売前にプレイできる試遊コーナーや購入者限定の特典会も実施

イベント会場では、ビデオカードにインテル® Arc™ B580を搭載したPCを使った「龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii」の試遊コーナーもあり、発売前にプレイする貴重な機会ということもあって多くの人が並んでいた。また、対象店舗でインテル® Core™ Ultra プロセッサーや第 14 世代インテル® Core™ プロセッサー、インテル® Arc™ α シリーズを搭載したビデオカードなど対象製品を購入すると、倉持由香さん、桃井ルナさん、いずちののさんから製品ボックスにサインがもらえたり、2ショット撮影が行えたりする特典会も実施された。

  • 会場には試遊コーナーがあり、発売前にプレイできることもあって多くの人が並んでいた

ゲームを体験したストリーマーにインタビュー!

「龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii」を体験したゲストの3人に感想を聞く機会を得たのでさっそく紹介しよう。倉持由香さんは「龍が如く」シリーズをプレイ済み、桃井ルナさん、いずちののさんは初プレイになるという。

  • (左から)格闘ゲームではプロ級の腕を持ち、多くのイベントで活躍中の桃井ルナさん、G-STAR Gamingのプロデューサーであり、自身も数多くのゲーム配信を行っている倉持由香さん、FPSやホラーゲームのほか雑談配信も人気のストリーマーいずちののさん

――――実際にプレイしてみた感想はいかがですか?

「龍が如く」シリーズはアクションゲームが苦手な方でも簡単に連打やアクションが決められるので爽快感抜群です。今回は特に空中コンボが気持ちよかったですね。真島のアニキ(主人公)が海賊になってしまうとは! ハワイは思い入れがあって、物語の冒頭で(倉持さんが)結婚式をした「モアナサーフライダーホテル」の前で大乱闘をするのが楽しかったです(笑)。発売されたら、夫(プロゲーマーのふ~ど氏 )と一緒に思い出を振り返りながらプレイしたいですね。


自由度がすごく高くて、無限にプレイできそうでした! 対戦時はボタン連打で簡単に操作できるのに加えて、モードの切り替えなどやり込み要素も取り入れられていたので、いろんな楽しみ方ができそうだと思いました。


グラフィックがすごく綺麗で実際にハワイで乱闘しているみたいですごくカオスで面白かったです! できることも沢山あって発売が楽しみです。


―――今回はビデオカードにインテル® Arc™ B580を採用したPCでプレイしてもらいましたが、ご自身がPCを選ぶ際にこだわりはありますか?

見た目も大事ですが、やっぱり各種ゲームがヌルヌルと動くか、ストレスなく動くかを重視していますね。 最新のゲームを120%楽しむためには最高の環境のマシンが必要だと思うので、インテルのCPUとグラフィックボードで満喫したいなと思っています。


性能の高さが大事だと思っています。ゲームをプレイしていて(操作の反応速度が)反応できるか、できないか結構変わってくるので。高いスペックのPCに買い換えたとき、画面がちらついたりするのがなくなって、とても快適になりましたね。


私も見た目より性能重視なのですが、今使っているPCがちょっと古くて、CPUの性能不足を感じているので、今日楽屋入りしてから(秋葉原にいるので)インテルのCPUを実際に買って帰ろうかなってずっと考えていました(笑)。


  • 「龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii」を真剣かつ大盛り上がりで体験していた3人

ミドルレンジGPUの新たな選択肢になるインテル® Arc™ Bシリーズ・グラフィックス

試遊コーナーに用意されていたPCは、CPUにインテル最新世代の「インテル® Core Ultra 7 265K」、ビデオカードに「インテル® Arc B580 グラフィックス」、メモリが32GB、ストレージが1TBのSSDという構成だった。

美麗なグラフィックでハワイを再現する「龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii」が快適に動作しており、発売までにPCを新調したいと考えている人の参考になるだろう。

  • 試遊コーナーではCPUにインテル® Core Ultra 7 265K、ビデオカードにインテル® Arc B580 グラフィックスを搭載したPCを用意。「龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii」が滑らかに動いていた

特にインテル® Arc™ Bシリーズ・グラフィックスは、世代交代がなかなか進んでいない4万円台のミドルレンジGPUにおいて久しぶりに登場したニューフェイスだ。同価格帯のビデオカードはビデオメモリが8GBという製品が多いなか、インテル® Arc™ B580は12GB、インテル® Arc™ B570は10GBを搭載。多くのビデオメモリを求める1440p(2,560×1,440ドット)解像度では、高いパフォーマンスを発揮する。ビデオカードの価格を抑えつつ、より高い解像度で快適にゲームをプレイしたいと考えているユーザーにピッタリはまる存在といってよいだろう。実際にインテル® Arc™ B580発売時には売り切れが続出したほどだ。

  • 1440pの高解像度かつ高画質設定ほど10GB以上のビデオメモリがいきてフレームレートが高くなる

また、イベントでは開発コードネーム「Arrow Lake」こと、インテル Core Ultra 200Sシリーズ のCPUに省電力版といえる「Non-Kモデル」が発売されることも明らかになった。

発熱が小さいためコンパクトな空冷クーラーでも冷やしやすく、「Kモデル」よりも価格が下がるのが大きなポイント。インテル Core Ultra 200Sシリーズは、AI特化型プロセッサーのNPUをインテルのデスクトップ向けCPUとしては初めて内蔵するなど、多くの新たな技術が投入されている。インテル® Arc™ Bシリーズ・グラフィックスと合わせて、新たなゲーミングPCを組み立てるにはいいタイミングではないだろうか。